「客将と言う事は戦士長と顔見知りだったんですか?」
レオンがリ・エスティーゼ王国で客将をしているならガゼフのことを知っているのも納得が出来る、しかし何故カルネ村でガゼフと会う事ができないと言ったのだろう。
王国内で2人は敵対してでもしているのだろうか?出会ったらガゼフがレオンに戦いを挑んだりする関係なのだろうか、スレイン法国と戦闘を見る限りレオンが負ける要素が見当たらないが。
「そうだよー彼が御前試合に優勝したときに顔を見たのが初めてで話したのはその1年後だから3年の付き合いになるかな?」
「なら何で戦士長がカルネ村に来るとき隠れたんですか?顔見知り同士だったら説明も早いでしょ?」
「そうなんだけどねー俺王国での立場ってか城内の評価って何ともいえないんだよね、リ・エスティーゼ王国って国王派と貴族派に分かれてるんだけど、ガゼフは国王派で俺はどっちつかずの立場でいるんだけど勝手に貴族共が自分達の派閥に引き込んだって吹聴するもんだからそこ等へん理解できてない
やれやれだと言わんばかりに大きなため息をつく、アインズはレオンの言いたい事が分かってきた、要するにレオンとしてはガゼフを助ける事に問題はないがあの状況での遭遇は今後の厄介ごとがおきる事への懸念だったと言う事なのだろう。
「事情は分かりましたがそもそもなんでレオンさんが貴族派だと言う事になっているんですか?どんな事したらそんな吹聴されるんですか」
「
「自業自得じゃないですか!?てかこっちの世界でもアイテム作ってるんですか!?」
レオンはギルドメンバーあまのひとつと同じ鍛冶師だが、彼とは違い職業レベルを鍛冶師と戦士職をメインにしたビルドをしていた。一応自分で作った武器を使うために魔法職も習得している。
「自業自得なのかなー?バイトは適当に相槌打ってモンスターや野盗とかあしらうだけだしアイテムは何の能力もない装飾品をぼったくり価格で買い取らせてるだけなんだけなんだけどなー」
「こっちの世界でもお金儲けメインなんですね、流石は経営者」
「そらそうよ、世の中お金よ?そう意味では
貴族に対する商売を思い出したのか悪意たっぷりの笑みを浮かべていた。
「本当に価値を理解していない、できない貴族ほど便利な物は王国に存在しないと思ってるよ。話変わるんだけどナザリックって食堂とかシェフっていたよね?」
「利用したことは無いですがありますよ。お腹空きました?食べに行くか運んで貰いますか?」
アインズはアンデットになってから食欲とは無縁になってしまったがレオンはドッペルゲンガー、異形種と言えど食事もする。アインズは再会してからレオンが何も食べていない事に気がついた。
「普段はリング・オブ・サステナンスを着けているから食事は不要だよー食堂は有るんだね。それじゃあそこのメガネを掛けたメイドさん、10年も逢って無かったせいで名前が思い出せないんだお名前を伺ってもよろしいかな?」
「ボ…失礼しました。私は
「じゃあユリ、悪いんだけどこのバスケットにサンドイッチを作ってもらって入れて来て貰っても良いかな?」
レオンはそう言って空間からカルネ村で空になったバスケットを扉の横で待機していたプレアデスのユリに預ける。
「畏まりました、サンドイッチの具材は何がよろしいでしょうか?」
「食べるのは村の子供…女の子2人だから具材は野菜中心で干し肉を少し入れてもらえるかな?量は少なくて良いよ」
「分かりました、ではそのように申し付けておきます」
ユリはバスケットを受け取ると笑みを浮かべ部屋を後にした。
(ふふ、やはりレオン様は前から私たちに御声を掛けて下さった慈悲深いお方。そして人間の子供にもその優しさを分け隔てなく与えてくださるなんて…流石は至高の御身と言う事ですね)
ユリ・アルファはナザリックでも希少な属性が善である存在だ。自分の考えがナザリックでは理解されにくい事も分かっている。そんな自分の考えを理解してもらえるのは同じく属性が極善であるセバス・チャンかペストーニャ・S・ワンコだけだろう。至高の御方々が何処かに行かれる中この地に残ってくださっただけでも慈悲深いお方だと思っていたが。
(お許しいただけるなら一度ゆっくりお話してみたいですね)
ユリは自分の造物主以外にも子供好きな至高の存在がいる可能性に胸を躍らせ食堂までの足取りが軽かった。
「やばいねアインズ君…ここが楽園、いや天国?桃源郷か?」
「またですか、いいたいことは分からなくはないですけどレオンさん、ユグドラシルの頃はそこまで酷くは無かったですよね?」
「酷くってのは理解しかねるけど、そらアインズ君より先に10年も歳を取ったら多少感受性が豊かになるもんよ」
アインズからしてみれば人目を気にせず守護者達を抱きかかえるのは多少どころの話ではない。
「そういえばレオンさんに聞いておきたい事があったんですが」
「ナザリックで誰が一番のお気に入りかって?そうだなーシャルティアは少し性癖変わってそうな雰囲気だけどそれはそれで可愛いところだよね。アウラは男装系少女でしょ?いいねそれがいい、恥かしがりながらワンピースでも着てきたら一瞬で心臓打ち抜かれるね間違いない。マーレって男の子でしょ?ん?ちがう?男の娘だっけ?まあいいや、あんな可愛い子が性別男って嘘でしょ?
