仮面ライダーだけど、俺は死ぬかもしれない。   作:下半身のセイバー(サイズ:アゾット剣)

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シリアスvsハイテンション脳内オリ主


♬.俺は響ちゃんに怖がられるかもしれない。

 用務員となった社畜の生活───。

 これ語る必要ある? 社畜の日常とか需要なくない? 誰が興味あんのこれ? ───と駄々をこねても仕方ないので、私立リディアン音楽院に勤める用務員(非常勤)の主な業務を紹介していきましょう。

 まず、この学校───響ちゃんや未来ちゃんが無事に入学を果たした私立リディアン音楽院高等科なんだけど、この学校の地下には秘密基地があるらしい。らしいと言うのは実際に見たわけじゃないからである。これは俺のクッソおぼろげな『戦姫絶唱シンフォギア』知識と奏ちゃんのタレコミで確証に至った。

 奏ちゃん曰く、この学校───生徒の中から適合者を探したり、音楽の実験したり、色々とやましいことをコソコソとやっとる学校ならしく、たかだかバイトの用務員でさえ、それなりに警戒はしているご様子だった。色々と気難しい書類も大量に書かされたし、身元調査なんて隅々までやっておられて、面接中は取り調べされてるみたいだった。

 とはいえ、俺は俺自身でさえ、自分のことをよく知らない記憶喪失なわけで……経歴なんて調べても何も出てこないZE! 俺もガッカリ! あっちも何だか申し訳なさそうな顔してる! 気まずっ! ……もしかして、俺は地球外生命体なんだろうか。火星で発見されたパンドラボックスが引き起こした社畜かもしれない。

 でも、俺が働かなきゃ、誰が代わりに働くと思う? 万丈だ。

 いや、違います。俺です。俺が働きます。……はい。

 ちなみに、先輩から聞いた話だと、学校の用務員といえど、事務の仕事なんかはさせてもらえないらしい。奏ちゃんもリディアン自体がダミーカンパニーっていう特異災害対策機動部二課が動きやすくなるための偽物みたいなものだって言ってたから、部外者である俺や学校の用務員として雇われた人には、学校内部のことは隠匿するつもりなんだろう。

 

 なんか、こう、なんで俺、ここの面接受けちゃったんだろう(後悔)

 

 ───あの二人にリディアンで働けるかも、なんて言っちまうからだろ。

 

 つい、口が滑っちゃって……。

 あの時は怖かったな。すげぇ食い入るように身を乗り出して「いつ⁉︎ いつからですか⁉︎」と詰め寄られて「受けましょう!働きましょう!三年ぐらい!」と否応なく労働期間まで決められてしまった……ホントあの子たちどれだけ俺を働かせたいの? 死ぬまで? 過労死するまで?

 

 ───……罪な男だな(呆れ)

 

 あ、でも、いいこともあるかもよ、奏ちゃん! もしかしたらワンチャン翼ちゃんと会えるかも。()()()とは状況が違うから、普段の芸能人オーラマシマシの翼ちゃんに会えるよ。まあ、微粒子レベルの可能性だけど。

 

 ───それは嬉しいっちゃ、嬉しいけどさ。うーん、大丈夫かな、翼……。

 

 やっぱり、心配かい? SAKIMORIと化した翼ちゃんのことは……。

 

 ───いやぁ、翼、友達ちゃんと作れてるかな。

 

 …………(察し)

 

 なんか悲しい気持ちになった。

 早くリバースカードをオープンして死者蘇生で奏ちゃんを墓地から特殊召喚させなきゃ(使命感) いや、死んでないけど。死者じゃないし、蘇生にもならないけど。

 まあ、初日はずっとお掃除してました。校舎の構造を頭に叩き込んで、お仕事ですよレレレのレーみたいな感じで箒を巧みに駆使して埃を払う。さすがは女子校、髪の毛が多い。この量なら一週間ぐらいでカツラが作れそう(羅生門の老婆オンライン)

 あとは響ちゃんが保護した子猫の相手もしていました。入学初日から何してんのって思ったけど───つぶらな瞳でナーナーと鳴かれて、白い毛並みをすり寄せてくるそのキュートな愛玩動物に俺も奏ちゃんも他の用務員さんも心奪われていた。

 

 ───かわいい。

 

「かわいい」

 

 休憩時間はずっと子猫と遊んでいました。

 

 ───翔一! あたしにも触らせてくれ……!

