我輩は○○である   作:far

50 / 100
眠れない夜に、書いてたら完成。



我輩はサンタである。

 

 我輩はサンタである。ソリやトナカイはまだ無い。そのうち、何か代わりの個性が手に入るやも知れぬ。

 空もまだ、飛べぬ。しかしながら、サンタというのはいつからソリに乗って、空を飛ぶようになったのであろうか。

 全身真っ赤な服を着て、誰にも気付かれずに他人の、子供の居る家に不法侵入。寝ている子供を起こすことなく近付く。そしてその枕元に、子供が誰にも言っていないはずの、欲しがっていた何かを置いて、やはり誰にも見つからずに去っていく。

 そんな伝説の老人に、いつかは我輩もなれるであろうか。

 

「待 た せ た な」

 

 いや。お前さんは違うのだ。出来そうであるが、違うのだ。

 

 それで、サンタというのは、他でもない。贈り物をしようと思ったのだ。ちょうどそういう時期であるし。

 というのも。謎のバイトの監督と助力のおかげで、緑谷少年が原作よりも早く、海浜公園の掃除を終わらせてしまいそうなのだ。

 なお洗脳少年Sは、きたえる方向性が違うらしく。別の場所で、別の特訓中であるので、ゴミの片付けは緑谷少年の独力である。念のため。

 S少年は、なんでもフリーランニングというか、パルクールというか。道なき道を駆け抜けるような。そんな特訓をさせられているらしい。

 

 謎のバイト師匠いわく。

 オールマイトの後継である緑谷少年には、まずはとにかく筋肉を。強靭な肉体を。

 そしてS少年には、自らの経験から見出した、強くなる方法を。しなやかで鋭い動きと、それを可能にする柔軟な体を。

 それぞれに違った力を、身につけさせるつもりなのだそうだ。

 

 自分の流派というか、戦闘法につながる特訓をさせているあたり。S少年はだいぶん気に入られたらしい。

 

 単に、オールマイトと一緒に緑谷少年をきたえている今の状況が楽しすぎて、うっかり自分と同じような訓練方法を教えてしまったわけではない、と思う。たぶん。

 

 当初。オールマイトが少しでも感動的な何かを言ったりすると、それだけで涙腺が崩壊しておったからなあ。

 今はさすがに慣れてきてはいるが。近頃は、緑谷少年だけではなく、オールマイトにもマッサージを、とか。あなたもドリンクをどうぞ、とか。

 オールマイトのトレーナーか、サイドキック。アシスタントをワンチャン狙っているような。そんな気さえするのだ。

 

 どうしてこうなった。

 

 気付けば、だいぶんステインさんが、ゆるくなっている。

 彼の変装道具を都合していたり、番組の打ち合わせや、撮影で関わってきたせいだろうか。我輩にも、このところ当たりが柔らかくなった。

 この先もこうして、真のヒーローの支えになっている間は、後回しにしてやる。そんな感じであろうか。

 もし襲われた場合、普通に死ぬので。もしこれが当たっていたなら、ありがたいのだが。

 

 今回の贈り物は、そのためのゴマすりでもある。保身は大事だ。自分に優しく。

 

「自分、自分。まず守らなアカンのは、まず自分!」

 

 出っ歯の関西人で、お笑いの大物もそう言っていたが。そういえば、言っていたのは、クリスマスの番組でだった。

 確か明石○サンタの方ではなく。グループが解散したので、途中で終わったほうである。

 

 まあ、それはそれとして。贈り物である。

 ここは素直に、ウワバミさんに頼もう。コネなりツテでもってして、緑谷少年とS少年の武器を作ってくれるところを紹介してもらうのだ。

 募集要項を調べたところ、雄英の入試は装備の持ち込みをしても良いのだ。で、あるならば。装備を持ち込まないのは、それだけで減点対象なのではあるまいか。

 毎年、戦闘などもあることであるし。自分や他の人が傷付いた時のための、応急処置の道具なども、あった方が良かろうというもの。

 

 そして初期の緑谷少年は、確か個性を発動するたびに体が壊れる、自爆仕様だったはず。

 だというのに、素手で、生身で殴るという。たいへん脳筋ですね。としか言えぬマネを何度も繰り返し、ほうぼうに叱られていた記憶がある。

 その解決策が。「わかった、じゃあ殴るんじゃなくて蹴るよ」という、やはり脳みそ筋肉仕様であったのを、大変残念な目で見た記憶もある。

 その際。クツに衝撃吸収かなにかの、仕掛けがあったような、無かったような。さすがに記憶が定かではないが、そういう仕込みがあっても、おかしくはない。

 

 でも、武器を使った方が、どう考えても体に優しい。

 

 そこらへんは、素手で無敵なオールマイトの印象が強すぎるせいであろうか。

 

 頼みごとの代わりに、ウワバミさんには、ちょっといいお酒でも持っていくとしよう。ついでに最近こちらにかまけて、ヴィラン側にはご無沙汰であった分、何か贈るとしようか。

 

 では、まず黒い人用には、花束で良いとして。先生には、瞑想の個性でも渡そうか。念じれば瞑想ができる、というだけの個性であるが、これがあれば捕まったあとに好きなだけヒマがつぶせる。

 マグ姐さんには、この球状ネオジム磁石の、ちょっとデカいやつを用意済みだ。見た目はおにぎりくらいの、パチンコ玉だが。人間に磁力を付与するマグ姐さんの個性を発動したあとに投げつければ、きっとヒドいことになる。

 医者の人には、普通にケーキでも持っていくとしよう。予算も機材も、人体実験の素材すら、先生に頼めば無制限で手に入りそうで、何を持っていってもあまり喜んでくれなさそうであるし。

 

 さて、ボスには何を持って行こうか。欲しがる物があまりないので、意外と難しいのだが。

 まあ、新発売のゲーム機でいいか。すでに買っていたとか、カブらないように祈ろう。

 

 さて。来年のクリスマスには、どうなっているのやら。先生をはじめ、ヴィラン側の面々は、生き残っているであろうか。

 そして我輩は、自由にやっていられるであろうか。

 まあ。たぶん。なるように、なるのである。

 

 

 




もちろん、先生には「イヤミか貴様っ!」とばかりに怒られました。

●「待 た せ た な」
メタルギアシリーズより。ソリッドスネークのセリフ。CMでちょうどこのセリフが流れたのだが、声優の演技もあって妙にカッコよかった。待たせるという、相手に悪いことをしたのに怒られるどころか、喜ばれてしまうセリフ。ただしイケボに限る。
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