ハグしよ?プリキュア 作:猫犬
曜ちゃんの誕生日ということでまたまた書いちゃいました。
やっぱり誕生日関係ないですけども。
果南がキュアハグに変身したあの騒動の夕方。
なんやかんやで被害は校庭にあいた穴くらいで、鞠莉の話だとあっさり埋められるとのことだった。でも、安全のために生徒は全員帰された。
「それで、結局私はどうすればいい訳?」
『とりあえず、ダークうちっちーをウッチーに戻すのと、魔法界と人間界の間に繋がった空間の穴をどうにかするのが目標かな?』
家に帰った果南は、あの時は急いでいたから聞けていなかった話を聞いていた。
「どうやって元に戻すの?」
『善子ちゃんの時みたいに殴って、必殺技で倒す!問題はダークうちっちーとの直接戦闘にどうやって持ち込むかだけどね』
「そっか。今日みたいに操ってたら、逃げられちゃうもんね」
『そうそう。たぶん、数度は今日みたいな感じで、人々の恐怖を集めに来ると思うから』
「恐怖を集める?」
『うん。恐怖が力になるよくあるパターンだよ。今日みたいに操るか、人々の心の闇から怪物を生み出すか。魔法界は怪物に襲われちゃったから』
「でも、今日みたいに倒せばいいんだよね?」
結局今日と同じ感じのことをするだけという事で、果南はさほど気にしていなかった。今日も危ないと思ってたけど、難なく乗り越えることができたから。
『まぁね。それで空間の穴の方は原因の調査中。そもそもどうして繋がったのかもわからないからね。自然に発生したのか、何者かによって人為的に発生したのか。穴自体は同じ要領でやればいい感じ』
「それじゃ、さっさか穴閉じた方がいいんじゃ?」
『ううん。それじゃダメ。そもそも空間の穴が何処にあるか。僕がこっちに出たら座標がずれたのか海だったから、穴の位置が完全にはわからないの。たぶん、そう遠くはないとは思うけど。それに、もし人為的ならその原因をどうにかしないと同じことの繰り返しになっちゃうし、閉じたら帰れなくなっちゃうから、先にウッチーを元に戻さないと』
空間の穴の方は、今はどうにもならないようでそういうことのようだった。
それからいくつか話を聞き、一応穴の閉じ方はわかっているのなら問題は無いので、とりあえずは穴を探しつつダークうちっちーをどうにかすることになったのだった。
~☆~
「ほんとに穴埋まってる」
翌日、朝練で早めに浦の星についた果南は、昨日ズタボロになったはずの校庭が綺麗に元通りになってることで呟いた。クレーターやら交戦による余波で相当ひどい有様だったはずなのに、半日で元通りになっていることに驚きを隠せない。
校庭を眺めていると鞠莉も登校して来て、果南を見かけたからかそばに寄って来た。
「Hello、果南」
「おはよ、鞠莉。よく半日で元通りにできたね」
「小原家の力を持ってすればすぐよ」
「平気なの?ただでさえ廃校しそうなのに」
「問題ないわ。これは必要経費だし、そもそも地元の皆がボランティアしてくれたから」
話を聞くと、近くでちょうど工事があって、ついでだからとやってくれたらしかった。それでいいのかと思うも、せっかくのご厚意だから甘えたとのこと。
「そう言えば、果南――」
「っと、そろそろ部室行かないとダイヤになんか言われそうだ。何か言った?」
「……なんでも無いわ。そうね。小言を言われるのは嫌だから行きましょ」
二人はそう言って部室に向かうのだった。鞠莉が何か言おうとしていたように思えたが、なんも無いという事で果南は気にしなかった。
「あれ?善子ちゃんは?」
「昨日のあれのせいか体調を崩したんだって」
部室に着くと善子を除く六人がすでにいた。善子がいないことを気にすると、曜がそう言った。どうやら、昨日操られていたとはいえそうとう体力を持っていかれていたようで、だから今日は体調不良に。
「一応、明日には復帰するつもりみたいだけど」
「そんなに体調は悪くないってこと?」
「いえ、喉を痛めて風邪っぽいのと身体の節々が痛いだとか。まぁ、操られていたとはいえ、結局善子さんの身体でしたから、それであんな戦いをすれば仕方ないでしょうね。果南さんみたいに体力があれば、まぁ普通に登校できそうですけど」
善子の休みは風邪と筋肉痛みたいだった。原因が昨日の事だとわかり、もう少しうまく立ち回れていれば良かったと思う果南。もしかすれば、すぐにけりをつけられていれば今日休むことが無かった可能性もあったから。
