オーバーロード~死の王と幻影の王~   作:ミズナラ

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1話

「ここ何処だよ、俺は王座の間に転移したはずなのに何でこんな草原に転移してるんだよ。なに?『ここは何処?私は誰?』でもやれってか?」

 

 周りを見渡してみるものの、周りに見えるのは木と草だけだった。

 

「とりあえずモモンガ君にメッセージを送って連絡を取るしかないよな、『伝言(メッセージ)』」

 

 頭に糸のようなものが何かを探す感覚が伝わってきて妙な感覚を覚えるも何も見つからない感触を感じた。

 

「あれ?モモンガ君に繋がらない…いや、ちょっと待て、今俺はどうやってメッセージを使った?」

 

 本来ならショートカットキーに登録してある魔法や、魔法リストから選んで使用するのがユグドラシルでの流れなのだが。

 コンソール画出がない、チャット機能も使えない、GMコールも機能しない、強制終了できない。

 

「何が起きた?ゲームから出られない?ゲームに閉じ込められた?運営のサプライズ?じつはユグドラシル2が始まった?いや、ユグドラシル2が始まったとしてもコンソールが出ないのはおかしい、なによりログアウトすら出来ないとかもう犯罪過ぎるだろ…」

 

 レオンは俯きながら今の現状を理解しようと持ってる知識を駆使する、すると風で前髪が流れ目に入った。

 

「いてっ…痛い?風で髪が目に入る?いや、そんなの有りえないだろ…」

 

 ユグドラシルでは痛覚、味覚などプレイヤーが感じることなどは法律で禁止されている。ゲーム内で自分の操作するキャラクターが死亡したから現実世界の自分も命を落とすなんてクソゲー誰もやりたいとは誰も思わないし危険すぎる。

 

「じゃあここは現実世界?」

 

 レオンは試しに自分の頬っぺたをつねってみる。

 

「はは!痛いや!じゃあ俺はゲームしてたら異世界にでも飛ばされたってか!?どんなアニメやゲームだよ!」

 

 レオンは怒りに身を任せ地面を蹴り上げた、その瞬間大地から大量の土と草が蹴り出され凄まじいほどの土煙が舞った。

 

「え?」

 その光景に怒っていたレオンも呆然としてしまったのだ、いくら怒りに任せて地面を蹴り上げたからとしてもこれほどの量の土や草が舞うなど想定していなかったのだ、レオンは現実世界の自分がどれ位の脚力を有しているか理解している。

 そう今起こった出来事は本来の自分が持っている脚力では決して起こりえないのだ。

 

「なに、今の?よし、なんか落ち着いてきたぞ、うん、そうだなクールにいこうクールに」

 

 想いもよらなかった出来事に驚きながらも自分自身の状況を考えることをはじめた。自分自身の装備と所持品を確認することにする。

 

「うん、間違いなく全身の装備は『レオン・D・ファンション』の装備だな武器とかは何処にあるんだ?」

 

 腰を触りながら頭で考えていると、手が何も無い空間に消えた。

 

「うお!?ん?あー武器が並んでるのが分かるって事は、これが自分の持ってるアイテムボックスって事でいいのかな?お、武器以外にも装飾品からアイテムまで全部有るじゃないか!」

 

 空間はどうやってアイテムボックスに繋がっているのか分からないが、とりあえず自分が所持しているものは取り出せることに安堵する。

 

「とりあえず所持品に関して心配することはなさそうだな、恐らく今の俺は『レオンになった』て事だろうからレベルは100だろうな、つぎは場所に関しての把握か」

 

 自身の把握に関してはもういいといった様子で改めて周りの景色を確認していく。

 

「すげー、なんて綺麗なんだ…これが本当の夜空って言うんだなブルー・プラネットさん」

 

 空を見上げると満天の星空が広がっていた、それは自分の暮していた世界では決して見ることが出来ないすばらしい景観だった。

 

「あーなんかぐだぐだ考えるのがあほらしく感じるな…よし!なる様になるだろ!」

 

元々『考えてだめならまずは行動』で動いている為まずは行動することに。

 

「まずは一人だと心細いからモンスターでも召喚してみるのがいいかな?ってことはモモンガ君に変化して彼がよく使ってたデスナイトでも…いや折角だからさっき市場で買ったアイテムでも使ってみるか、そうすればアイテムの使用確認も同時に行えるな」

 

 レオンはそう言うと大きな1本の牙状の笛と、1本の棍棒のような物を取り出した。

 

