原作の時系列といってもレオンさんがナザリックから帰ってきたお話であります。
幸せの形は1つではない、幸福とは向こうから来るものではない。
では幸せとは如何にして手に入れるのか、幸福を手に入れるには何をなせばならないのか。
些細な幸せであれ幸福であれ手に入れるのはその者が行動した結果なのだ。
そう、その者にとってはささいな行いだったとしても。
目を覚ますと暖かい日差しが窓から私の顔を照らしていた。
「んーいたた、やっぱり椅子で寝てしまうと身体が疲れてしまいます」
昨晩レオン様が帰ってくるのを待っていたけど寝てしまったのね、普段レオン様は遅くなる時や帰られない時は言って下さるのだけど昨日は何も仰っていなかったから帰って来られるものだとばかり思っていました。
「珍しい事も有るんですね、レオン様が連絡無しの外泊なんて」
レオン様はお城に泊まられる時やカルネ村に出かけられて帰りが遅くなる時は出かけられる時や、わざわざ一度屋敷に帰って来られて言ってくださる。
以前何故そこまで報告してくださるのか理由を尋ねると『え?だって前もって知っていれば俺の帰りを待って起きとく必要無いだろ?気にせずゆっくり寝れる方が良いに決まっているからな』と仰られてしまいましたが。
「何度考えてもメイドにする気遣いではないと思うのだけど」
町に買い物をしに行くと別の屋敷で働いているメイドと話す機会が有るがいかに自分が恵まれているのかが分かる。
「さあ、レオン様が帰ってくる前にお掃除しておかないと」
自分がこの屋敷で不自由なく暮せているのはレオン様のおかげなのだ、なので身の回りの事はしっかりとお世話させて頂かなくてはいけない。
「そういえば最近はカルネ村にも連れて行って貰ってないけど、エンリにネム元気にしてるかな?」
レオン様がカルネ村に行く時、私も連れて行って下さる。妹には伯爵に連れられてから会えてない、レオン様が昔1度だけ村へ連れて行ってくださった事があったけど、その時にはマジックキャスターを名乗る人物が妹を教育すると言って村をつれて出て行った後だった。
自分の妹には会う事ができなくなってしまったけれど、レオン様が連れて行ってくださっているうちにエンリやネム、村の子供達が慕ってくれている。悲しく無いと言えば嘘になるがけして寂しくなどは無い。
「次に行くときはまた新しいお菓子を作って行ってあげよう」
「それはいいな、皆喜んでくれるよ」
「ひゃぁぁぁぁ!?」
先程まで誰も居なかった向かいの椅子から突如声が掛かる。リビングにはツアレしか居なかった、しかしそれは居なかったのではなく見当たらなかっただけ。
「レオン様!帰ってらっしゃるなら言ってください!」
「いやーツアレの寝顔があまりにも可愛かったからつい観察してしまったんだ」
姿は見えないがツアレが声のする方向へ抗議の声を上げる、そこには先程まで居なかったレオンが姿を現した。
「何度もお願いしているじゃないですか、不可視化の魔法を使ってまで驚かさないでください」
レオンは事あるごとに
「もう…レオン様何かとても良い事があったんですね?」
「ん?分かるかい?」
「はい、とても嬉しい事があったんだと思いました。」
レオンはツアレの言葉に驚き破顔する、自分の行動は普段と変わらないはずだと思っていた。しかしツアレは僅かな雰囲気の違いを感じ取ったのだ。
「そっか、実は友人に出会えたんだ。前に話したことの有る友人と!10年ぶりに!さいっこうに嬉しかったんだ!」
ツアレは10年間これほど、椅子から立ち上がり有頂天になって喜ぶレオンを見たことが無かった。よほど嬉しかったのだろう、その姿を見るだけでツアレの口元も綻ぶ。
「それは素晴らしいですね!では今日はお祝いですね!」
