我輩は○○である   作:far

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我輩は悪くないのである。

 我輩は悪くないのである。無茶ブリした先生が悪いのだ。そうではなかろうか。

 だから、命じられたヤツ以外にも、三人ほど死刑囚を解き放ってしまったが、仕方ないのである。

 

 違うのだ。はなしを聞いてくれ。

 

 あのあと、まずは計画を練るため。まずは、情報を手に入れることにした。

 それで建物の場所と見取り図と、内部の警備の数はわかったのだが。どこに収容されているまでは、わからなかったのである。

 完全に内部情報であるし。よそに流す意味のない情報であるから、そもそも情報がなかったのだ。

 

 そして死刑囚自体の数が、そこそこいたのも悪かった。

 人は、殺意を抱いた時。何も持っていなかったのならば、立ち止まれる。

 だが、つい、カッとなってしまった時。手元に、銃があったならどうであろうか?

 

 そして個性という、時に銃以上の凶器になってしまうものが、この世界には存在するのだ。

 危険人物が、危険な個性を持つ場合も多い。そういう人物であるから、そういった個性になるのであるか。それとも、そういった個性が、そういう人格にしてしまうのか。それはわからぬのだが。

 

 相次ぐ犯罪に、警察が対応しきれず、ヴィジランテが誕生し。同様に司法機関もまた、捕らえた犯罪者に対して、裁判が追いつかなかった超常黎明期。

 当時のヴィジランテは、逮捕してくれるほど「優しい」人たちばかりではなかったらしいが。それでも既存のままでは対応できなかった裁判制度は、かなり簡略化された。

 個性がからめば、さらに裁判は簡略化される。危険度の高い個性ならば、即座に刑が確定する。危険人物を拘置所に置いたまま、延々と最高裁まで裁判する余裕は、どこにもないのだ。

 原作でも先生は、捕まったら即座に刑務所に入れられていたようであるし。というか、裁判自体あったのであろうか?

 我輩が裁判官や弁護士だったとして。先生の裁判の担当にされたら、即刻辞職する。

 

「誰だってそーする おれもそーする」

 

 そんなわけで、死刑囚はわりと多めにいるのだ。

 

 ところで。死刑を執行するのは、法務大臣のお仕事である。別に、直接その手で実行するわけではなく、書類にサインするだけであるが。

 中には個人の考えで、期間内にやらねばならぬ、その義務を放りだした人も何人かいる。気持ちはわかるが、それなら最初から法務大臣にならねば良いと思うのだ。

 裁判が簡略化され、凶悪犯罪は増えて。結果、死刑囚が減るよりも増える方が早いという、どうしようもない結果のせいで迷惑をしたので、特にそう思う。

 

 だって、脱獄させに来たぞって、間違って別人に言っちゃったのである。しかも、すいません人違いですって言えなかったのであるな、これが。

 

 名前と個性しか聞いてないのに、本人かなんて、話してみなけりゃわかんねーのである。

 それに死刑囚の凶悪犯の人に、やっぱ脱獄させません。とか怖くて言えないのである。

 

 他者を転移させる条件だとウソをついて、札束で殴るのが精一杯である。

 

 どう考えても、手を借りねば、どうしようもなかったので来ていただいた黒い人には、白い目で見られたが。

 他にどうしようもなかったのである。

 

 だから本来の目的のムーンフィッシュの他に、手品と拳法を使うキャンディ好きの白人マッチョと、握力をさりげなく、しかししつこく、何かをちぎったりして主張し続けるヘタレ臭のするマッチョと、なぜかドッヂボールが得意そうな細目のマッチョの、マッチョ三銃士が仲間になってしまったのは、どうか許して欲しい。

 我輩が悪かったのである。申し訳ない。

 さすがに、素直に謝った。

 

 以前であったら、おそらくは脳無への改造一択であったろうが。今はゴリラがいるであるからなあ。

 その、なんだ。始末に困る。

 解き放って、世に無意味に迷惑をかけるのも、良くないことであるし。

 こいつら、どうしたもんであるかなあ。

 

 




●白人マッチョ
 グラップラー刃牙の、ドリアンが元ネタ。敗北が知りたい、と世界各地の刑務所を脱獄した死刑囚らが戦いを求めて日本へやってくる、死刑囚偏の登場人物の一人。
 拳法の達人なのだが、奇襲や不意打ち暗器が大好きで、まいったと宣言した後の、相手の自宅を奇襲しての人質作戦。火炎放射器やアラミド繊維の糸の使用。建物ごと放火など、やりたい放題だった。
 しかし六十を超えたいい歳をして「あれ? このやり方って俺、勝ってないんじゃあ…」と今更気付いてしまい、幼児退行するほどショックを受ける。キャンディが好きです。

●握力マッチョ
 モデルは特定していなかったが、感想欄での書き込みからHUNTER×HUNTERのジョネスに確定。あいつはこんなヤバいヤツなんだ、とエピソード付きで解説され、キルアに一瞬で倒されるという仕事をした、カマセ犬の鏡。

●ドッヂボールマッチョ
 同じくHUNTER×HUNTERより、レイザー。ジョネスと違い、強キャラ臭がハンパない。主人公のゴンさんらとは、中に入って冒険するという、グリードアイランドというテレビゲームの中で、ドッヂボールで対戦した。当たると死ぬような勢いで投げ合っていたが、ドッヂボールってそういう競技じゃねーから。
 念というフシギパワーで、十四体の人形を具現化していたので、あんな個性を持たせた結果がアレだよ!
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