我輩は○○である   作:far

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我輩は仕掛け人である。

 

 我輩は仕掛け人である。闇に裁くほうの、あれではない。

 死して屍拾うものなし。作品としては、好きなのだが、あれではない。

 

「仕掛けて、仕損じ無し」

 

 だから、あれではないのである。

 そもそも標的は主人公なのだ。殺してどうする。

 

 なぜか一瞬。素人童貞とともに、その主人公の資格を捨てようとしている彼が見えた気がするが。あれはボツになったので、気のせいである。

 

 仕掛けというのは、ドッキリである。

 というのも。なんと、二軍のトカゲくんに、協力を断られてしまったのだ。

 今度の作戦でデビューなんで、調整中だからという理由で、である。

 そんなテイタラクであるから。お前さんは、小物臭がする。という評価が鉄板なのだ。

 

 鉄板、という表現。もとは賭博用語であるらしい。まず外れはない、という意味で固い、という言葉が使われ。鉄の板くらい固い、という意味合いで鉄板という表現になったらしい。

 

 ステインさんの信奉者として、信念を持っておると主張するなら、自分のデビュー戦なぞ優先するでない。

 いちいちカッコ良さを気にしているキライもあるし。キサマ実は、ただのボスの同類ではないのか?

 世間で持てはやされておるヒーロー。それに立ち向かう俺カッコイイ、などと考えておらぬであろうな?

 

 まあいいのである。使えぬなら、別の手立てを考えよう。

 

 ところで。問題を片付けるには、三つの手法があると思う。合法と非合法と、見なかったことにすることである。

 個人的には三つ目がオススメである。あとでツケが回ってくる件でもなければ、大体は何とかなる。

 押し付ける先や、丸投げする先があれば、最高であるな。

 

「楽してズルしていただきかしらー」

 

 マジプリティと言われた、黄色い人形もそう言ってる。

 その次にオススメなのは、一番目。合法的な手段である。

 

 意外かね? しかし、バレなきゃあイカサマじゃあないとはいえ、バレたら痛いのだ。やれるなら、できうる限り合法的にやるに越したことはないのである。

 

 と、いうわけで。今回仕掛ける作戦は決まった。ドッキリである。

 

 最後にドッキリの看板を持って出てくれば、たいがいのことは許される、卑怯な企画。

 小学生にパPコを高級スイーツだとだまして食べさせても。

 タクシーに乗ったと思ったら、なぜか前後に割れて、運転席側だけが走り去っても。

 人に何でもやってもらって生きようと思っている、ダメ人間を用意。数百人がかりで、数千時間をかけて用意。世界が隕石と、そこに存在するウィルスで滅ぶかも、とニュースや店の人間、家族までを使って、六週間かけて信じさせ。崩壊後の世界でゾンビ相手に、十四歳の少女を守りながら逃げまわらせても。状況的に追い込んで、その中で少女を守るという約束を守るか試しても。覚悟した元ダメ男が、家族に言葉を残したあとに眠らせて、全ては夢だったと思わせて。そのあとに全部ドッキリだったとバラしても。

 許されるのだ。

 

 今回我輩が仕掛けるドッキリも、無論、撮って世に流す。企画が通れば、どこかの番組、ワールド○見えあたりで。そうでなくともネットがある。

 

 というわけで。まずはオールマイトと、現在の彼の出向先のグラントリノに許可を取ろう。あとはヒロインもいるな。誰にしよう。

 モモちゃんはなあ。豪華すぎるというか。緑谷少年では、つりあわないというか。

 緑谷少年が、もっとデカくてマッチョだったら、またハナシはちが―――――

 

 ―――いやいやいやいや。ダメだ。それはダメだ。彼をマッチョにしちゃダメだ。マッチョ化の個性を持つレイザーさんは、死刑囚で脱獄犯だから。表に出しちゃダメな人だから。

 こっそり個性だけを使ってもらうにしても、特徴的過ぎる個性だから。こないだ、体育祭で披露しちゃったから。だからダメだ。自重しなければいけないんだ。落ち着け我輩。

 画的には、クッソ面白そうであるけれども、あきらめろ。深呼吸だ。鼻から吸って、口から吐くのだ。伸びもするんだ。インスタントコーヒーを作って、カフェオレにして飲め。

 

