ハルトナツ   作:マスクドライダー

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

新年初更新は夏休み編プロローグです。
なので大した話では――――と言いつつ、初期から読んでくださっていたみなさんにとって、いつもと違う晴人と一夏の様子をお届けできるかと。






以下、評価してくださった方をご紹介。

銭湯妖精 島風様 満咲花天様

評価していただきありがとうございました。


第55話 ナツが始まる前に

「日向くん、ちょっといいかしら」

「は~い……?」

「ごめんなさい、訂正するわ。ちょっとよくなくても、とりあえず話は聞いてほしいの」

「ええ、もちろん。どうかしたんですか?」

 

 授業合間の休憩時間でトイレに向かった帰り道。偶然か必然か、美術部顧問の先生に声をかけられた。

 先生は僕が振り返った途端にたじろぎ、お疲れなのはわかるがとにかく話だけでもと訂正まで入れだす始末。

 僕がどうしてこれほどにまで疲労困憊かって、フユ姉さんに予告されていた例の懲罰プログラムの実施がなされているから。

 ここのところ毎日のようにしつけと言う名の拷問のような訓練が続き、専用機持ちの大多数は身も心もボロボロな状態だ。

 無論よくても普通な体力と精神力しか持ち合わせていない僕は大多数に含まれ、先生にこうして気を遣わせてしまう様相というわけ。

 学期末のテスト週間に入ればそれで終いだとか言ってはいたけど、このままでは無事に夏休みを迎えられるかどうかも怪しいような。

 おっと、そんなことより、先生は本当になんの用事で声をかけてきたのだろう。とかなんとか言いつつ、実のところ心当たりはあるんだけど。

 

「その感じなら聞くまでもなんだけど、応募作品、完成してないわよね」

「はい、お察しのとおりです。締め切り、まずいですか?」

 

 やっぱり僕の読みどおり、先生は夏休み期間中に審査のある応募作品の催促に来たようだ。

 もちろん参加否参加は自由なのだけれど、こういう審査の話があれば必ず出すようにしているだけに、今回のは逃したくないんだよな。

 だというのに、無断出撃の件が絡んで本気で描く暇を確保することができない。その日が終わればベッドに直行するのが常だし。

 だけど締め切りのことを尋ねてみるに、どうやらタイムリミットは真に迫ってきてしまっているようだ。これは本気で焦り始めなきゃならないか。

 

「わかりました。とにかく、なんとか間に合わせてみせるので」

「それなら私もギリギリまで待つことにするわ。ただし、これを最終勧告くらいに思っておいてちょうだい」

 

 僕は筆そのものは進めば早いし、一日確保することができればなんとかなるんじゃないだろうか。今週の日曜日あたりに頑張ってみることにしよう。

 まぁその前に大きな関門をクリアしないとならないんだけど……。というより、まだその段階で足踏みしてると知られたらどうしよう。

 ……これに関して知られたら冗談抜きで説教コースかも。だから決して悟られぬよう、やけに自信をアピールしながら間に合わせると豪語した。

 先生からしても僕のそういった点については信頼がおけるのか、特に疑うような様子は見せずに歩き去っていく。

 騙したという事実はあれど、結局のところ間に合わせてしまえばいいのだから同じことではあるかな。じゃあ、そろそろ真剣に考えないと。

 

(テーマに合ったモチーフについて、ね)

 

 こういう審査される作品は、必ずといっていいほどお題のようなものが存在する。季節の風物詩とかそういう感じのやつね。

 締め切り間近だというのに、現段階でそれも決まっていない。偽りもなく、僕が今置かれている状況というのはまさに首の皮一枚といったところか。

 そのテーマというものが【あなたの大切な宝物】という内容で、僕にとっては描きたいものが多くて絞り切れない。おかげでずっと頭を悩ませている。

 なんなら絵を描くための右手だって宝物。絵を描くのに関係する道具だって宝物。この学園で出会えた仲間たちは宝物。という感じで、描きたい候補が次々出てきて収拾がつかない。

