我輩はヒーロー活動中である。そろそろ真面目なところも見せておかねば、
きれいなお姉さんから、ヤンママに。順調に印象が変わってきてしまった。
言えないことが多いので、やむを得ぬのだが。心配をかけたり、不安にさせたりと。申し訳ないことにも、なってしまっている。
そろそろ孝行の一つもしなければ、バチでも当たるのではなかろうか。
「人は同じ手で、良い事もすれば悪い事もする」
針医者をしながら、裏では殺し屋をしている男が、そんなことを言っておった。
まさしく、その通りであると思う。
まあ。我輩はヴィランであるので、基本悪いことが多いはずなのだが。
最近では。ベストジーニストの事務所の近くで、パトロール中の姿を「偶然にも」見かけて「たまさか」持っておったデジカメで
それを緑谷少年や轟くんに、メールで送ったりもしたが。まあ、ささいなことである。
なお、飯田くんはステインさんの事件がないので、保須市には関心が無い。よってマニュアルさんのところではなく、ガンヘッドさんのところへ行っている。
お茶子さんと、同じところであるな。
飯田くん。妙に彼女と同じ場所にいることが、多い気がするのであるが。
その辺をいじるのは、ヤボというものか。
話を戻そう。孝行の話であるが。
何かしてあげる、というのもいいだろうが。この場合、我輩の生活態度が問題なのであって、そこを改めた姿を見せた方が良いと思うのだ。
すなわち、ヒーロー活動である。それも手柄を立てるとかそういうのではなく。パトロールなど、地道なことをコツコツこなす方が望ましい。
あれ? でも我輩、そっちの方はサボッた覚えは無いのであるが。
無断外泊やら、門限破りは何度かしたが。ちゃんと仕事はやっておる。
あれ? 我輩の作戦、開始前から、不発であるか?
ううむ。作戦の方向を切り替えるか。
贈り物で行こう。うむ。そうしよう。
で、問題がある。
あの年齢の女性って、何を贈ったら良いのであったっけ?
いや、違うのだ。
個性の影響やら、前世の記憶と経験やら、今の実年齢やらで。我輩も、自分で自分の精神やら常識やらが、大分怪しいものになっておるのだ。
けっして、女心がサッパリわからぬ、ヤボな男というわけではないのである。
とりあえず。わからぬことは、他の人に聞くとしよう。
そういうわけで、モモちゃんや。ウワバミさんに何か贈りたいので、相談に乗ってください、お願いします。
妙にうれしそうに、二つ返事で乗ってきてくれた。
あっ。この娘、ダメンズの素質があるぞ。
すぐに信じてダマされるチョロさと、頼られたらすぐに喜ぶチョロさと、謝られたらすぐに許すチョロさを全部持っているぞ。これはヤバい。
俺が
やっぱりこの娘は、ヒーローやってる場合ではない。守られておらねばならぬ存在である。
あらゆる希少鉱物を、しかも理想の合金の状態で生み出して、人類を発展させることも。
反物質を生み出し、地球ごと自爆して、人類すべてと無理心中することも。
個性 創造で、あらゆる物質を創り出す彼女には、できてしまうのだから。
素材限定で、代わりに同じ物を無限に出せるドラ○もんみたいなものである。そりゃあ保護するであろう。
彼女のような個性は、登録されたら政府の保護下に置くような。そんな法律は作った方が良いのだろうか?
しかし職業選択の自由など、生きることが不自由になっては、その個人には申し訳ないことではあるし。しかし世のため、人のため。本人の安全のためであるからして。
う~~~むむ。
あっ、すまない。何を贈るか、考え込んでしまっていたのである。
服や装身具などは、好みがわからない。
食べ物は、肉と卵と甘い物が好きであるが。今回、食べ物を贈るのは、何か違う。
花束は悪くは無いが、ひとひねり欲しい。
我輩の女性への贈り物なぞ、この三択くらししかないのであるが。今回は少し迷っておって―――え? 下手にひねるな? 素直に花束で良いのであるか?
わかった。ありがとう。すぐ、これから花屋に行ってくるのである。
この後。メチャクチャ部屋に花かごを飾った。
お礼として、モモちゃんにも芍薬のブーケをあげた。
芍薬の花言葉は、生まれながらの素質。漢方薬としても有用で、鎮痛剤などに使われる。
生まれ持った素質で、人類の薬になって欲しいという、裏のメッセージを込めてみた。
ふつうに喜ばれて終わったが。
ウワバミさんは機嫌をなおしてくれたので、これでよしとしよう。
最初は、一月もいればいいと思っていた場所であるが。気付けばもう、ずいぶんと長居をしてしまっている。
ひょっとすると。潮時というやつが、近いのかも知れぬが。
まあ。これも、気が向くままである。
●「人は同じ手で、良い事もすれば悪い事もする」
仕掛人 藤枝梅庵より。池波正太郎作。表向きは腕の良い針医者で、貧乏人からはロクに金ももらわぬ善人。裏では金づくで人を殺める、自称極悪人。そんな梅庵先生の言葉。
盗賊の男が人助けをしたと聞いての言葉だが、自分のことでもあっただろう。
●俺が
刃牙道より。超実戦柔術の雄、などと言われていたものの、その戦績はふるわず、しかし解説者として優秀だったためネタキャラに。その後、強敵に公園で挑んだら、急に強くなって倒して一瞬輝くも、ラスボス勇次郎が出現。すぐ元に戻る。その後長らく出番が無かったが、宮本武蔵が生き返ったら、なぜか急に出てきた本部(もとべ)さんのセリフ。
ツッコミどころが多いのはわかるが、流してくれ。迫力があるから説得力があるって寸法だったんだ。実際に読んだら、納得させられてしまうんだ。