それと、ダイヤの発言の後半は何故か果南を見て言っていた。
「流石に私だってあんな戦いは無理だよ」
「あれ?果南見てたの?あの時見かけなかったけど?」
「あはは。教室からね」
今更ながらあの時その場にいなかった、というか変身して戦っていたが、果南はそういうことにした。
別に本当の事を言ってもペナルティは無いと聞いていたが、鞠莉や千歌、曜辺りにばれれば絶対にいじられることが目に見えていたから。
「そっか。確かに三階からなら見えるよね?」
「そうそう」
どうやら誤魔化せたようで、果南は安堵する。
「善子さん抜きではありますが練習を始めましょうか」
「そうだね」
「うゅ」
~☆~
「1,2,3,4.1,2,3,4……うん、だいぶ形になってきたかな?今日はこれくらいにしておこうか」
「ふぅ。疲れたー」
放課後、果南たちは沼津の練習場所で練習していた。そして、陽が暮れ始めたことで今日の練習を終えることにした。
「私はよっちゃんのお見舞いに行くね」
「あっ、マルも行く。配布のプリント渡さないと」
「ではわたくしも……と言いたいところですが、全員で押し掛けるのも迷惑でしょうし、お二人に任せますわ」
「マリーたちの分までお願いね」
「うん。また明日」
「またね~」
練習着から制服に着替えると外に出て、二人はそう言って善子ちゃんの家に行った。
「さて、私たちも帰ろっか」
「うん、そうだね――」
ドカーンッ!
「うわっ!」
「何この音!?」
いざ帰ろうとすると、何処からか爆発音が響き、皆たじろぐ。そして、駅前のロータリーに真っ黒い半身半獣の怪物がいた。下半身は虎やライオンのような毛におおわれ、上半身は牛のような、いわゆるミノタウロスのような感じだった。
「なんかヤバそうね」
「皆さん、逃げますわよ!」
近くにいれば襲われかねないので、私たちは逃げる。間違いなくあれはダークうちっちー関係だということは一目でわかったが、みんなの居る前で変身するわけにもいかないからとりあえず逃げておく。
「って、なんで私たち追いかけてくるの!?」
逃げ始めたのはいいけど、ミノタウロスは私たちを追いかけてくる。このまま一緒に走っていればすぐに追いつかれてしまう。
「だったら!」
「果南ちゃん!?」
固まって走っていれば全員に危険があるけど、もしかしたらと思い果南は一度止まって、ミノタウロスの方に走り出す。
千歌が気付いて声を上げるも、果南は止まらずにミノタウロスの真横をすり抜ける。結果、ミノタウロスは一番近くに来た果南を標的にし、反転してそのまま果南を追いかける。
「まさか、私たちを護るために?」
「でも、それじゃ果南ちゃんが危ないよ?」
「でも、私たちにはどうにも……」
「でも、このままじゃ果南ちゃんが」
「……」
果南を助けに行きたいが自分たちじゃどうにもできず、五人は果南とミノタウロスを見ている事しかできなかった。
~☆~
『果南ちゃん、そろそろいいんじゃないの?』
「うん、そうだね。みんなから距離も取れたことだし」
ポンッと現れたルカに言われて、果南は振り返ってミノタウロスがついて来ていること、周囲に誰もいないことを確認すると、ポケットからキュアフォンを取り出す。
「プリキュア、スタートアップ」
そして、画面をタッチしてHPT衣装に変身する。
果南はキュアハグに変身が完了するや否や、地面を大きく踏みしめ一気に反転してミノタウロスに突っ込む。
ハグをまっすぐ追いかけていた為にミノタウロスは止まることも回避もできず、その胴体にハグの蹴りが入り吹き飛ぶ。吹き飛んだミノタウロスは建物に激突して止まった。
「あっ、やば。建物壊しちゃった」
『ミノタウロスがやったことにすればいいよ』
「うわっ、それでほんとにいいの?」
ルカは平然とそんなことを言い、それでいいのかはなはだ疑問に思う。
すると、吹き飛んだミノタウロスが身体を起こすなり飛びかかって来る。それをひらりと回避すると、反撃にと脇の部分にパンチを繰り出す。
ミノタウロスはそれを左手で受け止めてみせる。
「うわっ、ガードされちゃった……て、わっ!」
ガードされちゃったことに驚くと、何故かハグの身体が陰る。まるで上に何かいるかのようで上を向くと、そこには巨大なコウモリがそこにいた。二、三メートルはある大きさで、ハグを押し潰すかの如く、そのまま地面に降りて来て、ハグは慌ててミノタウロスを殴った反動でその場を離れる。直後、コウモリが、ハグがさっきまでいた場所に着地する。