 ―――よし。落ち着いた。危なかったのである。やはりマッチョは恐ろしいな。

 

 ピンチになるヒロインは、麗日 お茶子に頼もう。庶民派な彼女なら、緑谷少年でもイケる。

 確か今は、バトルヒーローのガンヘッドさんのところにいたはず。あの人は意外と話のわかる人であったので、たぶん乗ってくれるであろう。

 ただ敵役がなあ。ステインさんが望ましいのであるが、忙しいし。しかし誰かヒーローに頼むと、オタクな緑谷少年が見抜く恐れが高いし。

 ヴィラン連合の誰か、というのは論外であるしなあ。今回合法でやるので、裏の人間は使えないのだ。

 

 偽マイト再びとかも、ないですからね? ないでありますからね?

 

 何となく、二回強く念じた。やっておかねばならぬ気がした。今は達成感を感じている。

 

 あっ。そうだ。彼がいた。

 以前にモブキャラと間違えて、がっつり洗脳してしまった、雄英三年生。

 天喰環。個性 再現。食べた生物の特徴を持ったものを、体から出して装備する。アサリの殻やタコ足、鶏の翼や爪などを原作では生やしていた。

 

 ひとことで言うと。究極生物になったカ○ズ様である。

 

 人間の遺伝子を取り込んだ場合、個性を再現できるのかどうかが、非常に興味深い。髪や爪ならば、食べられそうであるし。

 世間体的にマズいので。人気商売なヒーロー的には、使えても使えない能力になるであろうが。

 

 彼は雄英ビッグ3と呼ばれる一人であるが。なぜか一年は、自分の学校の先輩のことなのに、何も知らぬ様子であるので気付かれはしないと思う。

 敵役は、彼に頼むとしよう。

 ノミの心臓で、対人恐怖症や、極度のアガリ症という欠点はあるが。なに、大丈夫。何も問題はない。

 なにせほら、ガッツリと洗脳してあるのであるからして。我輩が大丈夫だといえば、彼にとって、それは本当に大丈夫なことになるのだ。精神的なことなら特に。

 今までも、情報をもらうたびに。ほんの少しずつ。少しずつ。薄紙を重ねていくように、自信を持たせてきたのだ。

 「今日だけは」大丈夫だと暗示をかけておけば、撮影の間は持つであろう。

 

 さて、あとは脚本だけであるが。どうするであるかなあ。

 原作にあやかって、飯田少年も巻き込んで、彼の救難信号から始めるか。

 それとも演技力に難がある彼ではなく、画面栄えも良い轟でいくか。はたまた主人公のニオイがしてきた気がする、S少年を使うか。

 ううむ。実に悩ましい。だが楽しい。口元がニヤける。ステインさん仕込みのステップを踏みたくなる。

 

 ああ。人生はやはり、すばらしい。

 

 

 




●「仕掛けて、仕損じ無し」
池波正太郎原作、仕掛人 藤枝梅庵 実写ドラマ版のあおり文句。
江戸時代。生かしておいては、世のためにならぬ悪人を、金をもらって始末する。そんな殺し屋家業を営む面々を主人公にした時代劇のシリーズ。仕事人とだいたい一緒である。
ゴルゴ13の人のマンガ版も35巻まで出ているので、機会があったら一読してはどうだろうか。

●「楽してズルしていただきかしらー」
ローゼンメイデンより。7つの生き人形が、自分以外の人形を倒してコアパーツを手に入れ、究極の少女になるまで 戦って 戦って 戦い抜く バトルロイヤル。8体目や9体目など、途中で増えるのもお約束。動力源として、パートナーの人間が必要だという、相棒要素もあるぞ。
その中の第2ドール、金糸雀と書いてカナリアと読むキャラのセリフ。メンバーの中で黄色のポジションの宿命か、当初人気はイマイチだった。キムシジャンと呼ばれたこともあった。しかしそのバラドル路線は、姉妹の中で唯一であり、キャラクターとしての寿命は長く、人気も割りと伸びた。
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