我輩は○○である   作:far

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もう体育祭をさくっと終わらせたいが、書きたいこともあるし
さらっと流すのも、もったいない。でも少し面倒。
ああジレンマ。楽しい。
あっ、これ今日の2本目です。


我輩は体育祭の解説者である。

 我輩は体育祭の解説者である。

 あれからも宴は続き。その中で、気付けばそんな位置へと立っておった。

 現役ヒーローならばまだしも、まだ学生の、卵の状態。そんな小物までは知らぬ。存ぜぬ。気にもせぬ。それが普通のヴィランというものであろう。

 ゆえに、ある程度は知っておる我輩に、そんな役割が回ってきたわけである。

 さきほどの、切島くんの一件で、他に知っておる者はいるのか、と聞かれ。それに素直に答えてしまったので、こうなったわけであるが。

 まあ、別に良かろう。やましいことなど、何もないわけであるし。

 

 ついでではあるが、諸君にもひとつ、解説をしよう。

 心操人使という一人の生徒が、S少年となってしまった、その結果としてだ。洗脳されて騎馬戦で戦わされた挙句に、ポイ捨てされた生徒たちはいなくなった、ということだ。

 彼の洗脳は、操られている間の記憶が無い。それゆえに。戦って、勝った記憶がないのに、上へとは行けない。そう言って辞退した生徒も二人、原作にはいた。だが、それもいなくなった。

 よって、B組の生徒が四人、決勝トーナメントに残っている。

 また、A組の中で組んだ相手が変わっているので。へそからレーザー男子やら、全身から酸を分泌する女子やらが消えているが。まあ、ささいなことである。

 

 また対戦の組み合わせも、ずいぶんと変わってしまっているように思う。

 例によって、くわしく覚えてはいないので、はっきりとは言えぬのであるが。

 だが、この一回戦第三試合については、別である。変わった。そう自信を持って、断言できるとも。

 

 なにせS少年の試合であるからして。

 

 対戦相手は飯田少年。オレンジジュースを燃料に、ふくらはぎに付いたエンジンを回して加速する男である。

 はて。オレンジジュースとは爆発したり、燃焼するものであっただろうか? 個性について考えると、世界は不思議なものであふれている。そう思えて、目が遠くなる。

 結果としてはS少年の勝利。それも、洗脳の個性を使わずの、完全勝利であった。

 

 対戦前。得意満面で、洗脳の個性について解説していた、我輩涙目である。

 これをどう決めるかが、勝負の分かれ目になる。とか、ドヤ顔で語ってしまったのである。

 

 飯田少年は、どこからかS少年の個性について、聞き及んでおったのであろう。

 ならば彼の選択は一つ。速攻である。そしてそのために、おあつらえ向きの必殺技も持っていた。

 レシプロバースト。一時的に驚異的な加速を可能とするが、その後エンジンが止まる。ちゃんと欠点まで備えた、見事な必殺技である。

 

 だがしかし。その技は、騎馬戦で見せてしまっておった。そしてS少年も、それは見ていた。当然、警戒はしていたわけである。

 

 何もはまっておらぬ薬指を見るに、独身続行しておるミッドナイトの開始の合図とともに。飯田少年が、すさまじい勢いで飛びかかっていった。

 S少年は、それを読み。その攻撃をサバいてみせた。突っ込んだ勢いのまま、繰り出された回し蹴りをかいくぐって、後ろを取る。

 そしてそのまま、腕を取って関節をキメた。あとは飯田少年のエンジンが止まるのを待って、そのまま場外へ押し出して終わりである。

 実に、冷静で的確な判断であった。

 

 黒い人が、希望を見つけた顔で、スカウトできないかと聞いてきたので。ムリであるな。とバッサリと否定しておいた。

 真面目そうであるし、賢そうで、常識もありそう。確かに、引き込めたならば、黒い人の苦労が減りそうな人材である。

 ステインさんの弟子でもあるし。ワンチャンありそうに見えるのであるが。

 残念ながら、あの少年はヒーローに憧れてしまっているのである。向こう側の存在なのだ。

 

 その次の第四試合。爆豪を速攻でテープで拘束することに成功するも、爆破でアッサリと自由を取り戻されてしまい。

 反撃の爆発で、これまたアッサリと場外へ飛ばされ。

 それでもと、テープを伸ばして落ちまいとがんばるものの、その伸ばしたテープもまた、爆発で阻止されてしまい。

 悲しげな声をあげて、場外へと落ちてゆく。

 そんな、しょうゆ顔の男を見ながら。黒い人も悲しそうな顔をしていた。

 

