オーバーロード~死の王と幻影の王~   作:ミズナラ

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勢いだけで書いてしまった気がしないでもない。

だが後悔は無い。

…恐らく


メイードさんが!?


13話

 私にもいつか幸せが訪れると思っていた。

 

 

 

 私が産まれた村はとても小さな村でした、とても裕福とは言えない暮らしでしたが妹と2人で互いを支えあいながら慎ましくも楽しく暮していました。

 そんな私にも夢という物がありました、この村の人でなくても良いから素敵な人と結ばれ幸せな家庭を築きたい。

 子供は2人欲しいな、私は姉妹だったから男の子と女の子の兄妹って憧れるな。何より父親母親揃っての4人家族で暮したいな…私にはもう叶わないから。

 妹も素敵な男性と結ばれて欲しい、そして家族同士の付き合いというのを続けてたい。

 そう、女の子なら一度は憧れるであろう王子様と結婚するなんて夢は持ち合わせていない。『幸せな家庭を築きたい』ただそれだけ。

 まあ少し位は『裕福な』家庭を築きたいって思ったことは有るけど……それでも幸せな家庭だったら何でも良いかな…

 

 

 私が夢見た理想の家庭…それは9歳で打ち砕かれる事になった。

 

 

 村に徴税に来た貴族に妾として村から連れ出されてしまった、妹の所に戻りたいけど恐らく不可能だろう。

 これから1人で生きていかなくては成らないけど貴女だけでも幸せになってね。

 

 私の大切な―――

 

 

 

 

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の戦争から7日が経った、戦争があったと王都でも話題に上がりそうだが話題に成っているのはほんの一部界隈だけ。

 平和に慣れきってしまっている王国、特に戦地から離れている王都の民にとっては別の世界の話しなのかもしれない。

「これが平和ボケってやつなのかね?」

 戦争をした国とは思えないほど普段とさして変わらない城内をレオンは歩いていた。

 今回の戦争でレオンの行った行動については国王によって緘口令が出され戦争を直接見聞きしていない王都では『戦争を勝利に導いた立役者』として国王より褒美を貰った男という事に成っている。

(しかし、自分達の国で戦争が起こったって言うのに呑気な連中だな戦争の前となんら変わらない)

 なんら変わらない、レオンにとって変化のない風景かもしれないが周囲のレオンに対する見る目には変化があった。

 

 城内を見回る兵士達は。

「アレが帝国軍を滅ぼした英雄様か?」

「止せって、お前も滅ぼされちまうぞ、ってかその話はやばくないか?」

「大丈夫だろ?緘口令なんて出てるみたいだけどそんなの無駄だろ」

「まあそうだけど…っとこっち来たぞ」

 兵士達の会話など興味が無いのかレオンは右手でチェーンのような物を指に掛けクルクルと回している、長さからブレスレッドのように見える。

「……横を通ったのに俺たちのほうを見向きもしないのかよ、会話が聞こえてなかったのか?」

「まあ、聞こえてないなら聞こえてないで良かったんじゃないのか?一応ラナー様の護衛だから面倒事になったらやばそうだし」

「それもそうか…」

 

 

