ハグしよ?プリキュア   作:猫犬

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大ピンチ?シーラカンス襲来!

「堕天使ヨハネ、今帰還!」

「善子ちゃん、元気になったんだ」

「ヨハネ!……心配かけたわね」

 

曜がプリキュアと判明した翌日。

善子は無事体調が戻ったようで、朝練から参加すべく朝早くに登校していた。

善子が戻ってきたことで、全員そろった訳で昨日の遅れを取り戻すべく善子はやる気十分のようだった。

 

 

~☆~

 

 

「だいぶ端折ったね」

「まぁ、毎日放課後に怪物が現れてたからね」

 

なんだかんだでこの三日連続怪物が街に現れていた。黒い犬(ケルベロス)、巨大なカラス(ヤタガラス)、巨大な蛇(ヨルムンガンド)などなどの敵が現れ、その度に二人は勝利を収めていた。何度も戦ってきたことで二人の戦闘能力は格段に上がっていたが、その分多くの人々の恐怖も生まれてしまった訳で、ルカとセイの見立てだとそろそろダークうちっちーの力が戻って襲って来るだろうと予想されていた。

二人は今日もまたどこかに怪物が現れるんだろうなぁと思いながら、屋上でお昼を食べていた。ダイヤも鞠莉も生徒会と理事長の仕事だとかで、果南は一人になっていて屋上に行ったら二年生三人がいた感じだった。

 

「でも、その度に怪物を倒す女の子が居たんでしょ?私は一回もその場に居合わせなかったけど」

「そうだね。私たち以外はどこかしらで居合わせたって言ってたもんね」

「よっちゃんも操られてた時以降は鉢合わせてないよ。その時の記憶は残ってなかったらしいし、みんなもどんな感じか聞いても、あまり記憶に残ってないみたいなこと言ってたもんね。あー、チカも見てみたいなー」

「いやいや、戦闘になってるんだからはち合わせない方がいいでしょ?」

 

戦闘を見た人はいても二人の正体はばれず、印象も薄くなって見たけどどんな感じか覚えていないという状態になっていた。だからこそ、二人の事はあまり知られておらず、人知れず人々を救う女の子ということになっていた。

千歌が言った通り、千歌と梨子と善子以外はどこかしらで遭遇してしまっていたが、その後に会っても特に何も言われなかったから他の人同様と言った感じだったが。

千歌は見てみたいと言うが、果南からすれば危ないからやめてほしい所だった。

 

「果南ちゃんは見たこと無いの?」

「ないよ。ここで起きた時だって三階にいたし、遠目だから女の子だったことくらいしか」

「うーん、そっか」

ドーンッ!

「うわっ!」

「なに!?」

「もしかして?」

「そのまさか?」

 

すると、校庭の方で爆発音が響いた。四人は爆発音がした校庭の方を見ると、校庭のど真ん中に砂煙が上がっていて、風で砂煙が校舎の方に流れて来る。

千歌と梨子は顔を手で覆って砂が目に入らないようにして、砂煙が晴れると、校庭に巨大なシーラカンスが宙を浮いていた。

噂だといつもは放課後に現れていたのに、こんな時間に現れるとは思っていなかったことで、二人も驚きを隠せない。

 

「果南ちゃん?よーちゃん?」

「あれ?どこ行ったの?」

 

そして、いつの間にか果南と曜の二人が消えたことに気付き、二人は首を傾げるのだった。

 

 

~☆~

 

 

「放課後にしか出ないんじゃなかったの?」

『そんな決まりないよ。今までが偶然そうなってただけだよ』

『果南ちゃん、曜ちゃん。変身だよ!』

「うん」

「そうだね」

 

果南は落下しながら疑問を口にする。砂煙で顔を覆っていた二人を他所に、二人はなんの躊躇いもなく塀を乗り越えてそのまま飛び降りていた。

 

「「プリキュア、スタートアップ!」」

 