 一回戦はこれ以降も、早期の決着が多かった。

 

 触れたものを柔らかくする個性を持つ、骨抜なる生徒。

 彼と対峙した緑谷少年は、開始早々にデコピン一発。指一本と引き換えに、勝利を手に入れた。

 

 さすがにワンフォーオールについては、解説して良いのかわからぬので。

 マスキュラー並みの力を出せるけれども、筋肉は増えぬので、体が付いてこないのである。と仲間をダシに、お茶を濁しておく。

 やはり筋肉は大事だな。という結論に、なぜかほぼ全員が納得した。理由は分かりたくないので、なぜかということにしておく。

 

 塩崎茨という女生徒は、運が悪かった。対戦相手との相性が悪すぎた。

 轟焦凍。個性 半冷半熱。氷と炎を操るイケメン。前回の昭和のダメオヤジ、ダメな☆イッテツことエンデヴァーを父親に持つ男。

 そんな父親との会話で何があったのか。妙にイライラしていた彼の炎に、塩崎の伸ばしたイバラが燃やされ、本人に燃え移りそうになってしまったのだ。

 あわてた轟に、今度は凍らされてしまい、身動きが取れなくなったところで降参。彼女には、会場中の観客と、このバーのヴィランの良識派たちからドンマイコールが送られた。

 

 なお。轟が炎を使った時、会場で大興奮するオヤジの姿があったらしいのであるが。

 それは、見なかったことにしておいてあげて欲しい。本人にでなく、息子さんのほうのために。

 

 麗日という女生徒も、相性に泣かされておった。個性 無重力を決めて浮かしても、自力で地面に帰ってくる。相手の攻撃で出来た、少しのガレキを浮かしてぶつけたが、防がれる。本体に殴りかかったが、それも届かなかった。

 対戦相手の名は、常闇踏影。その個性は、黒影と書いてダークシャドウと読む。つまりは、ボスと同じ病気の患者である。

 困ったことに、実力が伴っているので、ボスと同じく治療の見通しすら立っていない。

 女子相手ということで、少しとまどっていたようだが。それでも、危なげなく二回戦進出である。決め手は腹パン。

 

 なぜかゲロインという単語が脳裏をよぎったが。別にそんなことはなかったのである。

 

 一回戦最後の試合は、少し毛色が違った。発明科、もといサポート科、発目明のせいである。

 原作でもやっておったのだが、自分の発明品を自分のみならず、対戦相手にも装備させて、試合を自分の発明品の広報の場にしてしまったのだ。

 相澤先生いわく「何だこれ」であるが。会場の空気も、そんなものであった。

 このまま終わるであるかな、と思ったが。対戦相手の泡瀬洋雪は、それを嫌った。

 どうも、もっとちゃんと戦った上で、勝ちたかったらしい。

 打ち合わせとは違う動きで、発目女生徒に打撃をいれ。ふざけるな、と一喝した。それでも足らぬと思ったのか、彼女の発明品を自分の個性 溶接で、でたらめにくっつけてしまった。

 

 これに、彼女がキレた。

 

 彼女は自分の発明品をベイビーと呼ぶほど、思い入れがあるらしい。

 その割には、ぽこじゃか作って、こだわりはなさそうなのであるが。それでも、目の前で壊されるのは腹が立ったようだ。

 

 彼女は、ふところからスイッチを取り出すや、おもむろにそれを押した。

 

 すると泡瀬のまだ装備していた発明品が、持ち手の彼を襲ったのだ。

 背負っていたオートバランサーは、拘束具と化した。手首の何かからは、電撃が走ったようだ。足に履いているブーツも、何かあったのかも知れぬ。

 ごらんのように、装備を奪われても大丈夫! などと笑顔で発目女生徒が、カメラに向かって主張しておるが。会場の皆さんはドン引きである。正直、この機能はいらぬと思うのだ。

 

 その後。相手に自爆装置つきの装備品を渡しておくのは、反則ではなかろうかと物言いが付いたのであるが。

 そもそも対戦相手から、装備を借りるな。という主審、ミッドナイト(31)の判定により問題なし。彼女が二回戦へと進んだ。

 

「なんかレベル差が激しいな。本当に、同じフィールドで育成してるのか?」

 

 ゲーム脳全開で、隠す気すら感じられぬ。そんなボスのお言葉である。

 言いたいことは分かるし、妙に的確なのであるが。

 育成すらしておらぬ、ウチが言えた義理ではないのでは?

 え、いや。イヤイヤイヤ。あのマッスルダンスを育成だと言い張られても。

 その、なんだ。困るのである。

 

 

 

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