オーバーロード~死の王と幻影の王~   作:ミズナラ

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今回で過去編は終了となります。
長々と続いてしまいましたがレオンさんの、びふぉーとあふたーを感じていただけたら嬉しいです。
皆様は最後の犯人と、とりっく?を見破れますでしょうか?
皆様の推理に期待したいと思います。






20話

 目を覚ますと其処は初めてみる景色だった、窓には木が打ち付けられておらず朝日が眩しく、背中が痛くなる様な硬いベッドではなく村で暮していた時よりも軟らかいベッド。

「ここは…」

 寝起きのせいか思考が上手くまとまらない、どれだけ眠っていたのだろうか。とても長い時間眠っていた気がする、その証拠に身体がとても軽く感じる。

「そうだ、私は昨日新しいご主人様に引き取られて。ご飯を作っていただいて…あれ?ご飯を目の前にして眠ってしまった!?」

 見た事も無い食事を目の前に驚いたのか気が緩んだのかは分からないが、そこから記憶が曖昧だ。

「あれ?何かご主人様とお話した気がするけど…じゃなくてご飯の支度をしないと!」

 自分はメイドとしてこのお屋敷に引き取られたのだ、そのメイドが呑気に眠っているなんて…怒られてしまう!

 慌てて部屋を出て階段を下りて行く、ツアレは急いで階段を下りるも自身の衣服に乱れが無い事に気づく、身体にも眠っている間に何かされた様子は無い。

「何もされてない?やっぱりあのご主人様はお優しい?」

 食卓で眠ってしまった自分を2階まで運んでくださって、それにどこも犯されていない…

 

 

 階段を降りるとリビングから昨夜と同じで食欲をそそる香りが漂っている。

 もしや昨日と同じで主が食事を作って居るのではないのか、ツアレが焦り部屋を覗くとそこには昨夜のまま代わらない豪華な食事が並んでいた。

 しかし並べられた料理は一晩経ったにもかかわらず出来立ての様な暖かさを保っている。

 もしや自分はぐっすり眠っていたと思っていたがそれ程時間が経っていないのか?そんなことを考えているとリビングの奥、キッチンからレオンが新たな食材を持って姿を現した。

「やあツアレ、昨日はゆっくり眠れたかな?」

「え?あ、は、はい!とても良く眠れました!」

 目の前に現れたレオンの雰囲気に戸惑う、昨日とはまるで別人のような雰囲気でツアレへと微笑んでいる。

「それは良かった、寝心地が悪かったと言われたら新しい布団を買ってこないといけないところだったからな」

 レオンは軽口を言っているつもりなのだろう、しかしツアレは昨日とは違うレオンへ戸惑ってしまい上手い返しが思いつかない。

「い、いえ、そんな、その、そこまでして貰う分けには!?」

「ん?ふふ、ただの冗談だよ。ツアレは可愛いな」

 そう言うとレオンはとても優しい笑みを浮かべ、手に持った料理を机へ並べていく。

「ご、ご主人様!お食事でしたら私が用意します!」

 主人に働かさせている状況を理解し急いで仕事を変わろうとする。昨日も同じ会話をした記憶もするが。

「気にする事はないよ、昨日作った料理を温め直していただけだよ。それにこの料理で最後だ、さあ食事にしようか」

 ツアレを食事が並ぶテーブルの椅子を引き座るように促していく。

 主の行動に困惑しつつも引かれた椅子へ座る。

「さあ、おあがりくださいな」

 ツアレの向かい側に腰掛けると笑顔を浮かべ、ツアレへ食事をする様に促す。

 しかし主よりも先に食事をするメイドが何処に居るのだろうか、そもそもその食事すらもメイドではなく主が作ったという時点で少々おかしいのだが。

「そんな!?ご主人様より先に食べるなんて出来ません!」

「そんな事気にしないいで良いんだよ?それに俺はもう食べちゃったから気にしないで」

 そこまで言われて食べないのは失礼なのかもしれない、そう思いツアレはスープへとスプーンを沈める。

「い、いただきます…!?」

 口にしたスープは今まで食べた事がないほど甘く優しい味がした。

「おいしい!おいしいです!」

 あまりのおいしさにレオンに見られている事など忘れスープを口に運んでいく。

「ふふ、それは良かった。さてと、俺はお姫様の護衛が…仕事が有るから出かけて来るよ。すまないけどご飯を食べ終わったら食器を洗っておいて貰えるかな?その後は適当に掃除でもしておいてくれると嬉しいな」