 城内を掃除するメイド達は

「あの人国王様から白金貨授与されたって話でしょ?」

「白金貨!?何それ、生きてきた中でそんな物見たことないわよ?」

「それはそうでしょ、私達なんて金貨だって見る機会そこまで有る訳無いじゃない」

「そうよね、貴族の家に嫁げば好きなように買い物も出来るけだろうけど、こんなメイド家業じゃ大量の金貨なんて夢物語もいいところよね」

「貴族の男引っ掛けてきたら?」

「止めてよ…お金は欲しいけどあんなドロドロしてそうな世界考えただけでお断りよ」

「だよねー……っと噂をすれば」

 レオンが近づいてきたので壁側に避け頭を下げる。

 兵士達の時と同じで会話の内容など気にも留めないのかメイドの方を見向きもせずに通り過ぎてゆく。

「…ねえ、さっきの見た?」

「なにが?着ていた服?凄いわね、特に装飾品が沢山付いた服じゃないけど凄く高そうなのは分かるわ」

「そっちじゃないわよ、右手に持ってた物よ」

「何か持ってた?」

「ブレスレッドに見えたけどアレは凄いわ、見た事無い宝石が付いてたわ」

 レオンの右手に握られていた物は王族や様々な貴族の金品を見てきたメイドだが、それは初めて見る輝きだった。

「へーよく「ほう、それは気になるな」っ!?」

 メイドは通り過ぎていったレオンに気を取られ後ろから来た人物に気付けなかった。

 後ろから現れた人物は長身の男、目は細く一見何処を見ているのは分からないが、男の前に立つと全身を舐め回されている様な錯覚を覚えてしまう。

「こ、これはリットン伯爵様!申し訳ありません!」

「も、申し訳ありません!」

 リットン伯爵、王国で六大貴族と呼ばれる貴族のうちの1人の当主だ、六大貴族に目を付けられてしまえば、どんな難癖を付けられ仕事をクビになってしまうかも知れない、いや、クビになる程度で済むなら幸福なのかもしれない。

 もし何所かに連れて行かれたら何をされるか分かったものではない。

「いやいや構わないとも、君達は職務を全うしていて私に気付かなかった。そうだね?」

「は、はい!その通りでございます!」

 2人のメイドは頭を下げながら難癖を付けられない事に安堵する。

「しかし、私に気付かないほど職務に勤しんでいた君達が目を奪われる事とは一体なんなのかな?」

「それは」

「うん?」

 メイド達は脅される訳でも怒鳴られている訳でもない、しかし今後自分達に降り掛かるかもしれない絶望から逃げる為に言葉を慎重に選んでいく。

「さ、先ほど通られたラナー様の護衛に就かれているレオン様が持っていらっしゃったブレスレットのような物に目を奪われていました」

「レオン?…ああ、確かラナー様を救って先の戦争で帝国軍を追い返したと噂の」

 リットンの興味が自分達から離れたのを感じメイドは心の中で安堵する。

「ふむ…ブレスレットやらを見に行くついでに挨拶でもしておくか」

 そう言い残すと離れて行くレオンの方へ歩いていった。

「リットン伯爵ま、待って下さい!」

 長身のリットンに隠れて気付かなかったが魔法詠唱者の様な身なりの男と、いかにも貴族と言わんばかりの派手な装飾を身に着けた背の低い太った男が慌ててリットンの後を追いかける。

「ふぅ…良かった、本当に良かった」

「まったくね、変な汗かいたわ」

 3人が離れて行くのを確認すると揃ってため息が漏れる。

「お、おい!何やってるんだ!お、お前もはやく来るんだ!」

「!?」

 突然の怒鳴り声に驚き声の方向に顔を向けると先ほどリットンを追いかけて行った貴族のような男がメイドたちの方へ向かって来たのだ。

(え、もしかして聞こえてた!?)

「もうし「は、早く来い!」え?」

 男はメイド達には見向きもせず後ろに立っていたドレスを着た金髪の少女の腕を掴むと急ぎ足でリットンの後を追って行った。

「い、一体なんなのよ」

 

 

 

 その日レオンにとって珍しい事が起こった。

「少々宜しいですかな?」

「なにか?」

 エ・ランテルから帰って来てから城内を歩いても遠巻きに観察してくる者は居てもレオンに直接声を掛けて来る者は居なかった。

 いや、エ・ランテルに行く前からレオンに話しかけてくる人物など誰一人として居なかった。

「お初にお目にかかります王国貴族のリットンと言います、爵位は伯爵です。貴方がラナー殿下の護衛に抜擢されたレオン殿で宜しいですかな?」

「ああ、そのレオンで間違いないよ」

 相手をするのが面倒だと思ったが、珍しく話しかけて来た奇特な人物に興味を引かれ足を止めた。

「何か御用で?」

「いえ、ラナー殿下を逆賊から救い出し、エ・ランテルを帝国から守り抜いた英雄殿にご挨拶をと思いまして」

(建前だな、いちいちめんどくさいな、本題にさっさと移ればいいものを)

 レオンはリットンが自分に話しかけてきた目的が挨拶ではない事に気付くもそれを指摘はしない。

(長くならないなら貴族の話し方ってやつを観察させてもらうか)

