我輩は○○である   作:far

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第二部完


我輩はノラネコである。

 

 我輩はノラネコである。名前はサムになった。

 

 力をストックする個性を見つけてくるまで帰ってくるな。

 

 それがしばし考え込んだ先生の出した答えであった。

 大概のことは、それが損害を出すことであれ無邪気な様子で、楽しそうであった先生が。

 

「個性を譲渡する個性を手に入れた」

 

 我輩がそう告げた時、動きを止めた。

 左右に手を広げるなど、大げさな動作を好む先生が、体を小さくして固まっていた。

 その姿から、複数の感情がひしめいていたように感じたのは、きっと、我輩の気のせいではない。

 

 そして、我輩はNo.1ヴィラン、オールフォーワンと初めて出会った。

 

 動き出した彼は、激しく怒りながら喜んでいた。憎悪しながら歓喜していた。素晴らしい! と何度も叫んでおった。

 

 キミも、ボクのテキになってくれるのかい?

 

 声に出してはいないが、表情が、目が、その存在がそう言っておった。実にうれしそうで、楽しそうだった。

 そして課題だと、上記の条件を我輩に言いつけ。我輩から何もかもを取り上げようとした。

 

 戸籍、職場、身元に口座。黒い人にも連絡を入れ、ボスにも言い含めておけとツテも断ち切――――

 

 待ったをかけた。少し、待ってくれと、願った。

 

 我輩の発言は、調子良く動いていた彼の機嫌を軽く損ねてしまったらしい。しかし、それでも言っておかねばならなかった。取り返しがつかなくなる前に。どうしても言わねばならなかった。

 なぜならば。

 

 もう、持っているのである。

 

 力をストックする個性が、ここにあるじゃろ?

 

 

 

 また先生の動きが止まった。

 

 先ほどとは違い、何の感情も感じない。完全に止まっている。いつの間にか、(オールフォーワン)から先生に戻っている。

 

 え、持ってるの? はい。 特に何かあったりしない? いえ、全く。

 

 

 …………………………………………………………………………

 

 

 

 再び動き出した先生は、新しい戸籍をすぐさま手配してくれた。

 

 うん、まあ、少し休暇をあげるよ。旅行とかどうかな? 二つの個性が一つに出来るような、そんな修行もしてみるといい。

 

 そんなふうにさとされ、外へと送り出された。早口だったが、その態度はいつになく優しかった。

 我輩の目も、きっと優しかったのだと思う。

 

 さて。

 

 三割くらいは死ぬかもしれぬと覚悟しておったのだが、このオチは読めなかった。

 さしあたっては、口座の凍結も解かれたし、先生のおすすめに従って旅に出ようか。

 しばらくは自由の身である。

 まずはどこのうまい物を食べに行こうか。九州からか北海道からか。それとも近場の関東からか。

 まあ、気の向くままである。

 

 

 

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