ハルトナツ   作:マスクドライダー

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しょうもない話その2。
更には今作中最大のご都合主義ポイント。
ツッコミの嵐が起きるのが目に浮かびます。


第12話 ワケありペアレンツ

 あれからいろいろあり過ぎてどこから説明していいのかわからないが、とにかく俺がISを扱えることができる男性である事実は瞬く間に世界へ広がった。

 どこから仕入れたのか、連日俺のことを報道する情報番組ばかりだ。ご丁寧に顔写真まで晒してくれちゃって、プライバシーなんてあったもんじゃない。

 キャスターやコメンテーターは俺の扱いに関してうんぬんと講釈を垂れていたが、実際俺に宣言されたのはIS学園への強制入学だった。

 これは俺を守る措置であるそうな。多かれ少なかれ何かしらの団体、個人に狙われる可能性の浮上した俺を匿い、なおかつ自己防衛の手段を与えられるからだって。

 まぁそれについては納得がいく。既に怪しい団体や研究機関らしき人が訪ねてきて、あらゆる面で協力を求めてきたりしているし。

 それらに関してキッパリとお断りする意思を示したものの、何度追い返そうがしつこく迫ってくることだろう。それを考慮するなら、うん、入学するのは最前手なんだろうけど。

 ISは女性にしか扱えない。イコールしてIS学園は教師も生徒も女性だらけ。イコールして女子高に男子一人が強制入学させられる事態であるということだ。

 守られるというメリットはありがたいが、その事実が想像するだけでキツくてここのところ頭を悩ませていた。

 弾と数馬は今頃俺が羨ましいと叫んでいるんだろうが、あいにく情報規制をかけるためにと携帯は没収されてしまっている。

 それに連日の訪問者やマスコミの囲いのせいで、俺は数日間に渡り自宅で缶詰め状態だ。絵を描けばそれなりに気もまぎれるが、そろそろ外の空気が恋しくなってきた。

 そんな折のある日のこと、ナツが唐突にこう切り出してくる。

 

「ハル、出かけようか」

「いや無理でしょ。なんか政府の偉い人にも外出は控えるようにって――――」

「大丈夫だよ。ハル、私を信じて」

 

 朝食も食器洗いも済ませたところ、ナツがなんとも無理難題を言い始めるじゃないか。できるなら俺もそうしたいんだけど。

 家のカーテンはしばらく閉めっぱなしにしているせいで外の様子はわからないが、きっと今も大勢の人が待ち構えているに違いない。

 ナツの言うそれは、腹を空かせた肉食動物の群れに弱った獲物でも放り投げるようなものだ。俺にみすみす餌にされに行くような趣味はない。

 しかし、ナツは強いまなざしで自分を信じてほしいと言い切った。……なんだかよくわからないが、それは少しずるいと思う。

 だってナツに信じてなんて言われたのなら、そうするしかないじゃないか。俺にナツを疑う要素なんてあっていいはずがないのだから。

 

「よくわからないけど、わかった。それで、これからどこへ?」

「ごめん、連れてくるまで明かすなって言われてるの。ここは黙って着いてきてほしいな」

「そ、そっか、了解。それじゃ、準備してくるからちょっと待ってて」

 

 連れてくるまで明かすな。つまり誰かからの命令であることを示唆しているかのようだった。だとしたら誰だろうか。ナツが代表候補生であることを考慮すると――――

 って、ナツを信じることで決めたんだから変に考えるのはよせって。待たせては悪いし、手早く準備を済ませてしまおう。

 着替えや必要そうなものを所持してリビングに戻ると、ナツも同じく準備を終えているようだった。ならば覚悟を決めつつ靴を履き替え、いざ数日ぶりの外へ……っと。

 

「あれ、誰も居ない……?」

「そこらも後で説明するからさ。それじゃ、着いてきて」

 