「エ・ランテルでの戦争のお話を是非とも聞かせて…いえ、その前にその手に持っている物を拝見させていただいても宜しいかな?」

 元々リットンはレオンの話など興味は無かった、使えるのであれば自分の駒として、などと考えもしたが一番の目的はメイド達が言っていたブレスレットだ。

 会話をしながらブレスレットを確認するつもりだったが、ソレを見た瞬間目が離せなくなった。

(早すぎるだろ、貴族としての皮の被り方を観察してやろうと思ったら即効で素が出やがった)

「これがなにか?」

 レオンは握っていたブレスレットをリットンの前に差し出す。

「これは…美しい」

(メイド達が目を奪われると言っていたのが分かる、幾つもの細いチェーンに施された彫りも美しく、チェーンとチェーンの間には見た事も無い輝きを見せる大きな紫の宝石が取り付けられている)

 あまりの美しさで無意識にブレスレットへ手が伸び、手が届く所でブレスレットは離れていった。

「な?!もう少し見せてくれても良いではないか!何故だ!?」

「別に手にとって見せてくれなんて言ってなかっただろ?」

「くっ!ではソレを見せろ!」

 レオンに話し掛けて来た時の態度など何処へ行ったのか、もはや取り繕う事を止め本性を露にしたリットンが居た。

「ほら、見ても良いが壊さないでくれよ?ソレはラナー様にあげようと思って持って来たやつだから」

 もはやリットンはレオンの話など聞いてはいなかった、レオンからブレスレットを奪い取るように受け取ると細い目を大きく開け宝石に釘付けだ。

「美しい、素晴らしい!見た事ないカット!極め細やかな彫刻!これほど美しい装飾見た事ない!」

(なんだこいつ、頭おかしいのか?このアイテムに魅了(チャーム)の効果なんて無かったぞ?)

「ど、如何なさいましたリットン伯爵!?」

 後からやって来た魔法詠唱者(マジックキャスター)風の男と貴族の男は今まで見たことの無いリットンの奇怪な行動に引きながらも近づいてきた。

「これほど美しいブレスレットなど見たこと無い!レオン、殿!これを譲ってくれ!」

「いや、あんた人の話し聞いてたか?それはラナー様にあげるって言ったばかりだろ」

 やはりレオンの言葉など聞こえてはいなかったのだろう、リットンの目は血走っていた。

「ではこれを私に譲ってくれ!金なら払う!」

「いや、これはラナー様に「幾らなら納得する!?」人の話し聞けよ」

「幾らなら満足してもらえる?これ程のモノだ金貨数十枚なら用意するぞ?」

「なっ!?」

 リットンの言葉に驚いたのは付いて来た貴族だった。

 そもそも背の低い太ったこの男、貴族では有るのだが、実際は膨大な土地を所有するリットンと違い、伯爵の所有する領地に隣接している小さな村を2つ程所有するだけの貴族なのだ。

 そのような領地の為貴族の中でも地位は低く、着飾ってはいるが実際のところ資産など多くは無い、それこそ重税を課したところで金貨2枚程度の収入にも満たないだろう。故にリットンに取入ろうとしていたのだ。

「金貨数十枚ねえ…言っておくがソレはただのブレスレットではなくてマジックアイテムなんだが」

「ほう、マジックアイテム?私も色々と知ってはいるが、それが本当か確認しても?」

「勝手にしな」

「よし、おい!貴様、これが本当にマジックアイテムか、そしてどの様な効果が有るのか確認しろ」

 リットンが連れている魔法詠唱者(マジックキャスター)の男はリットンに雇われた護衛だ、元々王国では魔法詠唱者(マジックキャスター)の地位はそれほど高くは無いが、それでも理解が有る者は貴族の中にでも少数だが存在する。

