オーバーロード~死の王と幻影の王~   作:ミズナラ

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とてもとてもお久し振りです


12話

 眼下に広がっていたのは地獄だった。

 

 

 

 

「まったく一体なんだって外出禁止令なんか出てんだよ」

「面倒な事になりやしたね!」

 帝国軍がエ・ランテルの前に陣を構えてから数刻。突然の市長によって出された一報は戦争に関しての事だったがそれは一般市民だけでなくエ・ランテルに駐留している兵士達にも動揺が起きたモノだった。

「『一般市民は市長の許可が下りるまで建物外への外出を禁じる、兵は全員城門内で待機せよ』意味がわかんねえよな、しかも城門の外を見ることすら禁止だってんだろ?」

 目の前で俺よりも歳が上と言うだけで偉そうにしている男が不服そうにしている。

 ここはエ・ランテルにある城門の一番外側だ、本来であればこのエリアも立ち入りを禁止されている。が、どんな所にも真面目な連中ばかりじゃない、一般兵や市民、様々な連中が城壁の覗き窓から帝国軍(戦場)を覗いている。

「それにしても本当に1人で帝国軍を抑えられるのか?四万人いるって話だろ?絶対無理だろ」

 小さな覗き窓を1人で占領しているせいで俺達は城壁の外を見る事が出来ないが、兵士達の噂では4万もの帝国軍をたった一人の男が生まれながらの異能(タレント)を使って押し留める手筈になっているらしい。

「あーああ、さっさとおっぱじめねえかなー」

「早くどんぱち初めて欲しいっすね!」

 たった一人で如何するのか気にはなるが、それよりも俺はこの男の方が気に入らん、俺より年上でこの世界に入ったのが少し早いからと言うだけで偉そうに指図してきやがる。

 この世界は力ある者が上に立つ世界、俺の方が強いのだから覗き窓を見る権利は俺に有るはずだ。しかし目の前の男に媚び売る連中がこの場には多すぎる。流石に今の俺ではこの場にいる17人を相手にするのは無理だろう。

「お!やっと出て来やがったぜ!どんな殺され方するのか楽しみだな!」

 エ・ランテル側が殺される前提か…まあ俺も殺されるとは思っているがどんな事をするのか楽しみだったが…今は我慢するか、今のところはな。

 

 

「―――――――――――――!!!」

「ひっ!」

 聴こえてきたのは帝国軍の咆哮ではなかった。いや、帝国軍の咆哮らしいモノは確かに聞こえた、だがその後に聞こえてきたのは今まで生きてきた人生の中で聞いたことも無いような『声』だった。

 そもそも聞こえてきたのは本当に『声』だったのか。だが俺の中の本能が今聞こえてきたモノは『咆哮』だと言っている。そしてその『声』を聞いてから身体が動かなくなった、恐怖で身体が言う事を聞かない。これじゃまるで蛇に睨まれた蛙になった気分だ。

 恐怖で動かない身体で周りを見てみると何人かは白目向いて地面に倒れていやがる、痙攣してるようだから気を失ってるだけだろう。偉そうにしてた男は覗き窓から目が離せないでいやがる。

「ひっ!?あ!?ああああ!?来るな!来るんじゃねえ!!」

 男が覗き窓から勢いよく離れたかと思うと真っ青を通り越しもはや真っ白になった顔で俺たちを見た、その瞬間今まで見た事もない程の速さで反対の通路へと逃げて行った。

 なにがあったんだ?一体何が…外から沢山の悲鳴が聞こえる。足が重たい…だが動かないわけじゃない。

 俺は重くなった足で覗き窓から外の様子を見た。

「なんだ、あれ」

 そこにあったのは見方同士で殺しあっている兵士、自らの身体に武器を突き刺す兵士、地面でのたうち回っている兵士、逃げ回る兵士、どの兵士達も悲鳴を上げているのが分かる。

「いったい…なにが起こったんだ」

 こんな戦場見たことが無い、そもそも俺が見ているモノは現実なのか?

