我輩は○○である   作:far

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我輩はハイ○ースされたのである。

 我輩はハ○エースされたのである。

 あれはつい先ほど。久々にココ○チで、1甘のカレーに挑戦して、苦戦の末に見事勝利。その余韻を味わいながら、満腹を抱えてゆるゆると歩いておった時のこと。

 突如、きしるようなブレーキの音と、アスファルトで削れるタイヤのいやな音がした。そうして、我輩のすぐ横に、一台の車が急停車したのだ。

 

 それは日本一の自動車企業製の、ワゴン車であった。

 

 あっ。これは、我輩。誘拐されるであるな。瞬時に、そう悟った。悟らざるをえなかった。

 

 この会社の車は、利便性や合理性を追求しすぎた結果。別の用途で使われてしまうことが度々起こる。

 あまりに頑丈で故障知らずに作ってしまったピックアップトラックは、荷台に穴をあけて機関銃や砲台を固定され、簡易的な自走砲に改造されてしまった。

 とある戦争なぞ、安くて便利なその改造車両を、敵も味方もたくさん作って戦った。

 そのせいで、T●○◎TAのロゴが入った車が入り乱れて戦う、笑えるようで笑えない状況が起きてしまったのだ。

 通称 ト○タ戦争である。いや、マジで。

 一応言っておくが。あの会社が、自社の車を売りさばくために、戦争を起こさせたわけでもない。

 

 海外の某テレビ番組で、立ち木にぶつけて、海へ五時間漬け込んで、五mほどの高さから落とし、農作業小屋へ突入させ、なぜかキャンピングカーを上から落としてぶつけて。

 解体用の鉄球をブツけた上で、油を撒いて火を点けた。トドメは老朽化したビルを爆破解体するというので、その屋上へ設置して崩壊にまきこむという、とんでもない企画があった。

 もちろん、全部同じ、一台のハイ○ックスへと向けて行われた実験である。

 その全ての実験のあとも、見事に原形をとどめており。応急処置をしたら走ったという、伝説を達成。そのボロボロの車体は、番組のスタジオに飾られた。

 

 そしてハイ○ースであるが。盗難防止装置が純正オプションとして採用される前は、高級車をふくむ全ての車の中で、盗まれる車No.1の座を長らく占めていた、ある意味愛された車である。

 今も海外では、盗まれた数多のハイエー○が元気に走っているらしい。

 そして多くの創作の中で、誘拐や強盗に使われた車でもある。そこから転じて、俗に ○イエースする という動詞が生まれてしまったのだ。

 意味はまあ、お察しである。

 

 それでもって。そんな車に、歩いているところを強引に横付けされてしまったら。まあ、察するというものであるよね。

 

 停まった車の、横のスライド式のドアが開き。そこから伸びた手が、我輩の口をふさぎながら、車の中へと引きずりこむ。

 この時、なぜかはわからぬが。我輩、すごくわくわくしておった。

 すごい! 誘拐されてるぞ! 素直に、そう思っておった。

 カレーのスパイスで、酔っていたのではなかろうか。今になって考えると、そう思う。

 

 しかし、そんなユカイな気持ちは、周りを見渡した瞬間に。一瞬で、吹っ飛んだ。

 

 ウワバミさんが、いたのだ。

 

 

 

 覆面かぶって、犯人の側で。

 

 

 

「えっ」

 

 きっと異世界で魔王になった鈴木さんも、そう言ってくれるであろう。そう確信できるほどの、アレであった。

 アレ、アレである。こう、なにやら上手く言葉にならぬが。とにかくアレだ。

 

「やめるのだ。乱暴する気であるな! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」

 

 貞操の危機である。ショタをこじらせたか何かしたウワバミさんが、辛抱たまらなくなって、思い極めてしまったのだ。

 我輩がヴィランであるとバレたのならば、覆面などはいらぬ。堂々と捕まえれば良い。というか、覆面からヘビがはみ出ておるのだが、隠す気はあるのだろうか。

 それに、誘拐という手段もおかしい。ヴィランを誘拐するヒーローは、普通はおらぬ。

 

 で、あるならば。貞操の危機としか考えられぬでは無いか!

 

 我輩は混乱しておるが、なぜか周りも混乱しだした。逃げるのならば、今である。

 敏捷を限界なぞ知らぬとばかりに、増強。捕まえている腕を爪で引っかき、ロックされていなかったドアを開けて飛び出す。

 

 そして無我夢中で飛び出した我輩は。走り出していた車と、我輩の速度の合力によって、斜めに飛び。運悪く、電柱に勢いよくぶつかった。

 

 ニャー。

 

 痛かった。マジで痛かった。もし、ネコの体の柔らかさのおかげで、衝撃が逃がせなかったならば。骨が、いくつかイっていたであろう。

 とはいえ、行動不能である。我輩は再び、捕まってしまった。

 

 もはやこれまで。かくなる上は、密室内での大量のスギ花粉での自爆も辞さぬと、覚悟を決めた我輩であったが。それはまったくの杞憂であった。

 

 

 抜き打ちの、試練であったらしいよ?

 

 

 あちこち、どこかへ遊び歩いている(ように見える)我輩に、本気でヒーローになるつもりがあるのかどうか。一度、極限状態にして試してみるつもりだったとか。

 なんか想定外の反応が来たのと、事故を起こしてしまったので中止になったが。

 別にどこかへ届け出て、試験をしているわけでもないので。事故はマズいのだそうな。

 

 確かに、ヒーロー目指したのは成り行きであるし。というか、ウワバミさんの世間体を守るためでもあったような記憶も。

 いや、なんでもありませぬ。アッ ハイ。そこは忘れます。忘れました。

 

 ヒーローになる動機。で、あるか。

 

 善悪両方を持って、ようやく人間であるという言葉がある。

 我輩はヴィランではあるけれども、なんちゃってが付くヴィランであるので。ヴィランに徹する事が出来ぬ我輩には、その反対の立場と考え方も必要であると思うのだ。

 我輩の、心の均衡を保つため。そのために必要であると思うから、というのが動機なのだが。

 

 これ。今、口に出せないであるよね。ヒーロー側の人に、言っちゃダメなやつであるよ、これ。

 

 やばい。なんか、でっちあげないと。テキトーにそれっぽいやつで、なんかないか、なんか……

 

 え~、我輩が御社を志望いたしましたのは――――

 

 

 




●エロ同人みたいに
元は機動戦士ガンダム00の同人誌のセリフであるらしい。それを、学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEADの原作のそれっぽいコマのセリフに入れてみたら、恐ろしいほどシックリ来てしまったため、ネット上でのネタとしてメジャーになったもの。
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