仮面ライダーだけど、俺は死ぬかもしれない。 作:下半身のセイバー(サイズ:アゾット剣)
あと、お気に入り3000突破ありがとうございます。日間も一位とかなってたりして、ほんと怖い。
翼ちゃんが襲ってくる。
決してヤラシイ意味ではない。そっちの意味ならどれほどの俺が救われたか。いや、それはそれで危ないけど。タマだけにってか?(ゲス顔) ……死にたくなってきた。
「隙ありッ‼︎」
危なッ⁉︎
「くっ、やはり見切られているのか……!」
悔しそうに刀を構え直す翼ちゃん。
なお、一瞬反応が遅れていたら翼ちゃんの目前に転がる真っ二つに割られたドラム缶になっていた模様。ドラムって竹かなんかでできてんの? 知らなかったわ(遠い目)
そんな思考放棄中に翼ちゃんが一気に彼我の距離を詰める。
放たれる連続の斬撃。
大気が震えるほどの剣閃が幾多も生み出される。
それを何とか手の甲で弾き返す。いや、地味に痛いぞこれ。グランドフォームの超越肉体でもその衝撃たるや完全相殺できるものではないらしい。
「私は負けられない!」
翼ちゃんが吠えた。
「私を信じてくれた友のためにも、今ここであなたを超える! 超えてみせる……!」
見開いた翼ちゃんの瞳が戦士の眼光を放つ。
後方へ跳び、一瞬の構えから爆発的に加速。
それは彼女が持つ最速の奥義。
【颯ノ一閃】
目にも留まらぬ速度から、すれ違いざまに一閃を叩き込まれる。
防御はした。しかし、カウンターどころか、完全に殺しきれなかった威力はアギトが誇る超越肉体に火花を散らし吹き飛ばした。
いやいやいや‼︎ 素手じゃ無理無理、止められないってアレは!
───ならば、私の出番か。
そのお声は火のエル先輩……!
───アギトよ、火の力をその身に宿し、汝の剣で汝の道を切り開けッ!
声に従うまま立ち上がり、俺はオルタリングの右サイドバックルを叩いた。というか、今ほぼ無意識だったんだけど。野郎、ちょっとだけ憑依しやがったな。そんなイマジンみてぇなことすんな!
ああ、でもこれキャンセル効かないんだよなぁ。だってボタン二つだぜ? オルタリングの説明書とか一枚どころか一行で終わるレベルだもん。
右が赤、左が青、両方押すといい感じになる。……ガチで一行じゃねーか。CSMどうすんだよ。
ああ、でも、どないしょ。あんまり気は乗らないけど、火のエル様やる気満々だし、やってみます?
『
***
その些細な行動に気付いたのは、翼が未確認生命体第2号の指先一つの動きすら見落とさんと全神経を集中させていたからだろう。
だが、その行為が何たるかを理解できなければ意味はない。警戒心をより強めたところで、既に敵の術中に嵌っていては手の出しようがないからだ。
故に、風鳴翼は思考する。敵の真意を知り、その策略を打ち砕くために。
何かを押した。
ベルトらしきモノの真横。つまりサイドバックルに当たる部位を軽く叩くように押した。
翼は考えた。荒ぶる息を整え、燃え滾る脳内を静かに冷やす。その上で思考を続けた。
しかし、この未確認生命体第2号の奇妙極まる動きすら読めず、戦いの中では到底及ばぬ技量から攻撃一筋に絞ることでしか渡り合えない翼には想像できるはずがない。
何をする気だ───身構える翼に待っていたのは、予想を超えた現象だった。
それは突然であった。
未確認生命体第2号のベルトの宝玉が閃光のように赤く輝き、そこから棒状の何かが顔を覗かせるかのように出現した。
何度も目を凝らした。あり得ない。そんなはずはない。
瞬きすらした。此の期に及んでそんな馬鹿なと首を振っても目の前のソレは変わらない。
それはどう見ても〝剣〟の柄であったからこそ、否定せずにはいられなかった。
「まさか……?」
悪寒が背中を走る。
過ぎった考えがあまりに馬鹿馬鹿しく、同時に否定し切れぬ自分に怖気づいたのかと苛立ちを覚える。だが、可能性は未知であることを知り心拍が高まった。
このまま放って置いてはいけない。
アレに剣を振るわせ……いや、持たせてはならない。
剣士としての本能が叫ぶ。
落ち着いてみれば至極可笑しな話だ。剣士としての自負は無いにしろ、今の今まで徒手空拳を扱っていた者がいざ剣を握ろうとすると、これほどまでに焦りを嵩じていては笑い者もいいところだ。
もはや、抜かせてしまえばいい。
その剣を、抜かせ、構えて、立ち会えば善し。
剣と剣の血生臭い死合に追い込めばいい。そうすれば、実力で劣っている翼にも勝機が生まれ───。
(ちがう、違う違う違うッ! あれはそんな程度のものではない。アレは持っている、持っているぞ剣術の極意すら……!)