「―――」

 笑い声?この状況で笑ってる奴がいるのか?そんな奴何処にも…あれはワイバーン!?跨っている男が笑っているのか!?後ろを向いているって事は帝国軍と向き合っていた?あれがエ・ランテルから出て行った1人か!?

 狂ってやがる、この状況で笑える人間なんているのか!?

 

「あ、ああぁぁ…」

 振り返った男は笑っていた、この惨劇を喜ぶように。

「あれは…悪魔なのか?」

 エ・ランテルを守るために出て行った男は人間などではなかった、アレは化け物で悪だ。

  

 

 

  

  

  

 

 エ・ランテルにおける帝国との戦争から5日ほど過ぎラナーとレオンは王都へと戻った。

 そしてレオンはランポッサ三世から報酬を与えられていた。

「今回の一件実に大儀であった、そなたのおかげでエ・ランテルの民は少ない被害で帝国の脅威から逃れる事ができた。感謝する」

「当然のことをしただけです」

「今回の働きに国王陛下より白金貨500枚を褒美として授与する」

「ありがとうございます」

 ランポッサ三世はエ・ランテルに向かった時とどこと無く雰囲気の違うレオンに恐怖を覚える。

 

 

レオンが退室し残されたのは国王と大臣と護衛の兵だけになった。

「国王陛下!本当に宜しいのですか!」

 大臣がランポッサ三世に詰め寄る。

「…なんの事だ?大臣」

「あの男はエ・ランテルの民を戦争に巻き込んだのですよ!?」

 エ・ランテルの外で魔法を繰り出したレオンであったが多少だがエ・ランテルの兵士や市民にも死傷者がでてしまったのだ。

「大臣の言いたい事も分かるが…では大臣よ。お主はたった一人でエ・ランテルを守り抜く事ができたか?」

「それは…」

「出来る訳なかろう?確かにエ・ランテルの民に108人の犠牲があったとはいえ帝国兵4万人の進軍を防いだ。民を巻き込んだと言ったがそもそも帝国軍をエ・ランテルに居る兵士だけで抑えたとしたら被害はどうなっていた?それこそ我が国の兵、民の被害は想像もつかないものになっていたはずだ」

 エ・ランテルにおける死者108名、その殆どが城壁から戦場を見ようとした者達。

 突然奇声を上げて自害した者、奇声を上げて周囲の者に襲い掛かり最後に糸が切れた様に動かなくなった者、奇声を上げた者に襲われて亡くなった者。

 そう、『建物の外に出なかった市民』には被害が無かった。

「で、ですが陛下、あのような男が城内に居るというのはいささか問題なのではないでしょうか?」

「うむ…」

(大臣の言いたい事も分かる、確かにレオンと言う男はラナーが護衛にと雇い入れた男、その実力は申し分ないかも知れぬが。ラナーに悪影響を与えかねないのでは?しかし今更この国から出て行けとも言えぬ…それこそ追い出した事に怒り帝国側に付かれるのはもっと問題…)

「仕方ない、素性を探らせるしか有るまい」

「陛下?」

「大臣よ今すぐ朱の雫のアインドラに連絡を。レオン(あの男)の素性を探らせよう」




お久し振りです。皆様お元気にされていましたでしょうか?
私は少々家庭の事情でバタバタしておりました。
まあそんな事は置いておきまして。

吃驚するぐらい短いお話の投降になってしまいました。
申し訳ない気持ちでいっぱいです。

今回で戦争のお話は終了となります。
次回ついに、ついに!メイードさんが登場予定です。
10年前なのでまだメイドさんではないかも知れませんが…

ではでは、次回のお話で~



活動報告やツイッターの方で近状報告などもしてますのでお暇があれば覗いてみてください。



え?予定は未定だって?
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