 レオンは席を立ち困惑するツアレを他所に扉へ向かう。

「あ、そうだ、昨日は番犬が襲うかもって言ったけど、もう屋敷を出ても襲わないように言い付けて有るから安心して出ていいから。でも門の外へは勝手に行かないようにね?」

 それじゃあ言ってくるよ。笑顔でリビングを出て行き、玄関が閉まる音が聞こえた。ツアレは自分の置かれた状況に思考がついていかずレオンが出て行った扉を眺めていた。

 

 

 

 

 

 朝から城内は慌しい喧騒につつまれていた、もともと城内には子供が数多くいるような場所ではないので、このような状況になる事など戦争が近づく時だけだ。

 しかし、すでに毎年行われる帝国との戦争はレオンの、王国の勝利によって終わりを迎えている。

 そんな喧騒を横目に2人の城内の専属メイドは掃除をしている。

「今日はなんだか慌しくない?なにかあったのかしら?お祭りでも始めるのかな?」

 1部の貴族達の間では『今回の戦争は圧倒的な勝利を収めた王国の兵力を大々的に周辺諸国へ知らしめる為に凱旋パレードでも行うのは如何ですかな?』『それは良い考えですな、勿論貴族や国王陛下の力を民に再認識させる良い機会でありますな』などと言っている者達がいるのだ。

 戦争に参加したのはたった一人だというにも拘らず。

「そんな訳無いでしょ…貴方知らないの?昨日の夜リットン伯爵が襲われたって話」

「え!?なにそれ!?リットン伯爵って昨日私達に話し掛けて来た貴族でしょ?」

「そのリットン伯爵で合ってるわよ…なんでも一緒に居た貴族と護衛の兵士達は殺されたって話よ」

 前日の夜の事件だというのに、既に城内では『六大貴族が襲われた』という話題で持ち切りだ。

 貴族が襲われたとあってか城内には殺伐とした空気の漂っていた。

「うわー貴族、しかも六大貴族襲うって…よっぽど大人数の野党だったのね」

「それがそうでもないらしいのよ、さっき聞いた話だと襲撃したのはたった1人だったらしいわ」

「1人!?凄いわね、あれ?そういえば一緒に居た兵士達は殺されたってことはリットン伯爵は殺されなかったってこと?」

「なんでも殺されそうになった時に見回りの兵士達が駆けつけて助かったらしいわ、でも襲撃犯は逃げていったらしいけど…その襲撃犯が問題らしいのよ」

「なになに?犯人が分かっているの?」

「伯爵が襲撃犯の顔を見たらしいのよ、それでその犯人て言うのが「おはよー」おっおはようございます!?」

 2人は会話に夢中に成り過ぎていたのか、後ろから歩いてきた(レオン)の存在に気付かなかった。

「おはよーございます、今日も良い天気ですね。」

「こ、これはレオン様、いかが為さいましたか?」

「いえいえ、歩いていたら丁度お2人が見えたもので。では俺はこれで失礼します、お仕事頑張ってください」

 そう言い残しメイド達に頭を下げ笑顔で去って行った、その後姿に信じられないものを見たかのように呆然と立ち尽くしてしまう。

「ず、随分と機嫌が良かったわね…何か良い事でもあったのかしら?」

「さあぁ?」

 

 

 

 

 

 なにやら朝から城内が騒がしい、何があったのか気にはなるけどまだ誰もこの部屋を訪れない。メイドでも来たらそれとなく聞き出すのだけれど…。

「でも朝一番にお会いするのはレオン様が良いわ、でもそうなるとレオン様にこの喧騒の原因をお教えできないし…」

 できればレオン様がいらっしゃった時に『今日は随分と城内がやかましいな、なにかあったのか?』『なんでも―――らしいです♪』『へー成る程な、やっぱりラナーは物知りだな。いいこいいこ』『ああ、そんな、レオン様に褒められて嬉しいです♪」

 ああ、レオン様のお役に立てば頭を撫でてもらえたり…もっともっとお役に立てばあんな事やこんな事もして頂けるかもしれない…。

 そういえばレオン様は昨日メイドを連れて帰られて…屋敷の中に2人っきり…なんて羨ましい!若い男女が2人っきりで周囲の目が無い状況なんて!やっぱりレオン様は陰の有る娘の方が好みなのかしら!?