 覚悟していたというのに拍子抜け。玄関の扉の先には誰も待ち構えてはいなかった。それに隠れているような様子も感じられない。

 おかしいなと周囲を見渡していると、ナツは安心させるかのように優しく俺の背を叩いた。説明するからって、ナツに俺を連れてくるよう言った者の差し金ということになるが。

 ナツの後ろを着いて行きつつ何者かの正体に勝手な想像を膨らませるも、モヤモヤと霞がかかったかのようにそれらしい何かは思いつかない。

 この思考は無駄らしいことを察したので向かっている場所の正体へとシフトを変えるが、このルートはどうにも見覚えがあるぞ。

 そう、確か父さんの勤め先がある可能性が高い場所だ。足を運ぶのは相談を受けてもらって以来となる。ほぉ、とんだ偶然があるものだ。なんて考えていたらだ――――

 

「ほら、ここからでも見えるでしょ。目指してるのはあのビルだよ」

「あのビルって、あのビル? あのビルか…………」

「思うところでもあるの?」

「い、いや、なんでも。ただの偶然と思うから」

 

 ナツが駅前広場から指さした先には、俺が父さんに相談をした喫茶店があるすぐ近くの高層ビルだった。こうも偶然が重なると怖いまであるな。

 ナツに何か心当たりがあるのかと問われるも、取るに足らないことだ。とりあえずそれは流して、件の高層ビルへ向かうことにしよう。

 ナツに歩幅を合わせて歩くことしばらく、見上げるのが疲れそうなビルの真下へと到着した。社名の書かれた看板に注目してみると、そこにはFuturisticTechnology Instituteとある。

 直訳するなら未来的科学技術研究所ってところかな。でもその外観が研究所っぽくないところからして、単なる企業名なんだろうけど。

 

「こんにちはー」

「な、なんの躊躇いもなく!? えっと、こ、こんにちは」

 

 俺が看板へ注目している間に、ナツは躊躇いのひとかけらも見せずに自動ドアをくぐって中へと突入。驚いた拍子にツッコミを入れながら着いて行くかたちになってしまった。

 すると、受付嬢らしき人とナツはどうにも顔見知りのようだった。慣れたようなやりとりで地下研究施設にて主任がお待ちです。なんて案内される。

 地下研究施設……? あれか、やっぱりいろいろ研究されちゃうのだろうか。い、いやナツを信じるという言葉に二言はない。エレベーターに乗り込み、いざ件の研究施設へ。

 エレベーターでの所要時間はそれなりに長く、かなり地下深い場所に設置されていることがわかった。

 そして到着を知らせるベルが鳴り、エレベーターから降りてみると、そこには……何と言ったらいいのだろう。未来的科学と言う名にふさわしいような光景が広がっていた。

 

「……まるでSF映画のセットみたいだね」

「あ、それ初めて来た時に同じこと考えたよ」

 

 白を基調とした無機質ながら清潔感のある場所を、白衣を着た人や作業着の人がせわしなく行きかっている。

 見ればなんの用途かすら想像もつかないような機械を運んでいたり、またはその機械の前で話し合っていたりと、この光景はSF映画以外に表現しようもなかった。

 ナツはたくさんの人から挨拶されたり会釈されたりしながら進んで行く。俺はなんとなく居心地の悪さを感じながらナツの背を追った。

 

「よしよし、到着っ」

「IS企画開発研究部……か」

 

 ナツが到着と言いつつ立ち止まった部屋の出入り口上には、仰々しい字体でIS企画開発研究部と書かれていた。それならナツがここに俺を連れて来た理由もわかるな。

 でもナツの妙に慣れた感じばかりは説明がつかないな。この部屋に入ればその真相も明かされるのだろうけど。

 内心そう唸っていると、ナツはポケットから会員証のようなものを取り出した。それをドア横にあるカードリーダーに読み込ませると、どうやらそれでロックが解除されたらしい。

 

「ハル、ひとつ断っておくことがあるんだけど……」

「う、うん、言ってみて」

「どうかそんなに驚かないでね」

 

