火刑に処され、永遠に開くことはないと思われた瞳を開くとそこには男がいた。
男は慈愛に溢れた微笑みを浮かべ万人が欲する輝きを持っていた。
しばらく方然としていると男は口を開き
「実に大義でした。貴方は決して救われぬはずだった異教徒を救いそして今、その者達により深い絶望へと叩き落とした。極少数ほど私の民がいましたが貴方の功績を讃え許しましょう。」
俺は信じられなかった。
死んだのに意識がある事にじゃない
死後神に会ったからでもない
神が人の絶望へと導いた事に讃称した事にだ。
「お前は全てを救うのではなかったのか?」
故にこの言葉は必然だったろう。
「71億もの下等種なんか飼いきれませんよ。しかし、貴方のおかげで30億も死にましたし後もう半分死んでくれたらやっても構いませんよ。救済。」
「お前は全能だと聞いたが?」
「全能ですよ。あの宇宙を創ったの私ですし。でも、だから救うかと言われても救う気は無いですとしか答えられません。」
ーーーーーやはり神などこんなものか。
心のどこかでそう聞こえた気がした。
「俺の犯した罪に許しなどいらん。讃賞もだ。」
「?何故です?私の下で永遠の幸福を得られるのですよ?」
「代わりに全ての人類に救済を与えてやってくれ。彼らは俺とは違い本気で貴様を信じている。」
「だから言ったじゃ無いですか。71億もの雑種な異教徒なんて飼いたく無いって。聞いてました?」
「俺の偉業に対する対価でもか?」
「嫌です。」
「其奴に何を言ったところで無駄だぞ」
別の方向から平安時代の武士装束みたいなのを着た大柄な益荒男が現れた。
「五月蝿いですねー。異教の神風情が誰の許可を得て存在してるんです?さっさと消えなさい。」
「悪いがそれは出来ぬ相談よ。此奴は我が国大和の血筋なれば貴様なんぞにくれてやる道理はない。」
「やはり異教の神はゴミですね。私の話をちゃんと聞いてました?この宇宙の遍く全ては私のもの。勿論この下等種も例外ではありません。」
「ハッ。唐突に現れて略奪した貴様に誰が従うか。我が民は連れ帰らせてもらう!」
そう言うと益荒男は俺を抱え一目散に走り出した。
聖書の神だけを残して。
「はぁー、仕方ないですね。ちょっとの間だけなら貸してあげます。私は寛大ですからね。しかし、近いうちに返してもらいに行きますから。」
聖書の神はそう言うと風景に溶け込むように消えていった。
「そういえば、お前は誰だ?」
「俺か?俺は大和国今は日本と呼ばれる国の元領主。大国主命と言えば分かるかな?」
かなりの大物だった。