 

「おーけー。あんまり強くしちゃうと驚いちゃうから、ゆっくりね」

 

 というわけで、肉体の支配権を奏ちゃんに譲渡して、俺の身体を使った奏ちゃんがワナワナと震える手で子猫の背中を撫でる。

 

 ───ふ、ふふ、ふさふさ……っ!(興奮)

 

 俺(in 奏ちゃん)は子猫をしっかり堪能した後、また用務員としての業務に戻るんだけど、残っていた仕事は入学式の後片付けぐらいだった。携帯電話には、響ちゃんと未来ちゃんからお仕事順調ですかとメールが来ていたから、子猫の写真を貼って送っておいた。

 さて、あとは清掃ぐらいか。俺の特技だぜ!

 五十歳を超えた先輩と一緒にでっかいホールみたいな講堂を掃除する時は、俺と奏ちゃんで交互に入れ替わり、意味もなくタイムアタックを競っていた。どっちが早く片付けられるかバトルである。俺が勝った。奏ちゃんは普通に悔しがっていた。五十過ぎた先輩は「なんでそんなに元気なの?」と驚いていた。あとで缶コーヒーを奢ってもらった。

 こうして、私立リディアン音楽院の用務員(非常勤)としての勤務初日は終了した。

 まあ、悪くないんじゃない、このお仕事。

 先輩たちはみんな優しいし、業務内容も難しいってわけじゃない。学校が広いからそこそこ走り回らなきゃならないけど、時折、教室から聴こえてくる生徒たちの歌声は気に入りそうだった。

 とくに奏ちゃんなんかは───自分が入学する予定だったこともあるのだろう───生徒らの歌声にウズウズしちゃって、たまらず鼻唄なんかを歌ってるぐらいだ。へへっ、お耳が幸せじゃ。

 これならやっていけそうだ。夜になると俺はお好み焼き屋『ふらわー』のお仕事が待っているけれど、こっちはこっちで何年もこなしているルーティンワークだし、ぶっちゃけお好み焼き作るの楽しいし、全然構わない。

 問題があるとすれば、やっぱり、それは空気の読めないノイズたんだろう。今日だけで四回も出撃させられたわ(白目) 乱戦騒ぎの面倒な戦場を駆け回って、隙あらばノイズたんをムシャムシャして、ギルスの後遺症をたんまり受けて、もう身体はクタクタである。

 

「は……がァ…………ッ」

 

 ほら、足が生まれたての小鹿っすよ。ガクガクブルブルでバイブレーションよ。

 

「ァ…………あ……………ッ」

 

 足が全然言うことを聞かなくて、何にもないとこで躓いて、道の端っこに設けられたゴミ置き場にダイブした。めっちゃ汚い。ああ、でも、このゴミ袋の山、オフトゥンみたいにやわらけぇ……(オヤスミィ) そのまま倫理観を放棄して意識が持ってかれそうになるけれど、なんとか這いつくばりながら、バイクのもとへと辿り着く。

 その姿はさながら貞子である(クルーキットクルー)

 ミイラみたいに皺だらけになった手を隠すようにグローブをつけて、愛車のXR250に跨る。ちょっと眩暈が───酷い。でも、はっきりと全部がみえてしまうので、気にせず、べっちょべっちょの汗をざっと拭って、ヘルメットを被ってからエンジンをふかした。

 社畜きっつとか、後遺症辛ぇわとか、あまり弱音は言ってられないしね。

 明日は───運命が動き出す日なのだから。

 立花響が神槍(ガングニール)を纏う戦姫として目醒めてしまう物語のはじまりなのだから。

 だから、俺は───。

 その露払いをしなきゃならない。

 

 ───…………。

 

 あの日、俺が響ちゃんをちゃんと助けられていたら、もっとマシな生活をあの子は過ごせていたのだろうけど、俺の力不足で何もしてやれなかったから───せめて、あの子がなるべく傷つかないようにしないとね。それが大人の責務ってやつなのだろう。

 あるいは、仮面ライダーの使命的な? ああ、でも、俺はもう仮面ライダーって呼ばれてなかったわ。HAHAHA(自虐)

 

 ───………………。

 

 ふぅ……これから忙しくなるぞ、奏ちゃん。俺のスピードについてこれるかなぁ〜?