 実際のところ今となっては一択みたいなものなんだけど、それを描いて応募するっていうのに、どうしても躊躇いが沸いてしまうというか。

 いろいろ悩まないようにはなってきたけど、絵のことに関してはまたベクトルが変わってくるな。こう、芸術家特有のこだわりが発動してしまっているんだと思う。

 脳内でああでもないこうでもない言いながら歩いていると、とうとう一組の教室までたどり着いてしまった。せめて今日中にテーマくらい決めたいけど。

 

「ハル、おかえり」

「やぁ、ナツ。うん、ただいま」

 

 もうすぐ授業開始になるからか、僕の左隣の席にはきちんとナツが着席している。そして僕を見つけるなり、パッと表情を明るくしてからお帰りと迎えてくれた。

 昔ならトイレから帰ったくらいで大げさな、なんて言ってしまっていたろうけど。こういう何気ないやり取りって、本当に幸せなんだなって思う。

 ナツに言ったらどういう反応をするんだろう。とか考えながら座ると顔に出てしまっていたのか、ナツに何をニヤニヤしているんだと怪しまれてしまった。

 少なくとも、一組の教室内で――――僕って幸せ者だなぁと思って。なんぞ口にするわけにはいかないか。最近になって、ようやく僕らの関係についての騒ぎが沈静化してきたというのに。

 そこでナツには悪いけど、なんでもないよとだけ答えておく。向こうもそこまで気にしていたわけじゃないのか、ふぅんと首を傾げるばかり。

 

(……やっぱり間違いなく一択か。ナツに勝る宝物なんて、今の僕にあるはずないよな)

 

 勘違いしてもらいたくはないのだが、僕にとって最も大事という概念において、ナツは以前から不動の地位を得ている。

 だけど冷静になって考えてみてほしい。それこそ以前までならいざ知らず、今の僕が宝物というテーマにのっとってナツを描いて提出したとしよう。受け取った側はどう感じるだろうか。

 なんかほら、ねぇ……? この、なに……? っていう調子に、どう捉えていいのかわからない気持ちになると思うんだよね。少なくとも僕はなるぞ。

 そのあたりの理由で尻込みしてたけど、四の五の言ってる場合じゃなくなったから強硬するしかない。授業が終わったら、モデルを頼んでみることにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「快晴! 少し暑い気もするけど、絵を描くにはいい日和なんじゃない?」

「そうだね、今日雨に降られてたら詰みだったし」

 

 IS学園も日曜日となればオフであり、僕ら無断出撃連中も釈放される。ナツにモデルを頼んだところ、快く引き受けてくれて今に至るというわけだ。

 ちなみにだけどテーマは伏せてる。言えば喜んではくれるんだろうけど、同時に困らせもするでしょ。むしろわざわざ教える必要もないかなって。

 描く場所については、前にナツを探してたどり着いたベンチを選択。ナツとしてもお気に入りの場所らしいので、より自然体でいられるかなと思った……んだけどな。

 

「ナツ、もっと楽にしてていいんだよ。むしろそうしてくれると助かるかなって」

「その楽っていうのが難しくない!? 自然にっていったいなんだっけ……?」

「それドツボってやつだから! 自分の自然体まで見失うのは重症だって!」

 

 ナツにはベンチに座ってもらって、僕は少し離れた正面に腰掛け下描きを進めていた。

 最初のうちは全然よかったんだけど、だんだんナツの身体は石化していくかのように凝り固まっていってしまう。

 こちらに気を遣ってくれているのは明白なので、僕としては優しくアドバイスするつもりでもっと楽にと声をかけたんだけど、どうやらナツは考えすぎの域まで達してしまったらしい。

 硬直状態を解除したナツは、わなわなと手を振るわせて自然体とはなんぞや、なんていう不毛なことを自問自答し始めてしまう。

 ナツが真剣に取り組んでくれているからこういう事態になるなんて、どうにも皮肉に思えてならない。なら始めたばかりではあるけど、少し休憩がてらに会話を続けることにしよう。

 

「ナツ、もしかして張り切ってる?」

「そんなことは――――あるかも」

「まぁ、そうか。滅多に頼まれるようなものじゃないしね」

「そうだけど、そうじゃない。ハルにモデル頼まれるの、初めてだから……」

 

