植物の巨大化以外はノープランで書いてたはずが、どうしてこうなった。
enigma氏の デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録 結構長めに続いていますが、序盤のディアボロの冒険(という同人ゲーム)の中で、もがいてる所だけでも面白いです。最近更新ないけど、そろそろ復活しないかな。
我輩は電話中である。
タシッ (指パッチンをしたかったが、肉球のせいで失敗した)
…………はなしをしよう。 (無かったことにして、進めることにした)
ある一組の、夫婦のはなしである。
夫は、子供の頃に自分の個性を発見した。そしてそれ以来、その個性に磨きをかけて、世に認められる男になった。
彼の個性は、植物を巨大化させる個性。
勘の良い方は、もうお気付きであろう。
この個性、むろん手動である。
彼自らの手で種をまき、水や肥料をやって育てねば、大きく育たないのだ。しかも、手をかけるのをやめたら、徐々に枯れてしまう。そんな一味違う手動である。
小学校の授業で、ヒマワリを育てた時。彼の人生の道は決まった。いや、彼が自分で決めた。
同じ場所に、同じように植えた級友たちのヒマワリ。それらよりも倍以上に太い茎と、三倍くらいは高いところにある、四倍ほどに大きな、自分の花。
それを見て、自分の個性を直感した彼は、自然と気付いたのである。
あっ、オレこれで食えるわ。と。
そののち。巨大アサガオの栽培に成功して、まずは花ならば問題ないと判明した。しかし同時に、取れた巨大な種は、彼の手で植えねば発芽すらしない、ともわかった。
近所の空き地にこっそり植えたジャガイモは、当然のように大きく育ち、育って。これもまた、当然のように発覚して、親やら先生に、その土地の人。いろんな人に叱られた。
百円ショップ出身のミニサボテンは大きくならなかった。どうやら、種を植えるところからやらねばならないらしいと、また一つ学んだ。
そして数々の実験から、自分の個性を把握した彼は、農業高校へ進学。普通の農業も学び、そこで知り合った農家の娘と結婚、婿入り。
農家の経営と、実際の農業を学びつつ、自分の個性を生かしたブランド作物を開発し始める。
彼の個性で巨大化させるだけで、面積あたりの収穫量(重量)が三~四倍に増加するが、それだけではもったいない。まだ若かった彼は、そう考えたのだ。
農作物は、農協に持ち込まれて、市場でセリにかけられる。彼はそこに、実験的に作った小数の巨大な野菜や果物を持ち込み、反応を見ることにする。
始めは困惑され、値がつかなかった。それはそうだ。買う側の八百屋などからしても、巨大な大根やナスなど持ち込まれても、値がつけにくい。
そして買い取ったとしても。それを売り込む先がわからない。
確かに珍しくはあるが、それだけだ。味は普通であるし。
商品としての価値。今まで作ることしか考えておらず。思ってもみなかった視点に、彼は目からウロコが落ちる思いであった。
と、なればあとは簡単だ。売れそうなものを作ればよい。何を作るかは、義父たちにも相談した。
ハロウィンの巨大カボチャを、各地のスーパーなどにディスプレイとして。幼稚園や小学校に、実際に引き抜くイベント用に大きなかぶ。
リンゴなみの大きさのイチゴなどは、飛ぶように売れたし、種から油をとるためにと、アケビやヒマワリも育てた。
明らかに大木に育つであろう上に、どこまで大きく育つかわからないので、果樹は自重していたが、ブドウは作った。鉄骨の骨組みにからみつく、本来のものよりはるかに太いブドウの木やツタは、観光名所にすらなっていた。
晩年には林業にも手を出した。普通の杉が屋久杉なみに太く大きくなったが、それは長年の経験で個性を手加減できるようになった結果だと、彼とその家族は知っている。
まさに。この個性は、彼とともに人生を送ったとも言えるだろう。
それで。そんな彼の個性が、ここにあるじゃろ?