 

 ───……ばか。

 

 なんだかご機嫌斜めの奏ちゃん。

 ごめんね。毎回こんな見たくもないおっさんの醜態みせちゃって。きっと、エルさんたちが奏ちゃんを綺麗に治してくれるからさ。それまでは何とか耐えて頂戴よ。俺もなるたけ頑張るからさ。もう少しだけ付き合ってよ。

 頑張って、頑張って、戦うからさ。

 もう仮面ライダーじゃなくても───。

 

 ……ところで今日の晩ご飯、お蕎麦とラーメン、どっちがいい?

 

 ───…………ラーメン(ぼそっ)

 

 へっへっ、だったら、買い出しに行かないとね。

 

 

 

 

***

 

 

 夢を見る。

 あの日の夢だ。

 ツヴァイウイングのライブ───大空を舞う一羽の鳥のように澄んだ歌声が響き渡る。美しい音色が両翼の揃った羽根のように世界を包み込んで、羽根を持たない私でも飛べるんじゃないかって思うぐらいに魅了されて───憧れた。

 煌びやかな大空(ステージ)で華麗に舞い踊る二人の歌姫は気持ち良さそうにその翼を広げて唄を奏でていた。

 なのに、その羽根はもがれてしまった。何かとても悪いものが二人の歌姫を引き裂くように、その羽根をもいでしまったのだ。綺麗な歌声が悲しみに染まって、空を揺蕩(たゆた)時鳥(ほととぎす)が血を吐いた。

 唄が血に彩られてしまう悪夢のような現実(ユメ)

 悲劇の物語。

 闇に包まれる二人の歌姫と───私。

 冷たい闇が私の胸を貫いた。恐ろしい深淵の狭間から無数の手が伸びて、暗黒が広がる闇の底へ引きずり込もうとする。怖くて、怖くて───嫌だと嘆いても、やめてと言っても、邪悪な意思を持った無数の手は私の心臓(ココロ)を掴んで離そうとしてくれない。

 これがあるべき物語(すがた)なんだ。覆しようのない運命(シナリオ)なんだ。だから、お前は歌え───血を吐いて歌え。

 そんな声が闇の中で響いていて───。

 私と───もがれてしまった片翼の羽根が凍えてしまいそうな闇の世界に飲み込まれる。深くて冷たい闇の物語。苦しくて、泣きたくて、でも、それは誰にも止めることはできない運命という因果(ストーリー)だった。

 だから、もう助からないって、私は諦めそうになった。

 その時、一筋の光が闇を照らした。

 黄金の光。

 光に包まれたその手は私を闇から救い出した。優しい掌がそっと私の手を握る。そして、私よりもずっと速く闇に落ちていく歌姫の手をしっかりと掴んで───光の向こう側へと引き上げた。

 それはきっと正義の味方だった。

 どうしようもなくヒーローだった。

 でも、彼は私たちを陽の当たる温かな世界へ導くと、まるで、私たちの運命を肩代わりしてしまったように独りで闇の底へと沈んでいく。暗くて、怖くて、苦しいあの世界で───彼は笑っていた。優しく微笑んでいて───握り締めた私の手をそっと離した。

 崩れていく()()───その奥に潜んでいたものは───。

 

「■■■■■■■■■■ッ‼︎」

 

 ()()()()だった。

 

「ふぇッ⁉︎」

 

 立花響は寮の自室で飛び上がるように目覚めた。

 またあの夢だ。

 ライブ会場の惨劇を経験した響が毎日のように体感する悲しい悪夢(ユメ)()()()()()誰かの犠牲が紡いだ幸せを───響は確かに感じ取っていた。

 それが心苦しくて───悲しくて。

 隣で寝ている未来がもぞもぞと動く。起こしてはいないようだった。

 響はもう一度布団の中に潜って、祈るように目を閉じた。

 息を止めるようにじっとして。

 あのバケモノの顔が頭の中から消えるまで───目を伏せた。

 

 

***

 

