我輩は○○である   作:far

27 / 100
我輩は反省中である。

 

 我輩は反省中である。

 酔って帰ったら、ウワバミさんにしこたま怒られたのだ。当たり前のハナシであるが。

 家出したネコが、泥だらけになって機嫌よく帰ってきたみたいなものかもしれぬ。

 とりあえず風呂場にぶちこみ、手荒く洗ってから叱りつけるあたりも、似ている。

 

「だがボクは謝らない」(キリッ)

 

 などと酔った勢いでやったら、さらに怒られた。酒のせいである。けして我輩の素、というわけではない。

 スキャンダルで仕事を干された、芸能界の先達たちのはなしなどを聞き流していたら、うとうとと眠気がおそってきた。

 本物のネコのように、こしこしと顔を洗う。

 ああ、もういいから今日のところは寝ちゃいなさい。とお許しが出たので、寝床へ。おやすみなさい。

 

 あけて翌日。今日もストレス解消といこうと思う。具体的には、この間の渋谷のラーメンのこってり味を味わいに行こう。

 そう心にかたく思い極めた。ウワバミさんもオフらしく、車を出してくれるらしい。

 とはいえまだ朝である。ラーメンはお昼に食べるとして、朝はどうしようか。

 え、行きつけのカフェがある? じゃあそこで。

 

 そうしてお出かけしたわけであったが。この世界、思ったよりも治安が悪い。つまりは、また野良ヴィランである。

 

 野良と言うのは、どこか組織や先生と関係していない、という意味での野良である。別に野生動物のごとく、そこらに生息しているわけではない。

 ひょっとしたら、似たようなものかも知れぬが。

 

 今回の事件は、開いたばかりの金融機関から、朝一で資金を引き出した業者狙いのかっぱらい。まさに目の前での出来事で、あまりの大胆さに少し驚いた。

 ナンバーも隠していない、原付バイクでの犯行。しかもマスクは一応していたが、爬虫類系の異形がどう見ても身元を隠しきれていない。

 

「スケスケだぜっ!」

 

 恐ろしいほどバレバレだった。たぶん放っておいても、すぐ捕まる。

 もしかすると、札束を数えて「へへ、やってやったぜ」とか言っている時に、警察に踏み込まれるくらい。それぐらいすぐ捕まるような気さえする。

 

 でも目の前で犯罪が行われた以上、黙って見逃すのは、ヒーロー的にありえない。

 我輩に一言だけ「ごめん、追いかけるわ」と短くことわって。ウワバミさんは愛車のアクセルを踏み込んだ。

 

 

 

 そして捕まったヴィランが、こちらにあります。

 

 そんな三分クッキングで出される、調味料を漬けて一晩寝かしておいた食材のようにお手軽に、犯人たちは捕まった。

 一応は同じヴィランとして思う。もう少し頑張れよ。

 

 そうして捕まえた犯人たちであるが。ヒーローは逮捕まではできるが、そのあとは警察のお仕事。最寄の警官が受け取りにくるまで、待機である。

 警察は法の番人ゆえに、個性使用禁止の法律を守らざるを得ない。そのせいでヴィランと戦えずに、こうして終わった後にやってくるために、ヴィラン受け取り係などと世間で呼ばれているそうな。かわいそうに。

 

 捕まったあとは、ヴィランも普通の犯罪者と同じだ。拘置所に入って裁判を受けて、それから刑務所なり無罪なりの判決を受けて、刑に服する。

 基本、ヴィランは刑務所で大人しく受刑者生活をおくってくれないし、危険な個性を持っていることが多いので、特別な刑務所に送られるが。先生なんかは、身動きも取れないほど拘束されて、24時間体制で監視、モニターされていた。

 正直、そこまでするなら、いっそ殺した方が良くないか、と原作を読んだとき思ったことを覚えている。

 

 おや、もう警察が来た―――!? !!!????

 

 違うとはわかっていた。だが、こう言わざるを得なかった。勝手に口が動いていた。自然とそうしていた。

 

 

「お。お父さん?」

 

 

 警察の装備品の無線付きベストにワイシャツ。ネクタイ代わりに鈴のついた首輪をつけた、二足歩行のネコが、そこにいた。

 玉川三茶。猫のお巡りさんである。我輩との血縁関係はない。と思う。

 この体の両親の顔は、もはやあまり覚えておらぬが、普通の人のそれであったのは確かだ。だから、彼は父親ではない。

 ただ、妙に顔の系統が似ているのだ。模様とか。つまり。

 

 うん、その場のノリだけで思わず言っちゃったネタで、大混乱である。

 

 信じちゃったウワバミさんが、説教を始めている。玉川さんはひたすら困惑している。まだ毒で身動きが取れないながらも、爬虫類系のヴィランがこのスキに逃げられないかと、頑張っている。

 

 …………………………

 

 …………………………え、これ我輩がなんとかしなきゃダメであるか?

 

 




●「スケスケだぜっ!」
テニヌ、もといテニスの王子様より。いくら死角を消そうとも、関節や骨格が対応出来ない絶対死角が出来てしまう。そこを狙うことで相手は反応することすら出来ない。これが跡部の世界 ――― 跡部王国
正直よくわからないので、そのまま引用したが、ご理解いただけるだろうか。
ムリヤリ強引に解釈すると、あ、今ここに打ったら反応できないな、というポイントを、相手の状態を見極めて見つけて打ち込む技。そのポイントの見え方を表現したのが、このセリフだと思われる。跡部景吾のセリフ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。