苦虫を噛み潰したような決断だったが、背に腹はかえられぬと翼は不意打ちを承知で攻撃に転じた。
飛翔するが如く距離を無にして、その剣を抜かせまいと斬りかかる。
迷いを見せぬ美しい曲線を描いた袈裟斬りは黄金の戦士に傷を負わせるに相応しい太刀筋に違いなかった。或いは無惨な真っ二つさえ予期し得るものだった。
誰がどう見てもそう判断できる一瞬であったのだ。
唯一、当事者である翼を除いて。
(ッ───⁉︎⁉︎)
予想に反し、傷を負ったのは翼の方だった。
翼が斬りかかるや否や、今までの動きは余興に過ぎないと恐ろしい速度でベルトから現れた柄を握り締め、踏み締めた二足を構えに振り抜き一閃。
居合の太刀。
目にも止まらぬ抜刀術が翼の瞳に映った気がした。定かではないが、でなければ斬り込んだはずの翼が吹き飛ばされるはずがない。
抜刀の衝撃に押し負けた翼は数十メートル先まで吹き飛ばされていた。
それでも体勢を崩さず、すぐさま持ち直したのは風鳴の者としての意地か、あるいは彼女自身の技量か。
いや、そんなことはどうでもいい。
目の前で長剣を構えた黄金の戦士の方が重大だ。
「熱い……?」
微かな熱気を感じた。
今の今まで散々溢れ出た冷や汗とは違う、人間が持つ体温調整の際に見られる生理現象たる汗が頬を流れていく。
何が起こっている?
時刻は深夜。寒さすら覚える漆黒の時間に翼は得体の知れぬ汗を拭う。汗はコンクリートの地面にぽつりと落ち───蒸発した。
火が唄う。
万物を焼き尽くす終焉の火が一人の戦士の誕生を祝うように音色を奏でる。
炎が揺らめく。
火が唄うは誇り高き戦士の感覚。時に痛みを、時にはその掌の温かさを。本当の強さは全身を駆け巡る感覚が教えてくれる。痛みを越えた先に守り抜いた人々の〝熱〟が傷ついた戦士を支えてくれる。
これが超越の感覚。
極限までに研ぎ澄まされた五感が世界を読み込む。
聖なる炎の唄が、金色の戦士を包み込む。
そして、〝アギト〟が変わる。
黄金の胸筋を赤く灯し、右腕には分厚い鎧が装着され、その身を赤に染め上げる。暗澹とした屋内でも翼の驚愕が見て取れる。遥か上空で飛び続けるヘリのローター音まで聞こえる。
世界が一瞬にして変わった。
翼からすれば、敵の姿が一瞬にして変わった。
長剣《フレイムセイバー》を構え、凛とした勇姿は遥か古より人々を守り続ける騎士の如く。
赤い
これこそが火のエルをその身に宿した、火属性のアギト『
「剣の心得も持ち合わせているというのか」
気圧される翼であったが、この程度で怖気づく彼女ではない。
むしろ、敵が同じ土俵に立とうと言うのだ。剣士として、余計に負けられない理由ができた。
「風鳴翼、推して参るッ‼︎」
【颯ノ一閃】
最大加速から不可視の斬撃がアギトを完璧に捉える。
捉えたはずだった。
ピシリ───そのような音がしたのは翼が背中を見せた後。つまり、翼がアギトを斬り裂いた後になる。
なんらおかしいことはない。
彼女の一撃は常に手を抜くことはない。弱き者を守るため、その身を剣と見立てるほどの覚悟を定めた防人の刃が届かぬはずがない。
そうだ、届いた。確かにこの刃はあの赤い鎧を捉えた。しかし、その粉砕音は自身から鳴った。
恐る恐る見れば、二の腕の装甲にヒビが入り、ついに耐えきれんと砕け散った。
「見切られたというのか、防人の剣が……」
何も言わず、夜闇に灯る蝋燭のように背中を見せるアギトの鞘無き聖剣は静かに帯刀されていた。
翼は単純に悔しさを感じた。