違うのである。
いつものように出張先で、葬式を見かけて。夫婦そろっての式だというので、珍しいと少し取材がてら、はなしを聞いて。
そろっての老衰という、最後まで仲の良い夫婦であった。そう耳にして、最後に拝んでから他所に行こうとしたところで。
これまた、いつものように目が合ってしまったのである。それも夫婦の両方と。
そして両方から個性をもらえてしまったので。このまま、そそくさと引き上げることは気が引けてしまった我輩は、少し周りの方々に、ご夫婦の生前のことを聞いてしまった、その結果。
旦那さんの人生をガッツリ聞いてしまったわけで。
ごめんなさい。その個性、今、持ってます。
それが今の素直な気持ちである。
しかも、息子さんがいらっしゃるそうだが、その人には個性がうまく伝わっておらず、小麦だけしか巨大化させられないらしい。
つい先日。お孫さんに個性が発現したのは良いものの、必ず育ち、花を咲かせ実をつけるだけで、まったく巨大化はしないのだそうだ。
栽培が難しい、もしくは不可能な。例えばマツタケですら育てられる良い個性だが。
「このままだと、お爺ちゃんのブドウが枯れちゃう」
そう言って、祈るように残ったブドウや杉の世話をして、個性を鍛えようと、いろいろと試しているらしいのだ。
さて。
そういうわけである。
ここまで長々と、電話で話してしまいましたが。
先生。我輩は―――この個性をお孫さんに、コッソリ渡してあげたいんですが、かまいませんね!!
「こいつにスパゲティを食わせてやりたいんですが かまいませんね!!」
イタリアンマフィアですら、行き倒れかけた子供に手を差し伸べる情けはあるのだ。
ましてや我輩は、なんちゃってヴィラン。情を切り捨てるなど、できるわけがないのだ。
独断ではなく、報告して許可を取ってからでなければ実行できぬあたりは。まあ。あれだ。一応ヴィランであることだし。先生が怖いし。
意外なことに。本当に意外なことに。先生はアッサリと許しをくれた。
危険だったり、ヤバかったりする植物など、いくらでもある。毒も薬もクスリも取れるし、使い方によっては、建物の破壊などにも使えそうだ。
許可をくれるにしても、我輩に何らかの無茶振りをして、パワハラを楽しむものだとばかり思って、覚悟していたのだが。
雰囲気で察したのか。意外かね? そう楽しげに聞く先生に、正直に話すと。
では条件をつけよう。と、課題をいただいてしまった。
コッソリではなく、特訓させ、その結果として出来るようになった。そう錯覚させろ。恩を売れ。
ああ、我輩にも組織作りや運営のための経験をつめ、ということか。そう思ったのだが。
続いた言葉は、そんな俗っぽい理由ではなかった。
その代わりとして、一本でいいから、桜の木を育てさせろ。
もはや目にすることはできないが、特大の桜吹雪を感じてみたい。
ロマンであった。
そこには、ロマンしかなかった。
もうすぐ、原作が始まってしまう。そうすれば、一年と持たずに先生は、No.1ヒーローと決着をつけて敗北する。
原作の先生は、勝利を目指しつつも、敗北を覚悟していた。むしろそうなると、確信していたようにも思う。
つまり。先生は、桜が育つまで待つことはできない。
だが、それでも育てさせろと。桜吹雪を感じてみたいと言った。
「明日 世界が滅ぶとしても 今日 リンゴの種を植えよう」
先生はボスを後継者だと宣言した。そして様々なものを残し、色々なことを教えようとしている。
我輩も、今。何かを受け取った。
むしょうにそんな気がして、ならないのである。
●はなしをしよう
エルシャダイより。開幕、語り部である男が話し始めるあたりのシーン。エルシャダイはゲームであるが、販売前に動画をサイトに流すという実験を行った。その結果、動画は(ネタとして)ウケたが、販売数にはつながらなかったという、悲しい事実。しかし、そのおかげでネット上では今もネタとして生き延びている。「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ 問題ない」「一番いいのをたのむ」「カタキヲトルノデス!」などなど。
●「こいつにスパゲティを食わせてやりたいんですが かまいませんね!!」
ジョジョの奇妙な冒険第五部より。残飯をあさっていた小柄な少年を見つけたマフィアの少年が、レストランで食事中の仲間のテーブルまで彼を連れて行った時のセリフ。カッコよくはあるが、実際に目にしたら、お、おぅ… としか反応できない気がする。