仮面ライダーだけど、俺は死ぬかもしれない。   作:下半身のセイバー(サイズ:アゾット剣)

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それでは、最終回( )をどうぞ。


♭.俺の仮面は壊れないかもしれない。(後編)

三位一体の戦士(トリニティフォーム)

 それは人間の器に収まる力ではなかった。

 

 創造神によって生み出された七体の超越生命体───エルロード。

 特撮ドラマ『仮面ライダーアギト』における最大の敵にして、最強と呼ぶに相応しい圧倒的な強さを誇る怪人。神に従え、天使を従え、人を憎み、人を虐殺し、アギトを殺さんとした───偉大なる天の遣い。それがエルロードである。

 その力は計り知れない。

 神という頂きに最も近い生命体の強さなど、誰にもわかるはずがない。知る機会もなければ、理解もできない未知の領域を───この世界で津上翔一と名乗った青年は利用した。

 利用するしかなかった。神の力を───この身が滅びようと。

 そうでもしなければ、彼は戦士(アギト)へ変身できなかった。

 津上翔一はアギトである。

 しかし、それはエルロードあっての(アギト)

 彼の中に眠りし、神の化身たる三体のエルロードが内に秘めたる絶大な力のほんの一部を、()()()()()()()()()翔一が借りることによって───〝地〟〝火〟〝風〟───それぞれの属性に対応した超越進化の生命体であるアギトへの変身を可能としていた。

 超越肉体の金(グランドフォーム)───地のエル。

 超越感覚の赤(フレイムフォーム)───火のエル。

 超越精神の青(ストームフォーム)───風のエル。

 三つの形態(フォーム)には、互いに差別化を図るように抜き出た長所がある。防御力が高い。破壊力がある。俊敏性や反応速度───あるいは短所を潰した均衡性(バランス)

 各性能を活かすも殺すも───アギトたる翔一に委ねられる。

 戦況に応じて使い分けねばならなかった。すべての能力値に優れたものなどいないのだ。速度は防御を損わせ、強力なパワーは俊敏な動きを失わせる。長所と短所。万能はいない。全知全能など神と呼ばれたものしか存在しないのだから……。

 

 そして、今───。

 

 進化は促された。

 超越進化の戦士(アギト)は戦闘おける全知全能たる『三位一体の戦士(トリニティフォーム)』へと進化した。()()()()()()()()。至ってしまった、その神たる領域に───。

 三位一体の戦士(トリニティフォーム)とは、究極の熾天使たるエルロード三体との()()()()を意味する───天の力を文字通り三位一体とする()()形態(フォーム)

 地のエル。

 火のエル。

 風のエル。

 謂わば、大天使らが有する莫大なる力を無理やり一つに合わせた───融合形態(てんこもり)

 遍く生命態を巻き込んだ巨大なヒエラルキーの頂点に座する七体の使徒───その内、三体もの天使(チカラ)との不完全な融合。それが三位一体の戦士(トリニティフォーム)。神と呼ばれる不変の神格に、この地球上で最も近しい存在となる形態(フォーム)。その力は当然として人間の器に収まるわけがなく、肉体を引き裂き、精神を蝕み、魂を焼き尽くす───制御不能な神の力となって、津上翔一に襲いかかる。

 耐えられるはずがない。

 耐えられるわけがない。

 ただでさえ、三つの基本形態ですら、一騎当千の強靭な戦士へと変身できる彼が、その三つある形態(フォーム)を一つに束ねて、混ぜ合わせ、強欲にも同時に使用すると言うのだ。人間如きの限りある許容範囲(キャパシティ)では必ずや破綻する。

 それに今の津上翔一は───仮面で隠されたその状態は───棺桶に半身を奪われたようなものだ。無謀にも程がある。無茶が過ぎる。来たる死を加速させているだけだ。……そうだとしても。たとえ、そうであろうとも。

 

 この身が朽ちてしまおうと。

 生命が灰となって燃え尽きようとも。

 守らなくてはならないものは何一つとして変わらないのだから。

 

三位一体の戦士(トリニティフォーム)』───それは津上翔一の命をかけた最期の変身であった。

 

 ───見えているか、アギト。

 

 火のエルが呟く。

 

 ───汝が倒すべき敵が。

 

 翔一は答える。

 

 ───見えます。俺の守るべきものが。

 

 美しき自然という名の神を抱いた戦士───仮面ライダーアギト三位一体の戦士(トリニティフォーム)が今、覚悟の刃を振り下ろす。

 

 

 

***

 

 

 天羽奏の表情が驚愕に染まった。

 それは得体の知れない凄まじき力を前にした畏怖であった。それは絶望の最中にもたらせる美しい輝きを目にした感動であった。果てなき希望の光───それは真の光への熱い感嘆。