敵の太刀筋が見えなかっただけの話ではない。斬られたことにすら気付けなかった。
剣の極致に至った達人には、斬られたことすら悟らせず、その命を奪うことすら可能とする者もいると聞く。しかし、それはその身に宿った生を剣に捧げた者のみが辿り着ける領域。
では、目の前の存在はなんだ。
驚異的な体術を会得し、ノイズを屠るかと思えば、ひとたび剣を握れば自身ではその高みすら拝めていない領域に達した剣豪と成る。
それはもう
人はそれを『怪物』という。
だからこそ、不可解な感情を抱かずにはいられない。
その力はどうやって手にしたのだ。
壊すだけの力なら、そんな器用な技も要らない。
殺すだけの力なら、一つで事足りるだろう。
単純な力を求めているのなら、ノイズを何千と摘む必要もない。
おまえはなぜ強いのだ?
翼の心に暗雲が広がる。
もしも、仮に第2号が紛いなりにも『正義』を動機に戦っているとしたら辻褄が合う。風鳴弦十郎もそれを期待していた。
では、なぜ、二課に協力しない?
如何なる力を携えようと尋常ならざるノイズ相手に孤独な戦いを強いる理由が解らない。
効率を考えるなら、協力者は必要だ。第2号は高度な頭脳を持っている。それぐらいの答えは自ずと導き出されるはず。
だが、第2号は拒絶する。目に映るもの総てを否定する。己の力のみを信じ、孤独であることが掟であるかのように戦い続ける。
「おまえは何なんだ。何が目的なんだ」
アギトは動かない。ただ黙って翼の剣尖を見つめるのみ。
───かかってこないのか。
挑発されている気がした。奥歯を噛み締め、翼は再び攻撃に転じようとする直前。
「翼───ッ!」
暗雲を裂く光明の雨が天から降り注ぐ。
その声は工場外から、それも遥か上から。
まさに、槍の雨。
それが人類史において、神槍とも称されたものであれば、死が形を為して降り注いだと表現しても諌められはしないだろう。
天から降り注ぐ無限に等しい槍の雨が翼の闇ごと洗い流すように赤いアギトを呑み込んだ。
【STARDUST∞FOTON】
瞬く間に幾多の槍と土煙に食われ、その姿を消したアギト。呆然とした翼に一人の歌姫が舞い降りる。
「奏っ⁉︎ どうして」
それは風鳴翼の片翼であり、彼女の希望でもある天羽奏であった。
「なんか嫌な予感がしたのさ。ノイズは速攻で片付けてやった。あとはあんただけだぞ、未確認生命体第2号!」
応えるように、爆煙を裂いて赤い鎧の戦士が現れた。
威風堂々としたその姿に、奏は静かに舌打ちをした。今の攻撃は彼女の中でも全力の一撃。ノイズ相手なら跡形もなく消し飛ばせるほどの威力を誇る最大の技。しかし、その赤い鎧には傷一つすら付けられず、自身の無力さを絶望として具現していた。
ほぼ不意打ちであったにも関わらず、目先の敵は天災と化した神の槍の悉くを斬り払ったというのか。
ゆっくりと
余興は終わり。
ここからは真の殺戮。
身の程知らずの乙女二人を細切れにすることなど、この戦士にとっては容易であることは知り得た。その絶技は未だ底知れないものを隠しているに違いない。
だからと言って退くわけにはいかない。
「奏、あれは別格。一度見せた技は二度通用しないと思って」
「ああ。わかってる。なんせ今さっき一度目で見切られたからさ」
覚悟を決めた二人は槍と刀を構える。敵は到底自分たちの手に負える存在ではないだろう。次の瞬間にはどちらかの首が飛んでいようとも何ら不思議ではない。それほどの極技を秘めているのだ。
では、なぜ逃げない?
