道化の名は必要悪   作:鎌鼬

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third title

 

 

温泉で疲れを癒し、これから頑張るぞと気合を入れ直したのがついこの間。それなのに俺は疲れ切っていた。鏡を見たらきっと俺の目は死んでいるに違いない。その原因は、俺の眼下で繰り広げられている光景だ。

 

 

街中で発見された暴走しかけているジュエルシード。外への被害を出さないために結界が張られているが、その周りでは高町なのはとフェイト、ユーノにアルフ、更には転生者たちが魔法を使って戦っていた。爆弾の周りで重火器を使った戦闘を行なっているといえば分かりやすいか。下手をすれば魔法がジュエルシードに命中して本格的に暴走を始め、地球崩壊待った無しである。

 

 

高町とフェイト、黒須はジュエルシードに注意しながら戦っているので問題無い。ユーノはバインドを用いながら、アルフは格闘技主体の戦闘スタイルなので、彼らも問題無い。問題なのは残る転生者2人だ。

 

 

御剣は無尽蔵の魔力を潤沢に使ってスキルで剣を作って射出し、もう1人の赤髪の転生者ーーー赤賀和真(あかぎかずま)は10秒ごとに能力が倍加するスキルを使って上昇した魔力を使って魔法を撃っている。彼らは他の者たちと違って周りを気にせずに戦っている。今は奇跡的にジュエルシードに被害は向かっていないが、その内命中して俺の危惧している通りになるだろう。

 

 

「てなわけでちょっと介入してくる。流石に地球崩壊は見逃せんわ」

 

『う〜ん、悪役ロールしてる割には介入する理由が善人ですね』

 

「馬鹿野郎、俺は悪だぞ?地球が無くなったら悪役もクソも無いだろうが」

 

「でも良いの?今日までずっと姿を隠していたのに」

 

「そろそろ姿見せて警戒させた方が良いかって考えてたから良い機会だと思う事にする……てかそう思わないとやってられるか」

 

 

姿を見せることは決めたが身元バレまでは流石に御免被る。なので子供の姿から変身魔法で大人の姿に変わり、顔を隠す為に蒼白い仮面を着けてヴィマーナの淵に立つ。

 

 

「んじゃ、行ってきます」

 

『頑張って下さい』

 

「行ってらっしゃい。負けたらダメよ?必ず勝って帰ってね?」

 

 

愛歌と桜木にサムズアップを向け、ヴィマーナから飛び降りる。

 

 

足場が無くなったことで身体は重力に引かれて自然落下を始め、徐々にその速度を加速させていく。このままの勢いで落ちれば着地する時には愉快なオブジェクトになってしまうことは間違い無しだ。残念な事に俺には飛行魔法の適性は殆ど無く、高町やフェイトのように自由自在に空を飛ぶ事は叶わない。精々出来て直線的に素早く移動する事だけ。そんな頼りないものでも使えば俺が愉快なオブジェクトになる未来を回避出来るのだが、それではダメだ。

 

 

理由はーーー()()()()()()()()()から。

 

 

ゆっくりと、静かに着地していつのまにかそこに居た、では無くて、目を引く方法で現れて俺の存在を見せびらかさなければならない。効率や能率なんていうものではなく、ただの俺の趣味であるが。

 

 

なので腰から銃型のデバイスーーー愛歌命名のカスパールを引き抜く。オペラ〝魔弾の射手〟に登場する、狩りの魔王ザミエルに魂を売った猟師の名前。主役では無くて悪魔と契約を結んでいた人物の名前を持ってきてくれた辺り、愛歌は本当に俺の事をよく分かっている。

 

 

カスパールの銃口を下に向けて、引き金を引く。カスパールは魔力弾だけでは無くて実弾も撃つように改造されたデバイスで、使()()()()()()()()()()()()()()。装填された弾薬によって、その銃口のサイズを変える。現在の銃口は50口径(12.7mm)、銃火器の中でも最大の破壊力を持つ事で有名なアンチマテリアルライフルと同じ口径である。

 

 

実弾を撃てるということは、反動も当然のようにある。本来ならば腹這いになって撃つようなそれを撃ったことで、落下する速度が軽減されながら弾き飛ばされるような衝撃がやってくる。銃身から空になった薬莢を叩き出し、それを回転することで流しながらさらに引き金を引く。それを何度も繰り返しながら落下速度を極限まで落として着地する。

 

 

何度も爆音を立てながらやってきたことでこの場にいる全員の視線が集まる。派手な音を立てながら乱入をした事により、全員の手が止まっていた。突如として現れた俺に警戒、困惑などの感情が向けられるのを感じながら、

 

 

「封印」

 

『封印魔法行使ーーー封印、完了しました』

 

 

