「またどこかでお会いしましょう…か」
その言葉を今まで何回聞いてきたのだろうか、ギルドに所属していたメンバーだけでなく何度か共闘したギルドのメンバー達からも聞いた言葉だ。
だが誰一人として戻ってきた者など居なかった。
モモンガはリアルに親しい友人が居る訳でもなく、ギルドマスターであり思い入れの強い『アインズ・ウール・ゴウン』を潰させないために維持してきたのだ。
「はぁ…仕方ない…仕方ないんだよな…」
モモンガも頭では理解しているのだ、みんなリアルがある。
「そういえば今日あの人はまだ来てないのかな?皆勤賞の人にしてはめずら『ピ――』っと噂をすれば」
モモンガが思いに浸っているとアラームのような音が鳴った。
アインズ・ウール・ゴウンのメンバーの殆どが引退と脱退をした中モモンガと共にギルドに残り今までやってきた仲間が独り居るのだ。
「こんばんは、レオンさん」
「こんばんはーお疲れ様ですー」
その名を『レオン・D・ファンション』種族はドッペルゲンガーである。
「今日は如何されたんですか?ナザリックには居ないみたいですけど」
「あー実は市場の方に来てるんですよ、今日でサービス終了って事で色々なプレイヤーが 自分達の所持してる武器やらナニやらを売りに出してるんで買い物に来てるんです」
何か1つニュアンスが違ったような気もするがモモンガはあえてスルーすることに。
「なるほど、サービス終了だから自分達の作った武器や防具を見せたい売りたいって事ですね…でもレオンさん、サービス終了したら意味無いのに『買い物』に行ってるんですか?」
「そうですよ、いやーみんな色々売ってるもんですね、課金アイテムを格安で売ってる知り合いが居たんで交渉して大人買いしてしまいましたよ。え?意味?…はっはっは!」
そう、意味が無くなるのは自分も同じなのだがそんな事は気にせず買い物を楽しんでいるようだ、むしろ安く珍しいアイテムとかを格安で手に入れてラッキー程度に考えている。
「はあ、課金アイテムも有るんですか、興味は惹かれますがもう時間的にそっちに行くのは面倒ですね、此方には戻られるんですよね?」
「ええサービス終了はナザリックでモモンガ君と一緒に迎えるつもりですよ、そこでお願いなんですが玉座の間で待っていてもらって構いませんか?」
「わかりましたでは玉座の間で待ってますね。けどなんで玉座なんですか?」
「え?そりゃあ最後のときはナザリック最深部でどっしり構えて終わりたいじゃないですか」
「どっしり構えて、とか言ってる人がナザリックにまだ居ないですよ?」
「まじすか?かっこよく終わりたい、有終の美を飾りたいとか言ってるのに最後の最後に駆け込んで行くような馬鹿がいるんですか?情けないったらありゃしないですね!」
「それフラグじゃないですよね?」
「……大丈夫だよ…うん、ダイジョウブダヨ?」
「不安しかないですよ!?………まあ玉座の間で待っていますからちゃんと来てくださいね?」
「大丈夫大丈夫、後数軒見たらそっちに行くから、それじゃまた後でー」
そこでメッセージは途切れた
「不安しかないですよレオンさん…でも俺もそろそろ移動しとかないと、どっしりって言ってたんだから俺も先に行って待ってよう」
そう言うとモモンガは玉座の間に移動を始めた。
玉座の間に着いたモモンガを待っていたのは純白のドレスをまとった美しい女性アルベドであった。モモンガはここに来るまでにセバスやプレアデスを引き連れていた。
「ふむ…セバスたちはここまでかな?待機」
玉座へ続く階段の手前にセバス達を待たせモモンガは階段を上がり玉座に座る。
「レオンさんはまだ来ない…本当にフラグおったててるじゃないですか…」
モモンガは頭を抱えながら横に立つアルベドを見る。
「レオンさんを待つ間設定でもみるか」
設定を見た瞬間回覧した事を後悔したくなった。アルベドの設定をしたのは設定魔のタブラ・スマラグディナだったのだ。流石は設定魔、期待を裏切らないほど細かい設定がぎっしり書かれていたのだ、モモンガは読むのを諦めつつ説明文を下へとスクロールしていく。そして最後に書かれていたのは『ビッチである』
「あーギャップ萌えだっけタブラさんは…でもいくらなんでもこれはかわいそうだろ」
そう言うとモモンガはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの機能を使いビッチという文字を消していく。
「何か追加したほうがいいかな?」
モモンガはしばらく考えてから。新たにキーボードを叩いていく。
『モモンガを愛している』
「んふっ、俺は何をしているんだ」
モモンガはやはり『ギルドメンバーを愛している』にかえるかとキーボードを操作しようとするが、決定キーに指が触れてしまい設定が完了してしまった。
「あ…ま、まあいいか。最終日だし」
どうせこの恥ずかしい設定もあと少しで終わるからと。
「さてと、本当にレオンさんは何時くるんだ?最後の最後に1人で終了とか勘弁してくださいよ?」
「いやー流石最終日だなー、『
レオンは上機嫌で市場を歩いていた、それも仕方のないことだろう課金しても中々手に入らないアイテムを数十個買いあさった挙句一軒の店でとんでもないアイテムを購入したのだから。
「しっかしワールドアイテムまで売ってるとはな…思わず3度見してしまったわ、なにはともあれ早くナザリックに戻ってモモンガ君に自慢しなきゃ!」
ワールドアイテムを手に入れることが出来てそれをモモンガに見せることを考えながら時間を確認する。
23:54:12
「……は?」
レオンは表示が理解できずに固まり時間をまじまじと確認しなおす。
23:54:19
「はああああ!?」
まさにフラグを自ら立てただけの事はある、バッチリやばい時間になっていた。
「やっべえよ!やばすぎるよ!えーとこういう時は『
レオンは急いで魔法リストの中から『
「はあ!?なんでナザリックの入り口までなんだよ!?」
23:55:48
ナザリックは防衛の都合上転移の魔法は阻害されている、そんな事はレオンも分かっているのだが時間を気にし過ぎて慌てているレオンは忘れているようだった。
「やべえよモモンガ君に言われた通りになっちまったよ!」
レオンは取り合えず『
「お!シャルティア!お疲れ!っとモモンガ君に『
23:57:56
「レオンさんなにやってるんですか!?時間ぜんぜん無いじゃないですか!?」
「買い物し過ぎたのは謝るから!今全力で第3階層走ってるから許して!」
23:58:40
「走ってる!?なんで指輪の効果で移動してこないんですか!?」
「指輪の効果?…ああ!忘れてた!すぐ行く!」
ナザリックは転移の魔法は阻害されているが『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』を使えばナザリックの中は転移可能だ。
23:59:30
「レオンさん!」
「ちょ待てよ!場所を選択して!」
23:59:55
「モモンガ君今行くぜ!」
レオンはメニュー画面を見ていたため残りの時間がどれだけ有るか気づいていなかった。指輪の能力が発動する。
00:00:00
「ん?レオンさん?あれ?」
「あれ?モモンガ君?ん?は?」
「レオンさん?…どうなってるんだ?」
「おいおい…なんだよこれ」
「いかがなさいましたか?モモンガ様?」
「え?…アルベドが…NPCが喋ってる!?」
「なんで俺は玉座の間に移動したのに…草原に居るんだよ!」
「「どうなってるんだ!!」」