 光を見た。

 涙するほど美しい光を見た。

 暗黒を照らす正義の光が生まれる瞬間を目の当たりにした。

 嵐のような烈風が吹き荒れ、空気を焦がすような炎が入り乱れる大自然の暴力の渦中にそれは凛として佇んでいた。

 赤と青の龍の輝石(ドラゴンズアイ)が瞬いて───。

 金色の輝きに包まれた気高き龍が目醒める。

 赤の右腕───闇を断ち切る焔の剣。

 青の左腕───悪を薙ぎ払う嵐の戦斧。

 金色の肉体───闇を引き裂く崇高なる光の化身。

 アギト───三位一体の戦士(トリニティフォーム)

 

「なんだよ、あれ」

 

 信じられないようなものを見たように彼女は茫然たる想いを胸に、圧倒的な存在感を放つその居姿を目に焼き付けた。

 体術の金。剣術の赤。槍術の青。

 そして、今は───。

 如何なる戦術(スタイル)においても達人の域に到達していたアギトの異形としか言い表せぬ三色を揃わせた()()()()()()。両手で扱うべき得物───薙刀と長剣を赤と青の籠手で握り、ずっしりと腰を低くした姿勢で臨戦態勢を整えた黙する黄金の戦士に、奏はとても名状し難い感情を抱いていた。

 戦えるわけがない。

 剣と槍を携える者はおれど、それを同時に振るうものはいない。

 戦えるわけがない。

 深刻な外傷を負ったまま、巨大な二本の武器を扱うには、あまりに血を流し過ぎている。

 戦えるわけがない。戦えるはずがない。

 なのに、恐ろしいことに─── 三位一体の戦士(トリニティフォーム)が此の世に顕現した瞬間、あれだけ暴力的な猛威を(ざわ)めかせていたノイズの軍団が一斉に静まり返ったのだ。

 突然の静寂。ピタリと鳴り止んだ雑音。

 死んだように動きを止めた世界災害。

 それは神の誕生を畏れるようで───。

 雑音の渦中で剣を振るっていた風鳴翼はその異変をより詳しく目にしていた。夢かと錯覚するほどに信じられぬ一端を垣間見た。

 感情を有さないはずの災害(ノイズ)が、まるで本能が拒否しているかのようにアギトに恐怖していた。真の天災たる戦士を前にして、ブヨブヨとした軀を小刻みに震わせる。頭を横に振っているようだった。やがて、ノイズは慎重に一歩ずつ後退していく。

 

『aw☆+>ake⇔n▽€〒^^ing#°$a◇gi◎<▼t£o…』

 

 神を畏れる祈り子のように後ずさる。

 

「これがアギトの……真の力なの?」

 

 そして、翼もまた果てしない恐怖心を抱かずにはいられなかった。

 息が詰まるような威圧(プレッシャー)───覇王の如き壮絶な力の奔流を感じて、鳥肌が沸き立ち、絶刀を握る手がガチガチと震えていた。

 自分より格段に強い戦士を前にした恐怖というより、抗えない自然の災厄に巻き込まれた失望に近い感覚を翼は持っていた。

 実際、そうなのだろう。

 彼はもう災厄だ。

 アギトは美しき天災となったのだ。

 止め処なく吹き荒ぶ嵐のような熱風が迸る火の粉を散らし、悪夢のような戦場を彼の黄金の音色で染め上げてしまった。誰も彼から目を離せない。目を離すことを許さない。それが災厄というものだ。

 張り詰めた緊張の静寂を殺したのは(トータス)のロードノイズ。憎悪を振り撒く憤慨の顔に不敵な笑みは残されておらず、獣のように怒鳴り散らしていた。

 

『bakana arienai!! sonoyouna tikara wa AGITΩ deare osaekirenuzo?!?!』

 

『gGuu……korosu koroshiteyaru……shinizokonai no AGITΩ me!!!!』

 

 銅の(トータス)が左足を下げ、鎧の如き体躯を丸く屈める。

 鉄盾のように硬い鰭状の両腕を交差させ、防御と思しき態勢で攻撃の準備を整えた。ドシン、と地面が沈没するような音を響かせ、踏み締めた脚部から爆発的な突撃(タックル)を生み出す。銅色の弾丸の如き強襲が三位一体の戦士(トリニティフォーム)へ撃たれたのだ。

 投擲された鉄球のような殺意に満ちた激しい猛進だった。さながら、ニトロを積んだダンプカーとでも言うべき(トータス)の重圧的な突進が、未だ回避の予兆すら見せないアギトの目前まで迫り───轢き殺さんと直撃した。───が、しかし。

 

『baka na !!??』

 

 アギトはそれを受け止めた。

 避けなかった。

 避ける必要などなかった。

 焔の長剣(フレイムセイバー)嵐の戦斧(ストームハルバート)を交差させて、前へ突き出した二枚の刃が(トータス)の突進を難なく抑え込んでしまった。

 

