いつもより若干の遅れでスタートです。
「今回のレオン・D・ファンションの働きに国王陛下は大変満足され、白金貨20枚を褒美として授与する」
「はあ、有難うございます」
お金はどれだけ有っても困らない、お金は人が生きていく中でもっとも重要な物だ。そんな事はバカでもわかる。
この俺、レオン・D・ファンションは自慢できるような事じゃないが金には煩い。金のために生きてきたと言っても過言じゃない。この世界に来てから2ヶ月間はカルネ村でエンリや子供らと戯れながら村周辺に出るモンスター狩ったり自分の能力の確認で金儲けはしてなかったけど、村を出た以上はモモンガ君、ギルドやユグドラシルについての情報収集しながら働くつもりだった。
そう、働くつもりだった、金の為に働くのは別に問題ない。問題ないのだが…
国王の横で昨日助けた姫様がかわいい笑顔で微笑んでいる。
あぁ、やっぱり子供は笑ってるのが一番だな。
いや、違う、そうじゃない。
報酬を貰う事に問題ない、己の働きに見合った対価を貰うのは至極当然だから。
問題なのは。
「そしてラナー王女様の希望によりラナー王女様専属の護衛とし、客将としてリ・エスティーゼ王国に仕える名誉を与える」
なぜか俺が王国で働くことが決まった事だよ!
「宜しくお願いしますね、レオン様♪」
なんでこうなった!!!!
「エンリ、そろそろ離しなさい。レオンさんが困っているだろ?」
「やだ!レオンさんはまだ行かないもん!」
カルネ村、人口は300人程度の小さな村。2ヶ月ほど前村の子供であるエモット家のエンリが1人で森に入り行方が分からないという事件が起きた。
エンリが行方不明になって2日が経ち、誰も口には出さないが『モンスターに連れて行かれ殺されてしまった』そのような空気が流れていた。村の中にモンスターの類が襲ってくる事はめったに無い、しかしそれはあくまで『村の中』の話だ。
森の中に入ればゴブリンや
何も武装していない子供などなすすべも無く殺されてしまうのが関の山だ。
「エンリ、何処に行ってしまったの…早く帰ってきて」
母親は前日から泣き崩れ寝込んでしまっている。父親も朝から森の中を探し回り続けている。
「エンリ!どこだー!エンリー!!」
「これだけ探して見付からないって事はもう」
「よせよ、まだ2日しかたってないだろ」
「でもよ…」
連日朝から探しに出ているが手掛かりが何も見付かっていない捜索隊の中には不穏な空気が流れ始めていた。
「エモットさん残念だけど…」
「まて、今何か聞こえなかったか?」
「え?…何も聞こえないぞ?」
「―――」
「エンリ!エンリなのか!?」
「パパー!」
エンリと思われる声は森に響き渡った、しかし声は聞こえて来るが姿は一向に見えてこない。
「エンリ!何処に居るんだ!?姿を見せてくれ!」
「パパ!上だよ!」
捜索に出ていた息を呑んだ、声に導かれ視線を上げるとそこにはいたのは真っ白な鱗に覆われた
「エ、エンリなのか!?」
「そうだよ?」
「ああ、エンリ、そんな姿になって…」
「?」
「で、でも安心しなさい、パパはエンリがどんな姿になっても味方だからな!」
「パパ何を言ってるの?」
「ああ…エンリ、なんてことだ」
村人達の上空でホバリングしていた
「まってくれ!皆落ち着いてくれ!」
「だがエモットさん!相手は化け物だぞ!?」
「ちがう!アレはエンリなんだ!」
「はあ!?」
父親は両手を広げ他の村人から
「私には分かるんだ!アレがエンリの生まれ変わった姿なんだって!」
「はぁ!!??」「ブフォ!?」
「パパ?何を言っているの?」
「エンリ、大丈夫だ。パパはエンリがどんな姿になっても、絶対に見捨てないからな!」
「あ、あんた何を言って」
「パパ?」
本人は愛する娘は不慮の事故か何かで命を失ったが何らかの形で純白の
しかし。
「エンリ!大丈夫だからな!心配はいら…エンリ?」
父親が振り返るとそこには転生したと思っていた
「パパさっきから何言ってるの?エンリはエンリだよ?」
父親は自分の行動が勘違いであった事に気がついた、
「あーすみませんね、止めようと思ったんだけど。あまりにも我が子を守る父親の姿に感動してしまって。プフッ」
「いや、お兄さんのせいじゃないでしょくく、子供のためならくく、その身を捨ててでも守るのが親のくく、務めってやつだよ」
「パパどうしたの?お顔が真っ赤だよ?」
誰かが我慢できずに笑い始めるとそれは連鎖となって広まっていった、みなが笑う中皆が笑っている理由が分からないエンリと、見た事ないほど顔が真っ赤に染まった父親が頭を抱えていた。
その後レオンは村へ招待され2ヶ月ほど滞在しドルイドの能力を使って畑を耕し、料理人の能力を使ってお菓子を振舞ったり。この世界の事を知るにはカルネ村は効率的ではなかったがリアルでの生活では味わう事のできなかったゆっくりとした生活に満足していた。
「エンリ泣くなって、また遊びに来るから」
レオンとしても村での生活に不満があったわけではないが、このまま元の世界に関する情報を手に入れるにはこの村では限界だった。
「本当?また帰ってきてくれますか?」
(んー可愛いなー子供はやっぱり可愛いよねー)
「ああ、約束約束。だからいい子にしてるんだぞ?」
「うん!だから早く帰ってきてくださいね!」
(かーわーいーいー!キュン死しそう!)
