道化の名は必要悪   作:鎌鼬

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surprise party

 

 

「目ぇ閉じたか?」

 

「閉じたけど……い、居なくならないよね!?」

 

「居なくならないから安心しろって……お湯かけるぞ〜」

 

 

口頭でリーゼロッテが目を閉じた事を確認して、頭からお湯をかけてシャンプーを洗い流す。度重なる拷問と家族と呼んでいた者たちから裏切られたショックで白くなった髪はリーゼアリアの血肉で汚れていたが、綺麗に洗い流す事が出来た。返り血で汚れた服はすでに燃やして証拠隠滅してある。新しい服を買わなければならなくなったが、タナカから定期的に送られてくる金は使い切る事が出来ずにあり余っているくらいなので問題にならない。

 

 

管理外世界から地球に戻り、俺はリーゼロッテを連れて家に帰った。管理局の護衛たちは魔術と先に帰っていた桜木の財宝で催眠状態にしてリーゼロッテだと認識する事が出来ず、更に元から家に居た地球の人間だと誤認させている。加えて彼女の事をアースラにいる管理局員たちには口外しない様に暗示をかけているので直接家に来られない限りはバレることはないだろう。

 

 

その場合はリーゼロッテには猫になった状態で隠蔽効果付きの財宝を装備してもらう事にしているので心配はしていないのだが。

 

 

「次は背中流すからな」

 

「うん。あっ!!ま、前は自分でやるから!!」

 

「そうしてくれ」

 

 

流石に前まで洗うとなったら俺の理性が削られるので御免被りたい。イレインの方がリーゼロッテよりもスタイルは良いのだが自立人形で無機質な為に欠片も性的な興奮を感じる事はない。しかしリーゼロッテは有機質、つまりちゃんとした肉の身体を持っているのだ。触れれば暖かな体温を感じる事が出来るし、肌は張りがありながらもとても瑞々しい。胸だってスポーティーな女性だと捉えれば、バランスの取れたサイズでポイントの1つとなる。

 

 

残念ながら精通していないのでジュニアは少しも反応する素振りを見せてくれないのだが。

 

 

タオルにボディーソープをかけて泡を立て、リーゼロッテの背中を洗う。泡で見え隠れする背中をよく見れば、そこには俺が付けた傷以外にも古い傷がいくつも付いていた。長年、管理局でギル・グレアムの使い魔として従事していたのでその最中に負ったのだろう。

 

 

「……ゴメンね、こんな醜いの見せちゃって」

 

「醜いとは思わないけど?跡になる傷を付けるほどに頑張ってきたっていう証なんだ。それを感心しても蔑むなんて絶対にしないさ」

 

 

俺が洗脳したので管理局に離反したが、だからといってリーゼロッテが管理局に勤めていたという過去まで否定するわけではない。過去とはその人間がこれまで生きてきた証なのだから、否定してしてしまえばその人間のこれまでを否定することに繋がる。

 

 

背中を洗う手を止めて、一番大きな傷跡をなぞる。そこは敏感になっているのかなぞられた事でリーゼロッテが艶やかな声をあげかけて堪えるが、それが余計にエロい。

 

 

だけどもジュニアは反応してくれない。

 

 

「と、終わったぞ。あとは自分でやってくれよな」

 

「うん」

 

「へいカモーン」

 

 

リーゼロッテに使っていたタオルを渡し、愛歌が先に使っていた浴槽に入る。普段よりも高めの温度でお湯を入れておいたのだが、一仕事終えた後の身体にはその高めの温度が嬉しい。

 

 

実は現在、リーゼロッテと2人っきりではなくて愛歌も一緒に風呂に入っている。帰ってきてリーゼロッテの事を紹介し、復讐を果たしたご褒美として彼女と風呂に入る事を正直に愛歌に明かした。初めは愛歌ちゃんウィップが高速でスイングされるほどに荒ぶっていたのだが、リーゼロッテの事を考えればそれは仕方がないと落ち着きを取り戻し、それなら自分も一緒に入ると言い出してこうなったのだ。