 ───〝9〟

 

 完全な防御だった。

 その黒き健脚はついに一ミリさえ退くことはない。

 雑音たる亀の猛進(タックル)を受け止めた赤と青の両腕は身震いさえ起こさない。

 赤い戦士(アギト)を吹き飛ばしたはずの凄惨な衝撃はいとも容易く殺され、あろうことか、攻撃をしていたはずの(トータス)は三色の鎧を身に纏った三位一体の戦士(トリニティフォーム)の恐ろしいほどの圧力によって、ズルズルと押し負けようとしていた。

 銅の(トータス)は動けなかった。態勢すら変えられない。心臓を握られたような気分に浸り、ロードノイズは悟った───非情とも言える力の差を。

 

 ───〝8〟

 

 次の瞬間、雷鳴が(ほとばし)る。

 鋭い膝蹴りが銅の(トータス)の顔面を貫いた残響であった。

 弾けんばかりの威力に襲われ、天を仰ぐような無防備な前身を露わにする(トータス)の雑音は瞬きすら許さぬ刹那において、三位一体の戦士(トリニティフォーム)が背中を見せる瞬間を目撃した。

 

 ───〝7〟

 

 回し蹴り───舞い散る桜の華のように華麗な伸身がくるりと回って、得体の知れぬ爆発のような衝撃を重ねた強靭なる蹴りをロードノイズの隙だらけの腹部に捻じ込むように穿つ。

 空間が割れるような音がして。

 銅色の鎧が砕かれる。

 そして、突然の浮遊感。

 (トータス)は二十メートルもの距離を浮遊した。いや、飛翔と表現した方が的確だったかもしれない。テニスボールのように弾かれ、矢のように吹き飛ばされたのだ。その場に偶然居合わせた幾多のノイズを巻き込んで地面に激しく叩きつけられた(トータス)が、辛うじて目にしたものは───。

 

 ───〝6〟

 

 疾走する鬼神(アギト)であった。

 

「ハァァぁぁぁッ‼︎」

 

 アギトは既に駆け出していた。

 彼我の距離は両者の間合いまで縮まっていた。たかが一秒にも満たない一瞬が三位一体の戦士(トリニティフォーム)にとっては必殺に及ぶ時間に変わるのだと知らされる。何たる速力か───その姿はまさに嵐の海に吹き荒ぶ突風の如し。

 銅の(トータス)にできることはただ一つ。

 己の最高の盾たる甲羅でアギトの一撃を受け止めること。

 風鳴翼の剣閃と超越感覚の赤(フレイムフォーム)の炎撃を食らっても尚、未だ傷一つ刻まれていない無敵の甲羅ならば、三位一体の戦士(トリニティフォーム)が如何に凄まじき攻撃を繰り出そうと耐えられるに違いないといった自信がロードノイズにはあったのだろう。

 銅色の(トータス)は鉄壁たる背中の甲羅を見せつけるように立ちはだかった。

 駆ける三色の戦士(アギト)はその手に強く握られた二本の武器を一方向へ剣尖を並ばせるように構える。

 嵐の戦斧(ストームハルバート)の黄金の刃が解放される。

 焔の長剣(フレイムセイバー)の翼の如き鍔が解放される。

 風を切りながら、双刃に宿る烈しい炎の嵐が闇を斬り裂く───!

 

「ハァァ──────ッ‼︎」

 

【ファイヤーストームアタック】

 

 ───〝5〟

 

『──────⁉︎⁉︎⁉︎』

 

 視界が反転していた。

 肉体がずり落ちていく感覚と共にその死を理解する。

 真っ二つだった。

 下半身と上半身をバッサリと。

 無敵を誇る盾の如き甲羅をまるでバターのように易々と引き裂いた炎を纏う剣と嵐を纏う矛。赤と青の双牙。火と風が螺旋を描くように渦巻きながら一つの光刃に合わさり、たった一筋の閃光たる斬撃を(トータス)の最強の甲羅へと振るい落とした。

 すんなりと断ち斬られた。

 甲羅(たて)など意味を成さなかった。

 滑らかな轟炎の剣閃たる軌跡が巨大な剣刃の波となって、銅鎧の(トータス)の盾を頼りにしていたノイズの集団を一匹残らず、業火と烈風による大災害の剣戟に呑み込んで───。

 溢れるような爆散四散の応酬。

 まさに天災。

 破滅的な光景───暴風に煽られた煉獄の炎がアギトの影を蜃気楼のように揺らす。

 上半身だけになった銅の(トータス)は上下を狂わせた世界で、炎と嵐に舞う戦士(アギト)の残心たる背中を最期に───憎き敵を前にして、重力に逆らうこともできず、天の輪っかを地面に叩きつけられ、怨嗟に溢れた悲鳴を声にした。

