優憐の周りを覆う黒いものは少しずつ優憐の力を奪っていった。
-くそっ、どんなに気を送っても送っても効いてる感じがしない。どうしたら…-
ソイツは腕を伸ばし、優憐の周りの黒いものを操っているようだった。
「優憐!!しっかりしろ!」
魔理沙や、霊夢の声に優憐ははっとした。
『うるさいヤツらじゃのう。』
そう言って、ソイツは魔理沙のいる方向に黒い塊を放った。
「魔理沙さんあぶない!!!!!」
優憐の声に霊夢が気づき、魔理沙を押したことでぎりぎり当たらなかった。
『ふむ。久しぶりに力を使うとやはりなまっているようじゃの。』
そう言って、またソイツは黒い塊を作った。
「やめて!!お前は私を倒すんだろう!!?」
優憐はさらに気を送ろうとしたが、自分の力が尽きようとしていることを悟った。
-いつも、霊夢さんや魔理沙さんに助けられてばかりで、私が足を引っ張ってばかりで…-
自分の無力さが悔しくて、優憐の目からは涙がこぼれた。
-私のことを友達って言ってくれたのに…、私は友達すら守れないっ。そんなので、"幻想郷の守り人"なんて…-
目の前でみんなが、大事な友達がソイツにやられている、その状況は優憐の心を壊そうとしていた。
その時、優憐は母の言葉を思い出した。
"「桃山の女は常に強くなければならない」"
母が言った言葉。
子と別れる自分自身を奮い立たすためにも言ったのだろう。
それでも、母が涙を流したその言葉を忘れることは無かった。
『しかし、いくらわしとやり合うとはいえ幻想郷の者に手を借りるとは桃山の家もずいぶんと落ちぶれたものだなあ。』
その言葉に霊夢や魔理沙は黙っていられなかった。
「好き放題言いやがって!!」
傷だらけになりながら、霊夢と魔理沙を含むみんなは必死にソイツに攻撃していた。
その様子は弱った優憐を奮い立たせるのに充分だった。
「いい加減にしなさい。」
涙を拭い、優憐は顔をあげた。
その瞳にはさっきまでの弱い優憐はいなかった。
「私の家は代々、幻想郷を守るために戦ってきました。」
優憐が話し始め、ソイツを含み、その空間の全員が手を止めた。
「母も早くから私と離れ、戦い、そして死んでいきました。ひとりで戦って。」
優憐の目から、また涙がこぼれ始めた。
「私はひとりで戦えなかった。みなさんに頼ってしまった。これは自分の無力さゆえに起こったことです。」
「"桃山の女は常に強くなければならない"。私にはそれが出来なかった。」
優憐の目から次々と涙をがこぼれるのを霊夢や魔理沙はただ見つめていた。
「それでも!!」
優憐の力強い声とともに、今までと比ではないほどの気がその空間に流し込まれた。
「私は"幻想郷の守り人"だ! たとえ力が無くても私は幻想郷を守らなければならない!!!」
優憐の声が響き、優憐の周りを覆っていた黒いものは弾かれた。
『くそっ! 調子に乗りおって!!!』
ソイツが負けじと魔力を強めようとした。
「お前は、私の大切な友達を、大切な幻想郷を傷つけた!! 絶対に許さない!!」
ソイツの魔力を弾き、優憐の気はどんどん強まり、ソイツの周りを覆った。
「今です!! 今ならみなさんの攻撃が通る!」
優憐の声に、みんなは一斉に弾幕を張り、能力を使いソイツに目掛けて攻撃した。
『小賢しいっ!!小娘どもがっ!!』
優憐の気で覆われた体では充分に魔力を出すこともなく、霊夢達の攻撃は直撃した。