アインズはもはや驚きを通り越して飽きれていた。元々おしゃべりな人ではあったがまさか
「私が聞きたいのは誰が可愛いとかではなくてですねって、アルベドの名前が出てきませんでしけど。アルベドは好みでは無かったんですか?」
あれだけ勢いよく各守護者達の事を言っていたがアルベドの名前は出てこなかった。可愛いのは好きだが綺麗なのは話が別なのだろうか?
「あーアルベド?もちろん可愛いとは思うよ?いやどっちかと言うと美人な出来る女系だから綺麗かな?でもさ…彼女『モモンガ様大好き』が凄すぎでしょ。あそこまで凄いと流石に俺もノータッチと言うかあまり他の男に見られたくないかなって思って」
「あ、はい」
「で?聞きたい事って何?」
「お気に入りの事を聞きたいって事じゃない事には気づいていたんですね」
「そらそうよ」
なに当たり前のことを、当然だといわんばかりに冷笑を浮かべている。
(いやいやどう考えても本気で喋ってましたから!あんなに力説しておいて冗談だよって言われても説得力ありませんから!)
「なんか釈然としませんがまあいいです。守護者やセバス達から聞いたんですがユグドラシルの頃に1人でログインしてNPCに声掛けて回ってたほんとうですか?」
反応の返ってこないNPCに声を掛けて回る行為などアインズにとってはあまり理解のできる行為ではなかった。やはりリアルでのストレスが原因で奇行に走ったのだろうか?
2人で運営用の金貨を集めているときもお互いに仕事の愚痴を言い合っていた。しかしそれだけではストレス発散にはなっていなかったのかもしれない。
「声掛け?回る?なんのこと?」
「シャルティアがユグドラシル最終日に挨拶してもらったとか、セバスが普段から声を掛けてもらっていたとか行っていたんですけど?」
「あーはいはい、挨拶してただけの話だね、いくらNPCとは言え横を通り過ぎるのに無言で過ぎて行くのは失礼かなって、別に声を掛けて回ってたって事は無かったよ?」
「ええ…そんな理由ですか」
「そんな理由ですね」
アインズには納得し難い理由であったがレオンが言い切るのだから納得せざる得ないのだろう。だがどんな理由にしてもレオンはその行動によってナザリックのNPC達から『至高の41人』ではなく『自分達を気に掛けてくれる至高の存在』という認識に変わっているのだろう。アインズはレオンと共にナザリックの中を見て廻った時にNPC達が2人に対しての対応に僅かながら違いが有ることに気づいていた。
「そうだアインズ君、ずっと
「冒険者ですか?しかしレオンさんの話を聞く限り冒険者になってもユグドラシルのような冒険はできないと思ったのですが」
この世界の冒険者はモンスター退治が主な仕事だ、ユグドラシルのように人が踏み込んだような事のない場所への探索は基本行わず、自分達の拠点から離れる事はしない。これではただのモンスター退治専門の傭兵のようだ。
「まあそうなんだけどね、でもこの世界のお金を稼ぐ事もできるし、この世界の事を自分の目で見て肌で感じる事ができる。それに俺も行ったことのない場所は沢山有るから2人で観光がてらぶらぶらしてみない?なにより…ストレス発散になるよ?アインズ君結構無理してそうだし」
この世界のお金は確かに必要だ、ナザリックに掛かる費用は今まではユグドラシルの金貨で運営していた、当分の間の維持は宝物殿に仕舞って有るユグドラシル金貨で問題は無いかもしれない。しかしユグドラシルの金貨が尽きてしまう前にそれに変わる代用品を見つけなくてはならない。
アインズは守護者たちが求める至高の存在を演じていた。それは友が残してくれた子供たちが望んでいたから。だが…
「無理をしているように見えましたか?」
「そらね、元々魔王ロールしてたから上手に演じてるなーとは思ったけど、それなりに長い付き合いだからね」
確かに無理な演技を続けていれば何処かでボロが出てしまう恐れも有る。たしかに気分転換も必要だ。この3日間だけで大分息抜きがしたい状態だ。
最初の頃でこそ守護者や美しいメイドが自分を慕い従っている状況に喜びもしたが、何処へ行くにも常に誰かが着いてくる状況に精神が磨り減っているのも確かだ。
