ハグしよ?プリキュア   作:猫犬

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登場!キュアリリー

「ねぇ、変身した状態じゃダメなの?あの状態ならいける的なご都合主義はないの?」

『『あっ……』』

「もしかして……」

『その手があった』

「えー」

 

善子の疑問を聞いたルカとセイは間の抜けた声を漏らし、その考えに至らなかったことに対して変な空気になる。

 

「じゃぁ、私たち行けるってこと?」

『うん、それならいけるよ』

『でも、危険があるよ?』

「わかってる。それでも行くよ」

『わかった。なら変身だよ!』

 

確認の意味を込めて聞くと、やっぱり行けるようだった。これで魔法界を救いに行くことが可能になった。ルカたちが心配するも、果南も曜も行かない理由が無かった。そもそも、自分たちにできることがあるなら、それをしたいから。

二人の意思を受け取ると、そう言い、二人はキュアフォンを手に取る。

 

「「プリキュア、スタートアップ!」」

 

そして、二人はキュアフォンで本日三回目の変身をする。

果南はHPT、曜は恋アクの衣装を纏っていた。

 

『お兄ちゃんはこの通りだから、善子ちゃんお願い』

「わかったわ。みんな気を付けてね」

「うん、行って来るね」

「行ってきます」

 

向こうがどうなっているのかわからない状態であり、眠った状態のウッチーを連れていくわけにもいかないから善子に預けると、ハグとヨーは空間の穴に飛び込む。

 

「私にもできることはまだあるはず!」

 

そして、善子はウッチーをベッドに寝かせると自分にできることを探し始めるのだった。

 

 

~☆~

 

 

「たどり着けた?」

「うん。そうみたい」

 

空間の穴から出ると、そこは青々とした海に空を浮く島という光景が広がっていた。島が空を浮いている辺りからいって、魔法界だということは一目で分かった。

 

『二人とも急ぐよ』

「どこ行けばいいの?」

『闇の気配が向こうからするよ!』

「わかった」

 

ルカがヒレで浮く島の一つを指した。果南たちがいる場所よりも上空で、跳躍して行ける距離じゃなかった。

アゼリアなら飛んで行けると果南が考えると、曜も同じことを考える。

 

「「チェンジ、アゼリアエンジェル!」」

「……あれ?」

 

二人はAZALEAの衣装を頭に浮かべて発生すると、果南はAZALEAの衣装を纏えたが、曜は何の変化も無く恋アクのままだった。

 

「うーん、曜はAZALEAじゃないからダメってことかな?」

「そうみたい。そうなると私はCYaRon!の衣装を纏えることになるけど、飛べる気がしないよ」

 

一つはアイドル衣装、もう一つは海賊。どちらにしろ飛べるイメージは皆無であり、だから曜が飛ぶことはできなさそうだった。なら果南が運ぶという手もあるが、それだと不測の事態が起きた際に対応ができなくなる恐れがあった。

 

『あそこまで行くのは大変だから、二人とも僕たちに乗って』

『僕たちが連れて行くね』

 

すると、ルカとセイがポンッとコミカルな煙と共に子イルカとセイウチの姿になる。

二人はそう言ってくれたので、その言葉に甘えてそれぞれ背に乗ると目的の島へと進みだす。魔法界だからか宙を泳ぐようにして進み、瞬く間に目的の島にたどり着く。

しかし、その島の惨状は悲惨な物だった。

 

「何これ……」

「ひどい……」

 

そこにはミノタウロスとオオグソクムシがおり、そこにあったであろう集落は壊滅していた。このままなら二体は別の場所でまた暴れる恐れがあり、二人は二体を倒すために背から降りて島に上陸する。

 

「行くよ!」

「了解!」

 

同時に地を蹴ると、ハグはミノタウロスに、ヨーはオオグソクムシに向かって攻撃する。どっちも戦ったことがあるから攻撃方法はわかっており、善子が見たという黒いモヤを探さなくてはいけないから早急に倒す必要があった。

ハグはミノタウロスの角を掴むとそのまま空を飛んで持ち上げ高高度から力任せに下に叩き付けるように投げ、そのままダイブキックの要領で地面に叩き付けられたミノタウロスに一撃を入れる。ミノタウロスは苦悶の表情をする。

ヨーはオオグソクムシの身体と地面の間の隙間に足を入れてそのまま蹴り上げ、比較的硬度が低い足がある部分を見えるようにして攻撃する。

 

「ハーグ」

「全速前進、ヨーソロー!」

 

ハグは倒れたミノタウロスにハグをして浄化し、ヨーは突進をして倒した。あっさり倒せたことで安堵するも二人とも感じていた。

 

「前よりも弱くなってるよね?」

「だね。でも、初見だと厄介だから対抗できなかったんだろうね」

 