 ナツのソレは空回りと表現してもいい。なんでもそつなくこなすナツにしては珍しいことで、実は初めから違和感そのものはあった。つまりナツが妙に張り切っているということ。

 ストレートにその点について触れてみると、迷いながらも肯定の意思を示してくれた。それはわかったけど、まだ根本的な解決までには至らないな。

 なんとか会話の流れでそれを探ることができないかと言葉を選ぶが、ナツの方から白状してくれた。別に隠してたわけでもなさそうだけど。

 そうか、なんだかんだでモデルを頼むのは初めてだっけ。多分だけど、長時間動かないようにするのとか大変だし、そんなのナツに頼むのは悪いって理由なんだけど。

 でも初めてだからって張り切ってくれたってことは、そういうことでいいのかどうか。いや、そういうこと以外に他ないよな。

 

「ナツ」

「ん? ――――んぅ!?」

 

 何がそういうことかって、ナツは自身を被写体として選んでもらって喜んでいるであろうということ。そういうふうに思ってくれるのは、描く側からしたらもっと喜ばしいことだ。

 さっき言ったとおり動かないだけでも大変だろう。時には難しい注文を付けてしまうかも知れない。ナツだってそんなことわかっているはず。

 それを推しても喜んでいるということを察した瞬間、僕は一目散にナツの隣へと腰掛けその唇を奪った。だいぶ驚かせてしまったようだが。

 人目さえなければあまり我慢する気もないし、そのあたりは慣れてもらうことにしよう。これからもこうして幾度となく、突発的に唇を重ねることになるだろうから。

 

「……今のはなんのキスかよくわかんない」

「ナツが可愛いこと言うからだよ」

「ええ~……? それは、あ、ありがとう?」

「ん、どういたしまして」

 

 キスを終え互いの間に距離を置くと、一瞬だけど蕩けたような表情のナツが目に入った。しかし、僕に見られていることに気が付いたのか、ハッとした後にすぐ戻ってしまう。残念。

 そして口元を隠して目を逸らし、ナツはなぜキスされたかわからないと頬を染める。ナツが狙ってやってないからしたくなる時もあるんですよ。

 でもそれを指摘するとナツは一挙一動にも気を付け始めてしまうと考え、とにかく可愛かったからという理由で通しておいた。

 ナツはよくわかっていなさそうだったが、とにかく褒められたと捉えてかこちらに礼を述べる。そういうところが可愛いっていってるんだけどな。

 本当、一度タガを外してしまうと立て続けにしたくなってしまうから困る。とりあえず今は自重して、作画を再開することにしよう。

 

「とにかく、驚かせてごめん。それじゃ、そろそろ絵のほうを――――」

「あっ、ハル待って。ね、できればこのまま隣に居てくれないかなーって」

「そのほうがリラックスできそう? ならそうしよう。それはそれで面白い構図になりそうだし、一石二鳥ってやつだよ」

 

 軽く謝っておいてベンチから立ち上がると、ナツは僕の制服を掴んでそれを阻んだ。悪意がないのは言われるまでもないけど、それこそ少し驚いてしまう。

 おおげさなリアクションにならないようゆっくり視線を向けると、ナツはなんだか気恥ずかしそうに隣に居てとねだるではないか。

 この時点で僕の選択はほぼ確定。いや、別にお願いされた時点で、どんな状況だろうと最優先で従わせては貰うんだけど。 

 ナツのお願い通りにベンチへ座りなおすと、流石に窮屈なので絵を描くのに最適な距離を開ける。具体的には、ナツの頭の先から足の先が視界に収まるくらい。

 ……うん、やっぱり面白い構図になりそうだ。離したとはいえこんな距離感で描くって珍しいと思うし、なんならほぼ完璧な僕主観ということも伝わるんじゃないだろうか。

 

「エンジン、かかってきたみたいだね」

「うん、おかげさまで。というか、わかるんだ?」

「わかるよ。だって、なんかいいんだもん」

「はは、相変わらずそれなんだ」

 

 ナツは僕の鉛筆の動く速度を見てか、調子が出てきたようでなによりと声をかけてくる。向こうも僕が隣に居ることで本当にリラックスしてくれているのか、とても自然体で描きやすいことこの上ない。

