我輩はいつもどおりである。
「オヤジ。いつもの」
店に入って、いつもの決まった席につくなり、そうのたまうほどに、いつもどおりである。つまり。
小人 閑居して 不善を 成す
「良かれと思ってぇ!」
この組み合わせである。
緑谷少年らの特訓が終了し。彼らの次なる戦いの場は、机の上へとうつった。雄英は、学科の方も全国最高峰である。そちらの方も、おろそかにはできぬのだ。
体の方の特訓に全力過ぎて、少し授業や、友人づきあいなどに支障をきたしていたらしいので。あとひと月ほど先の入試まで、訓練は作った体を維持する程度に抑えるのだそうな。
もっとも。緑谷少年に、友人はおらぬらしいのだが。いわゆる、ボッチという奴である。
ともあれ。そういった理由で、いったん撮影も中断。あとは入試に臨む彼らの画を撮ったら、自宅に発送されてくる、合否の発表を確認するのを撮影するだけだ。
たぶん、受かるとは思うのだが。S少年もヒーロー科に受かってしまったら、どうしようか。いや、何か工作をして、落とさせるつもりはないのだが。
落ちたなら落ちたで、原作補正を信じる材料にはなる。受かったなら、まあ。そのおかげで何か、面白いことが起きるかもしれぬ。そう、期待しよう。
そういったわけである。つまりは。我輩も少し、ヒマができたというわけであり。
取材をかねて、雄英の下見に行こうと、少年らを誘って出かけた時に。
そしてその時。なぜか。なぜか、こう思ってしまったのだ。
十八禁ヒーローよりも、人妻十八禁ヒーローの方がエロくね?
しかも女教師である。新妻女教師十八禁ヒーロー。この先に言葉を続けるとしたら、ロクなものが思い浮かばない。
真昼の○○とか、○○の個人授業。秘密の○○などなどであるな。
もっとも。結婚するためには、当たり前であるが、相手が必要なのだが。なのだが。
彼女も、そういう意味ではボッチであった。
十八歳より前から、十八禁ヒーローと名乗っていた彼女も、もう三十路。そろそろ頼むから結婚してくれ。そう言われる頃である。親から、であるが。
ここで、我輩の「良かれと思ってぇ!」が発動した。
よし。ならば、お相手を見つけてあげよう、と。
そして、考えた。
やはり近場からが良かろう。男女は四六時中と、どこかで聞いたことであるし。
しかし、誰か一人をイケニ、もとい、我輩の勝手な考えで押し付けてはイカン。彼女にも選ぶ権利は、あるはずなのだから。
手段は、やはり洗脳しかあるまい。札束というほどでもない、十枚程度のものなら、キッカケくらいで済むであろう。
軽い思考誘導程度である。口車に乗せて、その気にさせるのと、さほど変わらないのだ。これくらいなら、許されるであろうし、許されなくとも、そこはホレ。我輩、ヴィランであるからして。
さあ。雄英男性教師陣よ。口説き文句と、結婚資金のたくわえは充分か―――?
そして、その結果。
一見すると、ミッドナイトに突然、モテ期が到来したように見えて。
しかし、その実。
誰が最後に引き取るかというババ抜きにして、謎のチキンレースが!
洗脳効果がヘンな風に働いたらしく。洗脳をかけた全員が、彼女に声をかけはするのだが。
三十路の女性に手を出して、そのまま人生の墓場行きが怖いので、極めて紳士にふるまうという、なにやら男たちが、お互いがけん制しあっているような状態に。
徐々に洗脳効果が抜けていく中で。我に返りつつ、いかに波風を立てず、彼女との距離を置くのか。
モテ期を楽しんでいるつもりの彼女が、無邪気に距離をつめてくることもあるので、言動には注意が必要だぞ。
さあ。見事全員が逃げ切れるのか。それとも、誰かが捕まってしまうのか。
雄英の中でのはなしなので、我輩は見られないのが残念である。