 

『AGITΩoωΩoO──────⁉︎‼︎‼︎』

 

 爆散───爆炎が戦場を包む。

 その理不尽と呼ぶに値する圧倒的な強さを前に、天羽奏と風鳴翼の両者は言葉を失った。

 あんなもの()()と同じではないか───。

 その強さの代償を目にする。

 二人の目には、三位一体の戦士(トリニティフォーム)が巻き起こした暴虐的な嵐の演舞を背中にしたアギトが流す滝のような血液の赤だった。ぼたぼたと滴る血が腹部から滲み、まるで痛覚など消えたかのように静かな様相を呈した彼の仮面は───ゆっくりとその血を吐き出していた。

 傷口が塞がっていたわけではあるまい。痛みを感じないわけでもないだろう。災厄にまで至る極限の強さは、アギトの肉体を明らかに蝕んでいた。

 

「なんで」

 

 奏にはわからなかった。

 

「どうして、おまえ」

 

 その強さの理由が───。

 

「なんで、そこまでして戦ってんだよ」

 

 その哀れみが彼には届かない。

 憂いに暮れるような時間は残されていない。

 ノイズはまだまだ狩り尽くせていない。面倒な(トータス)も一匹残っている。戦力として数えられる風鳴翼の方も体力が限界に近いのだろう様子が窺える。

 選択肢はない。

 残り五秒で───全滅させる。

 血に汚れたアギトは次なる攻撃を畳み掛けんと炎の剣と嵐の薙刀を再び強く握り締めた。炎の嵐を斬撃として巻き起こす【ファイヤーストームアタック】ならば、大量のノイズを一瞬の内に消し炭へと変えられる。天羽奏と風鳴翼、そして立花響をこの窮地から救うにはこれしかあるまい。

 

 ───〝4〟

 

(もってくれ、俺の肉体(カラダ)ッ‼︎)

 

 仮面の底で奥歯を噛み締めた。

 焔の長剣(フレイムセイバー)の銀刃に踊る炎が宿る。嵐の戦斧(ストームハルバート)の金刃に逆巻く嵐が宿る。天災と化した一撃を振るうべく、力任せに赤と青の両腕をブン回す───!

 ピキリ───と軋む。

 バキリ───と崩れる。

 不愉快な音。

 その瞬間───激痛が走った。

 心臓が爆発したかと疑うほどの突拍子もない激痛は、やがて胎内の臓物が内側から破裂するような筆舌に尽くし難き苦痛へと伝播していく。ブチリと何か大切な糸が千切れてしまう感覚がアギトの動きを止めた。

 生半可な意識では耐え切れない痛み。

 全身から血を流し、挙句は腹に穴を開けた津上翔一にとって、三位一体の戦士(トリニティフォーム)の状態は呼吸するだけで命を焼却してしまう危険な形態(フォーム)である。まさしく、血を歌声として奏でる装者の絶唱と何ら違いはなかった。

 その代償は、彼の命でしか支払えず、一括払いなどできないのだ。

 

「ぁがッ、ぉ…………………」

 

 鉄臭い血の味が口腔内に広がる。

 カランカランと無機質な音が地に虚しく響いた。焔の長剣(フレイムセイバー)嵐の戦斧(ストームハルバート)が痺れるように痙攣する両手から力無く滑り落ちた音だった。

 全身の筋肉が解かれていく感覚───死の足音。

 視界がぼやける。朧げな影が幾多にも重なって、何も見えなくしてしまう。

 乱れた呼吸が徐々に遅くなっていく。空気が不味くて、酸素が取り込めない。

 ピキリ、と鎧に亀裂が入った。

 

『AGITΩ! sono tikara yurusarenu!!』

 

 銀色の(トータス)が吠える。

 何も感知できなくなったアギトは自分が今、立っているかさえ判らない。見えない。聞こえない。何も感じられない。すべてが遠い。

 死に瀕したアギトの不可解な静止を好機と見たのか、(トータス)を先頭にして、大量の有象無象なノイズも一斉に動き出す。このバケモノを殺さんと津波のような勢いでアギトへと襲いかかる。

 

『koko de kiero!!!!』

 

 ───〝3〟

 

 アギト───津上翔一は仮面の下で目蓋を閉じた。

 何も見えない。何も聞こえない。何も感じられない。何も───ない。

 どこまで続く闇の世界───死の時間。

 凍てつくような静寂に包まれて、虚無の狭間を彷徨う。どこまでも闇。渇くような闇。永遠の闇。これが死。

 俺は死ぬかもしれない。もう限界かもしれない。これで全部終わりかもしれない……。

 ───そう、悟ったのに。

 