「スクロールじゃないから魔法職じゃなくても使えるってのがいいよな、何より第10位階の召喚モンスターを使役できるとか、流石は課金アイテム」

 

 効果はプレイヤーのレベルが90を超えていたら使用可能というアイテムで召喚できるモンスターも第10位階クラス級という優れものだ。しかし結局はガチャアイテム、どれだけ欲して課金しても出ない人はでない。

 

「こっちからやってみるかな?第十位階怪物召喚〈サモン・モンスター・10th〉」

 

 レオンは笛を空に向かって吹いたのだが…

 

「あれ?音がでない…あ、砕けた」

 

 レオンとしては勢いよく吹いたつもりだったのだがなぜか音がでず、笛が砕けたため失敗だったと思い空を見た、すると先ほどまで美しいと感じていた星空が見えず雲に覆い隠されていた。

 

「天気が悪くなってきたのかな?さっきまであんなに晴れていたのに」

 

雨宿りできる場所に移動したほうがいいかと考えて空を見ていると雲が二つに割れそこからモンスターは現れた。

 モンスターは空から降り立つとレオン向ってに頭を垂れた、するとレオンは目の前にモンスターと自分との間に何かつながっりが出来たように感じた。

 

「確か4足で翼が別に有るとドラゴンで、2足で翼があるのがワイバーンで良いのかな?まあ『ワイバーンの牙笛』って名前のアイテムだったんだから分かってはいたんだけどね」

 

レオンは元の世界で得た知識を思い出しながら目の前に居るモンスターを観察する。体は頑丈そうな真っ白な鱗に覆われ、目は黄金に輝き、そして足は2足で手または前足にあたる部分はその体に負けないほど大きな翼があった。

 

「んふっ、いやーかっこいいな!やっぱり自分より大きくてかっこいい竜種って憧れるよね!」

 

 ワイバーンの大きさはレオンより2倍近くあり翼を広げれば3倍以上だろう、そんなワイバーンを前に子供のようにはしゃぎ観察していく。

 

「ユグドラシルでも欲しいなーって思ってたけどこっちの世界で見たほうがもっとかっこよく感じるな!やっぱり生きてるからかな?触ってもいいかな?」

 

 そう尋ねると自分はレオンの物だと言うかのように体を低くし全身を触れるようにした。

 

「おお!ありがとー!いやーやっぱり硬い鱗に覆われてるんだな!翼も硬いけどやっぱり膜の部分は柔らかいんだな!」

 

 全身を撫でながらじっくりと観察し、すこし落ち着いたところでもう片方を使うことにした。

 

「さてもう1つのアイテムを使うから少し待っててね、『第十位階怪物召喚(サモン・モンスター・10th)』」

 

 そう言ってレオンは棍棒を折る。

 すると折った棍棒の周りに黒い渦のが漂い始めた、その渦を見て吃驚したレオンは思わず棍棒をなげた。

 すると渦が一瞬大きくなり飛散する。中から現れたのは馬よりも大きな体で、体を覆う赤黒い毛皮、頭が2つあり片側の頭には真紅の瞳が、もう片側の頭には深紫の瞳が輝く、尻尾は蛇の獣であった。

 

「…か、かわいいー!毛がモフモフしてる!っておもったらまあまあ硬いな」

 

 レオンは今回も召喚されたモンスターに自分とのつながりを感じ恐れることなく抱きついた。

 

「やっぱりかっこいいペットも良いけどかわいいペットも欲しいよね、何より俺いまボッチだし」

 

 なでながら改めて獣の正体を考える。

 

「名前はオルトロスであってたよな」

 

 オルトロスとはギリシャ神話に登場する犬の獣である。知名度としては三つの頭をもつ兄のケルベロスの方が知られているだろう。

 

「でもどんな嫌味だろうな、オルトロスが棍棒を折って召喚されるとか」

 

 苦笑いをしながら考える、オルトロスはギリシャ神話で英雄ヘラクレスに殺されてしまうのだ、それも棍棒による撲殺である。

 

「まあいいか、よろしくな!名前つけたほうがいいのかな?」

 

 2匹に尋ねると3つの頭が頷く。

 

「うーん、俺ネーミングセンス無いんだよな…」

 

 我等がギルドマスターがよくギルドのみんなにセンスがないと言われていたがレオン自身もあまり名前を付けるのは得意でない、かっこよくつけよう、可愛くつけよう、などと考えるうちに安直な名前しか付けることが出来なくなるのだ、だが。

 