「それじゃ、色々とお世話になりました。また遊びに来させていただきます」
「本当に娘がお世話になりました。妻は家から出れませんがとても感謝していました」
エンリの母親は第二子を身篭っており出産が近いとのことで見送りにはこれなかったようだ。
「いえいえ、私もこの二ヶ月間とても楽しかったです。それでは之にて失礼します」
そう言ってレオンはカーディナルに跨りカルネ村を背に出立した。
「さあ、王国の首都に行けば情報も充実してるだろ、図書館とかも有るだろうし。プレイヤーの1人や2人見付かるかもしれないな!」
レオンはまだ見ぬ未知に胸を膨らませ王国を目指した。
(そう未知を求めて王国へやってきたんだ。なのになんで客将とかよく分からない職業体験してるわけ!?未知の職業を求めて王都に来たわけじゃないよ!?」
「どうしかしましたか?レオン様」
頭を抱えるレオンとは対照的に笑顔を絶やさない第三王女ラナー、レオンとであった日に拒食症を医者に診て貰っていたとは思えないほど顔には生気が満ち溢れていた。それもその筈だレオンに助けられて以来それまで何も受け付けなかった身体が嘘のように食事を取っているのだ。その様子に父親であるランポッサ三世は驚きラナーに理由を尋ねると「レオン様とお会いできたからです♪」とお花全快の返答に父親としては複雑な心境であった。
「あーいや何でもないですよ、姫様?」
「もう!姫様と呼ぶのはやめて下さいと何度も言っているじゃないですか」
「いや、君王女様、俺何処の馬の骨か分からない旅人。そんな奴がラナーだなんて呼び捨てはまずいでしょ?」
「良いんです、レオン様は私を救ってくださった英雄なんですから、何て呼んでも問題ありません♪」
最早この会話も何度目だろう。レオンは考えるのが辛くなってきた。
「はあ、いや、ラナー様聞きたいんですけど周りがずいぶんと慌しい感じなんですけど一体なんですか?祭りでも始まるんですか?」
呼び方の流れはレオンにとって有利に話が進まないので会話を変えることにした。
「できれば様も無くても良いんですけど、まあラナーと呼んで下さるのをお待ちしていますね♪」
(俺が周りに認められたらねー)
「それで今城内が騒がしい理由はもう少しで始まる帝国との戦争に向けての準備をしているからです」
「戦争…」
(たしか毎年エ・ランテル?周辺だかで行われてる小競り合いだっけか?)