「私もレオン様と2人っきりになったら…レオン様から手を差し伸べて下さるかしら」

 やはりメイドも排除するべきかしら?でもレオン様があの娘を気に入っているのでしたら無理に排除するのは好ましくない?まあレオン様の素晴らしさが理解できたら2人仲良く。

 どうやって一緒になるのが好ましいかしら?でも一緒になるにはレオン様や私の障害になるものはすべて排除しなくては。

「あぁ、レオン様はいつ来られるのかしら」

 

「やあラナー様、今日も可愛いね」

「え?あ、有難うございます♪」

 ノックをして入ってきたレオン様は昨日までとは別人の雰囲気でした。

「ど、どうかしたんですか?」

「ん?なにが?」

「いえ、何と言えばいいんでしょうか…どこか昨日までのレオン様と違うと言いますか」

 レオン様である事は代わらない、それは間違いない断言できる。だけど昨日までの落ち着いた雰囲気とは違う、初めてお会いしたときの雰囲気に何処と無く近い気もしますが…ああ、でもレオン様に可愛いと言って頂けるのは良いですね。とても良いです。

「ああ、少し落ち着きすぎていたかな?んー少し違うかな?まあアレだよアレ」

「どれでしょうか?」

「辛いなー賢いラナー様なら分かってくれると思ったのに、ラナー様でも分かんないかーショックだなー」

 そう言うレオン様は悲しんでいる様子は無く、優しい笑顔で笑ってくださる。

 ああ、そんな笑顔も出来たのですね、その笑顔を向けて頂けるだけでラナーは幸せです♪しかし『ラナーなら分かる』と言われてはその期待に応えねばなりませんね!

「んーなんでしょうか、朝良い事がありましたか?」

 だめだ、これでは大雑把に言い過ぎた。落ち着きなさいラナー。

「そうだね、いい事はあったよ?けどもう少し具体的に言ってもらえるかな?」

 やはり良い事はあったのね、そうなると…

 ご飯がおいしかった?違う、そんな事でここまで喜ばない。

 何かお金になるビジネスを見つけた?違う、大金を貰ってもレオン様はクールなままでした。

 となると…あのメイドが思いの外可愛かった!?相性が良かった!?いえ、そんな、そんな事…レオン様の1番は私…そう私なの。

「もしかして昨日連れていらっしゃったメイドさんと何かありましたか?」

 ああ!聞いてしまった!何かあっても咎める事なんてできないのに!全てはレオン様のモノなのに!