「んーワイバーンにオルトロス、ホワイト…ブラック…だめだ、ストレートすぎるだろなにかこう…考えろ俺!今後呼ぶときに変な名前だと2匹?も可哀想だろ!」

 

 必死に考える、今後つれて歩くときにダサい名前出など呼べない、これは今後の自分の評価にも繋がるのだ、などと考えていると。

 

「よし!無難に俺の記憶から選ぼう、ワイバーンが『アルカディア』でオルトロスが『カーディナル』でいいかな?」

 

 深く考えても良い名前が思いつく気がしなかったので自身の知識から名前を付けることにしたのだ、アルカディアと呼ばれたワイバーンはレオンのお腹に鼻を擦り付け、カーディナルと呼ばれたオルトロスはそれぞれの舌でレオンの顔を舐めてい

た。

 

「くすっぐったいよ、でも気に入ってくれたのならよかった」

 

 2頭のペットを手に入れてご満悦のレオンは今後の行動を決める。

 

「まずは会話が可能な生物との接触だな、んで次にこの世界での俺の強さの確認、その次に寝泊りできるところの確保、あーグリーンシークレットハウスとかが有ったな、当面はあれで寝泊りするか。んで1番重要事項がモモンガ君との合流か

な?」

 

 今後の方針は決まった、自身はリング・オブ・サステナンスで食事や睡眠が不要になっているがアルカディアとカーディナルは食事などを必要とするだろう、そうなると食べ物の確保やこの世界のお金が必要になってくる。もしこの世界にいるモ

ンスターとの戦闘になった場合まずはアルカディアとカーディナルを当てて一先ずのレベルチェックそのあと自分の実力を再確認。そして1番重要なことはユグドラシルのプレイヤーとの接触だが出来ればモモンガ君やギルドのメンバーと合流できることを願って行動することだが。

 

「こっちの世界に来てる可能性があるのはモモンガ君だけだろうな、モモンガ君は他に誰かがナザリックに来てるとは言ってなかったし、正直モモンガ君以外のギルドメンバーに会ったとしてもどんな顔をしていいのか分からないしな」

 

 別にゲームの中での付き合いなのだからリアルを優先した彼らを咎める事など出来ない、彼らには彼らの時間というものがあるのだから、それでも。

 

「1人また1人とナザリックを、ユグドラシルを去っていくギルドメンバーを見送っていたモモンガ君を見てるとなんともいえない気持ちになったよ」

 

 レオンも辞めようかと思った時期は有ったのだが、辞めていく友を引き止められないでいるモモンガを置いて辞めれなかったのだ。

 

「最初はモモンガ君の為に、ギルドに誘ってもらった恩義で辞めなかったんだけど、モモンガ君に仕事の愚痴とか聞いてもらってる内に辞める気がなくなったんだよな」

 

 最初は慰めになればと思っての事だったが、モモンガと2人で愚痴を言ったり、冗談を言い合ったりしながらアイテムを集めたりしているうちに自然と毎日ログインする様になっていたのだ。

 

「モモンガ君大丈夫かな?困ってないと良いけどって、よくよく考えるとモモンガ君アンデットの姿でこっちに来てるんじゃ…俺より苦労しそうだな」

 

 もしこの世界の主要種族が人間であった場合、アンデットのモモンガはさまざまな問題を抱えそうだ。人間の中にアンデットが混ざると言うのは難しいだろう、アンデットと人間種が共存して暮していると言うのであれば別だが。

 レオンはドッペルゲンガーであるがアバターの見た目は人間種の男である、他にも変化できる能力でアインズ・ウール・ゴウンに所属していなかった友人達の人間種(女)などもコピーしているので見た目の問題は無いだろう。もちろんアインズ・ウール・ゴウンのメンバーもコピーしているので戦闘になっても困ることは無いだろう。

 

「変化の能力は日が出てからでもいいだろ、流石に精神的に疲れてきたしな」

 

 いくら睡眠や食事が不要といっても精神は疲労するのだ。レオンはカーディナルを座らせ、そのお腹にもたれ掛かる。

 

「あーやっぱり毛のあるペットはいいな、癒されるわ」

 

 アルカディアもレオンの邪魔にならないような位置で翼を休めている。

 

「…昔何かの本で読んだ気がするけど、人間は独りぼっちになったり不安を感じ出すと独り言が増えてくるってのは本当だな。口がとまらないぜ…モモンガ君も1人なんだろうなー寂しさで泣いてなければ良いけど、かっかっか」

 

 この場に居ない友人を思い1人笑うのであった。

 

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