セリヌンティウスは激怒した。
野郎、帰ってこねえ。
前書きの、この二行ですでにオチがついているという超一発ネタ。正直卑怯だと思ったw 作者は せりぬん 氏。
なお、本日二本目です。
我輩は仕事中である。出張中にたまった仕事を片付けておるのだが。こう、懐かしい気分になるのであるな。
サラリーマンの経験のある方なら、理解してくれると思うが。会社員なぞ、みな大なり小なり、社畜なのである。
「やりたいことと やるべきことが一致する時 世界の声が聞こえる」
十代の希望あふれる少年は、そう言っていたが。我輩への世界の声は「働け」と言っておるのだな、これが。
現実は、いつだって世知辛いのである。
さて。そういうわけだ。働くとしよう。
まずは台湾で仕入れてきた、個性の表を作らねば。
個性にもお国柄というものがあるようで、日本とはまた一風変わったものがもらえたのだ。
例えば、これ。獅子舞に噛まれると、病気が治る個性。絶対、持ち主はこれに気付いていなかったと思われる。
続きましては、こいつ。お灸の効果が三倍になる個性。持ち主が気付いていた可能性は、半々くらいだろうか。
とどめは、これだ。全身十八箇所に正確に針をさすことで、三十分の間、老眼や白内障が治る個性。なぜか、持ち主は気付いていたらしい。
お爺ちゃんか!
十人以上に会って回ったのであるが、受け取れたのはこの三つだけであった。こちらが外国人ということで、少し判定が厳しくなっていたのかも知れぬ。
しかしこの結果は、どうかと思うのだ。
持病を治して、肩こり、腰痛、冷え性などを対処して、目をはっきりとさせる。
どう考えても、お爺ちゃんへのプレゼントにしか思えないのだが。
確かに先生は高齢ではある。なにせ超人黎明期前から生きているのだ。百歳は優に超えているであろう。
この個性を三つ一緒に持っていったとしてだ。年寄り扱いだと、邪推されぬであろうか?
本当に偶然なのであるが。
まあ、黙っているわけにもいかぬので、結局持っていくしかない。何もできぬ。どうしようもない。
で、持っていった結果。
獅子舞は、どの程度の病気まで治療できるのか、実験してみることになった。お買い上げである。
お灸は素直に喜んでくれた。これもお買い上げしてくれるところを、お土産として受け取ってもらった。
たまには先生の好感度も上げておかねば。
しかし老眼対策の針は、そのまま我輩に返品であった。ですよね。
ところで先生。雄英の林間学校。先生も出るかもしれないと、黒い人から聞いたのですが。
そろそろ顔見世しておきたいのと、欲しい個性がある。え、どんなのです? サーチ?
え。でもあれって、目で見た人の個性や弱点と、居場所がわかるっていう個性だったと思うのですが。
先生。目、ありましたっけ?
………………………
「いずれ弔にあげようと思っていたんだが。また別の機会を待とうか」
先生。目が無くても、視線を逸らしているのって、わかるものなんですね。我輩、初めて知りました。
個性で秘密基地と化している、繁華街にある小さなビルを出て、路地裏へ。
手を何度か握っては開き、肩を回し、伸びをして。周囲の気配を探る。
よし、大丈夫のようであるな。
通った。出し抜いた。してのけた。うまくいった。やりとげた。
先生から一つ、個性を隠し通せた。
いい加減、我輩の持っている個性の数も多い。その大半がどうでもよい、微妙な個性なのもあって、近頃は先生もいちいち全部確認などはしなくなっていたのだ。
よって、我輩の自己申告のみである。
信頼と慣れと。あなどり。安心。さまざまな理由はあるだろうが、とにかく我輩は個性の秘匿に成功した。
あとは、これを最後まで隠しとおせるか。まあ、やってみるのである。
●「やりたいことと やるべきことが一致する時 世界の声が聞こえる」
STAR DRIVER 輝きのタクトより。正直タクトはやる夫スレ以外で見たことが無いんだ。すまない。
元は旧友が言ったのを、タクトが気に入ってよく使っていた言葉。