 闇の中で、燃えていた。

 まだ熱く燃え滾っていた。

 それは津上翔一の〝魂〟───燃え盛る決意。

 彼が出会ってきた少女たちは間違いなく()()だった。作られた映像の中で生きる創作の産物ではなく、血が通った生命(いのち)ある少女だった。泣いたり、笑ったり、怒ったり、悲しんだり。時には苦しみ、時には挫け───それでも手と手を取り合って、互いに支え合いながら、前へと進み続ける誇り高き人間だった。美味しいものを食べたら美味しいと言って笑い、歌が上手と褒めたら嬉しそうに笑う───ただの少女だった。

 どこにでもいる少女の笑顔だった。

 そんな笑顔を守りたいと思ったちっぽけな心だった。

 あの子たちの涙を見たくない。あの子たちの笑顔を奪わせたくない。我儘かもしれない。傲慢な偽善かもしれない。あるいは悪そのものかもしれない。断罪させるべき悪意なのかもしれない。

 それでも間違いではない。決して間違いではないはずだ。

 あの子たちの笑顔が、作り物ではない命ある温かな笑顔が、心が通った優しい笑顔が…………。

 

 ───間違いであってたまるかッ‼︎

 

 津上翔一───アギトは目醒めた。

 何も見えていなかった。何も聞こえていなかった。

 だが、感じていた、熱い胸の鼓動を───!

 止まっていたはずの心臓(ココロ)歌声(スピード)が叫ぶ。冷たい肉体に熱を帯びた血脈が通い、硬直していた筋肉が力強く迸る。その拳を痛いほどに握り締めて、血だらけの声で天へと咆哮する。

 

「ぁぁ……ぐッ、ゔぉぉオオオオオオオオオオオオオオ─────────ッ‼︎」

 

 大気が震えるほどに叫んだ。

 魂が導くままに、命の最期(おわり)を天に響かせた。

 喉がはち切れんばかりの怒涛たる咆哮を轟かせた。

 俺は死ぬかもしれない。だが、俺が死んだとしても、決して奪わせない───罪なき少女の笑顔を貴様ら如きに奪わせはしない。

 その覚悟がアギトの灼熱の双眸に揺るぎない闘志となって宿る。

 

 ───〝2〟

 

 金色(こんじき)たる龍の双角───クロスホーンが解放される。

 天に昇りし黄金の龍が華麗な演舞を踊るように赤と青の両腕が滑らかな弧を宙に描き、赤き右手を前に、青き左手を後ろに添えて、その力を静かに溜め込んでいく。

 力───この世界に無限に溢れる光の束が一つの音色へと調律するように、三位一体の戦士(トリニティフォーム)の両脚へと渦巻きながら収束していく。

 大地に浮かび上がりし龍の如き紋章が眩いばかりに輝き満ちる。

 それはあまりに美しかった。

 残酷なほどに美しい光景だった。

 吹き荒ぶ黄金の嵐。乱れ舞う聖なる獄炎。大地が唄う───祈りの歌。

 

 生命(いのち)の歌よ、響け───神聖なる紋章が光の渦となってアギトの両脚へと吸い込まれる。

 

 そして、()()()()()()は走り出した。

 命も、痛みも、総てを振り切るように悪意に満ちた闇に向かって我武者羅に走る。

 跳躍───茜色に染まる夕日へと舞うが如く跳び上がる。

 回転───胎児のように丸まった黄金の体躯を大空で回転させる。

 解放───闇を照らす黄金の光を宿したその両脚を解き放つ。

 穿て、その悲劇を。

 放て、その必殺技を。

 叩きつけろ、悪を滅ぼす、誇り高き正義の飛び蹴り(ライダーキック)を───!

 

 ───〝1〟

 

【ライダーシュート】

 

 ───〝0〟

 

 パキン、と亀裂が入る音が鳴って───。

 その瞬間、世界は光に包まれた。

 

 

 

***

 

 

 

「…………終わったのか」

 

 世界を包み込んだ破滅的な閃光の終わりを待っていた天羽奏は咄嗟の判断で庇っていた立花響から身を退いて、その燃え盛る戦場の痕を確認した。

 目の前に巨大なクレーターができていた。

 凄惨な輝きを放つ神速のキックが銀色の(トータス)に直撃した瞬間、まさに大災害と呼べるほどの破壊力たる衝撃が嵐の如き光の業火となって、会場に残っていた全てのノイズをその会場ごと破壊し尽くした。

 途轍もない一撃だった。

 奏は反射的に意識を失っていた響を庇う形でその閃光から目を背けたが、凄まじい光の煽りを喰らってしまった風鳴翼はぐったりと意識を手離していた。

 信じられないほどに綺麗で───恐ろしい飛び蹴りだった。

 

「あいつは、どこだ」

 