流石に変身の瞬間を見られたら正体ばれしてしまう為の事だった。だから、もし屋上に千歌達がいなければあの場で変身していたりするのだが。

そんなわけで、キュアフォンの画面をタッチして、二人は空中で輝きに包まれ、地面に着地すると果南はHPT衣装に、曜は恋アク衣装に変身が完了していた。

 

「さて、ぱぱっと終わらせるよ」

「うん。お弁当を食べてる途中だもんね」

 

二人はそう言いながら地を蹴って、シーラカンスに接近し、そのままシーラカンスの真上から同時に殴る。その結果、シーラカンスは地面に叩き付けられる。

 

「ガァ!」

 

シーラカンスは身体を起こすと、宙を泳ぐようにしてハグに向かって突進をする。それを軽く避けると、止まれずにシーラカンスは地面に激突した。

 

「あれ?もしかして見えてない?」

「深海魚だから?」

 

シーラカンスは数度突進するもそのうち数回は二人のいない方に突っ込んでいたことで、二人はそう結論付ける。深海魚は目が見えないはずだから。

 

「てことは、音に反応してる?」

「そうみたいッ!」

 

会話をしたことでシーラカンスはヨーに向かって来る。ならばと回避しつつカウンターで蹴る。しかし、やたらと硬くて吹き飛んでもさほどダメージは無さそうだった。

ハグは吹き飛んでくるシーラカンスに向かって蹴り上げ、上空に飛んだところで、跳躍していたヨーが尾を掴んで地面に叩き付ける。

しかし、やはりダメージは無いのかピンピンしていた。

 

「うーん、どうもダメージが無いね」

「だね。ホイッスルしかないし。何か武器無いの?」

「残念ながらないかな?私の格闘しかないから」

「となると、ひたすら頑張って攻撃してくしかないか」

 

ダメージがさほどないから二人は会話をしながら攻撃していく。どうやらこのシーラカンスは突進以外に攻撃方法が無さそうだから今までと比べればやりやすかった。ダメージが入らないことを除けばだが。

 

「グワッ!」

 

すると、いきなりシーラカンスが海の方に逃げていく。逃がせば何処かで被害が起こるから二人はそれを追いかける。

シーラカンスは海にたどり着くとそのまま海に潜ってしまう。

 

「海に潜っちゃったね」

「とりあえず追うよ!」

「了解!」

 

逃がすわけにもいかないから二人は海に飛び込む。海の中にはシーラカンスがおり、待ってましたと言わんばかりに突っ込んでくる。陸の時よりも速度が速く、二人はギリギリで回避するも、その際に水流が発生して二人はバランスを崩す。そして、シーラカンスはターンすると、ハグに突っ込んできて、バランスを崩しているから回避もできずガードする。果南はシーラカンスに押されてそのまま海底に突っ込み挟まれる。

 

「くッ」

 

苦悶の表情を浮かべると、果南はその際の衝撃で一気に空気を吐き出してしまい、息が苦しくなる。変身しているとはいえ水の中で息ができるという訳ではないので一度陸に上がらないとまずそうだった。

 

「(え?)」

 

そして、ヨーの姿が見えないと思い見回すと、いつの間にか現れていた巨大なオオグソクムシと戦っていた。どうやら、今回もまた二体同時だったらしく、こうなると助けは見込め無さそうだった。

だから、どうにかハグは一度空気を吸うために浮上するが、そんなハグの状態を察してか、シーラカンスは邪魔するためにハグを狙って来る。

ハグに向かって突進して来て、どうにか回避しようとするとその前にシーラカンスの真横からヨーが蹴りを入れて、進行方向を逸らす。そして、ハグの腕を掴むとそのまま陸に向かって一直線に泳ぐ。普段よりも圧倒的な速さで泳いだことで瞬く間に二人は陸に顔を出し、そのまま陸に上がった。

 

「けほっ、けほっ」

「大丈夫?」

 

だいぶギリギリだったことでせき込むと、そんなハグを心配そうに見ていた。ハグのピンチを察して、オオグソクムシを無視して助けたようだった。

 

