我輩は○○である   作:far

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短いですが、小麦2割、ソバ8割の二八蕎麦の小麦のような中篇でありたいと思います。

Q.そのこころは?   A.つなぎです


我輩はネコであると言ったな。あれはウソだ。

 

 我輩はネコであると言ったな。あれはウソだ。

 

 いや、ネコ科の生き物であるとは思う。たぶん。おそらく。けっして自信を持って断言はできぬ。

 やむを得ぬのだ。妖怪を普通の動物と同じように分類してよいものなのか、我輩いまだに結論付けられておらぬゆえに。

 

 あれは街中を気ままに散歩しておった時の事。我輩は基本放し飼いであるからして、まあ、いつものことではあった。

 されどその時は、ささいな変事があったのだ。途中の家に、黒い霊柩車が止まっておった。

 べつだん、知り合いというわけでもないが、妙に気にかかった。

 たまたまお棺を運び入れるところであったので、するりと黒服の人らの列へ入り込んで、お棺の窓から仏の顔をのぞき込んだ。

 

 目が合った。

 

 仏は白髪の老人で、当たり前だが、その目は閉じられていた。はずである。

 だが、間違いなく、我輩はあの老人と目を合わせた。

 

 そして、受け取った。

 

 その老人が持っていただろう個性を。これも間違いなく受け取った。

 盗んだのでも、ましてや奪ったのでもない。受け取った。これがしっくりと来る。

 特に、何か会話がありはしなかった。なにを言われたわけでもなく、頼まれたわけでもない。ただ知人の家に訪問した時に出された茶菓子のように、なんの気負いもなく差し出されたものを受け取った。それだけである。

 

 ただその個性が『首が伸びる』という使い道の思いつかないシロモノだったのは、今も残念に思っている。

 

 色々と思うところがあったが体の方はなかば勝手に動き、仏に手を合わせて一度拝むと、その場からごく自然と退散しておった。

 今思えば、葬儀の場で見知らぬ少年が突然やってきて、拝んでいったというのは実に意味深だが、我輩は反省しない。しょせんは他人事である。

 それよりは、他人の個性を受け取った。この事実に対する考察が優先する。

 まずは一人でつらつらと考えてみるのも良いが、ここはあれである。

 

 ボスケテ

 

 せっかく自分よりも上の立場の人間がいるのだ。報告・連絡・相談のほうれんそうをシッカリとした上で頼れるだけ頼ってしまうが吉というもの。

 

「たまにはいいじゃないか……自分に優しい日があっても……」

 

 そんな言葉も思い浮かんだことであるし、きっと問題はないのだろう。

 相談したボスが「先生に報告するかぁ……」とか口にしており、大ボスとの面会が決定されてしまったようだが。うむ。きっと、問題はない。と思う。たぶん。おそらく。けっして自信を持って断言はできぬ。




●「たまにはいいじゃないか……自分に優しい日があっても……」
フェアリーテイルより。色々抱えてる中、人生にそういう時があってもいいと、自分を許せるようになったエルザさんの言葉。
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