あの恐ろしい異変が起きてから数ヶ月が経った。
季節は春になり、幻想郷の山々には桜が咲き乱れていた。
あれから幻想郷が総出で、あの大雨で起きた土砂崩れや川の氾濫の被害を戻し、元の美しい景色を取り戻した。
幻想郷が戻っていくにつれ、優憐の体調は悪化していった。
無理もない。
あの"無"の空間で、ただの人間が生活するのはそれですら体力を奪われる。
そして、その中で何度も激しい戦いを続けた優憐の身体はあまりに激しい消耗に耐えきれられず、どんどん寿命が削られていたのだ。
その状態でのあんなバケモノと戦いもあって、優憐の体はどんどん蝕まれていた。
日に日に重くなり、思った通りに動いてくれない身体では、今までのように外に出ることもなくなり、部屋の窓から外の景色を見ることが増えた。
しかし、優憐は決してみんなの前ではしんどい素振りを見せなかった。
いつでも、明るく、元気に振舞ってみせた。
幻想郷の守り人は、みんなを守る存在であって、守られる存在であってはならない。
みんなに心配をかけるのは死んでも嫌だった。
"いつか、もう1度だけでも見たい"と願っていた幻想郷の春は、美しすぎた。
桜だけでなく、たくさんの花が咲き乱れ、妖精達が飛び廻る。
その美しさは言葉では表せられなかった。
「もう、前みたいに幻想郷を飛び回る事も出来ないのかな。」
外の景色を見ながら、優憐はぼそっと呟いた。
優憐は自分の体が限界を迎えていることを感じていた。
「そうだ、今日は博麗神社で宴会があるんだっけ。」
今にも枯れそうな体を奮い立たせて、優憐は博麗神社に向かった。
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「優憐! 早いわね。」
博麗神社に行くと、散った桜を霊夢が箒で履いていた。
「あれ?宴会は昼からだぞ。」
その後ろで魔理沙が酒を運んでいた。
「あら、そうでしたか。」
あははと苦笑いをして、優憐は魔理沙の持っていた酒を半分持った。
「お手伝いしますよ、家にいても暇ですから。」
「助かるわ。なんか適当につまみになるようなものでも作ってくれる?」
霊夢の言葉に頷いて、優憐は台所へ向かった。
3時間ほどで、妖怪達がゾロゾロとやってきた。
「霊夢さん!今夜はスクープ期待してますよ!」
カメラを片手に射命丸は言った。
「ないわよ、なんも。」
冷たく言い返した霊夢に射命丸は膨れた。
「あ!優憐さん!お久しぶりです!」
優憐を見つけると近づいていった。
「あの時の優憐さんの記事、売れましたよ~。」
「少しはずかしいです。」
にこにこと満足そうに語る射命丸を見て優憐は恥ずかしそうに微笑んだ。
次々と来る妖怪達と会話を交わしていると、鬼や妖怪達はどんどん酒を持ってきて、宴会は始まった。