「はい、では失礼します道具鑑定(アプレイザル・マジックアイテム)付与魔法探知(ディテクト・エンチャント)!」

 二種類の魔法を掛けた男の顔に驚愕の色が浮かんだ。

「ふぁ!?な!?え!?うそ!え!まじか!?」

 突然大声を上げ慌て始め驚愕した顔で自分の手元に有るアイテムとレオンを何度も見る。

「どうした、そんな声を上げて?一体どんな効果があったんだ?」

 自分の連れている男の慌てようを見て我に返ったのかリットンは落ち着きを取り戻したようだ。

「は、はい…このアイテムは、第五位階までの魔法を3回無効にすると言った効果が付与されています」

 説明している男の身体は震え顔が真っ青になっている、しかしその効果がどういったものか理解出来ていないのだろう、リットンは首を傾げている。

「魔法を無効化するというのは分かったがそれが凄い事なのか?」

 リットンは魔法詠唱者(マジックキャスター)に理解は有るが魔法の効果などに関しては理解が追いついていないのだろう、説明されても良く分からないといった顔だ。

「はい、回数付ですが魔法を無効化、これだけでも凄いですが、驚くべきは無効化できる魔法の階が第五位階だと言う事です!」

「ええい!もっと分かりやすく説明せよ!」

「第五位階…それは英雄譚(サーガ)に出てくる英雄と呼ばれる者が扱う事のできる魔法です!我々が使える魔法は第三位階が限界です!言うなれば国宝クラスのアイテムで間違いありません!」

「国宝クラス!?そんな物だと言うのか!?」

 リットンも自分が欲していたアイテムの価値が理解できたのか驚きを隠せないようだ。だがこの価値を聞いた上でますます欲しくなったのかレオンの方へ顔を向けると。

「レオン殿、い、幾らでなら譲って貰える?」

「リ、リットン伯爵!?ほ、本気ですか?」

「ええい!黙っていろ!レオン殿、如何かな?」

「いや売らないって最初から言ってるんだが」

「金貨100枚!い、いや金貨300枚までなら出させて頂こう!」

 目の前で行われている交渉に魔法詠唱者(マジックキャスター)と貴族の男は最早驚きが隠せない、マジックアイテムの効果を聞いただけでも信じられない内容だったのだが、リットンの提示する金貨の枚数が2人にとっては聞いた事の無い金額だった。

「さっきから言ってるがそれはラナー様にあげる物だって言ってるんだが」

「そこを何とか」

「いやもう返してくれ」

「今後何かあれば私の力を使って良い思いさせることも出来る!」

「やばいやつじゃねえか」

「悪いようにはせん!」

 レオンは頭を抱える、まさか王城に来る前に生産職としての特殊技術(スキル)を使って製作したアイテムだと言える訳でなく、どうやって納得させるかを考える。

(面倒だな、納得できないのなら、いっそ始末するか?)

 目の前に居るのは貴族が2人と魔法詠唱者(マジックキャスター)が居るが先程の会話から第三階の魔法ですらやっとだと言っていた、レオンにとっては何の障害ではない。そして。

(ん?デブが腕を握っているのは女か?ドレス着てるから女だよな)

 レオンは目の前の三人が騒いでいて今まで気付かなかったがこの場には自分達の他に少女が居た事に気が付いた。

 貴族が興奮しているのか掴まれている箇所が鬱血している様子だが、少女は痛みに耐えているのだろう顔を歪めている。

(何でこいつは文句の1つも言わない?何だこいつ、痛みに耐えてるが…死人みたいな面しやがって。ん?もしかしてこのガキって豚の嫁か何かか?年齢的にはラナーと同い年ぐらいか?もしかしてこっちの世界はアレぐらいの年齢で結婚するものなのか?こっちの世界じゃそれが常識なものなのか?)

 レオンはドレスを着た少女を観察する、見た目から考察できるのは、ラナーと同い年ぐらいだという事、この2人は親子ではないであろうと言う事、そしてリットンではなく連れ貴族の嫁?だと言う事、これらを考慮してレオンが導き出したのは。

(常識で考えれば…このガキを使って断れるか)

「なあ腰巾着の貴族さんよ」

「お俺!?な、なんだ?こ、腰巾着じゃ…」

 声を掛けられると思っていなかったのだろう、レオンに話掛けられるとリットンとレオンの間を目が泳ぎだした。

「何でもいいだろ、あんたが連れてるのって嫁さんか?」

 少女の身体がびくりと怯えたように震えているのが分かる。

「こ、これか?これは別によ「嫁なのかそうかそれは残念だ」え!ええ!?」

「そうか、嫁なら無理だな、残念だよリットン伯爵」

「ん?なんだその娘が気に入ったのか?」

「ああ、その娘をメイドにと思ったんだが…その巾着の嫁さんなら駄目だな」

「メイドを探しているのかな?」

「ああ、今日城に来る前に屋敷を購入して来たんだが、メイドを探していてな」

 レオンにとって王城での生活は今まで経験した事無いような事ばかりで最初は楽しかったようだが、何処を歩いていても誰かの目がありプライベートなど無いような世界。そしてカーディナルを何時までも森の中に隠しておくのは可愛そうだとも思い、自分だけの空間も欲しかったレオンはラナーには事後報告になったが王都から少しだけ離れた場所に建っていた空き家の屋敷を購入したのだ。

