我輩は回復中である。精神的に。
このところ、黒い方向でのお仕事、お仕事? が続いて、少しまいっているのだ。なにか精神的な癒しを要求する。
たまには、自分に優しく。そんな日もあって良いと思うのだ。
まずはひたすらにのんびりする。ただただ、暖かい日向で。日差しを感じつつ丸くなる。
とても細かいビーズがつまった、人をダメにするクッションに沈み込み、埋もれてしまいそうになりながら。
都会の中で、高層マンションゆえに許された静けさの中で、目を閉じる。
にゃー。
今の我輩は、ただのネコである。
夕方。日が傾いて、気温が落ちたせいか。肌寒さを感じて目を覚ます。
背伸びをする。軽く、体のあちこちも伸ばし、ひねる。自然と出てくるあくびに、涙が出た。
「そうだ。京都行こう」
唐突にそう思ったが、いや、やっぱり面倒であると思い直す。まだウワバミさんも帰っていないし、明日も仕事であるので連れて行ってはくれまい。
すると電車での移動になるが、何時間も移動するのが、今はおっくうだ。
だが駅弁は食べたい。お腹がすいたことであるし。
この間知り合ったばかりの友人でも誘って、食事に出るとしよう。
さて、翼くんの番号は、と。
あ、我輩我輩。今、ヒマであるか?
残念ながら翼くんは実験の予定があるから、と断わられてしまった。危険な実験でないことを祈る。
というのも、彼には一つ、厄ネタがあるのだ。
手作業で一人一人ていねいに、という方針に、誰かを思い出す、職人気質のヒーロー殺しのステインさん。
原作で彼が出ていたあたりで、主人公の緑谷少年をさらおうとした、飛行型脳無がいた。そしてその脳無の翼が、彼の個性で出す翼とそっくりなのである。
そして翼くん。彼の祖父が、先生の協力者で、医者なのだ。
嫌な予感しかしない。悪い想像しかできない。
だが前回。我輩の胃と罪悪感を対価に、脳無の素体の供給問題は解決したはずである。
あまりに早い解決であったのが、まあ多分、我輩の関わっていない個性でも使われたのであろう。
ともあれ。普通の人間を素材とした脳無はもう、作られることは無い、はずなのだ。
だから翼くんはきっと、大丈夫になった。たぶん。きっと。そうである、と思いたい。
ああ、いかぬ。また精神が下降してしまったのである。こうなればもう、飲むしかあるまい。
こっそりと、黒い人とボスのいる、あのバーへ行くとしよう。
ヴィラン側の人間と会っても、悪い方向へ考えない程度には回復している。で、なければ翼くんも誘っていない。
未成年が堂々と飲める場所など少ないのだから、これは仕方がないことであるし。
軽く飲んだあと。帰りにサウナにでも入ってくれば、ウワバミさんにも飲んだことは気付かれまい。
さて、まずはこのクマのきぐるみパジャマから着替えようか。
言っておくが、この寝巻きはウワバミさんからのもらい物である。けっして、我輩のシュミではない。
居候は、色々と立場が弱いのだ。本来トランクス派だが、ブリーフを履いているのと同じである。
生きるというのは、それだけでいろいろとあるのだ。いろいろと。
ああ、とかくこの世は、住みにくい。
●「そうだ。京都行こう」
JR東海のキャッチコピー。1993年から使われ続けた。CMもやっていたが、今思えば全国区では知らない方も多いのだろうか。一昨年2016から「そうだ。京都は 今だ」に変わったらしいが、正直そちらは知らなかった。
●翼くん
幼少時、かっちゃんの取り巻きでデクくんをいじめていた手が伸びる個性と、翼を生やす個性のコンビがいた。そしてステイン編で、手の長い脳無と、翼がある脳無がいてね。コミックス7巻のおまけページに、翼の脳無があの集団の中から緑谷出久を選び掴んだのは何故だ!?のそれとないヒント的なやつのコーナーってのがあって、そこに翼くんのイラストが…!
なお有名なほうのサッカーの翼くんは、今度はパチンコが友達だ! というキャッチコピーでパチンコホールで活躍中w とんでもないものを友達にするなw
と思ったら深夜アニメでリメイクされていた。深夜にやる絵柄ではないと思うのだが、どうなんだろうなあ。