 その日、運命は動き出した。

 私立リディアン音楽院。

 立花響が食堂で風鳴翼と出会った───否、再会を果たした瞬間から狂っていた運命の歯車は大きな音を立てながら、その捻じ曲がった世界を修正することなく、突き進むように回り始めた。

 

「あ、ありがとうございましたっ!」

 

 朝の食堂に響の真っ直ぐとした声が響き渡った。

 朝食をリディアンの食堂で済ませていた響と未来の前に現れたのは───()ツヴァイウイングにして、今や大人気アーティストに名を連ねる風鳴翼だった。本来ならば多忙な芸能活動に身を寄せて、学校に顔を見せることすら珍しい彼女が学内の食堂に姿を見せたのは極めて稀であり、自然と周囲は風鳴翼を中心に色めき立っていた。

 とはいえ、彼女は半端には近寄り難いオーラを放っていて、遠目からその凛とした居姿を拝見することしかできない。

 響は風鳴翼に憧れてリディアンへの進学を希望したこともあり、彼女を一眼見ようと席から立ち上がり、その結果として偶然すぐ隣を通りがかった翼の目の前へ躍り出る形となってしまった。

 何を言うべきか───あのライブ会場の惨劇。

 二人の戦姫と仮面ライダー。

 夢としか思えなくて───でも、夢で片付けられなくて。 

 

「あ、あの時は、助けていただいて、ありがとうございました!」

 

 考えるよりも先に響は深々と頭を下げて、風鳴翼へ感謝の言葉を口にした。

 突然の出来事に未来がポカンと口を開けた。表情に乏しい翼さえ、困惑の果てに何やら険しい顔付きで響の九十度に近いお辞儀を見つめていた。

 しばらくの間───沈黙が流れて。

 

「……記憶にない」

 

 と、だけ言って、風鳴翼は早足で食堂を後にした。

 何か思い当たる節があるような顔を一瞬だけ滲ませた翼であったが、響にはその無情とも取れる言葉だけで十分だった。あのライブ会場で見た凄惨な光景は夢だった。ツヴァイウイングの風鳴翼と天羽奏が剣と槍を携えて、ノイズと戦っていて───その二人を助けるべく現れた仮面ライダーが───あの光景は全部、響の夢に過ぎなかった。

 ショックではない。

 ただ、少しだけ、モヤモヤした。胸の奥に何か重たいものが───それこそ槍のようなものが突き刺さって、どれだけ抜こうとしても決して取れないようなもどかしさがあった。

 

 それから───放課後。

 

「あれ? 翔一さんいないんですか?」

 

 響は非常勤の用務員として先日から働いている津上翔一を訪ねるべく、学内に設置された小さな用務員室へと訪れたが、彼の姿は何処にも見当たらなかった。すると、他の用務員が───先日響が助けた子猫の相手をしながら───彼の不在を教えてくれた。

 

「翔一くんなら、今日はもう帰ったよ」

 

「ええっ」

 

「急ぎの用事があるって言ってたけど」

 

 響の予定では、翔一のバイクに乗せてもらうことによって、本日発売の風鳴翼のCDをいち早く購入しようと計画していたので、出鼻を挫かれた気分であった。

 携帯電話を使っても彼が通話に応じることはなかった。

 急用───いつも通りの人助けだろうか。

 仕方なく立花響は電車と徒歩を使って、一人で街へと繰り出した。時刻は五時を過ぎていて、雲一つない空は微かに赤みがかっていた。あの日、ライブ会場でみた───夢のような光景も茜に染まった空がこんな風に広がっていてたな、と柄にもなく感慨にふける。

 そして、あの時は子守唄のように優しい歌が響いていた。

 祈るような歌があった。

 悲しい命の歌があった。

 響はそれを忘れられない。たとえ、それが夢だとしても───誰かのために歌われたあの唄のように、いつかは自分が歌えたらいいなと思って、彼女は今を生きていた。

 そんな歌が届けばいいな。いつかあの人にも……。

 鼻歌を交えながら小走りで目的地のCDショップへと向かう。軽やかな足取りで、何の憂いも滲ませることのない彼女らしいステップが───交差点に差し掛かろうとした辺りで止まる。