ツアレはレオンが友人たちと再会するために色々と調べカルネ村に行ったり、帝国にこっそり行っているのを知っている。そんな姿を見ている為友人と再会できたと言うのはツアレにとってもとても喜ばしい事でもあった。
「あーもう!ツアレは可愛いな!本当に可愛いな!」
レオンはツアレを抱きしめ頬ずりをした。
「それじゃあラナーのところに行ってくるよ、実は昨日護衛の仕事ほったらかしたままなんだよ」
笑っているが普通に考えればあり得ない事だ、護衛の任についている者が主の元を離れ朝帰りなど前代未聞だろう。
「そ、それは駄目ですよ!?ラナー様に怒られてしまいます!お祝いの準備は私の方で用意いたしますから早く護衛に戻らないと!」
「やっぱりまずいかな?まあツアレがそう言うなら戻るとするか、それじゃあいってきまーす」
転移の魔法で一瞬にして城門まで移動するのはレオンの日課のようなものだ、たまに屋敷から歩いて来る事も有るがそういった時は買い物に行くツアレとの散歩が主な意味合いだろう。
本来ならばラナーの部屋の前まで転移してしまえば早いのだろうが転移先は毎回城門の前としている。理由は簡単だ、ラナーの部屋の前まで転移してしまうとレオンが仕事をしていないように見えてしまう。人間というのは過程を重要視してしまう傾向が有る、レオンがいかにラナーの横で護衛の任務を全うしていても貴族、一般の兵士、メイド達には城門を通ってラナーの部屋に向かうのを見なければ王城に来ていないと見なされるのだ。
故に経由地を作り城門から歩いて仕事をしに来ているというパフォーマンスを強いられているといった現状だ。
「しっかし今日も平和だねぇ、
この世界に転移してきて10年も経てばそれが当たり前だと理解しているのだが、モモンガと出会えたせいか普段の慣れた日常がどこか不思議に感じてしまうのだろう。
「これはレオン殿、今日もラナー殿下の護衛ですかな?」
「ん?これはこれはリートン伯爵じゃないですか、御元気そうでなによりで」
レオンが城内を歩いていると後ろから声を掛け左手を上げ親しそうに近寄ってくるのは
六大貴族のリットン伯爵だった。
「ええ、おかげ様で普段の生活がとても充実したものになっておりますので…ところで、次に作られる作品はお決まりなのですかな?」
次に作る作品、レオンが貴族相手に商売、もといぼったくっているガラス細工のことだろう。昔は今もリットンの左腕で輝いている
「んーまだ決まっては無いかな?アレを作るときは数日屋敷に篭って作りたいもんでね」
勿論嘘だ、形を思い浮かべてしまえば一瞬で作れる。それをしない訳は一つ一つに希少価値をつける為だ。
「そうですか、それは残念です。また素晴らしい作品が出来上がった折にはぜひご連絡を頂きたいと思っています」
「そう言ってもらえると俺としてもがんばろうと思えますよ」
「ところで明日私の領地へ帰ろうと思っているのですが、宜しければ護衛として来て下さらないでしょうか?勿論報酬はお約束します」
リットンとしてはガラス細工よりも護衛として雇い入れたいというのが本音だ。10年前に襲われてから護衛の数は倍に増やし、王都に出向く用があれば毎回レオンに打診している。レオンも休みが合えば報酬目当てに引き受けていた。
リットンはその成果あってか早い段階でレオンからわざと名前を間違えて呼ばれる仲にまでなったと思っている。
これはリットンにとって、リ・エスティーゼ王国の戦力ナンバー2が貴族派、ひいては自身の駒として動かせる可能性が出てきたのだ。これほど嬉しい事は無い、国王派には王国戦士長が居るがその戦士長と剣を交え拮抗した存在が
「あー申し訳ないが明日は1日ラナー様の護衛となっているのでご遠慮しておきますよ」
名前を間違えるのは本当に交友関係が築けたからなのだろうか?