「メイドが欲しいなら私が『素晴らしい教育』が施された者を数人用意してもいいが?」

 リットンの言うところの『素晴らしい教育』と言うのは料理や掃除だけでなく夜の奉仕もとの事だ、その部分を強調したのはやはりそういう事なのだろう。

「いや、俺はその女が気に入ったんだが、まあ嫁だと言うなら仕方ない。諦めるよ、だからリットン伯爵貴方も諦めてくれ。それでは失礼する」

 そう言うと魔法詠唱者(マジックキャスター)が持っていたブレスレットを素早く回収すると立ち去っていった。

 

 

 

 残されたのは呆然と立ち尽くリットンだったがいち早く立て直し貴族の方へ向き合う。

「さて、卿に聞きたいのだがその娘との関係は一体何かな?」

 落ち着いて話しているように見えるがその表情は怒りに満ち溢れている様だ。

「ひ!ひゃひゃい、こ、この娘は数日前に領地からぜ、税の支払いとして妾に、に」

「なるほど、なるほど、では卿はその娘を手放しても問題がないと言う事だな?」

「へ?え、い、いえ…まだ数日しか楽しんでいないので出来ればもうす「あ?」な、何でもございません!」

 リットンは貴族の両肩に手を置き最後の警告を伝えた。

「いいかい?卿がその娘をあの男に渡す、そうするとあのマジックアイテムは私の元に来る。卿は私に貢献する事ができる、ほら皆が幸せになれると思わないか?」

「え、えも、でも、メイド(コレ)を渡した場合マジックアイテム(アレ)がて、手に入るのはお、俺「なにかな?」な、何でもありません!」

「はあ…いいか?もし今後も私の横の領地で貴族として暮して…『いきたいと』思うなら。わかるな?」

「わ、わかりました…」

 リットンの言っているのは簡単だ『死にたくなければ大人しく娘を差し出せ』少女を権力によって手に入れたのなら、手放す理由となるのもまた権力なのだ。

 

 

 

「待って頂いてもよろしいかな?」

「ん?もう話は終わったと思うんだが?」

 ラナーの部屋まで後僅かと言う所でリットンが先程の少女を連れ追いついた。その顔には先程と違って白い歯を見せ満面の笑みを浮かべていた。

 

 この世界に前の世界の常識を当てはめてはならない、レオンにとってそれは初めての経験となっただろう。

 何より相手は『貴族』元よりこの世界の常識すら通じない相手である事を。

 

「さあレオン殿、貴殿の望みであった少女だ。たっぷり可愛がってあげるといい、勿論メイドの仕事も、様々な事を教えて上げると良い」

「は?」

「なに心配する事はない、彼から既に許可は貰っている。コレではれてこの娘の所有権はレオン殿のものだ」

 レオンの肩に腕を回し破顔した顔を近づける。

「なに、何か困った事があれば何でも言ってくれたまえ。君と私の仲だからな」

 レオンの手からブレスレットを抜き取ると高笑いを響かせ通路の先へ消えていった。

 

「え?」

 あまりに予想できなかった結果に立ち尽くすレオン。

 

 

まさに今回の結果はレオンにとって予想だにしていない物となった。

 

――レオンさんだーいごさーん!

 

 

 

 

「まじかよ…予想外デース」

 下を向き佇む少女と呆然とするレオンを残し、帰っていったリットンの笑い声も小さくなっていった。

 

「あーお前名前は何ていうんだ?」

「ツアレ…ツアレニーニャ・ベイロンです。ご主人様」

 




ついにメイドさんとの出会いとなりました。
え?まだ正式にメイドになった描写が無い?
そうですね…うん、あれですよ。
ネタバレと言うやつです!






レオンさんラナー様に怒られなければ良いけど…
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