 違和感に気付いた。

 人の気配がない。

 異様な光景が広がっていた。

 街に人がいない。一人もいない。凍りついた空気が世界を包んで、命という存在を奪い去ってしまったように人間という気配がまるで無くなってしまった。

 まるで、突然に消滅してしまったように───。

 

「ノイズ……」

 

 身体に刻まれた恐怖が反応して、響は怯えるように、その忌まわしい災害の名を口にした直後───。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■───ッ‼︎」

 

 世にも恐ろしい(バケモノ)の咆哮が轟いた。

 

「未確認生命体……第三号……」

 

 反射的にその名を呟いた。

 不気味な静寂と化した街を素早く見渡して、その暴虐な声の方向を探して───響は安堵に息を漏らした。

 良かった、少し遠くにいるようだ。

 未確認生命体第三号───ノイズを喰らう怪物。

 正体不明の異形の化け物である未確認生命体第三号が姿を現す時、そこには必ず認定特異災害であるノイズが出現する。そして、第三号は恐ろしい雄叫びを撒き散らしながらノイズを蹂躙して捕食する。それが響の知っている未確認生命体第三号の情報だった。

 つまり、第三号の声が遠い今───このすぐ近辺にノイズはいないということ。

 

「避難シェルター……どこだろう……」

 

 冷静に考えてみれば、彼女が佇む一帯───人間が誰一人として居なくなったこの場所には、ノイズが殺戮の限りを尽くした痕跡たる炭素の塊が一つも見当たらない。春の香りがする微風に塵一つ残さず飛ばされたわけでもあるまい。

 逃げたのだろう───ノイズの襲撃か、第三号の出現を受けて。

 だから、この場所には誰も残されていない。自分も今すぐにこの場から離れるべきだ。

 未確認生命体第三号と認定特異災害がぶつかって生まれる大災害から一刻も早く逃げるべきだ。

 

「──────ッ」

 

 なのに、立花響は聞いてしまった、小さな女の子の悲鳴を───。

 

 

 

***

 

 

 

 うわぁ……なんか今日、ノイズたん多くない? 原作はじまるからってウキウキで現場入りしてんの? こっちは過労でイライラなのに?

 くっそ悔しい。社畜としての貫禄はノイズたんの方が上だって言うのかよ。俺の唯一のアイデンティティがノイズたんに奪われちゃう!(死活問題) ただでさえビジュアル面でもあのドラゴンレーダーみてぇな顔面のインパクトに負けてんのに、社畜根性でも敗北しちまったら俺ァこの個性があってなんぼの社会でどうやって生きりゃいいんだ⁉︎ 所詮、俺は先の時代の敗北者なのか……⁉︎

 その時、矢木(俺)に電流走る───!(どっかのニュータイプの声)

 そうだ! 俺にはまだノイズたんをムシャムシャするという誰にも負けないグロテスクな個性が残されていた! よっしゃこの個性を活かして雄英にプラスウルトラしようぜ! そんでノイズたん使って食戟しかけよう! ノイズたんと一緒に少年誌に殴り込みじゃァァ! たぶん鬼殺隊とかに狩られるけどね!!! 社畜の呼吸壱ノ型!!! 「タイムカード切っておいたから(肩ポンポン」!!! 泣けりゅ!!!

 

 ───ツッコミ担当に負担を強いるボケをするな。

 

 あっはい。……奏ちゃんがツッコミ担当を認めちった(あわあわ)

 さて、あんまり馬鹿みたいにふざけてるとシリアスがどっかいっちゃうからね。適度に俺の頭のハザードレベル下げてかないと───って、思った矢先に隙だらけのノイズたんにガブッ ☆(cv.杉田○和)

 え〜? 原作はじまったから活きがいいノイズたん? 普通のクソマッッズノイズたんでしょ〜? ムシャムシャ……(NOW LORDING) ンンンンンンンンンンッ〜⁉︎ ジュゥゥゥゥゥゥゥゥシィィィィィィィィィィィィ‼︎(発狂) なわけ、あるかァァァァい!(ノイズたんを地面に叩きつける)

 ハッ(矢木電) これはまさか、マグロのたたきならぬノイズたんのたたき……⁉︎(IQ10ぐらいの閃き) え〜? ただのミンチになったノイズたんでしょ〜? モッチャモッチャ……(NOW LORDING) ンンンンンンンンンンッ〜⁉︎ ジュゥゥゥゥゥゥゥゥシィィィィィィィィィィィィ‼︎(発狂) なわけ、あるかァァァァァァァァい! ……(ツッコミを期待する目)