「確かに気分転換は必要ですね。この世界のことをもっと詳しく知るいい機会ですし」
「いいねそうこなくっちゃ。俺も雇い主に交渉して自由に動ける時間を増やしてもらってくるよ」
「客将の身分で大丈夫なんですか?」
「んーまあ交渉しだいってやつ?それに俺はいつまでも王国で暮すつもり無かったからこれを機に王都からさよならばいばいってのもありだね」
「そうなるとナザリックに戻って来られるんですね!?」
アインズからしてみればそれは願ってもない事だ、こちらの世界で友人が近くにいるのはいざと言うときに心強い、守護者達NPCもきっと喜ぶ事だろう。そしてアインズ個人的にもそれは嬉しい事だ、ギルドのメンバーがナザリックに増える事によって守護者やメイドたちの期待や忠誠が2人いる事によって分散もされるだろう、ストレスが軽減される事を祈りたい。
「ナザリックに戻るのは別に構わないんだけどねぇ、うちのメイドも連れて出てくるつもりだから…ほら、ナザリックって基本的には人間お断りじゃん?一部例外を除いて」
「メイドも連れてくるんですか、ナザリックは人間に対していい感情を持つものは少ないから大変かもしれませんね」
確かにナザリックの大半の者達はカルマが悪、極悪に偏っている。セバスやユリのように人間に対して敵意を向けない者もいるがそれはごく少数。
「だから少し考えてみたんだけど、カルネ村の近くに屋敷でも建てて暮そうかなって、そうすればエンリ達の面倒も見やすいし、ナザリックにも来やすい。俺のメイドも暮しやすい…まあメイド以外にも増えるかも知れないけど」
「なるほど、確かにそれはいいかもしれませんね、守護者達はナザリックに戻ってきて欲しいと言いそうですがそこは何とか説得してみましょう」
アルベドやデミウルゴスは反対もしそうだがカルネ村との繋がりをレオンが引き受けてくれていると言えば納得もしてくれるだろう。
2人が今後の計画を話していると扉が静かに数回ノックされた。扉の横で控えていたユリが使いに出ているので室内にはアインズとレオンの2人だけだ。レオンは立ち上がり扉に向かった。
「はいはーい、どなた?」
「ユリ・アルファでございます。サンドイッチがご用意できました」
レオンが扉を開けるとバスケットを抱えたユリが驚いた表情でたっていた。
「も、申し訳ありません!レオン様に出て来て頂くなどメイドとしてお恥かしい限りです!」
「え?あーうん…」
レオンからすれば室内に誰も居ないのだから自分が出るのはあたり前だったのだが、ユリからしてみれば主人にわざわざ扉まで足を運ばせてしまった己の失敗だ。
「あー気にするなユリ、お使いを頼んだのは俺なんだ、そして君はそのお使いを済ませてきてくれたんだろ?だったらそんな君を労いたかっただけさ。だから俺の感謝の気持ちを受け取ってもらえると嬉しいな」
レオンは感謝の言葉を述べ室内へと促す。ユリもレオンの優しさに笑みを浮かべる。
「お心遣い有難うございます。こちら仰られていたサンドイッチでございます。人間の子供がお食べになられるとの事なのでカットのサイズを小さめに頼んでおきました」
「ふふ、俺も君の心遣いに感謝するよ、もしかしてだけど子供が好きなのかな?」
「はい!やはりレオン様も子供が好きなのですか!?あ!いえ、申し訳ありません」
自分の行動が恥かしかったのか顔を赤らめ俯いてしまった。
「ユリは可愛いなあー俺も子供は比較的好きな方だと思う、もしよかったら今度一緒にカルネ村に行ってみるか?」
「は、はい」
よほど恥かしかったのだろう首まで真っ赤になって返事をする
(流石レオンさん、ナチュラルにナンパしてるよ。その余裕が俺にも欲しい)
友人のナンパテクに感心する彼女居ない暦=年齢のギルドマスターの姿があった。
「さてと、それじゃあアインズ君俺はこれからカルネ村に戻って王都に戻るとするよ。今日か明日にでも雇い主に話をしてみるから君からもアルベド達にそれとなく伝えておいてもらえるかな?」
「分かりました、何て言った方がスムーズに理解してくれますかね?」
「現地視察、現地調査で良いんじゃない?ストレートに言うのが楽だと思うけど。多分言いにくいでしょ?その場の雰囲気で臨機応変に受け答えでいいんじゃない?
