オーバーロード~死の王と幻影の王~   作:ミズナラ

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本当はもう少し書く予定でしたが、一旦区切らせていただきます。



27話

 日も暮れ始め一行は野営をするべく準備を始めたのだが。

準備をしている漆黒の剣を他所に頭を下げ、この世の終わりだと言わんばかりに絶望しているレオン。

「もう、いい加減気持ちを切り替えなさいよ」

 冒険者達は倒したモンスターの適正箇所を組合に提出する事により報酬を手に入れる。

 今回アインズと漆黒の剣はモンスター討伐も含めてンフィーレアの依頼を引き受けたのだが。

ゴブリン達(アイツらの)耳が必要なんて知らないよーあそこまで雑魚だったなんて想定外だよー」

 今回の戦闘でゴブリンは15体、オーガは6体いたのだから耳の数で言えば2()1()()手に入るはずなのだが…

「あーあ…13体分しか残って無いなんて…絶望したぁ!」

 レオンが斬り殺した6体とアインズが斬り飛ばした3体は頭部が残っていたが、レオンがファイヤーボールによって纏めて爆殺した12体だけは損傷が激しく、採取出来たのは4体だけとなってしまったのだ。

「もーマジ最悪なんですけどー最初から分かってたら全員三枚おろしにしてやったのにーちょーさいあくー」

「レオンさん、いつかの時代のギャルみたいになってますよ」

 アインズとしては漆黒の剣に自分達の実力を見せつけ、エ・ランテルに帰った時に武勇を広めさせる事が出来れば充分だった。しかしレオンとしては武勇よりも目先の報酬が優先されるようだ。

 そもそも武勇を広めるという事などレオンは考えていないのでは無いか。

(この先知名度を上げれば今回の損失なんて幾らでも補えますよ!『先ずはどんな依頼もこなしてサクサクっと有名人になって、依頼沢山報酬がっぽがっぽ計画でいこうね!』って言ってた人の態度じゃ無いでしょ!?)

「ええと、レオンさーーん。この先まだ森が続くようですし、もっと強いモンスターもいると思われます。ええと、その…つ、次挽回しましょう?」

 レオンの様子に狼狽ながらも至高の御身に何か声を掛け励まそうとするが、ナーベラルにとってこういった時どうやって慰めて良いか言葉が思い付かない。そもそも至高の存在で有る御身がこの様な事でショックを受けるなど思いもしなかっただろう。

「あーん!俺を慰めてくれるのはナーベだけだよぉ!もー可愛いなぁ!」

「な!?」

「ちょお!?」

 落ち込んでいた人物とは思えない速さでナーベラルに近付き抱きかかえた、咄嗟の出来事にナーベラルも反応する事ができずレオンのなすがままになってしまっている。

「ああああのののれれれレオン様!?」

「もーやっぱりナーベは可愛いなぁ!傷ついた俺の心を癒してくれるのは君だけだよー、ほーらもっとダディの胸の中で俺を癒してくれていいんだよ!」

 ナーベラルはまさか至高の存在で有るレオンに抱き締められるなど予想しておらず、アインズやレオンを慕っている配下としての喜びと驚きで顔が真っ赤になり頭は真っ白になってしまった。

「ほーら、ダディを癒しておくぶぅおはぁ!?」

 先程と打って変わって満面の笑みを浮かべているレオンの脳天にアインズの拳が叩きつけられた。その衝撃は流石にレオンですらこたえたのだろう、ラキュースに殴られた時とは比べ物にならない程苦痛に表情を歪めていた。

「何やってるんですか!?」

「つぉぉぉ…お、お前マジで殴んなよ…いっつー、流石にダメージあるぞ」

 レオンにとってラキュースに殴られるのはダメージがなくやられたフリをしているだけだが、レベル100のアインズに殴られるのは冗談にはならないらしい。

「ちょっとナーベさん大丈夫?嫌なら嫌って言った方が良いわよ?」

 そんな2人を他所にラキュースが声を掛ける、しかし思考が追い付いていないのか、ナーベラルは直立不動の姿勢で立っていた。

 

 

「ところでレオンさんとラキュースさんの食事はどうなっているのでしょう?我々もエ・ランテルを出立した時の人数分しか用意していなかったので」

 ペテルが食事の準備をしながらレオン達を伺う。元々カルネ村へ行くまでに一泊、カルネ村で一泊、帰りはカルネ村を早朝に出立すればエ・ランテルへ夜には戻って来れる計算だった。

 冒険者と言うのは道中の事を考え、出来る限り荷は軽くしたい為余分な物は持ち運ばない。ルクルットが作っているシチューならば後から合流したレオンとラキュースにも分ける事は出来るが、主食と成るパンの数が足りない。そもそもシチューを取り分けるお椀が無い。

「あーそう言えば何も準備してなかったな。ラキュースは何か持ってるか?多分持ってないとは思うんだけど」

「勝手に決め付けないで貰えるかしら?…って言いたいところだけど私も何も持って来てないわ。元々王都の組合に依頼が来ているか聞きに行っただけだったし、エ・ランテルではどこかの誰かさんが有無を言わさずさらわれたから」