 

 

流石に全裸で入ることはまだ恥ずかしかったのか、学校指定の紺色のスクール水着を着ての入浴だが。ちなみに俺もトランクスタイプの水着を着て入浴しており、この場で全裸なのはリーゼロッテだけだったりする。

 

 

「ほら、御覧なさい両夜。あの雌猫、揺れる乳を持ってるわよ……ガッデム」

 

「落ち着け」

 

 

一人で身体を洗っているリーゼロッテの揺れる胸を見てセルフでダークサイド愛歌ちゃんにレボリューション仕掛けていたのを止める。リビングで暴れられても多少不便になる程度で済むのだが、流石に風呂場で暴れられたら直るまでの間風呂に入る事が出来なくなってしまう。

 

 

「ほら、その……なんだ、まだ希望はあるからな?今の段階で胸に憎しみを抱くんじゃねぇよ」

 

「言い淀んでる時点で希望なんて無いんだけど」

 

「そんなに大きな胸が良いの?これって動くのに邪魔になる時があるんだけど……しかも最近また大きくなったみたいだし……」

 

「……」

 

「そこまで!!それ以上は愛歌がダークサイドに落ちるからな!!この話題はここまで!!」

 

 

腕を組むようにして自分の胸を持ち上げるリーゼロッテを見て愛歌の目から光が失われる。手を置いていた浴槽の縁が握力でヒビ割れているのを見る限り、これ以上この話題を続ければ殺意の波動に目覚める事になるだろう。

 

 

これはこうなると分かっていた筈なのに一緒に入ると言い出した愛歌が悪いのか。それともイレインとは違って無意識で煽っているリーゼロッテが悪いのか。

 

 

リーゼロッテが身体に付いていた泡を流しているのが見えたので詰めてスペースを空けて入るように促す。今は大人の姿では無くて子供の姿なのだが、流石に子供2人と大人1人も入れば狭くなってしまう。それでも一応入ることは出来る。

 

 

リーゼロッテに俺が背中から寄りかかり、愛歌が俺に背中から寄りかかっている形ではあるが。そんな姿勢になっているせいで頭にはリーゼロッテの胸が押し付けられる様な形になっている。

 

 

「両夜、おっぱい枕はどうかしら?」

 

「超最高ーーーハッ!?」

 

「ご、ゴメンね?こんなの押し付ける感じになって……」

 

「溢れる……!!高まる……!!」

 

「止めろよ」

 

 

愛歌ちゃんウィップが出現しかけていたので後ろから抱き締める事でそれを阻止する。彼女の顔が赤くなり、体温が高くなった様に感じられるのはお湯だけのせいでは無いだろう。

 

 

「それにしても……アクロって本当は子供だったんだね?」

 

「変身魔法でちょちょいとね?それと、家に居る時と子供の姿でいる時は加賀美両夜の方で呼んでくれ。バレない様に色々とやってるけど、用心するのに越したことはないからな」

 

「カガミリョウヤ……そ、それなら、リョウヤって呼んでも良いかな?」

 

 

頷く事でそれを認めると、リーゼロッテは嬉しそうにリョウヤリョウヤと繰り返しながら抱き締めてきた。初対面の時は負けん気が強くてカッコいい系の女性かと思っていたのだが洗脳の影響なのか、それともこちらが素なのか、こうした可愛い所が目につく様になっている。

 

 

「……カッコいい系かと思ったら可愛いじゃない」

 

「だろ?俺もそう思った」

 

「か、可愛い!?そんな事ないって!!私なんて短気だし、男勝りな性格だし……」

 

「猫耳垂らしながら落ち込んでる所が可愛いのよ!!しかもあざとさが感じられないってことはこれ天然でやってるわね!?反則よ!!こんなの反則だわ!!」

 