 こうして会話も成り立つわ、軽口も飛び出るわで、どうやらもう変な心配をする必要もなさそうだ。なら後は、こちらも気楽にいかせてもらおう。

 とはいえ無理は禁物。僕もナツも集中力が命ではあるから、適度に休憩をはさみつつ作画を進めていく。

 そしてスタートから数時間が経過したころ、おおまかな配色までが完成した。よし、ここまでくればもうナツの手を煩わせることもない。

 というのも、僕にとってこれは下描きの下描きみたいなもので、ここからが本当の勝負といったところ。

 いつものとおり写真のような精密な描写をするためには拡大鏡とか必要だし、なにより今使ってる色鉛筆じゃ色が足りない。

 素人目からはどう色に差があるのか判別がつかないような、そんな膨大な量を必要とするため外での進行は不可能に近い。というわけで、感謝と共に今日のところは終わりであることを告げる。

 

「よし、完成! って、ひとまずなんだけどね。ここから先はもうちょっと設備が整った場所で続けることになるから、ここまで協力してくれて本当にありがとう」

「ううん、こんなのお安い御用だよ。それにハルと一緒に居られるんだもん。私からしたら、それだけで言うことないし」

「……そういうこと言うとどうなるか、さっき教えたからわかってるはずだけど?」

「ふふっ、わかってて言ってるとしたら?」

 

 あらゆる衝動を抑えられなくなった瞬間のことをムラっとするなんて言うが、僕が悪戯っぽく微笑むナツに感じたのはまさにそれだと思う。

 わかってていってるんですか、そうですか。つまり挑発ですか、そうですか。ならば据え膳食わぬは男の恥。有難く乗らせてもらうことにしよう。

 さっきのはかなり個人的だったとでもいうべきなのか、少なくとも強引であったことは否めない。

 だが今回のは半ば合意の上。多くを語るのは野暮にあたるが、ナツは僕を意図的にキスへと導き、また僕もその導きに対して迷いなく誘われた。

 ならば相手を愛しく想い、慈しむように臨むのが道理というもの。ゆえに僕は頬を撫でることでナツを愛で、それから唇を重ねた。

 その間持て余してしまっている右手をどうしようかと考えていると、ふと件のその手に暖かな感触が宿る。間違えようもなく、ナツが僕の手を取っているんだ。

 しかしそれはただ握るような感じではなく、大げさに表現するならマッサージでもするような触り方に思える。……もしかして、さっきまで絵を描いていた右手を労ってくれているのかな。

 

(あぁ、本当に……可愛い女性(ひと)だよ、ナツは)

 

 ナツは昔からして尽くすタイプの人間であることは知れたことだが、僕を特別に想ってそういう行動に出ていると考えれば、ひどく興奮してしまう僕がいた。

 今すぐにでも僕の理性を縛る鎖を取り払ってしまいたい。もっともっと深くまでナツを愛し尽くしたい。……多分ナツは、男にそう思わせることにかけては天才的なんじゃないだろうか。

 あぁ、くそっ、奥手だったはずの僕に、ここまで思わせるナツはいったいなんなんだ。愛しさなんてとうに限度まできていたと感じていたのに、どこまで想ってもまったく足りない。

 許されるのなら、いつまでたってこうしていたい。時なんて永遠に止まってしまえばいいのに。この幸せをいつまでも、どこまでも――――

 

「ナツ、大好きだ」

「私もだよ、ハル。大好き」

 

 空しことだが、始まりがあればいずれ終わりはくる。僕らはいつものように示し合わせるわけでもなく、どちらともなく唇を離した。

 だけどなんだか名残惜しくて、僕はナツを抱きしめて心に宿る正直な気持ちを口にする。ボキャブラリーが少なくて、ナツには申し訳ない気分にもなるが。

 というより、やっぱりキスなんかをした直後だと、頭の芯が痺れるような感じがしてあまり思考がままならない。だからそういう、単調で単純な、それでいて率直な言葉しか出ないのかも。

 なるほど、だとするならよくできたものだ。そして、だからこそ欠かしてはならないことだとも思う。これからも囁き続けよう。この胸に宿るナツへの底知れぬ愛を。

 

「……あ」

「ハル、何か思い出したりしたの?」

「いや、そうじゃなくて、まずいなぁと思って。良い意味でなんだけど」

「なにそれ、もったいぶらずに教えてよ」

 

 そのあたりまで考えて、とあることが頭を過った。それを合図に僕らのハグも終了してしまうが、ナツに不満そうな様子もないし大丈夫かな?