 ラキュースは王都から流れ作業の様にエ・ランテルまで移動し、アインザックと話しているところを詳しく説明されない状態でレオンに連れてこられた為身に付けている武具以外何も用意出来ていない。寝床に関しては今まで様々な状況下で冒険をして来たラキュースとしては何も無い状態での野宿など1日なら問題はない。

「んーそうか…大丈夫です、我々の分は私が作って来ることにします」

「作ってくる?ええと…どう言う事でしょうか?」

「ちょっとレオン?今から食べれそうな物を探しに行くつもり?」

「何言ってるんだラキュース、俺は()()()()()って言ったんだぞ?」

 他の作業をしていた面々も手を止めレオン達の様子を伺っている、何も準備をしていないと言っていたにも関わらず、この男は()()と言っているではないか。

皆は考える、今から何もないところから食材を創り出すとでも言うのだろうか。

「さてと、依頼主には断りを入れなきゃな。ンフィーレアさん少し宜しいでしょうか?」

「はい、何でしょうか」

「大切な仕事の最中に申し訳ないのですが、少しの間離れ得る事を許しては頂けないでしょうか?勿論私が離れている間はモモン君が私の代わりに2倍働くので、何か有った際にはラキュースをこき使って頂いて構わないので」

「え?ええ、少しの間でしたら構いませんけど…」

 やはり今から食べれる野草か動物でも探してくるのか、皆その考えに行き着く。

 しかし。

「それは良かった、有難うございます。それでは少々失礼致します」

レオンは微笑を浮かべンフィーレアへ頭を下げる。

 

 何でも貴族に準備させてるからこういう事になるんじゃないんですかね

「ニニャ!」

 本人は囁いただけのつもりだろう、しかし負の感情を持った言葉とは存外人の耳に届くものだ。その言葉に誰よりも早く反応したのは流石は野伏(レンジャー)という事だろうか、ルクルットがニニャを咎める。

「も、申し訳ありません!ニニャはお姉さんを貴族に連れて行かれた過去があって…本当に申し訳ありません!ほら、ニニャも謝るんだ!」

ニニャも流石に自分の言葉に負い目を感じたのか不満気な顔で謝罪をした。

「すみませんでした…」

 謝罪を受けたレオンは何処吹く風なのか首を傾げている。

「えーっと…何か仰いましたか?すみません、聞こえなかったもので。お気になさらず?」

「え?あ!ああ!そうですね、きっと気のせいだったんでしょう!」

 ペテルはレオンが聞こえているがその場の雰囲気を察して聞こえなかった事にしてくれたのだと思い安堵する。

(レオンさん慣れてるなーこういう僻みみたいなのに慣れてるのかな?)

 アインズはレオンの返しに感心しているが、この場でただ1人納得出来ない人物がいた事をアインズは忘れていた。

下等生物(プラナリア)が…いい加減舌を引き抜いてあげましょうか」

ニニャのレオンに対する今までの言動に我慢の限界が来たのかナーベラルが怒りに表情を歪めている。

「よさないか、ナーベ。空気を読まないか」

「しかし!」

 仲間を馬鹿にされれば怒るのは至極当然だ、ペテル達漆黒の剣のメンバーとて仲間を馬鹿にされれば怒るだろう。故にナーベラルの反応は仲間思いの者ならば納得のいく行動だ。

「もーナーベったらーそんな怖い顔しないの!可愛い顔が台無しじゃん!」

 一触即発の空気を読んだのか読んでないのかは定かではないがレオンが満面の笑みを浮かべナーベラルへと近づいて行く。

「ナーベの気持ちは嬉しいけど俺何も聞こえなかったんだって、ほらスマイルスマイル!ーーーーー」

「!?成る程、畏まりました」

 レオンがナーベラルの頭を撫で耳元で何かを囁いたように見えたが、何と言ったのかは分からなかった。だがその言葉に納得したのかナーベラルは冷笑を浮かべ頭を下げた、まるで先程の怒りなど何処かに置いて来たかのように。

(え、なに!?何を言ったらナーベラルをあそこまで落ち着かせれるの!?)

 今まで自分が何を言っても渋々従っていたナーベラルが素直にレオンの言う事を聞いて落ち着いているではないか。

「それではンフィーレアさん一旦失礼します。それじゃあラキュース、俺がいない間ぐらいは働いといてな」

 

 アインズとしてはレオンが何処かに移動する前に是非ともナーベラルの落ち着かせ方を聞いておきたい。レオンを手招きすると皆から離れ静寂(サイレンス)の魔法を掛ける。

「レオンさんさっきなんて言ったんですか?あんなに怒ってたナーベラルが別人みたいになってるじゃないですか」

「えーそんなに難しい事なんて言ってないよ?ただ優しくスマイルスマイルって言っただけだよー」

「実際は?」

「『弱者の遠吠えにいちいち反応するものじゃないよ。強者とは吠える犬をいつでも好きに出来るんだから。だから君も楽しみにしておくと良い、あの遠吠えが絶望(悲鳴)に変わるのを』」

 そう言ったレオン(友人)の顔はこの世界に来てから見たことがない程の笑顔だった。




取り敢えず今書けたところまでの投稿となります。
次のお話も出来るだけ早く投稿したいと思います。
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