 部屋に入る前にひとつとナツがそう言いだしたが、その微妙になんとも表現できそうにない顔つきはいったいなんなのだろうか。

 これまでとは違う意味で頭の上にクエスチョンマークでも浮かびそうなのだが、いったいどういう意味なのだろう。

 部屋に入ればその意味もわかるのだろうから問いただしはしないが、どうやらまた覚悟をしておいたほうがよさそうだ。

 ガコンとかプシューとか音を鳴らしてドアが開くと、中は思った以上に広い空間が確保されていた。メインフロアや廊下と違い、モニターやコンソールが多く見られる。

 そして作業着の人の割合は減り、白衣の研究員さんのほうが目立つ。何やら言い争いに近いような話し合いをしているようだ。

 物珍しくて周囲を見渡していると、どうにも一人の研究員さんに目がいった。なんというか、後ろ姿に見覚えがある。というかおかしいな、あれはもしや。いや、もしかしなくても――――

 

「おばさん、連れてきましたよ」

「あら、思ったよりも早かったわね。道中、大丈夫だった? 変な人に乱暴とかされなかったかしら?」

「アハハ、大丈夫ですよ。だからそんな幼児扱いはちょっと……」

「…………母さん?」

「ええ、晴人くんのお母さんですよ~」

 

 見覚えのある背中に、やけにナツがズンズン近づくから嫌な予感はしてたんだ。例の研究員さんとの距離が近づくごとに予感は確信へと変わり、あまりのことに脳がすぐ事実を認識できない。

 だからナツと母さんのやり取りをボーッと眺めるくらいのことしかできない。二人のやり取りがいつも家で繰り広げられているそのまんまで、俺の中で更にギャップの溝が深くなっていってしまう。

 だからとりあえず、この目の前で当たり前みたく白衣を着ている人に質問だ。貴女は本当に俺の母親でしょうか?

 うん、ニパニパとして見ていると気が抜けそうな笑み。それにこの聞いてると考えごとなんかすっ飛んでいっちゃいそうな甘ったるい声。間違いなく俺の母である日向 恵令奈のものである。

 

「母さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

「お母さんですよ~」

「母さんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?」

「お母さんですよ~」

「母さ――――」

「いやハルそのくらいにしておこうよ……。初めは私もそんなだったから気持ちはわかるけど」

 

 いや待って待って待ってくれ待ってよ待ってくださいませんか。長らく職業不詳だったと言うのに、これはあまりにも予想外過ぎる。

 だって見るからに研究員だよ? それにISの研究者なんてよっぽどの頭脳の持ち主じゃないか。とは言え何も母さんを見くびっての発言ではない。

 母さんが決して頭が悪くないのは知っている。いや、むしろ良いくらいという認識だ。勉強を観てもらったことは何度もあるし、加えて教え方も上手だ。

 しかしそれは学力における頭が良いという認識であって、母さんは基本的に脳内にお花畑でも広がっているような人だと言うのに。

 それが、まさか、こんな、えぇ……? 正直俺がIS動かせるのよりも衝撃なんですがそれは。思わず叫び散らす気持ちはわかるだろうに。

 叫ぶ俺をナツが止めにかかるが、そこでようやく思い出したことがある。つまりナツはいずれかのタイミングでこの事実を知っていたということになるじゃないか。

 

「ナツ、これどういうこと!?」

「うん、ホント黙ってて申し訳ないとは思ってたよ? けど――――」

「済まないな、千冬くんにずっと口止めされてきたのだ」

 

 相変わらずニパニパしている母さんを尻目に、衝撃の事実について詳しく解説をプリーズと向き直る。するとかなりの苦笑いを浮かべて真相を語り出した。

 しかし、それは何者かが言葉を遮ることで止まってしまう。というか、べらぼうに聞き覚えのある声で思わず身体を硬直させてしまう。

 そしてギギギ……と、錆びたブリキの人形みたくそちらへ向き直ってみる。すると、スーツの似合うダンディズムの塊のような男がそこに居た。

 

「と、父さん……?」

「ここはあえて初めましてと言わせてもらう。挨拶代わりにこれを受け取ってほしい」

「FuturisticTechnology Institute最高経営責任者……日向 晴誉……。し、し、CEO……?」

「そういうことになる」

「あー! あ゛ー! もう無理! もう無理だ! あまりの衝撃に立ってられない!」

「ハ、ハル、本当に気持ちはわかるから一回落ち着こう! ね? ほら、深呼吸~」

 