「ですが、今年は今までと少々状況が違うようなのです」
「違う?本格的な大戦になるって事?」
「いえ、毎年この時期になると帝国から場所の指定が来るのですが」
「来ていないって事?」
「はい、さすがレオン様ですね!今ので分かってしまうなんて!」
「いやいや今ラナーが殆ど答え言ってたからね!?」
「あ、やっとラナーって言ってくださいましたね♪」
いい歳した大人が子供に玩ばれている。
「あーバカにされてる気分だ」
「そんなレオン様も素敵ですよ?」
「もういいよう、で?今年は戦争が起こらないって考えている連中が多いってことかな?」
のんきな貴族達は『我々に恐れをなして挑んでこないのでしょう!』『やっと帝国の愚かさを理解したんですな』『いやいや、我々『貴族』の恐ろしさを理解したんでしょう』と、その自信は何処から出てくるのだろう。しかし一部の貴族達は本気で戦争は無いと思い民を徴兵せず準備をしていない。
「はい、もし今のまま帝国が攻めてくるような事があれば…」
「一気に押し負けるって事か、で?ラナー様は帝国が攻めてくると?」
「はい、恐らく今の帝国のトップは自分の皇帝としての立場が危ういと思っているのだと思います。なので、場所を指定せずに王国が戦争を楽観的に捉えている隙に一気に攻め込むつもりなんだと思います」
「なるほどねー体裁なんてお構い無しって事か…こまったなーまだ王国来てやりたいこと全然できてないのに滅びるのかー」
自分の置かれた状況に危機感を持っていないのかラナーの話を聞いても意外と暢気な様子なレオン、しかしラナーはそんなレオンの態度に驚いていた。
「レオン様?私のお話を疑わないんですか?城から殆ど出ることの無い私の話を信じるんですか?」
「え?だってラナー様がそう言うんだったらそうなんだろ?まだ短い付き合いだけど…君とんでもなく賢いだろ?」
レオンはこの数ヶ月でラナーの凄さを理解していた、この少女は全くと言っていいほど決められた部屋から出ていない。しかし、そんな環境下でレオンの評判、城内の様子を知っていた。最初は魔法でも使って見ているのかと思っていたがそうではなかった。この姫様はメイドや貴族との会話だけで全てを把握しているのだ。レオンも仕事柄話を聞いて理解すると言うのは得意な方だ、いや得意だと思っていた。だがラナーの前では自分の理解力など児戯にも等しいのだろう。
「まあそんな、賢いだなんて、照れてしまいます♪」
(あぁ、やっぱりこの方は
「んーなあラナー様、もし俺が戦争で成果を上げたら国から報酬もらえたり評判とか良くなるかな?」
「それはもちろんです、功績を出せばお父様から功労金が支払われると思いますし、周りの評価も上がるとは思いますが、評判を気にされますか?」
「評判とかあんまり気にしないけど、ラナー様の護衛としては優秀であるところをアピールしといてもいいだろ?」
「まあ♪」
「お金も貰えて一石二鳥ってやつだな」
「では戦争に参加されるんですね?」
ラナーとしては願ったり叶ったりだった、何故ならレオンの城内での評判は良くない、それもそのはずだ。突然現れ都合よく第三王女を賊の手から救い出し、その功績によって客将と言った身分を手に入れ、第三王女の護衛と言う役職まで手に入れたのだ。城内で働く一般兵や城に出入りしている貴族からすれば面白い話ではない。
なのでレオンが戦争で功績を出し、全ての連中にその素晴らしさを見せると言う事はラナーとしても喜ばしい事であった。
だが1つ問題があった。
「しかしそうなると帝国の情報が欲しいよな」
そう、最近は貴族の連中が戦争は無いと勘違いしてしまっているせいで情報が少なくなっているのだ。
「はい…でも残念ながら王国はあまり帝国の状況を調べていないみたいです。兵がどれ程の規模なのか、いつ何処に攻めてくるのかも分からないと言った様なんです」
(無能共め…そうやって何も考えずに生きてきた結果が今の王国の衰退の原因でしょう。ここは如何にか
「んーそれじゃあ帝国まで直接見に行く事にするか」
「はい?…あの、レオン様?今なんて仰いましたか?」
「初歩的な事だよお姫様、状況が分から無いと言うなら直接見てきたら良いんだよ?」
「そ、それは分かりますけど王国から帝国までは早馬で休み無しでも2日は掛かります、なにより帝都に着いたとしても軍事情報を見る事はとても厳しいと思います」
例え帝都に潜入出来たとしても旅人が軍事施設などには入れるわけも無い、しかしそれは『普通の旅人・人間』でのはなしだ。
レオンは顔の前で両手を合わせ不適な笑みをもらす。
「ふっふっふーラナーお嬢様、私は普通とは違うのですよ普通とは」
「レオン様にとって問題は無いんですか?」
ラナーは理解などできなかった、常識で考えればいつ戦争が始まるか分からない状況で帝国が旅人などを自国の領地に入れる訳が無い。そもそも潜入できたところで見つかる恐れも有る。
「まあラナー見ているといい、私の魔法とペットの凄さをね」
(やはりこの人に不可能などは無いのですね、私の知らない事が起こるのかしら。あぁ、楽しみです)
「折角だからラナーも一緒に行くとするかい?空のデートと洒落込もうか」
「はい!レオン様!…空のですか?」
話を進めるごとに文字数が少なくなっている…
何故こうなった!
今回は前回の少し前の出来事とレオンさんの就職先のお話でした。
何時もより投降時間がずれ込んで申し訳ありません。
時間がー時間がー
次回はレオンさんとラナー様の帝国デートでございます。
もしかしたらそのまま戦争デートと洒落込むかも知れません。
あ、読まれてお気づきになったかもしれませんが、まだラナー様は首輪プリーズに至っておりません。ラナー様が何故新しい属性を手に入れたかは後のお楽しみと言う事にしておいてください。