全部その場のノリです。
我輩はペットである。
我輩はペットである。名前はトムだそうな。だいたい合っているのである。
野良暮らしとなった我輩であったが、なにやら自分でもよくわからぬうちに、拾われてしまったのだ。
前回。すさまじく精神的に高揚した状態から、一気に素に戻った先生から、しばしの休暇をもらった。
「えっ」
今思い出しても、あれは巨大ダンジョンの主である鈴木さんを思わせる落差であった。
我に返った先生は、気恥ずかしさを覚えたのだろう。休暇とは、ほとぼりが冷めるまでしばらく顔を出さないでくれということである。多分。
そのあたりの空気を読む優しさは、さすがに我輩にもあった。
自由を得てしばらくは、我輩も気分が良かった。具体的には渋谷の九月堂でラーメンを食べ終わって店を出るまでは。むしろ開放感すらあった。
しかしいざ腹もふくれて落ち着いてみると、なぜか妙にさみしくなってきたのだ。
先ほど、ラーメンと甘味という謎の組み合わせを売りにしたラーメンカフェなる新感覚が評判の店で、味玉をつけて魚介系あっさりラーメンを冷ましてからすすり、食後に抹茶パフェを堪能しておった時はただただ幸せであったのだが。
魚介系と言いつつも、黒大豆や野菜のダシも効いており、豚骨鶏ガラのスープも入った三重奏。植物系と動物系、魚介系の種類の異なるうま味が、舌の上で立体的な深い味わいになる。煮干のニオイも少しして、豪華になった正当進化の醤油ラーメンと言えよう。次に行くときがあったならば、こってりも試してみるのである。
抹茶パフェも、自家製という抹茶ソースがアンコと白玉と良く合っている。抹茶の苦味とコクが他の甘味と一緒になると、味を一段上に引き締める。甘いだけのパフェは途中で飽きるが、これならばそんなこともなく、後味も良い。
はて? なぜ我輩は気分が落ち込んだのだろうか?
今となっては不思議であるが、その時はそんな気分であったのだ。きっと気の迷いである。
そんな気の迷いからであるが、とぼとぼと歩いていた我輩に声をかけてくれた人がいた。見るからに落ち込んで見えたらしい。なにやら申し訳ない気持ちになる。
ところで、突然ではあるが。
我輩はショタである。
年齢はこの間十二になった。身長は108である。まだ伸び続けているのでセーフである。なにがセーフなのかはわからぬが、言っておかねばならぬ気がした。
そして戸籍上は十六歳である。ボブだった頃より若返っているが、実情には近付いた。
合法であるが、非合法である。もしもTS転生であったなら、危なかった。表向き合法な非合法ロリ。事案待ったなしである。
まあショタでも事案は発生するのであるが。
ボク、どうしたの? ママは? から始まる
行くところが無いならうちにおいで。いいから遠慮なんてしないで。で終わる
少年をお持ち帰りする物語、開始。そして完結。
三行で言うと、そんなことがあった。
「あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(中略)おれも何をされたのか、わからなかった……
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」
相手が女性だったのは、不幸中の幸いである。
ただ頭から蛇が生えていて、芸能人であるというあたり、記憶に引っかかるものがある。
スネークヒーロー ウワバミ 確か、原作キャラだった。はずだ。
ただどういうキャラで何をしたのか、さっぱり思い出せないのであるが。まあ当面は問題なかろう。
問題なのは、このままここに居着いてしまってよいのだろうか、ということだが。
うん、まあ。とりあえず。ひと月ほどゆっくり考えてみるのである。
●「えっ」
オーバーロードより。元はネット小説であったのがアニメ、書籍化。流行したこの流れの中では、成功の部類に入る。現在第二期まで放映終了。GYAO!で第一話が無料で見れるぞとダイマ。
かなり暗い未来社会で、ヴァーチャルMMOにハマった鈴木さんが、サービス終了後に使っていたキャラの、メイジ系スケルトンの最終進化のオーバーロードになって異世界へ。色々な事情で魔王として振舞うが、時折意外な事態に素に戻ることも。その時に出るセリフがこれである。
●「あ……ありのまま(略)
ジョジョの奇妙な冒険第三部より。ポルナレフのセリフであるが、もしかするとこれを言った本人よりもメジャーかもしれないネタセリフ。ゆえに本文でも中略されている。