我輩は○○である   作:far

5 / 100
ヒロアカなのに、戦闘シーンの気配がカケラもない。


育てられ、遊び、遠くへ行けるようになるまで。
我輩はヒマである。


 我輩はヒマである。わりと切実に。

 亡くなった方々との顔合わせと、黒いモヤの人から渡された教材のノルマと、日課の散歩くらいしかやることがない。

 ヴィランではある。だが子供ということもあって、今の我輩は完全に裏方である。たぶん表に出すつもりは、組織の誰もなかろう。

 組織と言ったが、我輩が顔を合わせたヴィランはボスと、その先生と、黒い人だけなのだが。実は組織ですらなかったりするのだろうか。

 

「フン 成功しても失敗しても世間に知られることは無い それが組織(われわれ)のやり方だ」

 

 まさか年中黒コートで珍しい車を乗り回して、たまにポカする愛され系アニキとか、ひょっとしたならば、ワンチャン存在するのかも知れぬ。

 

 まあそれはさておき、この有り余るヒマをどうにかしようと思う。

 

 我輩のような立場になった者、いわゆる二次創作のオリ主の一般的な行動を考えるに、おそらく修行やら体を鍛える、というのが王道である。

 そして屋外やジムでの鍛錬中に原作キャラと遭遇、というのがお約束。いわゆる定型、テンプレであるな。

 

 でも正直、異形系というのは一日中ずっと個性を発動したままのようなものであるし。

 手に入れた他の個性を鍛えようと思っても、使えそうな個性は軒並み回収されてしまうわけであるし。

 そも、戦うつもりなどサラサラないのである。これという、確たる目的もなく鍛えるには、鍛錬はめんどうすぎる。

 めんどうくさいと、書類と、予算。これらは人類共通の、そして永遠に戦い続ける強敵であると信じる。

 

 とりあえず、ヒマは娯楽でつぶせる。

 

 今日のところは散歩がてら出かけたついでに、本屋にでも寄ってジャ○プでも買って来るとしよう。この個性のある世界で、どういう変化があるのか少し楽しみであるからして。

 

 読み終わったらボスに渡してみよう。なに、ただの暇つぶしであって、他意はない。

 

 

 

 その結果。

 

 

 

 初期人情ものだったのに、急に能力バトルものと化した霊能ものにボスがハマっていた。

 何やら「俺は色んなモンに縛られている」などと言い出しては、作り物の手を体のあちこちにくっつけ、言動がだいぶんと香ばしくなってしまった。

 普段は放任主義もいいところだというのに、さすがに不審に思ったのだろう。黒い人がこの一件で、ボスの先生に呼び出されていた。だがしかし。

 

「ボクは悪くない」

 

 あの精神的な病にかかるのは、あの年齢くらいの男子なら普通であるからして。

 我輩に責任は、ないのである。うむ。自信を持って断言できるとも。

 

 




●「フン 成功しても失敗しても世間に知られることは無い それが組織(われわれ)のやり方だ」
名探偵コナンより。話の都合やら大人の事情で、ミスだらけの愛されキャラと化した、元怖い敵役のジンの兄貴、通称ジンニキの言葉。

●「ボクは悪くない」
めだかボックスより。最初はボスキャラ。後に愛されキャラな球磨川禊の代表的なセリフ。有名どころではあると思うので、これ以上は解説しない。
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