それでも、この世界の人たちなら苦戦していたと思った。だから、集落が壊滅したのだと。すると、空から黒いモヤモヤしたものが降り立ってきて、島の地面に足が付くと人のような形になる。しかし、その背には右半分が白、左半分が黒の翼が生えていた。

 

「なにあれ……」

「さぁ?堕天使?」

【なるほど。戻ってこないと思えばおまえたちが邪魔をしていた訳か】

「誰?」

【ふっ、我が名は魔王ルシファー。地獄を統べる王にして、全ての世界を侵略する者だ】

「うわー。変なの出てきた」

「はぁー。怪物の中に善子ちゃんの好きそうな名前のもいたけど、まさかウッチーを闇落ちさせてた原因が魔王とはね」

【我が手を下すのも一興だが、それではつまらんな。行け、我が(しもべ)たち!】

 

ルシファーがそう言って六翼の翼をはためかせると、いくつもの羽が飛び散り、瞬く間に巨大化して真っ黒い狼や牛などの動物になる。その数はざっと二、三十体はいた。それらはハグたちを囲むような形でいつ襲ってきてもおかしくなかった。

 

【では、我はこの世界を統べる者と逢いまみえるとしよう】

「待て!……くっ」

 

ルシファーはそう言うと、何処かに飛び去ろうとし、追いかけようとするも怪物たちが邪魔をし、ルシファーはハグたちに構わず行ってしまう。

 

「急いで追わないと!」

「でも、こいつらが邪魔で追いかけられないよ」

『こうなったらパパッと倒して追いかけよう!』

『それしかないよね。よし!僕たちも戦うよ』

「え?戦えるの?」

『戦いなんてからっきしだよ。でも、動物たちぐらいなら……たぶん』

「そこは自信持ってよ!」

 

自信なさげのルカにハグが突っ込むと、そのツッコミが何故か動物と怪物たちの開戦の狼煙になったのか飛び出してくる。

 

「ルカ!」

「セイ君!」

『『うん!』』

 

ハグとヨーは襲いかかってきた敵を見るや二人の名前を呼び、それだけで考えていることが分かったのかセイはヨーのそばに寄り、直後にヨーが背に乗せる。ルカは背に乗っている隙に攻撃を仕掛けてくる狼に向かって口を開くと口から音波が放たれ狼が吹き飛ぶ。その隣でハグが羽を羽ばたかせ、ハグたちは急上昇する

流石にあの数を同時に相手取るのは厳しいから、一度距離を取って作戦を練る。

 

「あの数を四人で相手にするのは無理だよね」

「流石にね。そうなると、やっぱり複数体同時に攻撃するのが一番だけど」

「動物なら火に怯えるだろうけど……」

「それだ!未熟DREAMERで花火を使ったから」

「そういうことね。なら、イメージをするよ!」

 

ハグがなんとなしに言った言葉でヨーが何か思いついたのか声をあげ、ハグもそれならと同意をするとルカの背にハグが乗り、二人は目を瞑って衣装をイメージする。

 

「「チェンジ、未熟DREAMER!」」

 

衣装がはっきりとすると二人同時に叫んだ。すると、二人の衣装が未熟DREAMERの衣装に変化する。

ハグがAZALEAの衣装を纏うことができたからもしかしたら他の衣装を纏える気がしてやってみた結果できてしまった。

 

「行くよ!」

「うん」

「「たーまやー!」」

 

二人は手を動物たちにかざすと、手から火の球――というか花火が放たれ、地面に着弾すると爆発して周囲に炎が飛ぶ。結果、動物たちはどんどん焼かれて行き、瞬く間に全滅させることができた。

 

「「やった!」」

『すごい。自分たちが作って踊ってきた衣装だから、こうも簡単に次々と変身できるなんて』

『でも、目を瞑ってイメージをしてる間は無防備だからまだ危ないかも』

「感心してないで、追いかけないと!」

『あっ、そうだった』

 

今は急がないといけないのに、何故か感心してしまっている二人に言うと、それで気付いたのかそんな反応をした。そして、行き先が分かっているのか猛スピードで空を泳ぎ出す。

振り落とされないようにしっかり捕まって進むこと数分。

 

【もう追いついてきたか。流石に低級では足止めにもならんか】

 

別の島にルシファーがおり、ルシファーの足元にはエビやカニが倒れていた。

 

『そんな。王国兵がこうも簡単に倒されちゃうなんて』

【この程度の奴らでは我は止められんよ】

「そっか。なら私たちが止める」

【おまえらにできるかな?】

「できるかどうかじゃないよ。止めてみせる!」

「そういう事。二対一だけど卑怯とか言わないでねッ!」

 