 父さんが俺に手渡したのは、堂々と最高経営責任者という肩書が書かれていた。つまりCEO、とても偉い人であるということが発覚した。

 衝撃的事実のラッシュで本当に立っていられない。思わずガクリとその場に膝を着けると、慌てたナツが落ち着くように諭してくる。

 いや、これが落ち着いていられるわけが……。い、いや、ナツの言うとおりだ。どうにもこういう取り乱し方は俺のキャラじゃない。

 ナツの手を借りて立ち上がると、深く息を吸って深く息を吐く。それをしばらく続けていると、不思議と気分が落ち着いてきたような気がする。よ、よし、大丈夫そうだ。

 

「えっと、父さん。フユ姉さんが口止めって、それどういうこと?」

「ISに関わることは長らく口止めされていた。悪いが理由は私たちも知らん」

「私もISに乗りたいって相談したらかなり反対されちゃった」

 

 少しずついろいろと紐解いていくことにしよう。まずは父さんの千冬くんに口止めされていた、という部分についてから。

 詳しい事情は知らないが、父さんと母さんはフユ姉さんのお願いを守っていたということか。確かに心当たりがないわけではない。

 フユ姉さんは自分の試合映像とかを俺やナツに見られるのを避けていた節がある。ずっと気恥ずかしいのかとでも思っていたが、どうやら事情は異なるみたいだな。

 ナツが反対を受けたというピースから、ナツ、もしくは俺がISに関心を持つと何かしら不都合があった可能性が出てくる。その不都合というのは想像がつかないけど……。

 

「ナツはいつから二人のことを?」

「ISに乗り始めたあたり。千冬姉がここのことを紹介してくれたんだ」

「お母さんたち、千冬ちゃんがバリバリ現役の頃からサポートしてたの」

「つまりナツの専用機って……」

「うん、ここ製の機体だよ」

 

 ナツがISに乗り始めた時期と言うと、今からちょうど一年前くらいになるのか。ナツは習い事と称してここにも通っていたのだろう。

 そうか、フユ姉さんの勧めで……。代表候補生になる、あるいはなれる人物はそれなりにコネというものがあるものだと思ってはいたが、フユ姉さんは最強のコネじゃないか。

 座そのものを勝ち取ったのはナツの実力だろうが、そんな前から母さんたちの正体を知っていたのか。よく隠し通せたもんだよ。俺なら衝撃ついでに話したくなってしまっていたかも。

 まだ受け入れられない部分も多いが、俺がここへ呼ばれた理由もなんとなく読めてきた気がする。そして、どうして報道とかの人が家に押しかけてこなかったのかも。

 後者は簡単。恐らく父さんが何かしらの圧力をかけたか、もしくは取引のような何かを行ったかのどちらかのだず。そして前者は――――

 

「なら俺が呼ばれたのは、専用機の譲渡が目的ってところかな」

「そのとおりよ晴人くん。お母さんの最高傑作を託しちゃうんだから! ね、晴誉さん」

「日向部長、再三になるが勤務中の公私混同は避けるように」

 

 さらりと質問してみたが、やはりそうなのか。何も俺が選ばれた人間であるなんて言うつもりはないが、妥当と言えば妥当なところなのだろう。

 俺がIS学園に入る主目的としては保護という名目になるのだが、直接IS学園に殴り込みが起きないとは言い切れない。

 ISについて学ぶ学校とはいえ、共用であろう訓練機を俺にあてがうのは燃費が悪いし、何より訓練機のベーシックな性能では心もとない部分もある。

 そこでワンオフかつ訓練機と比較すれば圧倒的戦闘力を誇るであろう専用機を俺が譲渡されるのは、先ほども言及した保護と言う目的が含まれるのならある種当然とも言える。

 当然であると理解はできるものの、なんというか、とても恐縮してしまうな。専用機獲得のために日夜汗水流している人たちに申し訳が立たない気がしてならない。

 ……というかなんて? 母さん部長なの? 夫婦そろって凄まじく立派なポストについてるじゃないか。俺の十五年に及ぶ庶民生活はいったいなんだったのだろう。

 

「それでは部長、一夏くん。後のことを任せる」

「了解です!」

「は~い!」

「あ、あのさ父さん」

「なんだ?」

「えっと、いろいろありがとう」

「気にするな。家族を守るのが家長の務めだ」

 

