我輩は○○である   作:far

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我輩はお詫び中である。

 

 我輩はお詫び中である。少年の夢を壊してしまったので、オゴリを続行するのだ。もう一軒行こうぜ。

 もちろん。あそこでネコ娘をはべらせて、猫を愛でてご満悦中の四本腕は、ここに置いていく。

 どうだね。少年たち。

 

 うむ。どうやらここから脱出できるなら。そういうことで、二人とも付いてくるようだ。

 ふむ。そういえば、そろそろ夕方であるな。研修も終わる時間か。

 よし。優勝祝いだ。轟も呼んでしまえ。切島くん、彼の番号はわかるかね?

 

 ところで。我々の移動手段は、電車など公共の手段だ。我輩がまだ車の免許を取っておらぬので、そろっての移動には、それしかない。

 原付の免許は取ったのであるが。なぜかウワバミさんに、運転を禁止されてしまった。

 確かに、身長が身長であるので、足が届かぬが。免許があるから良いではないかと、そう思うのだが。

 

 年齢さえあれば、筆記だけで取れるという制度に問題がある、とかなんとか。政界の謎の黒幕も、こういうのにもうんぬんかんぬん。

 

 そんな妙に長いお説教が、あちこちに話が飛びながら、どこまでも続いておった。

 こういう時、男は黙るしかないのであるな。何か言うと、その分さらに長引くのである。

 説教をする側も、実は相手を説き伏せようとか、改心させようとは思っておらぬ。

 わたしの不満を聞け。こんなに不満に思っているのだぞ。全部聞かせてやる。黙って聞け。

 事の是非やら、理屈の通っているかどうかやらは、どうでも良いのだ。

 

「俺の歌を聴けぇ!」

 

 ある意味、アレに近い。

 

 閑話休題。

 

 我々の移動が電車なので、轟とは駅で待ち合わせとなった。まさかとは思うが。保護者同伴ではないであろうな?

 あのダメオヤジとは、なんか妙に縁がありそうで。ちょっと怖いのだが。

 む? ではなぜ、轟を呼ぼうと思ったのかであるか?

 単なる、その場の思い付きである。裏も表もない。純粋な、善意であったのだ。

 

「良かれと思ってぇ!」

 

 そう。良かれと思って。

 

 その結果がこれだよ!

 三十分後。ダメオヤジが前もって予約して、貸しきりにしていたソバ屋にて。飲んだくれて、泣きながら我輩にクダを巻くNo.2ヒーローの姿が!

 

 轟少年も連れて来るなよ! いや、世話になった人がいるんで、礼を言いたいって、これ礼じゃなくてグチだから!

 駆け出しの頃から、三十年くらいずっとかけて、溜まりに溜まった不満や無念を吐き出したい。わかる。それはとても良くわかるであるが。

 せめて、当人に言ってくれ。オールマイトか、さもなきゃ嫁さんに謝って、許してもらってから聞いてもらいなさい。

 なんで我輩にブチまけてるかなあ。

 

「俺の話を聞けぇええ! ショウトォォオ!!」

 

 ああ、もう。わかった! わかったである! 聞く! 聞くから! だから息子さんを巻き込まない!

 ただ我輩も飲むからな! シラフでやってられるかっていうハナシである!

 

 少年。君らも興味があったらやれ。

 轟少年。ソバには日本酒が合うぞ? 江戸時代からずっと、この組み合わせが生き残ってきたのは、ダテではないのだ。一度試してみてはどうであろう?

 切島くん。君の個性は、その髪型にして、服装も変えて。強くなったろう? 殻を破ったんだ。ここでもう一つ、破ってみぬかね?

 鉄哲くん。いいから飲んでみたまえ。そうすれば、何かが変わる。何がって? 飲めばわかる。飲まなければ、一生わからん。

 

 そして店主。あなた方は、何も見なかったし、聞かなかった。わかっているであるな?

 

 さて。ではまず我輩がいただこう。くいっとな。

 よく冷えた酒が、それでもノドを熱くして、通り抜けてゆく。口に米の甘みと、独特の吟醸香が残って、それがふうわりと鼻へと広がる。

 

 さ。話を聞こうか。

 

 そのあと。酔いつぶれたダメオヤジを、足取りのしっかりした息子がタクシーで回収して行き。

 固い少年二人が、我輩に連れられて夜の街に消えた。

 

 そして、ホテルで配達で健康な出来事があったらしいが。

 我輩も酔っていて、正常な判断はできなかった状態であるので、無罪である。

 心神喪失状態であったと、主張するものである。

 

 この言い訳が、無断外泊で怒っているであろう、ウワバミさんに通じると良いなあ。

 少年。そこは君たちも、がんばれ。強く、生きろよ。

 

 

 




直接の描写はない…… ゆえにセーフッ…… 圧倒的セーフッ……
R15にも…… 値しないっ…! 掛け値なしっ…! 問題は… ないっ…!

と、いいなあ。


●「俺の歌を聴けぇ!」
マクロス7より。歌と宇宙での種族間戦争がテーマなマクロスシリーズの中で、ひときわ異彩を放つ主人公、熱気バサラのセリフ。
個人所有の、音を届けるマイクを撃ち出す銃以外の武装無しのヴァルキリーに乗って、戦場へと無許可で何度も乱入。歌うことで戦いを止めようとする。しかも本気でそれが出来ると信じて全く疑わない、恐ろしいメンタルを持つ。
若い頃は歌で山を動かそうとしていたらしい。
だがチバ博士というマッドが歌エネルギーなる、謎のパワーを発見。バサラと組むことで敵の精神に直接影響を与えて追い返せるようになると、風向きが変わる。
最終的には、歌う→「お前は何なんだ」→歌う→「何なんだ!」→歌う という過程を敵と繰り返し、その果てに敵側も歌い出し、和解するという力技で本当に歌で戦いを止めていた。言葉では伝わらないと思うので、アニメかスパロボなどのゲームで確認してほしい。
マクロスのもうひとつのテーマ、三角関係もあったが。歌とバサラとヒロインの三角関係で、ヒロインに勝ち目無しとまで言われたw
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