ルカ達から降りると、ハグはそう言うや否や地を蹴ってルシファーに接近し、回し蹴りをする。ルシファーはそれを片手でいとも簡単に掴んで止めると、背後からヨーが蹴りを放つ。しかし、それすらももう一方の手で掴み、二人をそのまま投げ飛ばす。

 

「うわっ!っと」

「よっと!」

 

二人は空中で体勢を整えて地面に着地をする。

ルシファーが今まで戦ってきたの敵とは格が違うことを感じるも、二人とも一切諦める気も出てこなかった。今の攻撃はあいさつ代わりの一撃だったから防がれるのはわかっていたし、魔王の時点で格が違うのはわかっていた。

そして、二人が攻撃したその一瞬で、倒れていた王国兵は全員ルカとセイが回収して遠くに運んでいた。

 

「よし、これで心おきなくやれる」

【ほう。なら我を楽しませてくれよ】

「楽しませてなんてあげないよ!たーまやー」

 

ヨーがルシファーに手を向けるとそのまま花火を放つ。打撃がダメなら遠距離攻撃をするだけの事。これは範囲が広かったから、王国兵を退避させる必要があったが、退避が完了した以上は出し惜しむ必要も無い。

花火は一直線に飛ぶも、ルシファーが翼を羽ばたかせただけで消えてしまった。

 

「嘘……」

【脆い技だな。炎はこうやるものだ!】

 

ルシファーはお返しとばかりに腕から炎の弾を放つ。それはヨーの放った花火よりも速く、二人はギリギリで回避するのが精一杯だった。そして、回避した炎の弾が地面に当たると、島を揺らして穴を開けていた。

もし当たっていたら一発でアウトな気がして二人の頬に汗がつたう。しかし、そんなことお構いなしにルシファーは炎の弾を乱射する。

それらを寸での所で回避し続けると、途中でルシファーが弾を放つのを辞める。

花火が聞かなかった以上、この衣装のままだと埒があかないので、格闘能力が上がりそうな衣装を考える。

 

「MIRACLE WAVEの衣装で行くよ」

「わかった!」

 

ハグにそう言って、ヨーは目を閉じる。流石に二人同時に衣装を変えるのをルシファーが許すとも思えなかったから、衣装チェンジするのはヨー一人だけ。

 

【ほう、戦い中に目を瞑るか】

「私がその間は相手してあげるよ。チェンジ、トレイン」

 

隙ができているヨーを護るようにヨーの前にハグが立つと瞬時にHPT衣装に変わる。HPTと恋アクは二人のそれぞれの初期装備だからか他の衣装のようにイメージしなくても変えることができる。

ハグはルシファーに接近すると、蹴りを放つ。ルシファーはまた同じことをしてきたことで、ハグの足を掴む。

 

【同じことをするとは呆れたぞ】

ピー!

 

しかし、蹴りを入れた時にはすでにハグはホイッスルを咥えていて、至近距離から音の波を放つ。音の波はルシファーの身体に直撃するも、どうやらあまり効いていないようで、そのまま投げ飛ばされる。

 

「ありゃ、やっぱり収束させないとダメか」

【ふっ!】

「ほっ!」

「チェンジ、MIRACLE WAVE!」

 

ルシファーのパンチをまともに受けるのは危険な気がして受け流していると、ヨーのイメージが固まったのか衣装がピンク色のチアリーダーのような――MIRACLE WAVEの衣装に変化する。

衣装が変わった直後、ヨーは目を開けると地を強く踏みしめてルシファー一直線に突っ込み、ルシファーの目の前に止まるとその勢いを乗せてパンチを放つ。その一撃をルシファーが手で受け止めると、勢いを止めきれずルシファーの身体が少し押された。

 

【ほう。我が押されるとはな。では、我も少し力を出すとしよう】

「え?がッ!」

「うわっ!嘘!」

 

ルシファーがそう言うと、ヨーの手を握りそのまま上に持ち上げて地面に叩き付け、再び持ち上げるとハグに向けて投げつける。どうにか受け止めようとするもすごい勢いでそのままハグごと吹き飛ぶ。

二人は地面に倒れると、ルシファーは追撃とばかりに炎の弾を放つ。二人は回避しきれずもろにくらうと爆炎に包まれ、炎が風で流されると、そこには変身が解けた二人が倒れていた。二人はどうして変身が解けたのかわからず、もう一度変身しようとキュアフォンを取り出す。しかし、画面が映ることは無かった。

 

「え?どうして?」

「嘘……キュアフォンが壊れた?」

【ふっ。少し本気を出しただけで終わってしまったか。まぁいい】

「そんな」

「こんなに差があるなんて……」

【今のおまえたちならこれで十分だな】

 