 まるで、死を覚悟した闘士の雄叫びだった。

 それは死に向かう者の声───。

 頭の中に嫌な予感が過ぎり、奏はやっと動けるようになった身体を酷使して、その黒煙が昇るクレーターへと這いつくばりながら近づいた。

 ライブ会場は原形を留めていなかった。まるで空から太陽が堕ちてきたかのように激しい赤熱が地面をごっそりと溶かして、至る場所に瓦礫と紅炎を燻らせている。この場所で、少し前に、十万人以上の観客を相手に唄を歌っていたなど、今ではとても考えられなかった。

 悲劇だったのだろう。

 少なくとも、犠牲者は出ている。

 だが、天羽奏は生きている。生きていることが不思議で仕方ないぐらいに───彼女は自分の命が疑わしかった。まるで、ここで死ぬ運命(さだめ)を覆されたような……。

 

「──────っ!」

 

 溶鉱炉のような大地の真ん中で───アギトは居た。

 放心しているように茜色の空を仰いでいる。

 赤と青の両腕はだらりとぶら下がり、両膝を焼けた土に染み込ませたまま微動だにしない。肩に呼吸の動きがなかった。時間が止まってしまったように指一つとして動かしていない。

 様子が変だ。

 嫌な予感がする。

 焦燥に駆られて天羽奏は半ば折れかかった神槍(アームドギア)を杖代わりに、黒ずんだクレーターを危ない足取りで(くだ)っていく。荒れ果てた地面から剥き出しになった瓦礫に何度も躓きながら、アギトの背面───その仮面が辛うじて確認できる位置にまで到達する。

 

「おい⁉︎ 大丈夫なのか、お前っ!」

 

 返事はなく。

 カラン、と───虚しく響き渡る。

 

「………………?」

 

 何かが落ちた。

 小さな赤い破片───砕け落ちていた。

 仮面だった。まるで、涙を流すように紅の複眼が破片となって零れ落ちたのだ。

 砕け散った破片は右目のものだった。赤い結晶がアギトの膝下に散らばっているが、彼はそれにすら頑なに反応を示さない。安らかな眠りに身を委ねているかのように何も感じていない。

 呼吸すらない。静かな───人間(ひと)

 サッと血の気が引くように深い悲嘆の想いに支配された。

 確かめないと───他でもないこの私が───。

 奏は意を決して、ゆっくりと割れてしまったその仮面を覗き込んだ。

 その仮面の奥に隠れた真実を確かめるように。

 

「……………………」

 

 言葉など見当たらなかった。

 声など出せるはずがなかった。

 アギトは怪物である。アギトは人間ではない。

 そう思い込んでいた。

 しかし、そこにいるのは誰だ。

 今そこで命を終えようとしている()()は、どこの誰だ。

 

「おまえは……津上翔一……」

 

 あの時の青年───病院で偶然に出会った通りすがりの青年。

 津上翔一。

 たった数時間の出会い。

 短い時間だった。なのに、それだけの時間で彼がどれほど優しい人間なのか、奏にはわかってしまった。

 子供らの小さな歩幅を合わせて、低い目線に合わせて、その幼い心に寄り添って、柔らかな笑顔を絶やさずに優しく語りかけていた青年は───奏の目に憧憬を持つべき人格として記憶にしっかりと刻まれていた。

 よりにもよって、この青年が。

 正義など無いと断言した青年が。

 誰よりも傷ついて、誰よりも戦って、誰よりも命を救って───誰よりも()()()()()だった。

 皮肉なんてもんじゃない。こんなのは悲劇だ。

 玉藻のように溢れた大粒の涙が奏の頬を流れ落ちた。枯れ果てた大地のように幾多の亀裂が走る鎧に覆われたその手に、壊れないようにそっと触れる。温もりなど───どこにもなかった。

 

「おまえ、なんで……なんで、おまえッ‼︎ ()()()()なるまで戦ってんだよ‼︎」

 

 アギト───津上翔一の肩を激しく揺さぶった。泣きながら叫んだ。返事を求めても、何も返ってこない。その目に光は宿っておらず、脈打つ心もなく、魂を手離した(むくろ)と変わらず───それでも彼女は涙に震わせた声で必死に叫び続けた。

 

「痛いなら痛いって言えばいいだろ⁉︎ 苦しいなら苦しいって言えよ‼︎ 自分だけ傷ついて、他のみんなが救われればいいとか思ってたのか───そんなの一番良くないだろッ‼︎」

 

 この男なら、きっと臆面もなく、そう言い切るに違いない。

 正義という大義名分に甘えなかった、この男ならば。

 生命(いのち)を守ることを正義と断ずることなく、失われるはずの命を守るために、死力を尽くして、今まさに朽ち果てようとしているこの優しい青年ならば───己の命を投げ捨てるに決まっている。

 それはなんという悲しみか。

 溢れて止まない雨粒が焼け焦げた地面へとぽつぽつと落ちいく。この青年が味わってきた苦しみが、わかるはずもないのに、同情などできるはずもないのに───痛くて、痛くて、どうしようもなくて───無我夢中で呼びかける奏は胸が締め付けるような苦しみを感じていた。