「二日目にして二体同時とか。どうすればいいのやら?」
『うーん、倒すしかないかな?』
「そんな簡単に言わないでよ!」
二体になったことで困るも、考える時間を与える気は無いのかハグに襲い掛かる。
とりあえず二体の攻撃を回避していくも、いつまでも回避し続けられるものではない。
コウモリが突進してきたのでそれを回避すると、回避した先には先読みしていたのかミノタウロスがおり、その腕を振るう。
回避はできなさそうなので両腕をクロスさせてガードすると、そのままハグは吹き飛ばされる。
「うわっ!」
近くにあったビルに突っ込み、瓦礫に埋もれる。変身していたおかげで怪我は無かったが地味に痛かった。
立ち上がるとコウモリが追撃の為に突っ込んできて、ハグはしゃがんで回避すると、その状態でコウモリの胴をしたから蹴り上げる。その結果、コウモリは上に吹き飛び、ハグは一気に終わらせるために地面を蹴って大きくジャンプし、
「って、え?」
その一瞬前にミノタウロスが跳躍していたようでハグの真上を陣取り、両手を合わせて一気に振り下ろす。上に勢いよく飛んでいたから回避もままならず、振り下ろされた腕によって地面に叩き付けられる。
「痛っ!」
『来るよ!』
地面に叩き付けられて苦悶の表情をするも、ミノタウロスは飛べるわけではないから自由落下で降りて来て、このままでは潰されかねず、ハグは転がって回避し、ミノタウロスが着地したことでクレーターができるのだった。
「あはは。潰されてたら危なかったかも」
ハグは立ち上がり、とりあえず潰されずに済んだことを安堵すると、二体に目を向ける。
「やっぱり、二体同時は厳しいかな?」
『厳しくてもやるしかないよ』
「はいはい」
ピィーー
「うっ、何この音!?」
すると、何処からか謎の音が響き、ハグはその音を聴いた瞬間眩暈がしてふらつく。
『コウモリの超音波みたい。あんまり聞いてるとやばいかも』
「えー、なんて言った?」
超音波のせいでルカの言っている声が聞こえず聞き返すも、ルカもこの音が聞いているのか器用にヒレで耳を抑えていて聞こえていないようだった。
さらに、ミノタウロスには超音波の影響がないのか普通にハグに接近してくる。
ハグはどうにか対処しようとするも、音のせいでふらついて力が出ず、ミノタウロスの攻撃をギリギリ回避するのが精一杯だった。
「(せめて、この音さえどうにかなれば……)」
ハグはそう思いながら回避を続ける。そして、気付いた。
ビルの屋上に人影があることに。
その人影は少女で、ピョンと屋上からジャンプする。コウモリもミノタウロスも気付いておらず、少女はコウモリの真上から蹴りを食らわせ、コウモリはいきなりの攻撃に墜落した。そのおかげで超音波が止み、ハグはミノタウロスの拳を回避すると同時にその腕を掴み、コウモリの方に投げつける。
そして、ハグの隣に少女が着地する。少女の格好は基本水色で人魚のような感じだった。こんな場所でなんの躊躇いもなく攻撃したことにも驚きなのだが、それ以上に驚きがあった。
少女はどう見ても恋アク衣装を纏った曜だった。
「曜?」
「ん?あっ、やっぱり果南ちゃんだ。あと、私はキュアヨーソローであります。ヨーソローって呼んで」
「長いからヨーって呼ぶね。こっちはハグで」
「略されちゃった。まぁいいや」
曜に声をかけると、そう言って敬礼した。直後、曜(以降ヨー)の隣でポンッという音と共に十センチほどのうちっちー(配色が茶色なので二代目の方)が現れる。
『ヨー、挨拶は後々』
「あっ、それもそっか」
『ハグも今は二体を倒さないと』
「あっ、うん」
二人はそれぞれそう言われて二体を見る。二体は身体を起こす。
直後、コウモリが大きく息を吸うと、そのまま吐き出し、圧縮した風が放たれる。
二人は左右に飛んで回避すると、風が通った跡は抉られていた。
「とりあえず、あれどうにかしよっか」
「うん。コウモリは任せて。超音波も風もどうにかするから」
「了解であります」
相手をする方を決めると、ミノタウロスは地面を何度も足踏みをして突進の準備を始める。今までとは違って準備をしているから、威力が上がりそうだった。
コウモリも再び大きく息を吸うのでハグも手に光を集中させてホイッスルを出し、口にくわえる。
ピーッ!