 冗談でもなんでもなく、本当にこれはまずいのかも知れない。どうしてすぐ思い立たなかったのか、それはやっぱりナツと家族の期間が長すぎたからなんだろうなぁ。

 何がまずいって、それこそ夏休み以外のなにものでもない。僕とナツの事情というよりは、日向家と織斑家の事情を考えてみてほしい。だってそれって――――

 

「同棲」

「はい?」

「僕らほぼ同棲状態になるじゃないか。あんまりあれだと、幸せ過ぎて死んじゃうかも」

 

 むしろ好きでなくても、ナツみたいにあらゆる面で素晴らしい女性と半同棲状態でどうして平気だったのか、あの頃の僕に事細かく聞いてやりたい気分だ。

 まぁ聞いたところでどうせ――――はぁ……? その、俺みたいなのとナツの間に、何も起きようがないし……。とか寝ぼけた答えが返ってくるんだろう。どうしようもないな俺の時の僕。

 今からナツと過ごす一か月強を想像するだけで幸せが過ぎる。

 毎日のようにナツに起こしてもらい、ナツの手料理をふるまわれ、一緒に家事をしたり遊んだり、たまにはどこかへ遠出したり。……同棲どころか内縁って言ってもいいんじゃない?

 ああ、素晴らしきかな夏休み。ただ、僕のハートが持ってくれるかどうかは状況によりけり。みたいなことを言うと、ナツは少し面白くなさそう。

 

「例え冗談でも死んじゃうなんて言わないで。私、本気でスキンシップとか減らすの考えちゃうよ」

「それは嫌だな。ナツには一秒でも長く触れていたい」

「そ、それはどうも……。と、とにかく! 同棲ごっこできる機会なんて滅多にないんだし、日ごろ頑張ってるご褒美とでも思って楽しもう?」

「……そうだね。うん、そう言ってもらえたら平気そうな気がしてきた。むしろドンとこいって感じ」

「ふふっ、その意気その意気」

 

 どうやらどういう形でも、ナツの隣から離れる旨のワードはNGみたいだ。こう言うとおこがましいのかもだけど、愛されてるなぁ。

 いざ本人から減らすと宣言されては立つ瀬がない。慌てるまではいかないが、どうかそれだけはご勘弁をと伝えてみる。

 そういう機会なんて滅多にない、か。確かにそう考えると、急に一か月強が短いように思えるから不思議なものだ。ならナツの言うとおり、毎日を全力で楽しもう。

 後は、いくつかデートのプランでも練っておかなくては。なんだかんだ、恋仲になってから外出しようにもできなかったし。

 よしよし、なんだかだんだん楽しくなってきたぞ。この調子で、ナツとのかけがえのない思い出を刻んでいくことにしよう。

 ま、何はともあれ、やっぱり絵を完成させてからの話ではあるんですけどね……。

 

 

 

 

 




ネタバレですが、夏休み編はずっとこの調子で進めます。
キスしない回のほうが珍しい。くらいまであるんじゃないでしょうか。
多くて十話くらいを予定しているので、皆様に糖分を供給できるよう頑張りますので。






ハルナツメモ その25【受賞歴】
こういった作品応募において、晴人はこれまでにそれなりの受賞歴がある。
が、佳作だったり審査員特別賞だったりと、十分凄いことながらも未だ最優秀賞の経験というものがないらしい。
だが【俺】から【僕】へと気分転換したことにより、絵にも若干の変化が現れた。端的に言えばより上手になったということ。
しかも今回はモチーフが一夏なうえにテーマがテーマということもあり、気合もひとしお。
これはもしかしたらもしかすると……?
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