 そして、()()()()に気が付いた。

 狂おしいほどに切ない現実だった。

 

「おまえ……ッ」

 

 誰よりも戦った。

 誰よりも傷ついた。

 正義の味方───仮面ライダー。

 何の起伏も滲ませない人形のような仮面がずっと隠してきたもの───それは笑顔が似合う青年の一筋の涙であった。

 ()()()()()のだ。

 血だらけだった。傷だらけだった。砕かれた仮面はほんの一部で、垂れ下がった前髪に隠れた意思無き虚な右目が辛うじて見えるだけの割れ方をしていただけにもかかわらず───見えてしまった、その涙が。

 肉が削がれ、血が真っ赤に滲み、目を伏せたくなるような痛々しい生傷に覆われた苦悶の表情に、たった一筋の涙を頬に(つたわ)せて───。

 誰にも気づかれぬように泣いていた。

 泣きながら、傷ついて。

 泣きながら、戦っていた。

 

「おまえ、おまえ……ッ!」

 

 痛かっただろう。

 辛かっただろう。

 苦しかっただろう。

 

「なんで、私たちを助けたんだよ……ッ!」

 

 なのに、彼は───アギトを敵と見做(みな)していた装者の命さえ、自分の命を捨ててまで守り抜いた。

 何の見返りもなく、何の拠り所もなく、想像を絶する苦痛を独りで耐え忍び、何度も何度も人々に救いの手を差し伸べてきた。自分に差し伸べられる手など、ありはしないのに───その手をひたすら守り続けた。

 仮面ライダーとして───孤独に戦って。

 どれだけの涙を押し殺して。

 どれだけの癒えぬ傷痕を仮面で覆い隠して。

 どれだけ平気な顔をして、笑っていたのだろうか───。

 

「泣いちゃ……ダメ、だよ、奏ちゃん……」

 

「───ッ」

 

 突然のことだった。

 焦点の合わない瞳がゆっくりと動いた。

 しかし、それは言葉とすら認識できないほどの(かす)れた脆弱な声であり、生気など微塵も感じさせない惨劇だった。

 少女の涙を拭ってやる力さえ、無くて。

 声すら出せているのか、よく解らなくて。

 消えゆく灯火を残香のように───虚しく奏の心に響く。

 

「奏ちゃんの歌は……人を元気する……太陽みたいな……すごい歌なんだから……」

 

 きっと、それは本心で───理由だった。

 

「俺も……がんばろうって……元気づけられたから、さ……」

 

 泣いている少女を優しく元気づけるように───最期の力を振り絞って。

 仮面の奥───血塗れの顔。

 傷ましいその表情が薄っすらと微笑んで。

 笑って───穏やかに。

 温かい笑顔で、終われるように。

 

「また、歌ってよ……いつもみたいに、楽しそうに……」

 

 俺はもう聴けなくてもいいから。

 君の声を頼りにしている人たちへ。

 どうか、これからもその歌を届けてほしい。

 人を笑顔にする歌声を───優しい歌を。

 

 それが津上翔一の最期の願いなのだから。

 

「きみの、うたを…………うたっ、て…………………………」

 

 まるで、深い海へ沈んでいくように。

 安らかな眠りを誰にも邪魔されぬ海底へと落ちていくように。

 緩やかな呼吸を止めて───心臓が動かなくなって。

 その命を休ませて。錆びついた心を休ませて。

 眠るように、終わるように。

 ゆっくりと───死ぬ。

 優しい微笑みが冷たいものへと変わる。

 彼はもう何も語らなくなった。何も持たない死者のように空虚な肉体だけがそこにはあった。魂のない抜け殻が───置かれていた。

 天羽奏は、津上翔一の命が尽きる瞬間を目撃した。

 命が終わるその瞬間を───死の瞬間を見た。

 

「おい……死ぬな……死ぬなっ‼︎」

 

 叫んで、泣いて、苦しくて。

 彼女の声は届かない───それはただの死体であったから。

 届くはずのない声が冷酷な現実を物語る。

 

「ふざけんなっ‼︎ 勝手に死ぬんじゃねぇ! まだお前には聴かせてやりたい歌があるんだ! 言いたいことだって、伝えてことだってッ‼︎」

 

 まだまだ沢山ある。

 まだまだ数え切れないぐらいに。

 歌だって、まだちゃんと聴かせてやれていない。御礼だって、何一つとして言えちゃいない。何もできていない。何も伝えられていない。

 なのに───彼女の願いは聞き入れられない。

 ついに天羽奏は泣き崩れて、彼の亡骸へ懺悔するように嗚咽だけを繰り返す。

 

