我輩は○○である   作:far

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我輩が!我輩たちが!ヴィランだ!
というおはなしではありません。


我輩たちはヴィランである。

 我輩たちはヴィランである。そのはずだ。

 しかし、ここ最近の評判はどうであろうか。

 

 頭にユカイなって付かないだろうか。

 

 雄英高校側も、実は困っているらしい。

 職員会議で、林間学校を例年通りの場所で実行するかどうか、もめているらしいのだ。

 

 脅威なのか、脅威でないのかハッキリしろ! とは、プレゼントマイクの談だそうな。

 

 よかろう。そこまで切実に要望を入れられてしまっては、仕方が無い。

 リスナーからのリクエストに答えるのは、いつも彼がやっていることだ。たまには彼のリクエストに答えてあげるのもいいだろう。

 まあ、こちらは盗聴、もしくは内通者ごしの違法リスナーであるが。我々はヴィランであるので、そこは見逃していただきたい。

 

 そう。我輩たちはヴィランである。けっして、ユカイなマッチョダンサーではない。

 ここは一つ、雄英に我らの脅威度を思い出してもらわねばなるまい。

 我らのためだけではない。何度目の危機なのか、もうわからない原作補正さんのためにも。

 

 

 そういうわけで。

 

 

 すでにさらってきてある、爆豪 勝己がここにおるじゃろ?

 

 

 林間学校での誘拐の対象。それが原作の爆豪から、緑谷少年になりそうであったので。少し前倒しして、さらってみたのである。

 

 意外と手こずった。

 

 反射神経と、攻撃力と、凶暴さが合わさると、不意の一撃で仕留めねば面倒なことになるのであるな。勉強になった。

 今回は多少派手に、という狙いもあったのでバスに乗ったところを狙った。二軍から、催眠ガスの個性持ちを連れ出して、乗客ごと眠らせて連れ去る。

 バスは適当なところで乗客ごと乗り捨てるので、特にバスを盗む意味は無いのだが。単に規模を大きくして、注目度を上げたかったのだ。

 

 だがかっちゃん、まさかの窓から脱出。

 

 ガスが充満した、と見て取るや、即座に爆風で押し返そうとして。それも無理だと悟ると、窓を壊して外へと飛び出す。この間五秒。

 考えてではなく、完全に反射で動いているが、実に正しい。ただ他の乗客を見捨てたのは、ヒーロー的にはダメダメである。ステインさんも、きっとこれにはザックリ。(と斬る)

 まあ、あの状況では助ける方法が無いので、まず自分が助かってから考える。というのは正しいのだが。正しくはあるのだが。

 ヒーローとは、そういうものではないのである。きっと。

 

 飛び出した爆豪は、一度乗ってみたかったという理由で、バスの屋根にいたボス―――ではなく。その護衛として一緒に屋根にいた、荼毘くんとミスターが捕らえてくれた。

 荼毘くんの黒炎と、それに身を隠したミスターの連携。これに初見の爆豪は対応できず、アッサリとミスターの個性で、玉になってしまったのだ。

 

 

 そして場所は、とある廃墟に移る。

 いつものバーに連れて行くのは、場所がバレたらイヤなのでさけたのだ。

 玉から出したら、絶対に暴れるので、何か壊れたら困るし。ヴィランのアジトというものは、修理に呼ぶ業者を選ぶのにも気を使うのである。

 

 そしてあらためてマスキュラーやマグ姐さんに、力ずくで確保してもらった爆豪に、我輩たちは勧誘を始めた。

 当然のごとく拒絶する彼に、まずは、トランク一杯につまった札束を見せてみた。

 

 ちょっと効いた。

 

 効いたとはいっても、だ。信念がゆれたとか、そういうのでは無しに。単に見たこともないような現金に、動揺しただけなのだと思う。

 しかし効果はあったのだ。続けて、畳み掛けてみた。

 

 これは、移籍金だ。年棒は、また別だよ?

 

「ナメんな! 俺はカネなんかには屈しねぇ!」

 

 なぜだろう。「○○○○なんかには絶対に負けない!」みたいに聞こえてしまって、仕方が無いのだが。

 このまま札束を積み上げたら、おカネには勝てなかったよ、とか言い出さないであろうな。

 本当に移籍してもらっても、困るのであるが。原作補正さんが、今度こそ死んでしまう。

 でも面白くなってきたので、もう少し引っ張ってみよう。

 

 ちなみに、我々は非合法の組織なので、非課税だ。つまり、これが全部。ぜ~んぶ、君の物になるぞ?

 

「…うっ、うるせぇ! 黙れクソニセモンが! お前の言うことなんざ聞くかボケ。踊り死ねや!」

 

 うむ。やはりちょっと効くが、それ以上にはならないな。さすがは原作でも上位の重要キャラ。

 そして彼がニセモンと言ったのは、我輩が今、偽マイトになっておるからだ。

 ああ。すなわち。とうとう我輩も、マッチョになってしまったのである。

 

 仕方が無かったのだ。この場に居合わせたかったが、正体がバレるのはさけたかった。

 絶対にバレない変装を、と考えたのだが、これ以上のものは無かったのである。

 

 マッチョの衝撃は、他の印象を流してしまって、本人の特定を困難にする。体格も変えるし、若干だが顔や声だって変わる。

 あとは服装で、全身の毛さえ隠せば、問題は無いというわけだ。

 

 踊り死ね、という発言で。爆豪の中に、ヴィラン連合でマッチョなら踊る。そういう認識があったことに気付いて、少々傷付いたが。

 まあ、今更であるしなあ。

 

 勧誘する役はボスへと代わったが、あいかわらず爆豪は吼えている。

 というか。ボスが吼えさせている。

 

「体育祭を見ていて、確信したよ。お前はあっちじゃ、輝けない。障害物競走で一位を取ったのに、誰もお前を見なかっただろう? 職業ヒーローになれたって、同じだ。せいぜい、エンデヴァーで、オールマイトにゃなれないよ」

 

 爆豪はもう、何というか、こう。スゴイ顔になった。叫びも、言葉になっていない、不明瞭なものになっている。

 

「いや。最後も結局、轟ってのに負けてたっけ。エンデヴァーの息子にさ。うん、悪かったな。訂正するわ。お前じゃエンデヴァーも、ムリだわ」

 

 あっ、ここまでだな。

 

 黒い人に合図を送り、爆豪を雄英の近くにワープさせる。

 もとより、今回はただの脅しのようなもの。まじめに勧誘するつもりなど、サラサラなかったのである。

 

「なんだよ、もうちょっとプレイさせろよ。このゲーム」

 

 ボス、遊びすぎです。勧誘できる可能性がゼロになった時点で、ゲームオーバーである。

 ええ、そういうルールだったでしょう? だから仕方が無いのですよ。

 

 では、皆の衆。このあとは、いつものところで飲みながら反省会。約束どおり、我輩のオゴリであるので、好きなだけ飲むが良い。

 撤収である。

 

 

 

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