 

 ───………………(冷たい視線的なサムシング)

 

(土下座の構え)←奇跡的にノイズたんの攻撃を回避。

 

 ───いや、真面目に戦えって。

 

 SO☆RE☆NA

 

 ───あたし、自分の身体に戻ったら、真っ先にやること決めてんだ。

 

 今ここでそんなことをカミングアウトするあたり、俺にとってロクなことじゃないだろうな(名推理) ちなみに、俺は六発ぐらいプン殴られる覚悟はできてます! かかってこい天羽奏! お前の拳で俺の暴走(自主的)を止めてくれ!(他力本願)

 

 ───ああ。任せろ。翔一のくだらないボケをネットにばら撒いてやるからな。

 

(土下寝の構え)←二度目の奇跡によってノイズたんの攻撃を回避。

 

 ───なんで、こいつ、さっきから全部攻撃かわしてんの……?

 

 ギャグの世界だと人は死なないからね!(自分のことをギャグの世界の住人だと思い込んでる一般シリアス社畜男性)

 てか、話戻るけど、ノイズたん増えてない? Gみてぇに色んなとこから湧いてない?ギルスあんまり長いこと戦えないから長期戦はキッツイんだけど……これ捌き切れなくない? ギルスパイセンは範囲攻撃ないから難易度鬼なんじゃけど……。

 

 ───翼の到着を待つか?

 

 いやいやいや! それこそ一番ダメよ! 今、ここでシンフォギア纏ってSAKIMORIZEした翼ちゃん来てみぃよ? また()()()()()()()()()()()()()()じゃん! そんなの俺が死んじゃうよぉ……(震え声)

 

 ───だったら、翔一が言ってた……あたしのガングニールと融合しちまうっていうあの子も……。

 

 ……多分ね。

 なるべく、会いたくないな、響ちゃんとは。

 

 ───翔一、おまえ……(哀れみの声)

 

 あの装者特有のボディラインがはっきりしちゃうピチピチハイレグは見てて心臓に悪いんだよ。

 

 ───翔一、おまえェェ⁉︎(恥ずかしそうな声)

 

 むむッ……むむむッ(楽○カードの人の声)───これは殺気⁉︎

 

『GILLS……oh……nanto imaimashii bakemono yo』

 

 なんだアンノウンもどきか───って、面倒くせぇなオイ! こいつら動きは単調な癖して、HP高いから鬱陶しいんだよ。もう出てこないでよォ〜(げっそり)

 

 ───なんかこいつ女っぽい肉付きだな。なんか髪?もあるし。

 

 神話のゴルゴーンみたいだね。邪眼で石にするヘビのやつ。

 

 ───あー知ってる知ってる。たしかにそれっぽい見た目だな。

 

『GILLS hukanzen na AGITΩ……koko de raku ni siteyaru』

 

 てか、いたな、こんな蛇女みてぇなアンノウン。たしかこいつは散髪したら暴走して、挙句は自害させられたやつだな。

 

 ───なんだ知ってんのか、翔一。

 

 いや、こんな記憶は全然アテにならないよ。存在そのものが違うもんこいつら。

 ……まあ、このロードノイズとかいうパチモンが何なのかは大体予想つくけどさ。あんまり考えたくないから考えないけど。

 

 ───なんだよ、一人だけ納得して。教えてくれよ。

 

 えー、嫌だよ、こんなゴミみたいな推測をドヤ顔で人に教えるのは。いつも言ってるでしょ、俺は基本バカなの。バカの考えてることなんて、大体は今日の晩ご飯の献立ぐらいなんだから、気にしちゃいけません!