「へぇ、さすがラナー様!何でもお見通しですね」

 やはりメイド絡みでしたか…でも。一瞬お見せになった表情、アレは紛れもないレオン様が時折見せるモノでした。

「いやー昨晩ツアレと色々と話してね、その結果俺はイメチェンでもしようかなって思った次第なんですよ」

「イメチェン?ですか?」

「あー、ラナー様はイメチェンが分からないかな?イメージチェンジ略してイメチェン、最近のナウいヤングにバカ受けってやつですよ」

 なうい?やんぐ?一体何の事でしょうか、私の知らない言葉。一体どのような意味なのでしょうか。

「それは一体どういった事なん「失礼致します」はい、どうぞ?」

 っち、レオン様との一時を邪魔するなんて。

 扉から入ってきた兵士はレオン様を横目で確認すると私の方へと向き合った。

 今レオン様を馬鹿にしたわね、隠しているつもりでしょうけど分かります。

 殺す、絶対に殺す。貴方の顔は覚えました。貴方の顔なんて覚えたくないけどレオン様を蔑む様な者は忘れません。必ずその行動がどれだけ愚かだった分からせてあげます。

「失礼致します、国王陛下がレオン・D・ファンション殿をお呼びとの事で参りました」

 お父様が?ああ冒険者を使ってのレオン様の身辺調査ね、まったく愚かにも程が有るわ。

なにより私とレオン様の時間を邪魔するなんて。

「はいはい、りょーかいしました。今行きますよ」

 ああ、レオン様が行かれてしまった。レオン様から新しいことを教えていただけるチャンスだったのに。まあ言いわ、レオン様の代わりに2人のメイドが入ってきた。

 ならこの2人に今の城内の様子でも喋ってもらいましょう。

「失礼しますラナー様、レオン様がお戻りになられるまで入り口の外に2人、そして私達2人が警護としてお傍に控えさせていただきます」

「まあ、4人も私を守ってくださるのですか?何かあったんですか?」

「そうなんですよ、実は今朝「こら、よしなさい」ああ、申し訳ありませんラナー様」

 1人はおしゃべりなのね、もう1人もたしなめてはいるけど何度も横目で私を見ているから、あれも喋りたくてうずうずしてる感じね。

「いったいなんですか?気になってしまいます」

「い、いえ、ラナー様のお耳に入れる様なお話では「教えてくれないんですか?」いえ、それは…」

「良いじゃないですか、ラナー様も知っておいて損はないんだし」

「ま、まあ常に護衛が居るし、ラナー様も知っておいてもいいかしら…」

 ちょろいわね、ここまで簡単に話してくれるなんて。やっぱりメイドは情報を仕入れるにはもってこいね、たまに役に立たないけど。

「早く教えてください、気になってしまいます」

「ええ、実は…」

 

 

 昨夜リットン伯爵が自分の領地に帰る途中、何者かに襲撃される事件が発生。

 リットン伯爵の護衛を含めた計8名が殺害される。

 リットン伯爵は勇敢にも賊に立ち向かうも負傷、なんとか森の中に逃げるも賊の追撃にあい左腕を負傷する。

 しかし、リットン伯爵と賊の戦いの音を聞きつけた王国兵達が現場に駆けつけると賊は逃亡。

 その際リットン伯爵は賊の顔を見ることが出来た。

 リットン伯爵の証言から浮上した犯人はなんと、王城内を警邏する兵士で有ることが判明。

 兵士を拘束し、兵士の自宅内を調べるとリットン伯爵が盗まれたと言う金貨50枚とブレスレットが発見される。

 これによって兵士は六大貴族であるリットン伯爵を襲撃した犯人として朝の内に死刑が執行される。

 最後まで自分は犯人ではない、襲撃などしていない、金貨やブレスレットなんて知らない、自分ははめられたと言い続けた。

 

 

 リットン伯爵が襲撃された?たった1人の兵士に?そんなこと有るのか。

 でもリットン伯爵の所有していた物が自宅から出てきて物的証拠となった。

 と言うかリットン伯爵が賊と戦ったというのはリットン伯爵(本人)の嘘ね、あんな男が戦えるわけなど無いでしょうに、バカでも分かる嘘をつかなくてもいいものを。

 …死ななかったのは残念だけど、レオン様の所有物を奪い不快にさせた報いとしてはまあ及第点の苦しみでしょう。

 レオン様を見下し、不快にさせる者に相応しい苦しみを与えてくれた何処の誰か…褒めてあげます、良くやったと。

 

 

 




過去編コレにて終幕です。
いかがでしたでしょうか、少しはお楽しみ頂けたでしょうか?
え?ロリキュースはどうなったって?山脈に行ってないって?それは後々のお楽しみと言う事で手を打っていただけると…


襲撃事件の真相は皆様の推理に期待したいと思っております。
どこかで答えあわせが有るかもしれませんが、気になる方はメッセージボックスでお答えしたいと思います。


次は現代編に戻りたいと思います。







あ、姫様?1度2人っきりでデートしてますよね?9話で帝国までの空中散歩や帝都散策でデートしておりますが…『あれはアルカディアが居たので2人っきりではないのでノーカンです』あ、はい失礼いたしました。
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