思いついた作品群   作:桜の果物

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罪人×女学生


巡り執行 ※※※

今の時代は世界じゃない、地球じゃない、宇宙じゃない。

 

天界、と呼ばれる別の次元にある。

 

上記に上げたそれらが絶望に包まれた何千年前、天界との扉が開かれた。

人が神と崇めるものが手を差し伸べてくれたそうだ。

 

 

 

……と、私は歴史の授業で習った。

 

 

 

最近の私には日課がある。

 

授業で連れられたときに初めて見た、犯罪人の収容所に行くことだ。

 

収容所といってもあまり危険人物はいなくて、広場も公開されてる。

さすがに透明なバリアみたいなので保護されてるけど、交流はできるから色んな人が見に来ている。

 

そこに、私の楽しいお友達がいるんだ。

 

 

 

「こんにちは」

「ああ、君か。こんにちは」

「君か、って言えるほどあなたに会いに来る人いるの?」

「痛いトコ突くね」

 

クスクスと笑うその表情にイラっとくるのはいつものことで、もう慣れた。

今ではそれも快感で、もっと見たいとさえ思う。

 

でもやっぱりイライラするから、あまり見たいとも思わない。

矛盾してるね。馬鹿らしい。

 

彼は大罪を犯したのだけれど、その人柄や行為から危険ではないと見做され、ここに来ることを許可された、らしい。

らしい、ということは彼に聞いただけなんだけど。

 

でも彼は毎日受刑してるから、本当なんだと思う。

しかもその刑というのも大分キツイようで、同じ者は大体気がおかしくなるらしい。

ここでもらしい、なんだけどね。

 

そんな彼はここでお友達らしいお友達もいなくて、私だけ。

ほんの少しの優越感。

 

そんなつまらない彼にわざわざ会いに来る理由。

それは、私のつまらない日常に刺激的な話を添えてくれるから。

 

「ねえ、今日はどうやって死んでしまうの?」

「君はそればっかりだ。今日は凍死だって」

「凍死?随分と楽ね」

「僕は嬉しいけどね。苦しいの嫌いだし」

 

彼の受ける刑。

それは繰り返される死。

 

生と死を繰り返すだなんて神の所業で、一番重い刑であることは言うまでもない。

 

顔も平凡、性格も平凡な彼がどうして、と思うけど、彼に何度聞いても教えてくれないから、私はもう諦めた。

どうせ私には思いつかないような重罪を犯したんでしょ。

 

できることなら死の瞬間を見てみたいものだけれど、まあ無理なのよね。

 

そして今夜も、彼の苦悶の表情を想像しながら眠ることになるのだ。

 

 

 

「ねえ聞いて。僕、そろそろ出れるんだってさ」

 

着いて早々、彼は喜々として言った。

 

私にとっては訃報。

でも、彼にとっては新たな人生の幕開けといったところだ。

 

だから表面上であったとしても「おめでとう」と返した。

 

「で、今日はどんな死に方するの?」

「君って取り繕うことを知らないね」

「おめでとうって言ったじゃない」

 

別に彼が出れようが出れまいが今日の死因に関係はなく、さっさと教えてほしいものだ。

 

そして彼は苦笑いを浮かべたままいつもみたいに言った。

 

「今日は焼死だって」

「あら、辛いってウワサの。見たいわ」

「駄目。君にあんな姿見せられないよ」

 

にっこりと、そこらの男じゃ言えないセリフを吐く。

 

そもそもあなたの意思以前に一般公開されてないわよ。

わざわざツッコむのも面倒だから言わないけど。

 

焼死だなんて、いつも以上にイイ表情をしてるんでしょうね。

 

想像すれば胸が高鳴って、眠るのがとても楽しかった。

 

 

 

「今日、出れるんだ」

「あらそう。てことは、面白くない日ね」

「酷いなぁ」

 

でもいつもの苦笑じゃなくて、満面の笑み。

 

だって出れる日ということは、死因は分かるもの。

 

「安楽死」

「聞いてない。知ってる」

「嬉しくなさそうだ」

 

当たり前のこと言って笑う彼はまったく面白くない。

 

最期なら、どうせなら。

 

「今日の質問、最期の質問、させてよ」

「しょうがないなあ。なに?」

「あなたの犯した大罪」

 

聞くのが楽しみで、私も彼と同じように満面の笑みを浮かべた。

それを見れたことが嬉しかったのか、彼も頬を染めて私を見る。

 

つくづく単純に私が好きだってわかる。

 

今まで一度も言ったことがないからか、無駄に出し渋ってる。

 

でも最期だからか、決心したように目を閉じた。

 

 

 

「自殺」

 

 

 

ああ、それは確かに大罪。

 

「こんな仕打ち受けちゃうんだから、君はしない方がいいよ」

「当たり前じゃない。私は見る専門なの」

「君のそういう好奇心はなくした方がいいと思うな」

「生憎」




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