 

 ───でも、翔一って、あたしに五教科全部の勉強を教員並みに教えられる程度の学力は持ってんだろ。

 

 キコエナーイ(耳塞ぎ)

 

『sinu ga ii GILLS??!!』

 

 うおっ⁉︎ こいつらまた四次元ポケットから武器出してきやがった。しかもムチや。なんてこったい。こっちは頭ん中にJK抱えてんのに、SMプレイを強要してくるとは……!(そわそわ) なんて無知なノイズだ! ムチだけに! ね!(ツッコミを期待する目)

 

 ───くたばれ。

 

『kutabare!!!』

 

 シンクロしないでぇーっ⁉︎ てか、さっきから地味に危ねぇなオイ! そのムチなんでちょっと伸びんだよ! 卑怯だろ! 間合いが計れないだろ⁉︎ ちゃんと専門店で買ってこい! このむっちむっちのアンノウンもどき! そう、ムチだけにね! アレ、なんか今日調子良いな(惚れ惚れ)

 

 ───そんな馬鹿みたいなこと言ってると、そのうち当たるぞ。

 

 はっはっはっ、何を言うておりますか。こんなん(わろ)てしまいますわ、ホホホホホ───あ。(長期戦によるギルスの疲弊で動きがワンテンポ遅れる)

 

『GILLS kiete nakunare!!??』

 

 あはん♡(避けきれずに太腿に被弾)

 

 ───……(ドン引き)

 

 ち、違うんや、違うんや、奏ちゃん……俺はSかMかと聞かれたら、基本はSでいたいけど、人によってはMでもいたいというオールマイティな多様性を目指していてな───。

 

 ───話しかけないでもらいますか、変態。

 

 敬語ッ⁉︎ アッ…チョットマッテ…ソレツライ…(呻き声)

 

 ───フン、ちょっとは真面目に戦え。ロードノイズは一筋縄じゃいかないんだぞ。

 

 でぇじょぶ。でぇじょぶ。もう見切った見切った。間合いも大体わかったし、基本姿勢から足運び、攻撃速度と予備動作、一度に繰り出せる最大攻撃回数とそれに伴って生じる隙なんかもでぇてぇわかったよ。

 問題があるとすれば、どうやって攻撃するかなんだよな。格闘の間合いにもっていくために脳筋チックに突っ込むのはちょっと怖いし、モノ投げてもあんまりダメージ無さそうだし、どっかに手頃な武器ねぇかな〜(棒)

 つまり、あとは祈るだけよ! ───伸びろ、我が触手、ギルスフィーラー! 中距離武器を使うのは、テメェだけじゃねぇって話よ! リーチの違いを見せてやらぁ! オラ! エロくない方の触手のお出ましじゃァァァ‼︎

 

 ニョキッ(15cmぐらい)

 

 …………。

 

 ───…………。

 

『…………』

 

 ……あ、あのライヴアームズたん? 俺の腕に寄生していらっしゃる生命鎧ライヴアームズたん? お手数ですが、もう少しだけ伸びてはいただけないでしょうか? 具体的にはあと50cmぐらい……いや、40cmでも構わないので、せめてヌンチャクとして扱えるぐらいまでには伸びて欲しいのですが……い、いかがでしょうか?

 

 ニョキニョキニョキ(+20cm)…………ニョキニョキッ(−15cm)

 

 な ん で 縮 ん だ し 。

 

 ───…………ふッ(笑いを堪える声)

 

 やべぇ……手から中途半端に伸びたギルスフィーラーがぶら下がっててクソ邪魔なんたけど(震え声) 無駄にでけぇストラップつけてるみたいでウゼェ……ちょっとライヴアームズたん、これ以上伸びないなら、縮んで腕ん中に戻ってはいただけませんかね? あ、嫌ですか、さいですか……ふぅ〜(クソデカ溜め息)

 

 ───だ、ダメだ、翔一……今日はなんか、し、触手の機嫌が悪い、みたいだぞ……ふふッ(もはや笑いを堪え切れていない)

 

 な に わ ろ と ん ね ん (白目)

 ぐぬぬぬ……今日はあんまりノイズたん食べれてないから、拗ねやがったな、ライヴアームズたん。毎度のことだけど、主人である俺の意思なんかには全く屈しないタフな生命鎧だぜ……!

 

「■■■■■■■■■■■■■ッ‼︎(訳:考えるのやーめた)」

 

『nani!!??!!??』

 

 男は黙って───猪突猛進よ!