隣に浮かんでいたジュエルシードにカスパールの銃口を向け、ハスターに指示を出すのと同時に引き金を引くことでカスパールが封印したように見せる。カスパールの製造目的がハスターにはない攻撃性を持たせる事だったので、ハスターが使える封印魔法を使うことが出来ないのだ。なので封印する為にはハスターに任さなければならず、だけど2つのデバイスを使っているというアドバンテージを隠す為にカスパールで封印したように見せた。

 

 

「ッ!!テメェーーー!!」

 

「新手の転生者かーーー!!」

 

 

封印したジュエルシードを回収すると、誰よりも早くに御剣と赤城が復帰して向かってきた。御剣の手にはスキルで作った黒と白の双剣が握られ、赤城の手にはデバイスである大剣が握られている。さっきまでは互いを否定するように戦っていたというのにこうして息のあっている姿を見ると笑いが込み上げてくる。流石に2人の連携はお粗末としか言えないものだが、まともな実戦経験も無い彼らにそんな事を期待するのは酷というものだろう。

 

 

なので、今後に期待して叩き潰す事にする。

 

 

カスパールの銃口を向けて引き金を引き、実弾では無く魔力弾を発射する。非殺傷設定の施されたそれを先行していた御剣が双剣の片方で弾こうとしーーー逆に弾き飛ばされた。残念だが、カスパールの魔力弾はアンチマテリアルライフルを想定している。両腕を使って防ぐ、あるいは逸らす事を選んでいたのなら結果は違っていたかもしれない。

 

 

弾き飛ばされた御剣の背後から飛びこえるようにして赤城が飛び出し、大剣を振るう。その剣筋はお粗末なものだが、スキルを使って身体能力を強化している為に小学生の一振りとは思えない程の速度でそれは振るわれていた。

 

 

けど、()()()の剣よりも全く遅い。

 

 

カスパールの銃身を大剣に添えて僅かに横から力を加えてやり、その軌道をズラす。俺という標的を捉えることなく大剣はアスファルトを砕き、唖然としている顔面にカスパールを突きつけて引き金を引く。

 

 

バリアジャケットというのは魔力で構成された魔導師の戦闘服である。形成されると同時に全身に不可視の防御フィールドが形成され、バリアジャケット越し以外の攻撃からも使用者を守る。なのでバリアジャケットを展開している場合はその防御フィールドを越えなければダメージを与えることが出来ない。

 

 

貫通特化の魔力弾はバリアジャケットの防御を抜いて赤城にダメージを与えた。非殺傷設定なので外傷こそ着かなかったが、頭を撃たれたことで脳震盪を起こしてそのまま大の字に倒れる。

 

 

「死ね……ッ!!」

 

 

いつのまにか遠く離れた場所まで移動していた御剣の殺意に満ちた呟きが聞こえた。視線をそちらに向ければ、御剣はドリルのように捻れ曲がった剣を矢のように弓に番い、それを放とうとしていた。強張りの弓なのか、本人の筋力が足りないのか分からないが、偉くもたついているように見える。だが、それは人を殺すには十分過ぎる威力があると直感で理解出来た。

 

 

「ーーー魔弾の射手(デア・フライシュッツェ)

 

 

上手くいかない事があればすぐに癇癪を起こし、自分の強さに慢心して直接的な手段を取ろうとする未熟さにまだまだだと評価を下し、御剣に銃口を向ける事なくカスパールの引き金を引いた。

 

 

魔力弾が射出されずに空撃ちしたように見えるだろう。しかし、引き金を引くのと同時に御剣は白目を向いてその場に崩れ落ちた。

 

 

魔弾の射手(デア・フライシュッツェ)、ハスターとカスパールの2つによる必殺の魔弾。カスパールの射出した魔力弾をハスターが即座に目標の体内に直接転移するという初見殺しの技。例えネタバレされて対策を取られたとしても、ハスターのサポートに特化した機能により、その対策を乗り越えて必ず相手を撃ち抜く。今回は魔力弾であったのに加えて非殺傷設定なので御剣には傷1つ付いていないが、本来ならこれは実弾で行われる技である。

 

 

バリアジャケットの守りを通り抜け、体内に直接銃弾を叩き込む、文字通りの必殺の技。

 

 

交戦開始から30秒と経たずに御剣と赤城の2人を戦闘不能にした事により、残された5人はようやく俺が驚異的な存在であると認識して戦闘態勢に移る。

 

 

「Come onーーー」

 

 

挑発するようにカスパールでガンアクションを行いながら、流暢な英語で語りかけた。

 

 

 






そりゃあ爆弾の周りでドンパチやってるのを見かけたら止めるよ。原作でも魔王様とフェイトそんが無理やり封印しようとして暴走一歩手前だったし。

戦闘描写だわぁいって喜んだけど、下手をすればこれで無印のカガっちの戦闘描写は終わってしまうかもしれない。本格的なのはA'sまでお預けかな?

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