レオンは
「殆ど私に投げていかないでくださいよ…まあレオンさんらしいと言えばらしいか。ユリよ、すまないが守護者達を呼んできてくれ」
「畏まりました、アインズ様」
ユリは守護者達を呼びに部屋から出て行った、アインズは
レオンはカルネ村のはずれ、エンリたちが襲われていた場所に転移で戻ってきた、そこにはアルカディアが羽を休めレオンの帰りを待っていた。
「アルカディア、
レオンが頭を撫でると気持ちよさそうに目を細めレオンの顔を舐める、よほどお腹が満腹なのか上機嫌な様子だ。
「あと少しゆっくりしとくといい」
「エンリーただいまー、もう起きてるかなー?」
レオンは静かにエモット家の扉を開け中の様子を見る。
外は既に日が昇り始め明るくなりはじめている。普段であればエンリも起きて井戸に水を汲みに言っている頃だろう。しかし室内はいまだ暗く姉妹は仲良く眠ったままだ。
「2人ともかわいいなー本当はこのまま寝かせてあげたいけど何も言わずに帰ったら不安になるかもしれないからな…さあそろそろ起きなさい。
睡眠の異常状態や肉体的疲労も回復したのだろう。エンリが先に目を覚ました。
「あれ?レオンさん?…おはようございます」
「おはようエンリ、ゆっくり寝れたかな?」
よほど眠りが深かったのか頭がまだ覚醒しきっていない状態なのだろう。
しかしレオンの顔を見て自分が昨晩どれだけ泣いたのか思い出した。
「れ、レオンさんおはようございます!昨晩はどうもすみませんでした!」
「謝る必要はないよ、でもあれで今日からまたお姉ちゃんでいられるな」
「は、はい」
エンリは改めて昨晩のことを考えると恥かしかったのか頬を赤らめ恥ずかしそうだ。
「やっぱりエンリはかわいいなーお持ち帰りしたくなっちゃうよ」
「お、お持ち帰り!?」
「エンリがよかったらだけどね?」
「お持ち帰り…私がレオンさんにお持ち帰り…」
レオンの発言に驚き自分の感情が嬉しいのか恥かしいのか分からないが俯いてしまった。
「ふわぁー…あ、レオンさんおはようございます!」
「おはようネム朝から元気だね」
エンリの声に驚いたのかネムも目を覚ました。
「さて、2人とも目が覚めたか?俺は仕事が有るからそろそろ王都に戻るから。机の上にバスケットを置いて有るから後で2人で食べなさい」
「えーレオンさんもう行っちゃうんですか?」
「お仕事有るからね、俺も2人ともっと一緒にいたいけど我慢するよ。さてエンリ、俺はもう行くよ?」
「ひゃっひゃい!?不束者ですが宜しくお願いします!?」
「ぶはぁ!!??」
「???」
エンリの突然の発言にレオンは吹き出し笑いはじめた。ネムは自分の姉が爆弾発言をしたが理解できないのか首を傾げていた。
「え?あ!?ち、ちがうんです!そうじゃなくて!そうじゃなくもなくて!?あれ?私何言ってるんでしょう!?」
「はー…はー…エンリは吃驚させてくれるな!ほんっとうにかわいいな!」
レオンはエンリを抱きしめ頭を撫でる。その行動にエンリは固まってしまうが、横ではネムが羨ましそうに眺めていた。
「少し落ち着いたら皆で今後のことを考えよう、俺も王都での仕事をどうするか考えておくからエンリも考えといてくれるか?」
「こ、今後のこと!?そ、それって!?」
そういうとレオンは笑いながらエンリを離しネムの頭を撫でて入り口へと向かった。
「朝ごはんを食べて今後の事をゆっくり考えなさい、出来るだけ近いうちに来るからな」
レオンは驚きで口をパクパクさせているエンリとニコニコ笑顔で手を振るネムに見送られエモット家を後にした。
王都が遠いよう!おかしい…当初の予定では今回で王都まで帰還してメイドとの絡みも書くつもりだったのに。昔話も始めるつもりだったのに。
書く時間が無く今回のお話はここまでとなってしまいました。
回を重ねるごとにレオンさんが変態じみて行っている気がしないでもない今日この頃でした。