我輩は補習中である。いや、高卒認定の試験の方ではない。あれはいくつかの科目が受かり、いくつか落ちた。残念無念、また今度。具体的には三ヵ月後である。
補習というのは、先生の方だ。久々にパワハラの機会を見つけて、うれしそうな顔で我輩に命じてきた。
「自爆の個性を買い取って欲しかったら、あと十個。何でもいいから使える個性を持っておいで」
せめて八個にまからないか、と交渉したのだが。自爆を含めて十個というところまでしかいけなかった。おのれ、横暴な上司め。
こうなれば自爆のように、使えるけど始末に困る個性をかき集めて、渡してやるのである。友人へどう配布するのか、頭を悩ませると良い。
さて、まずは手持ちを確認しよう。地方出張のたびなどに、こつこつと機会を見つけては集めた個性が火を噴く時きたれり。
地下で窓がなく、暗くて寒い、独特の雰囲気に泣きそうになりながら、病院の霊安室に忍び込んだり。大学病院の献体として運ばれてきた方と、保管室で面会したり。
中規模ヴィラン災害でボランティアをしながら、自然といくつか受け取ったり。集めたもろもろの個性が、今、ここにある。
まずは一番。個性 妊娠。発動しただけで、相手を妊娠させられる危険な個性。あいつに近付くと妊娠するぞ(ガチ)。生まれてくるのは、母体のクローン。
家畜や、絶滅危惧種の繁殖にはとても役立つのだが、この個性を持っていると知られるだけで、社会的に孤立する。
気になって軽く調べてみたところ。元の持ち主は、人間には使えないと言い張って、それをある程度回避していたようだが、それでもある程度は孤立していたらしい。
そしてこの個性、本当に人間相手には使えないのかどうか。実は試したことが無いので不明である。
深く、考えないようにしよう。知らないほうがいいことも、この世にはきっとたくさんあるのである。
気を取り直して、二番。個性 思考転送。考えていることが相手に伝わるだけの、一方通行のテレパシーであるな。ひとことで言うと、サトラレ。
まあ、指示などで普通に使えるのではなかろうか。
まともすぎて、渡すべきかどうか迷う。でも、たぶん取り上げられるな。候補に入れておこう。
首からスギ花粉は、以前買い取り拒否されたが、首を伸ばす個性との抱き合わせで、一つの個性として数に入れてくれないだろうか。
小さな市なら、丸ごと巻き込めるくらいのテロができるとおもうのだ。これが三番。
六時間睡眠をとったら、体力が全快する個性。これ四番目で通るかな。通ると良いな。なお、この個性を持っていた人は、この個性の存在に気づいていなかった。
あとはラテアートを作ったり、液体の塗料や水彩絵の具で絵を描くのに便利な、液体の表面を操る個性とか。
物質としての水、H2Oを40℃にする個性とか。氷でも沸騰した湯でも即座に40℃にできるぞ。
集中している間だけ、物質の硬度を1上げる個性とか。ダイヤモンドパワーを、ロンズデーライトパワーにできたらいいですね。
個性 光合成。ただし、焼酎と塩のみを食事としている間だけ。他のものを飲み食いすると、消化、排泄するまでできなくなる。
個性 カサ。発動中は、液体で濡れることは無い。カサなので一方向からだけだが。
さあ、先生! この選りすぐりの九個に、自爆を加えたら、十個、ここにもう持っていますよ。
どうか受け取ってください、先生。先生――? なんでそんな、切ないものを見るような雰囲気を出すのであるか?
どれもこれも、使えないではないでしょう、先生――!
ふむ。わかったのである。こんなんじゃあ満足できない、と。ならば取って置きをお出ししよう! コレは凄いですよ、なんせ取って置きですからな!
個性 秘密基地! そしてもう一つ。 個性 喀血! これでどうですか!
秘密基地は、自分のいる建物を、敵意を持つものの意識から自然と逸らしてしまいます。
喀血の方は、そのままです。いつでも好きなときに、ガハッ、とか言って血を吐けます。不治の病にかかった自分とか、もう先が長くない、だが! と前のめりな自分を演出することもできます。
あ、両方お買い上げで。毎度ありがとうございます。自爆の方も、一つよろしくお願いするのである。
●ロンズデーライトパワー
筋肉マンより。現在、ジャンプ+や、週刊プレイボーイ(Webでも)で連載中の、原作終了後の続きの中。悪魔将軍が硬度10のダイヤモンドパワーを超える力として使用した、悪魔将軍流の火事場のクソ力。もしくは友情パワー。
火事場のクソ力は、主人公筋肉マンが発揮する、いざという時の超パワーであったが、筋肉マン二世で主人公の息子や、ロビンマスクの息子も使い。現在の連載では他のキャラも次々使い出している。ただし、それが友情パワーか火事場のクソ力かはまだ判別不明。
担当さんが重度の筋肉マンファンであるらしく、原作者があまり覚えていなかったネタや設定を生かすような提案や原案を考えてくれるらしい。いいぞもっとやれ。