「うん、ありがと。でも、どうしてそっちは平気そうなの?私と同じくらい水の中にいたのに」

「あー、それはこれのおかげみたい」

 

曜は全く息苦しくなさそうであり、そんな疑問を口にすると自身の衣装のヒラヒラを持ってそう言った。

 

「どういうこと?」

『ああ、その衣装は武器が無い代わりに水の中でも息ができて、魚みたいにすいすい泳げるようになるからね』

「なにそれ。私はどうしろと?」 

『じゃぁ、衣装チェンジだね』

 

今のハグの状態じゃ、戦闘は厳しくて困っているとルカは平然とそう言った。

 

「衣装チェンジ?」

『うん、二人のキュアフォンを重ねてみて』

「あっ、うん」

「わかった」

 

言われた通り二人はキュアフォンを出して背面同士を合わせてみる。すると、画面に恋アクの衣装が表示された。

 

『で、それを画面の文字を口にしてみて』

「うん。チェンジ、アクアリウム」

 

ルカに言われた通り画面に書かれた文字を口に出すと、ハグの衣装が輝き、瞬く間に恋アクの衣装に変わっていた。

 

「これで水の中でも戦えるの?」

『うん』

「もっと早くに教えておいてほしかったかも」

『あはは。使う機会はないと思ってたから。まさか、水の中で戦うことになるなんて。そうだ、イメージさえ強固なら、他の衣装にもなれるかもしれないから』

「そうなの?」

『まぁ、ぶっつけ本番でやるのはダメだよ。失敗したら隙を与えちゃうようなものだから』

「わかったよ、セイ君」

『とりあえず、これで二人とも水の中で十分戦えるはずだよ!』

「そっか。なら、そろそろ行こうか」

「そうだね。でも、どうして攻撃してこないんだろ?」

「さぁ?海の中に来るの待ってるんじゃない?」

 

とりあえず二人とも水の中で戦えるようになったことで海に飛び込む。陸に上がってから追撃が来なかったことは謎だが、いつまでも陸に居れば津波を起こす等々の攻撃が来るかもしれないため、放置するわけにもいかない。

海の中には二体ともいて、だいぶ海底近くにいたことで一気に潜水して接近する。水圧を一切感じず、息も苦しくなく、いつもよりも泳ぎやすくなっている事ですぐに二体のもとにたどり着く。

そして、ハグはシーラカンスに、ヨーはオオグソクムシにそれぞれ蹴りを食らわせる。しかし、両方とも硬い為やはりダメージは入らない。

結局格闘では二体ともどうにもならず、徒に体力を消耗していくだけだった。

ヨーと連携も考えるが、オオグソクムシの方にかかりっきりな状況。

そして、逡巡した隙を突いてシーラカンスが動く。今まで突進しかしてこなかったシーラカンスの目が赤く輝き、ハグはそれを見てしまった。

直後、ハグの視界が真っ暗になる。

 

「うわー!」

 

果南は暗闇が無理だから悲鳴を上げた。恋アク衣装のおかげで水を飲むことは無いが、恐怖心がハグを包み動けなくなり、そんなノーガードのハグにシーラカンスは突進をして吹き飛ばす。海底に激突する形で止まるも、未だに視界は真っ暗で動けなかった。

 

一方、曜の方も苦戦していた。最初の方はオオグソクムシが攻撃をほぼしなかったのだが、二回目の海に突入してからは、小さいグソクムシが数体現れてそれらが突進して、そのせいで大振りの攻撃をすることが出来ず、オオグソクムシにまともにダメージを与えられない状況になっていた。

グソクムシ自体は殴る蹴るで倒せるが、すぐにオオグソクムシから召喚されるため数が減ることは無い。

 

「(あっ、果南ちゃんが押されてる!)」

 

すると、視界の隅でハグが吹き飛ばされているのが目に入る。グソクムシ事態はそこまで移動が速くない為、逡巡すると即座に決める。

 