 あ、ちょっと、そんなにムチ振り回さないでもらえます? ギルスって防御力ホント紙なんで……ゴッドの方じゃないです、ペーパーです……攻撃力はボストロールなんですけど、耐久値はまじでスライムなんで、あんまり一方的に攻撃されちゃうと俺もアマゾンズ的な血ブッシャァァな状態にならざるを得ないっていうか……あ、肩が弾け飛びましたね……イッ…イッタァ~イ…カタガァ……ほんわか(?)ギャグの空気だったのに、ギルスから血が飛び散ったので、画面の彩度が落ちて、またアマゾンズフィルターがオンラインしました。お前のせいです。あ〜あ(肩を押さえながら)

 ふぇぇ…痛ぃよぉ…とか言うとでも思ったか⁉︎ 見えた隙の糸!(見えてない)

 顔面鷲掴みからの引き摺り回し! オラァ! 壁とキスしな! コンクリートに穴開けてやるぜ! スコップはお前な!! 社畜の呼吸弐ノ型「俺が若い頃はもっと大変だったんだぞォ?」!!! そんなこと言うやつに限ってあんまり大変な目に遭ってない!!! 泣けりゅ!!!

 

 ───その呼吸、意味あんのか?(困惑)

 

 ナ゛イ゛ヨ゛!!!(流行に便乗)

 とか、言ってる間に、あのSM嬢のアンノウンもどき、俺の腕の拘束を何とか振り解いて、そのままビビって逃げやがった。いやいや、ちょっと待って、ちゃっと待て、待て待て、ま゛て゛い゛!!!(血を吹き出しながら疾走) 首置いてけ! 首置いてけや直政ァ!(風評被害)

 

 ───あいつ、どこに逃げるつもりだ?

 

 大方、相棒のヘビ野郎のトコじゃない? いるでしょ、どうせもう一匹ぐらいさ。まあ、合流されると面倒だし、ここでさっさと仕留めておきてぇなぁ〜狩りてぇな〜あの頭……(猛ダッシュ中) ───って、そこじゃあああああああ(壁キック連打からの上空から飛びかかり)

 

「■■■■■■■■■■■ッ‼︎(訳:親方、空から妖怪ノイズムシャムシャくんが‼︎)」

 

 アンノウンもどきの背中を捉えたので、ぴょーんと飛びかかって、両腿で首を挟んで、そのまま派手に押し倒す。ついでに無防備を晒した右腕をガッチリ両腕で固めて、そのままローリングして引きちぎっておく。自分で言うのもなんだけど、人間じゃあ到底できないムーブをしてしまった。だって、頭の中で奏ちゃんがちょっと引いてるもん。

 片腕を失ったアンノウンもどきはよろめいて、尚も逃げようとするので、背後から首筋をガブッ☆(cv.ギンガの人) そのままお肉を噛みちぎって、乱暴に蹴り飛ばす。目の前の鉄柵に突き破って、どっかの建物───倉庫っぽい場所の中にダイナミックエントリーをかます瀕死のアンノウンもどき。俺も壁を殴ってブチ壊してその中へと入った。

 ぴくぴくと倒れ伏したアンノウンもどきを容赦なく踏んづけて、とりあえず、勝利の咆哮を上げておく。ふぅ(賢者タイム)……さて、ここは何処かな? アンノウンもどき追っかけんのに夢中で道とか全然見てなかったぞ。ん? AMAZ○Nの倉庫か? それとも楽○か? いや、どっちでもええけど。

 あー、奥にもう一匹のアンノウンもどきがいるな。ヘビっぽい見た目のやつ。武器は杖か。ヒーラーか? よし狩るか(挨拶)

 いや、まだ何かいるな。

 子供が二人───襲われそうになってんのか。

 なんか小柄な子とこの匂いは───。

 あ。

 

「み、未確認生命体……第三号……ッ」

 

 そこにはシンフォギアを纏った響ちゃん(ピチピチスパッツ)がいた。

 怯えた表情の目線の先には、(ギルス)がいる。

 

 やっべ、今の俺、チョー怖いやん(ロードノイズを踏んづけて、さっき捥ぎ取った右腕を掴んだまま雄叫びを上げてる怪人)

 い、今からでも入れる保険ってあります?

 

 ───ねぇだろ。

 

 ハイパー無慈悲。




(※オリ主が脳内クソ漫才してる間も身体は一生戦ってる設定です)

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