決まっている。二人がシンフォギアを纏いし戦士だからだ。
ノイズに怯える人々を守り抜く希望の戦姫。
その唄は弱き者のために。その刃は悪しき者へ。
自分たちが退けば、誰が戦うというのだ。誰がノイズと戦うというのだ。
確かに一人で敵わぬ。あの戦士には切っ先一つ届かない。片翼だけでは大空に羽ばたくことは叶わない。
しかし、二翼揃った今ならば。
剣と槍を重ねた唄ならば。
戦姫たる『ツヴァイウィング』の翼ならば───!
「いくよ、翼!」
「ええ、奏!」
武器を構える二人の歌姫。
対してアギトはあろうことか、水を差すようにその歩みを止めた。
「…………ッ」
そして、戦意を高める二人を眼中から外し、無言で工場外を眺める。
隙があった。だが、翼も奏も斬りかかろうとはしなかった。不気味だったから、怪しかったから、罠の可能性もあるから。理由を挙げれば山ほど積もる。
しかし、何よりも、二人もまた何か奇妙な予感を察知していたから他ならない。
最初に駆け出したのはアギトだった。
戦場へ赴く武人のような動きで颯爽と工場を出る。もはや二人への興味は失せていた。
一度顔を見合わせてから翼と奏も後を追おうと声を荒らげる。
「ま、待て!」
「逃げるなよ!」
『翼、奏ッ! 緊急事態だ!』
突然、無線から司令官たる弦十郎の声が響く。その声はいつもと変わらず暑苦しく、またどこか冷やかな熱が篭っている。
「なんだよおっちゃん⁉︎ 今、それどころじゃ」
『ノイズの援軍だ! デカイぞ!』
その時、巨大な激震が大地を揺るがした。
翼と奏が反射的に外に出ると、巨大な建造物が立ち並ぶ遮蔽の多い工場であれ、はっきりと確認できる巨人が二体聳えていた。
全長十五、六はある巨体に二人は思わず凝視する。
ノイズの強さは大きさで決まるわけではない。ノイズはその無尽蔵な数にこそ人類を苦しめるほどの強みを持っている。多少の大きさではさして変わらない。
しかし、ここまで巨大になると話は別だ。
敵の耐久力も破壊力も大きさに相応しいものに進化していく。
翼は刀を、奏は槍を、自然と握る手に力が入る。こいつを街に出してはならない。ここで食い止めなければより悲惨な犠牲が出てしまう。
覚悟を決め走り出さんとした二人の戦姫。
だが、彼女らが次に目にしたものはあまりに格上過ぎた。
人々を守らんとする覚悟さえ嘲笑の如く捨て去った強者がいた。
『反応は二つだ‼︎ 片方は第2号にまかせ───』
その瞬間、業火の柱が天を貫いた。
悪しき闇を焼き殺す聖なる炎が悲鳴の雑音ごと煤へと還す一瞬の出来事。刹那の時間。
何が起こったのか。理解よりも早く答えが炎を裂いて現れる。
その赤い鎧が燃えていた。
『反応が一つに減っただと⁉︎ 何が起こった⁉︎』
着地点は呆然とする翼と奏の間。割って入るように静かに降り立つと、見開く二人を見比べ、何も言わず最後のノイズへと向かう。
───おまえたちは黙って見ておけ。
そう言われたような気がした。
何も動けず、二人は炎の剣士の背中を見送ることしかできない。
ノイズがその巨腕を棍の如く振るう寸前、アギトの姿が忽然と消える。やがて、音すら置き去りにした斬撃がノイズの腕に滑らか軌道を幾つも描き、やがて細切れと化す。
しかし、まだ終わらない。
片腕を失ったノイズを待っていたのは両足の切断という末路だった。傍観している翼も奏もいつ斬ったのかさえ判らず、ノイズ自身もなぜ自分が自立不可能な立場に落とされたのか解らないまま、無造作に月を眺める。
『:|×d々×$on|〜〆々°°#'t♪☆▽l+£i≒〒^ve÷-:a&_g*£it○∥o!!?!』