二人ともボロボロで、動くことも変身することもままならず、ルシファーはそんな二人に対して翼をはためかせて、羽を二つ飛ばす。

すると、二つの羽が一つに集まって巨大なカラス――ヤタガラスが現れる。

ルシファーはヤタガラスに後を任せると、空を飛んで去って行く。

大きなダメージのせいで動けない二人にヤタガラスは翼をはためかせるとそのまま突進をし、二人が倒れていた場所に突っ込み繋煙が舞う。

 

「ゲホッ、ゲホッ」

「ありがと、二人とも」

『良かったよ、間に合って』

 

ヤタガラスが二人に届く直前に、ルカとセイが飛び込んできて、二人の服の襟を加えてギリギリ事なきを得ていた。

 

『それよりも追いかけてきてる!』

 

しかし、ヤタガラスは仕留めそこなったことに気付くと、羽ばたいて追いかけてくる。動物な二人と怪物であるヤタガラスの間では能力差は歴然で、距離がどんどん詰まっていく。

そして、ヤタガラスに突っ込まれてその羽に轢かれて果南たちは墜落する。運よく浮島の上にいたことで落下死はしなかったが、先ほどの戦いの影響で、動くのもままならずこのままではヤタガラスにやられてしまいそうだった。

ヤタガラスは動けない果南に標的を定めると一直線に突っ込み、

 

「きゃぁ!」

 

空から降ってきた少女に運悪く(果南たちからすれば運よく)頭を踏まれてヤタガラスが浮島の地面に墜落した。

 

「いたた。まさか、空から降ってくることになるなんて」

「「え?」」

「あっ、果南ちゃん!曜ちゃん!」

 

空から降ってきた少女は腰をさすりながら体を起こし、二人はその少女の声と顔に驚いた。

空から降って来たのは梨子であり、何故かピアノコンクールで着ていたというドレスを身に纏っていた。梨子は果南たちに気付くと、途端に明るい表情になる

しかし、絶賛下敷きになっているヤタガラスが顔を上げると、梨子はコロンと地面に転がった。

 

「って、なんで敵がいて二人は変身してないの?」

「いやー。色々あって壊されちゃって変身できなくなって。というか、なんで梨子ちゃんのその恰好は何?」

「それこそ色々あったんだよ。でも、話は後だよね?今はどうにかしないと。あと、これが私の初期衣装みたい。変身中はキュアリリーなんだって」

「なんで人伝なの?」

 

果南が首を傾げると、ヤタガラスが突っ込んできて、リリー(以降変身中はリリー)は二人の服の襟を掴むと上に投げ、リリー自身も回避する。

宙を舞っている二人をルカ達が空中キャッチすると、リリーは地面に突っ込んだヤタガラスにパンチをする。

しかし、インドア派の梨子はそこまで威力が出ていないのかあまり効いていなかった。

 

「うーん。やっぱり私は戦い向いてないよー」

「がんばって、リリーちゃん!今私たち戦えないから」

「そうそう」

「はぁ、仕方ない」

 

リリーは小さく嘆息すると、何も無い空気中に両手を上げ、いきなり空気を叩くように指を動かす。すると、ピアノの旋律が響き始め、その演奏はどこか攻撃的で、奏でられる音の波が連続して発生してヤタガラスを襲う。ホイッスルが大きな一波に対して、小さな波が連続して襲う為そこまで硬くないヤタガラスには大ダメージとなっていく。

 

「これで終わり!」

 

リリーはそう言って最後に思いっきり叩くとその音を受けてヤタガラスが消滅したのだった。

リリーはヤタガラスを倒せたことに安堵すると、続いて演奏がゆったりしたものになり、その音色が果南たちを包む。すると、身体の節々にあった痛みが和らいでいき、数分するとだいぶ動けるくらいに回復していた。

それでようやく変身を解除し、梨子は一息ついた。

 

「梨子ちゃん、今のは?それにどうやってここに?」

「今のは癒す音色だよ。私のあの衣装はどっちかと言えばサポート系みたいで能力強化や回復させるのが能力みたいで」

「あれ?でも、倒してたよね?」

「うん。一応攻撃もあるけど、さっきのは弱い部類だったんだと思う。そうじゃなかったら倒せなかったと思うから」

 

今起きていたことはそういうことだったみたいだった。しかし、まだ梨子がここに来れたわけが聞けていなかった。可能性としてはウッチーが起きて、梨子に変身能力が与えられた可能性もあるが。

 

「ウッチーから力を貰ったの?」

『いや、それならお兄ちゃんがいるはずだよ』

「あー、それには訳があって私が先行して降りて来ちゃって」




という訳で梨子ちゃんがなっちゃいました。
まぁ、感想の返信でなんとなく察している方もいたかもですが。
では、ノシ
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