 父さんは顔を見せにきただけなのか、伝えるべきことを伝えると仕事へ戻るつもりらしい。役職的に忙しいものだろう。

 引き留めるようで悪いけど、とりあえず礼だけは言っておかなければ。軽く専用機の譲渡なんて言ってはいるが、俺の機体となるには父さんがかなりの苦労を重ねてのことのはず。

 政府や国の認可とか、IS委員会の認可とか、とにかく許可を得るだけでも相当量の交渉が必要になるはず。もし仮に誰かに譲渡する予定でもあったのなら目も当てられない。

 それだけでなく、単にマスコミ等から俺を守るためにも尽力してくれたみたいだし、感謝してもしきれない。

 深々と頭を下げたというのに、父さんはいつものとおりクールな対応で俺の言葉を受け取る。そっけないと思う人もいるかも知れないが、少なくとも俺は、あれが父さんらしくて好きだな。

 

「さてさて晴人くん、まずはこれに着替えてちょうだい」

「これは……あっ、なんか見たことある。フユ姉さんとかが試合の時に着てるやつだ」

「なんの捻りもなくISスーツって言うんだよ。まぁ要するにパイロットスーツと同じようなものかな」

 

 父さんの姿が完全に見えなくなると、母さんが何かしら着衣を手渡してきた。手触りは水泳のプロアスリートなんかが着る水着と似ている。

 その場で広げてみると、メタルグレーをベースにして腕や胴体から足にかけての側面に虹色のライン模様が入ったデザインだった。でもウエットスーツとは違ってセパレートタイプみたいだな。

 ナツ曰く、これはISスーツと呼ばれるものらしい。ナツの言葉どおり本当になんの捻りも感じられない。まぁ、シンプルイズベストというやつなのだろう。

 でも性能は只者ではないらしく、なんでも体を動かす際に筋肉から出る電気信号等を増幅してISに伝達してくれるんだとか。単純にすごいという言葉しか出てこない。技術革新とは末恐ろしいものだ。

 

「…………」

「ハル、どうかした?」

「あ、いや、その、今から専用機に乗るんだって思うと、なんだか急に緊張してきちゃって」

「大丈夫だよ、誰だって初めてはあるんだから。それに私も練習を手伝うからさ」

「ハハ、代表候補生の指導っていうのはこれまた豪華だね。うん、ありがとうナツ。ここはひとつ、どうかご享受お願いします」

 

 ISに乗るというのは、車やバイクを運転するのとはわけが違う。それもいきなり訓練機でなく専用機であることを余儀なくされるときた。

 両親に対する混乱でどこかへすっ飛んでいたであろう緊張はリターンバック。ISスーツを握りしめながら固まっていると、ナツが顔を覗き込ませた。

 正直に心の内を吐露すると、ナツは安心させるような笑みを浮かべ俺の手を取りそう言う。すると、なんだか胸の奥が熱くなるような感覚が過った。

 ナツが女の子になってからはそう気安く触った覚えのない手だが、なんというか、とても暖かくて柔らかくて、いつまでも握っていたい気さえしてしまう。

 家事をするのになんでこうも綺麗な手なんだろうか。それはきっと、ナツの持つ優しさが俺にそう思わせるんだと思う。

 ナツの手を少しだけ握り返した時には不安は消え去り、むしろ期待感すらわいてきた。俺にとってナツが一緒ということ以上に心強いことはないのだから。

 

 

 

 

 




Q両親の設定はどうしてこうなったの?
A便利なうえにオリキャラの数を最小限に留められるからです。

いやいや束さん一人居たら済む話やん。と思われるでしょうが、わけあって臨海学校編までに登場させることができないんです。
私個人のなんでもかんでも束さんで解決を図るのを避けたいというワガママも重なってしまい、苦肉の策としてこのような措置を取らせていただきました。





【FuturisticTechnology Institute】
FT&Iの通称で呼ばれる企業。
日本語で直訳したとおりの企業であり、先進医療などといった社会に貢献できるようなあらゆる物事の研究、開発を行っている。
ISの台頭と同時ほどに研究等に着手し、現在では単独での開発も可能なほど。
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