「お魚パーティ!」

 

水中でしか使えないという問題点で今まで一度も使ったことのない技を発動させる。

すると、曜の周囲にアジやらイワシなどの魚が現れ、オオグソクムシの周囲をグルグルしてかく乱する。この技はただ単にかく乱するだけの技で、使い道が限られていたが、今の状況ではもってこいだった。

その結果、隙ができてその間にハグのもとに駆けより、シーラカンスの突進より先にハグの腕を取ってギリギリのところで回避する。直後、魚たちがシーラカンスの周囲に集まりかく乱する。

 

「果南ちゃん!」

「曜?」

 

ハグのおでこに自分のおでこを当てて、骨の振動で会話をする。視界が真っ暗な状態の中でヨーの声が聞こえたことで、ハグの恐怖心が薄れる。

 

「落ち着いて。果南ちゃんは今、夜の淡島の山を登ってるってイメージして」

「夜の淡島?」

「そう。曇ってて星明かりが見えなくなってるだけ。それでもダメ?」

「……懐中電灯は?」

「電池切れ。そんな状態も一度くらいあったでしょ?その時どうしたの?」

「それは……あっ。うん、そうだよね。ありがと、曜。もう大丈夫」

 

ヨーに言われて考えた結果、その時どうしていたのか思い出した。それに、曜もそばにいるし、今自分がいる場所が何処かも思い出した。

だからこそ、恐怖心が無くなった。

 

「曜、シーラカンスは任せて」

「うん。オオグソクムシは任せてね。きっちり倒すから!」

 

二人はそう言っておでこを離すと、ヨーは一直線にオオグソクムシの元に戻る。

そして、シーラカンスは魚たちを振り払うとハグに向かって来る。対するハグは、力を抜いて水中を浮いていた。

シーラカンスの姿は未だに見えない。だから、シーラカンスは攻撃が当たると確信していた。

 

「そこ!」

 

しかし、突進に合わせてハグの回し蹴りが顎にヒットして、カウンターをもろにくらって吹っ飛ぶ。偶然かと思い、シーラカンスはもう一度突進するが、まるで見えているかのように右に回避し様に蹴りを食らわせた。その結果シーラカンスの目に蹴りが辺り、右目が壊れる。

 

「(動いた振動が、水の流れが、海が私に教えてくれる。真っ暗は怖いけど、海の中だから大丈夫)」

 

水の流れで位置を把握すると、一気に飛び出し、もう一撃加える。蹴りは左目に直撃して破壊し、その結果ハグの視界が晴れる。視界が良好になったことでハグは今までのお返しとばかりにシーラカンスの尾を掴むと、そのままオオグソクムシの方に投げ飛ばす。ヨーは飛んできたことに気付くと慌てて回避し、二体が激突する。

二体は激突の衝撃で動く気配はなく、二人はアイコンタクトをすると、一気に決めにかかる。

 

「「アクアウェーブ!」」

 

二人同時にそう言うと、一気に波が二体を包み二体は黒い粒子になって消えていったのだった。

 

 

~☆~

 

 

「ふぅ、今回もどうにかなったね」

『ギリギリだったけど』

「そうだね。っと、急いで戻らないと」

『あと十分くらいで授業始まっちゃうね』

 

陸に上がった二人は、とりあえず勝利を喜ぶも今は昼休みだということに気付いて慌てて戻る。

 

「屋上なら誰もいないはず!」

「うん、じゃぁ、屋上に着くまではこのままで」

 

時間が無いから変身を解かずに二人は木々を足場に跳躍して瞬く間に浦女に付いた。そして、ピョンとジャンプして屋上にたどり着いた。怪物騒ぎがあったからか、道中も校庭にも誰もいなかったおかげで想像以上に早くつけたのだが……

 

「え?今下から跳んできた?」

「あっ、よーちゃん、果南ちゃん、おかえりー」

 

屋上には何故か梨子と千歌がいたのだった。

 

「「え?」」

『『ありゃ?』』

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