「そうですか、それは残念です。また機会があれば是非ともお願いします、王国ナンバー2の貴方が護衛に付いて頂ける時ほど安心して帰れる時はありませんから」
「ええ、またの機会があればよろしくミトン伯爵」
それはお互いのみ知ることなのだろう。
扉を叩く音が聞こえる、力強く、しかしどこか繊細なノック音だ。
この音を出すのはこの国で1人しか居ない。
「どうぞ♪」
「失礼しますよっと」
やはりレオン様です、ああ、いつも微笑みかけてくださるお顔と少し違います。これは良い事があったに違いない。昨日申し上げた事が的中したのだろう、ならばきっと…
「おはようございますレオン様」
でもそれを聞くことはしない、そんな事をしては私が言わせているようになってしまう。こういうことはレオン様ご自身の気持ちで言ってもらうことに意味が有るのだ。
「おはようラナー、まずは謝罪をさせてくれ。すまなかった警護をする立場にありながら任務を放棄してカルネ村に向かったことを」
ああ、レオン様が私に頭を下げられている。こんなこと滅多に体験できません、あぁ…こういうのも悪くは無いのかも知れないけれど。
「そして有難う、君の言った通りの出来事になったよ。戦士長を目的とした謎の集団にカルネ村が襲われていた…ラナーが教えてくれたおかげで村の被害を最小限に抑えられたと思う。本当に有難う」
きっと何人かの村人は亡くなられたんですね。
「まあ、それは良かったです。レオン様が大切にされている村の方々が亡くなられたのは辛いことですが」
「ラナーが今回の貴族派の企みを見抜いてくれたおかげだよ。本当に有難う」
あぁ、レオン様が頭を撫でてくださってる、とても優しく、どこか悲しさを感じさせる力。
「まあ、そんな強い方がいらっしゃるんですね!その方はきっとレオン様と同じくらい強い方なんでしょうね」
レオンはカルネ村で起こった戦いのあらましを説明していた。始まりは昨日ラナーがレオンに王国戦士長抹殺計画と言うものが貴族派によって進められていると言う事を教えられた事が始まりなのだが。レオンにとってガゼフの抹殺よりもカルネ村周辺の村を使っておびき出すという事の方が重要だった。ラナーの許可を取り
「ああ、あの旦那のおかげでカルネ村や戦士長は助かったといっても過言は無いと思うよ」
「そんな事ありません!きっとレオン様1人でも悪党を退治できていたに決まっていますよ!」
「はは、もちろんさ、俺は強いからね。俺1人でも問題なかっただろうね」
話が弾みレオンはここで言うしかないと理解する、紛いなりにも自分はラナーによって王国で仕事を得ていると言って間違いない。ならばこの願いを、我侭を通すのはラナーの許可を得なければならない。
「それで昨晩カルネ村からの帰り道に再会できたんだ、10年ぶりに友人に」
「…まあ!それは本当ですか!?おめでとうございます、レオン様がずっとお探しになられていました方ですね!?」
ラナーは一瞬驚いた顔をしたがレオンの嬉しそうな笑みを見るとまるで自分の事のように破顔する。
「有難う、これも全てラナーのおかげだよ」
「ちがいます、レオン様がずっと探されていた努力がついに実ったんですよ♪」
「そうかな、そうだといいな…それでラナーにお願いが有るんだ。勝手なお願いだという事は重々承知している…護衛の日数を減らしてはもらえないだろうか」
「…理由を聞かせて頂いても宜しいですか?」
「友人は最近こっちの方へ来たばかりらしくてな、取り合えず暮していくために冒険者を始めようという話になったんだ、その話をしているとまた一緒に冒険がしたくなってな…勿論ラナーの護衛を疎かにするつもりは無い、俺が居ないときはアルカディアを付ける事を約束する。だから…どうかな?」
「はい、大丈夫ですよ♪」
「ああ、当然ラナーが納得出来ないのも分かる、我侭を言っているのは……えっと。いいの?」
レオンは断られることを覚悟していた、断られなくても大分条件を付けられると覚悟していたのだが。すべて杞憂に終わったようだった。
「本当にいいのか?」
「はい、レオン様がやっと再会できたご友人とのお時間を頂くことはできません、お父様には私からお願いしますからレオン様は何も心配されなくて大丈夫ですよ♪」
「ほ、ほんとうか!ありがとう!ああ!やっぱりラナーは可愛いし優しいな!」
「れ!レオン様!?」
レオンは嬉しさのあまりラナーを抱き抱え踊り始める。
今日は一日レオン様が嬉しそうに笑われていた日でした。
レオン様をあれ程嬉しそうにさせる人物に嫉妬してしまいます。
でも不思議と怒りは沸いてきませんでした。
友人に再会できたという話をされた時はレオン様が私を置いて王国から出て行かれると思って動揺してしまいましたが、レオン様はきっとその様な事をされないと分かっています。
なにせレオン様ならアダマンタイト級冒険者に成られるのなんてきっと直ぐのことでしょう、そうなれば。
今以上に名声を手に入れることが出来る、帝国の戦争に出ることが不可能な今ではアダマンタイト級冒険者に成っていただくのが一番の近道。
「なら私はレオン様がこんな
「私は…ラナーは貴方様の忠実な
今回はレオンさんがラナー様に今後の方針を発表するお話でした。
いわゆるプレゼンと言うやつですね!
え?全然プレゼンに成ってない?それはあれですよあれ…きっと書かれていない所で壮絶なプレゼンが行われていたんですよ(白目)
今後はアインズ様とレオンさんが一緒に冒険者として活動していくお話となっていく予定です、ええ、予定ですとも。
ツアレ嬢もラナー様も可愛いよぉぉぉぉ
ハアハアハアハア
前回の投稿からだいぶ日が経ってしまいましたが…
ただいま!