コウモリがヨーに向かって風を放ち、ハグも同時にホイッスルを吹くと、音の波が風と激突する。その結果音の波が風を押し返してコウモリに激突する。
「全速前進ヨーソロー!」
直後、ヨーの周囲に水が渦巻き、水を纏ったヨーとミノタウロスが同時に飛び出してそのまま両者は激突した。
「え?頭から突っ込んじゃうの?」
まさかの光景にハグは困った顔をするも、何故かヨーよりも大きいミノタウロスが吹き飛んでいた。
「よしっ!」
ヨーは打ち勝ったことに喜び、ガッツポーズをすると、追撃とばかりにミノタウロスに飛び込み、果南も地面を蹴ってコウモリに接近すると、頭に踵落としを食らわせて地面に叩き落とし、
「ハグ、パース!」
ミノタウロスの腕を掴んだヨーはそのまま投げ飛ばしてコウモリの上に落ちた。
『ハグ、あれは人の心の闇が具現化したものだから浄化じゃなくて消し飛ばしちゃえ!』
「わかった!」
『ヨーも必殺技だよ!』
「了解!」
二体ともだいぶダメージが入ったのか動きが鈍くなっており、そろそろ頃合いだった。
「果南レール!」
ハグは両腕を振り上げながらそう言うと、エメラルドグリーンの二本のレールが二体に伸びる。
対してヨーは両手を胸の前に当てて目を瞑り、目を開くと両手を前に出す。
「ヨーソロード!」
すると、ヨーから一直線に青い光の道が二体に伸びる。
レールと道が二体に重なると、二体の動きが拘束されて動けなくなる。
「「アクアウェーブ!」」
拘束された二体に対して、二人は同時にそう言って両手を前に出すと、そこから大量の水が放たれ、波になって二体を包んだ。
「「ガァ!」」
必殺技を喰らった二体はそのまま黒い粒子になって消え、そのまま波は壊れた街を包み、瞬く間に壊れた箇所が元通りに戻って行った。こうして今回の騒動は終息したのだった。
~☆~
「ふぅ、終わった~」
「お疲れ、曜。助けてくれてありがとね」
変身を解くと、曜は地面にぺたんと座った。果南はそんな曜に手を差し伸べると、その手を握った。
「ううん。果南ちゃんこそコウモリの攻撃から護ってくれたでしょ?だから、ありがとう」
曜はそう言って立ち上がる。
「それで、どうして曜まで?」
「あはは。それは昨日色々あってね。帰りにこの子が狩野川を流れてて助けたら、プリキュアにならないかって」
「私と同じ感じか」
『どうも。僕はセイウチのセイです』
『見ての通り、魔法界の住人だよ。でも、どうしてこっちに?』
『お兄ちゃんを元に戻すために、無理言ってこっちに来させてもらったの』
『そっか』
話を要約すると、セイはウッチーの弟で、魔法界で待っていられなくてこっちに来たとのこと。で、ルカ同様慣れていないことで狩野川を流され、偶然曜に助けられ、後は果南同様プリキュアに誘われたとのことだった。
「でも、いいの?危ないんじゃ?」
「果南ちゃんだってそうでしょ?それに、あんな可愛い衣装を着られるのならね」
「衣装に釣られたの?」
「あはは。でも、もちろん困ってる人を助けたいって気持ちもあるよ」
「まっ、いいや。じゃ、これからよろしくね」
「うん!」
こうして、プリキュアは二人になったのだった。
(あれ?そう言えばどうして変身してても曜ってわかったんだろ?それに曜も私だってわかってたみたいだし。まっ、いっか)
~☆~
「よっちゃん、おかゆだよ」
「悪いわね。お見舞いに来てもらって、さらに作らせちゃって」
「そう思うなら早く治してね」
「まぁ、明日はちゃんと行くわ。寝てたおかげでだいぶよくなったし」
二人は善子のお見舞いに来ていた。外では何か騒ぎがあったらしいが、わざわざ危険に飛び込む必要は無いからと三人は家の中にいた。そもそも、善子は病人だから外に出れないが。
梨子と花丸が作ったおかゆを食べると、食べながらたわいのない話をして過ごした。
「汗かいてるだろうし、身体拭いた方がいいよね?」
「タオル取りに行って来るね」
汗はちゃんと拭いておいた方がいいと思い梨子は立ち上がる。
「洗面所にあるから」
「うん」
タオルの位置を聞いて部屋を出て洗面所の方に行く。
「なんだろ、これ?」
その途中で“立ち入り禁止”と書かれた紙を貼ったドアがあったが、今は善子の方が先だからとさして気にすること無くそこを通り過ぎたのだった。
曜ちゃんもなっちゃいました。一応前話で伏線?はあったことですし。
続きは書くのか?続くとは明言しません。
では、ノシ