その巨体が崩れゆく最中、夜空に浮かぶ満月に赤い鬼神が舞うのを見た。
聖剣の鍔が解放され、月光に照らされた銀色の刃に渦巻く炎が備わる。紅蓮と化した刃が美しくも残酷に振り下ろされる瞬間───火柱が生まれた。
まさに、
「ハァぁぁぁぁぁッ‼︎」
【セイバースラッシュ】
燃え盛る刀身がノイズに突き刺さり、莫大な炎がノイズに渦巻き炎上させる。
アギトは灼熱と化した死にゆく雑音にトドメと言わんばかりに更に斬り裂く。ノイズはその轟々とした巨体を真っ二つに割かれ、哀れな火と成りて燃やし尽くされる。
そして、爆発。それも大爆発というに相応しい規模のもの。
工場内の漏れた油とノイズの燃え滓が火種となったのか、連鎖的かつ暴力的な爆風が翼と奏の視界を奪い、いくつもの爆発音が聴覚すら狂わさせる。
微かに開いた瞳が捉えたのは、爆炎の中を雄々しく歩む影───それが煙に呑まれて消えていく様だった。
最後に二人が聞いたのは、天高く登る爆煙に紛れて鳴り響くエンジン音だけだった。
***
「第2号、完全にロストしました」
「構わん。二次災害の恐れがある。避難区画を拡大しろ。住人の避難が最優先だ」
「了解しました」
弦十郎の一言で二課の面々は慌ただしく動き始めた。巨大なモニターに映るのは今もなお空中を滑空しているヘリからの映像であり、そのほとんどが黒煙と炎に占められている。
しばらくして、シンフォギア装者の風鳴翼と天羽奏が映し出された。
二人の無事を視認し、弦十郎は安堵の吐息を漏らす。かれこれ二十分間二人の姿から隔絶されていたのだから。
未確認第2号は強力なジャマー機能を持つ特殊な粒子に覆われており、あらゆる電子機器類を無効化する。つまり記録媒体に残らない。写真は疎か、現在進行形で録られている映像にすら残らない。映し出した瞬間、映像が砂嵐に変わってしまうのだ。
故に、今回の戦闘はシンフォギアに搭載されている心拍情報や音声のみの通信であり、実質目を潰された状態でのやり取りで作戦を遂行しなければならなかった。
翼が第2号に一人で戦闘を仕掛けると言った時は思わず心臓が飛び出る心境であったが、止めようにも既にアギトに近づき過ぎていた翼には制止の声すら送れなかった。
だが、それも杞憂に終わった。
〝仮面ライダー〟に人間を殺す意思はない。
「……おまえは何の為に戦っているんだ」
弦十郎の脳裏には、かつて焼き付けた正義の仮面が再生される。あれは間違いなく守る者の目であったのだ。
「お前が守りたいものはどこにある〝アギト〟」
***
「ぼくじゃなーい、ぼくじゃない、ぼくじゃなーいー(震え声)」
───罪を認めよアギト。
───汝があの施設を破壊したのだ。
「だ、だっていきなり出てくるんですよ! そりゃ、ビビって必殺技出しちゃった俺も悪いですけど、全体的に悪いのはノイズであって俺は悪くありません!」
───被害総額はいくらだろうな。
「あああああああ! やめてえええええええ!」
太陽が昇ろうとしているその夜、バイクの音と奇声と共に何か言い訳を一人で必死にしている青年の姿が目撃されたという。
彼が第一に守らなければならないのは自分の身のようだ。
そろそろ原作プロローグいける?←いけない
弾薬尽きたのでこれからは気長に更新を待っていただけると嬉しいです。ネタはあるんですが、作者の執筆スピードに問題があるので…。
あと、いつも誤文字のご指摘ありがとうございます。日本語が読めない作者は凄く助かっております。
次回、393と嵐の回