「アリアの方じゃなくてリーゼロッテの方を捕まえて本当に良かったと心の底から思ってる」

 

「あぅぅ……!!」

 

 

愛歌も彼女の可愛さに気がつく事が出来たようでしばらくの間、リーゼロッテは可愛いコールが浴室に響き渡り、それを聞かされ続けた彼女がずっと恥ずかしそうにしている光景が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《えっと、これが聞いてた念話チャットってやつなの?本当に文字が見えるんだ》

 

《今日から念話チャットに参加する俺の手駒のリーゼロッテだ。みんな仲良くするように〜》

 

《はーい》

 

《はーい》

 

《了解致しました……ところで加賀美様、三味線に興味が出たのですが》

 

《作っても良いけどリーゼロッテに手を出すなよ?出したら分解して粗大ゴミに出してやるから》

 

 

夜、愛歌と猫に変身したリーゼロッテと一緒にベッドに入って念話チャットを開く。愛歌からのヘイトは風呂場の一件で幾らか緩和することが出来たのだがイレインは自分の従者ポジションが奪われるのではないかと考えているようで未だにヘイトが高い。イレインの役割は家事全般と万が一の護衛役、リーゼロッテは魔法関連と被っていないのだと教えてあった筈だが。

 

 

《さて、次のターゲットはギル・グレアムだな》

 

《なんか名前がギルっていうだけでムカつくんで惨たらしく殺してくれるとありがたいんですけど》

 

《桜木様と若干名前が被っておられますからね》

 

《殺す、絶対に殺す》

 

《殺すのは良いのだけど、どうやってそこまで行くつもりなの?自分の手駒が使えなくなった事は向こうだって気がついているでしょうし、管理局の本部にいるのでしょう?》

 

 

リーゼロッテの復讐の手伝いをすると決めた以上、ギル・グレアムは死ぬ以外の結末は存在しない。問題なのは愛歌の言っているようにどうやってギル・グレアムの元まで行くのかだ。

 

 

桜木によればギル・グレアムは管理局の中でもそこそこのポジションに就いているらしく、年老いた今ではほとんど前線に出るような事はない。 リーゼアリアの時のように俺を囮にして引っ張り出すという手段が使えないのだ。

 

 

《しかもリーゼ姉妹がやられた事に警戒して今回の復讐を諦めるまでありますかね。一筋縄ではいかないですよ》

 

《ここは本部に乗り込んで始末するのが一番だと提案します》

 

《いやいや、それはちょっと無茶だと思いますよ?仮にもいくつも世界を管理している管理局の本部です。侵入者にだって警戒している筈ですし》

 

《いや、ここはイレインが言った通りに本部に乗り込む事にするわ》

 

《ファッ!?》

 

《リョ、リョウヤ?そんなに無理しなくても、時間をかけて隙を伺えば良いんじゃないかな?》

 

《外見に関しては大人の姿で制服着ればいけるし、セキュリティーだってハスターでハッキングが出来るし。それにギル・グレアムだって間抜けじゃない。自分の使い魔がやられた事からもしかして自分が狙われてるんじゃないかと察してしまうかもしれない。そうなったら下手に時間をかけてどこかに雲隠れされるよりも、多少は危険でも居場所が分かっているうちに殺した方が楽なんだよ。これ、俺の経験則な》

 

 

リスクは承知の上だが、それでも居場所の分かっている内にギル・グレアムは殺してしまいたい。

 

 

可愛い可愛い俺の手駒が殺したいと叫んでいるのだ。主として、彼女の願いを叶えてやるのは当たり前の事なのだから。

 

 

 






80話でA's終わらせたいのにホノボォノ……これ、終わるのかな?

妹猫は可愛い。愛歌ちゃま公認なのでこれは絶対の決定だ。異論は認めない。

次のターゲットはギル・グレアム!!本部で待っててね!!今そっちに行くから!!
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