「だから、死ぬなよ……仮面ライダーなんだろ……あの時みたいに、また笑って私の歌を聴いてくれよ……ッ!」

 

 屍に呼びかける。

 声なき死者がまた笑ってくれると信じて、嗚咽混じりの声で懇願する。

 

「死なないでくれよ……頼むから……お願いだから……死なないでくれ、翔一……ッ!」

 

 ぽつりと涙が跳ねて、夕暮れの影法師が二人に重なった。

 嘆き悲しみに暮れた戦姫の涙が大地を潤すように零れ落ちる。嗚咽は止まらなかった。哀しみは終わらなかった。

 ただ、泣きじゃくることしかできなくて。

 祈るようにして、信じてもいないはずの神様に両手を合わて、額を地面に擦り付けた。

 

「神さま、どうか、こいつを連れて行かないでやってくれ……! 頼むから、何でもするから……お願いだからッ!」

 

 津上翔一を死なせないで───。

 祈りは届かない。届くはずがない。神と呼ばれる存在など何処にもいないのだから───彼女の祈りを聞き届ける存在は地球というこの星には、もう存在していないはずなのだから……。

 だから、それはとんでもない偶然なのだろう。

 神ではなくとも、そこには神に最も近い天使がいたのだから。

 

 ───救いたいか。

 

 その声を聞いて、思わず奏は赤く腫れた顔を上げた。

 辺りに人などいなかった。

 不格好に泣き喚く自分と死した仮面の戦士だけ。

 真っ赤な夕日を背中にした津上翔一の亡骸だけがここにはあった。

 

 ───救いたいかと聞いている。

 

 だが、確かに何者かの声は彼女の心へと届いていた。

 

「だ、誰だ……どこから見て」

 

 いや、そんなことはどうだっていい。

 

「救いたい」

 

 もう何だっていい。

 

「救いたいに決まっている!」

 

 津上翔一は天羽奏を命を代償に救ったのだ。

 天羽奏が津上翔一を救いたいと願わずして、誰が願うのだ。

 彼女の真っ直ぐな覇気に声の主は少し満足そうにして───強く問いかける。

 

 ───ならば、もう一度だけ、神の槍たる破片を持つ乙女よ、汝に問おう。

 

 聞くもの全てを萎縮させるような圧を放つ声だった。

 まさに神託を受けているような感覚。

 もしかしたら、私は神のようなものと対話しているのかもしれない。

 鋭い脅迫のような口振りで───声の主は続けた。

 

 ───その男を救いたいか。

 

 考えるまでもなく、天羽奏は力強く何度も頷いた。

 

「救いたい。救いたいッ! こいつを救えるなら、なんでも、なんだってするッ‼︎ 私にできることなら何でもしてやる! だから、こいつを助けてやってくれッ‼︎」

 

 神でも悪魔でも何であっても構わない。

 縋れるものなら、何だって縋る。

 この現実を覆せるのならば、天羽奏は誰にでも魂を売り渡そう。

 その決意を悟ったのか、神々しい声の主は柔らかな聖歌を奏でるような美しい音色を秘めた声で彼女に語りかけた。

 

 ───ならば、歌うがいい。

 

 歌を歌え───と。

 天使のような穏やかな声はそう言った。

 

 ───歌うのだ、想いを込めて。

 

 ───その者の為に、(はじまり)の歌を。

 

 歌を聴かせるのではなく、歌を届けるのだ。

 想いを乗せて───歌うのだ。

 

 ───絶唱(ウタ)を歌え。

 

 

 

 

 茜色の空の下───。

 血の通った歌が聞こえていました。

 命を燃やすような歌が響いていました。

 穏やかな歌声はどこか悲しくて───痛くて。

 泣いているような歌でした。

 ああ、でも……。

 この歌はきっと、誰かの為に歌われるんだと思いました。

 心の傷をそっと癒すように。

 孤独な思いに寄り添うような。

 優しい歌なんだろうな……。

 届けばいいな。

 届いていればいいな。

 私もいつかはこんな優しい歌を歌えるようになれるかな。

 ねぇ、その時はちゃんて聴いてね、翔一さん。

 私はずっと待っているから───。




紛い物の仮面ライダーが本物を守ろうと必死に足掻いたお話。
【アギト-過労-編 〈完〉】




これでやっと休めるお・・・(˘ω˘)スヤァ
火のエル「おいおいおい」
風のエル「死んだわ、あいつ」
地のエル「ほら立て残業な」
オリ主「ウワアアアアアアアアアァァ(絶叫)」

Q.過労編が終わるとどうなるんです?
A.残業編が始まる
Q.原作が始まるとどうなるんです?
A.オリ主が死ぬ
Q.もしかしてシリアス続きます?
A.オリ主が物理的に引き継ぎます
QED.つまり、オリ主は死ぬ(ハイパー無慈悲)

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