ハルトナツ   作:マスクドライダー

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二話ぶりにハルナツメイン回ぃ!
久しぶりということもあってか、いろいろすっ飛ばしすぎかなっていう部分もありますけれども、やっぱり楽しく書けました。


第70話 僕のほしいもの

「ただい――――まっ!?」

 

 目標達成した日にナツが先に待ち構えているとはいえ、何か特別に緊張するなんてことはない。

 恋人以前の話なんだけど、変に意識するような間柄じゃないしね。圧倒的に離れていた時間のほうが短いという事実は伊達じゃないぞ。

 でもまぁ、不意打ち気味に飛びつかれるのくらいは覚悟しなきゃな。なんて思っていた時期が僕にもありました。

 いたって普通にドアノブに手をかけ、いたって普通にドアを開いたらもうビックリ。ドアの隙間から手が伸びて、僕の腕を掴んで強引に部屋へ引き込むではないか。

 状況を理解する間もなくヨタヨタとただ前に進み続けると、ベッドへ飛び込むようにして前のめりに倒れ込んだ。

 そして今度は起き上がる暇もなくのしかかられ、矢継ぎ早に唇を奪われる。というかそれどころの騒ぎでなく、舌が蹂躙という言葉そのものの勢いで口内を暴れ回った。

 抵抗……するつもりは初めからないにしても、むしろ合わせることもできないくらいに展開が早い。僕はもはやされるがまま。

 僕が解放されたのはそれからしばらくのこと。激しいキスで思考は蕩けて――――いただろう、普段ならね。

 だけどこの場合、どうしてもこういう感想のほうが先行しちゃうよねって話で。

 

「ビックリしたぁ……。ホラー案件だよこんなもん!」

「えーっ、普通じゃ面白くないかなって思ったんだけど」

「だからって奇をてらい過ぎだと思うんだよね」

 

 キスが終わった後の感想としてはあまりにムードがないのは理解してる。けど、裏を返せばそのくらい驚いたってことなんです。

 いや本当に獲って喰われるんじゃないかと一瞬――――あれ、食われちゃってるのか? ……まぁいいや、とにかく、ホラー映画の捕食シーンみたいなのが過った。

 割と本気の感想を大げさと捉えているのか、僕の上に乗ってニコニコと微笑むは愛しい人。

 きっと僕が浮かれてるか、もしくは何かを期待をしているとでも思ったんだろう。

 その隙を突いたとするならば、確かにナツが楽しそうなのも頷ける。……けど、既に別パターンを考えてそうで嫌だな。

 

「なるほど、普通が一番ってことだね」

「あのね、僕に対してその言葉って皮肉でしょ。いいからほら、今日くらいは――――」

「んっ……! ハル……」

「ナツのことを感じさせてくれ」

 

 普通と口にするナツの顔は、悪戯っぽいというよりは意地悪な印象を受けた。

 僕がナツのことを一番知っているのに対し、逆もまた然りだから、その言葉の意味を知らないはずがない。ならば残りはわざとって結論しか出てこないじゃないか。

 いくら僕といえど、ちょっとムッとしてしまった。何も僕が深くキミを求めている時でなくともよかろうに。

 力づくでもナツの下から脱すると、腕力に任せて固く抱き寄せる。

 ナツの身体は少しばかり強張ったが、耳元でそう囁くと一気に脱力か――――と思いきや、ナツもナツで僕へ固く抱き着いてきた。

 

「……すごく嬉しいんだよ。キミのために頑張ってることが実を結ぶのって。まさか僕もここまでやれるとは思ってなかったんだけど」

「えへへ、実は私も。まさかラウラにまで勝っちゃうなんて。しかも、虹色の手甲(ガントレット)の命中率がかなり上がってきてるよね」

 

 かつては使うのすら躊躇っていた虹色の手甲(ガントレット)も、今や最大出力でなければ当てることに関して迷いはない。

 フユ姉さんの言っていた、今できなければ敵にも使えないだろう。という台詞も間違ってはいないだろうから。

 だとするなら迷っている暇なんてないんだよ。こうして、本当に敵が現れてしまう可能性が出てしまった以上は……ね。

 しかし、実際ナツに褒められると成長の実感度合いが違うな。言ったとおりナツを僕の手の届かない場所に行かせない、というのが最大の行動原理だし。

 ナツもナツで、学園祭と被って慌ただしい部分を除けばあまり褒めてはくれなかったからなぁ。まぁ、あえてっていうのは理解してるけど。

 

「そんなハルにご褒美があります! って言っても、実際ハルに聞いてから用意しようって決めてたんだけど。で、どう? 欲しいものとか、してほしいこととか、あったらなんでも言ってほしいな」

「え、いらない」

「即答!? っていうかいらないってなに、ちょっと酷くない!?」

「いらないよ。ナツとこうしていられれば、僕は何も望まない」

「むっ……。だ、だからっ、今はそういうタイプのことじゃなくて」

 

 余計なお世話とまで言うつもりはない。むしろナツの気持ちそのものはとても嬉しい。けど、うん、別に必要はないかな。

 だって目標は達成させるためにあるものだ。ぶっちゃけ自分でも成し遂げられるとは思っていなかったけど、ナツのため自分のためにやってる以上はモチベーションも保たれ続けられる。

 そして最終的に述べたことがすべてだ。ここのところずっと同じことを言っているような気もするけどね。

 ナツが僕の隣に居てくれることは、当たり前のことなんかじゃない。とても尊いことなんだって、ここのところ実感させられているからだろう。

 だから余計にこの想いが強くなる。ナツが僕の隣で笑っていてくれるのなら、僕はそれだけで生きていけるのだから。

 ……とはいえ、ナツが少し拗ねてしまっているのはどうしたものか。僕の想いを抜きにしたって、今は特別欲しいものも思い浮かばないな。

 

「……あ~。よし、それじゃ――――」

「おやっ、なになに、なにか思いついたの? 物欲皆無のハルにしては珍しいねぇ」

「人生、ください」

「……はい?」

 

 いったんナツを離してベッド上でそのまま正座。必要以上に畏まっていこうじゃないか。

 ナツも拗ねはしたものの、僕に特別希望がないのはあるていど予測がついていたようだ。それで僕が欲しいものを示そうとしていると思ったのか、興味津々と言った感じ。

 僕は間髪入れずにナツの両手を包み込むように握ると、今最も欲しいものを堂々と宣言した。

 まぁ、要するにプロポーズってやつか。こんな流れになると思ってもみないから指輪を用意できなかったのは痛いところだ。

 ……あ、ナツの指のサイズ知らないな。こっそり測るのも馬鹿らしいし、今度素直に指輪作るのに必要だからって言えばそれで――――って、おや? ナツがなんだか固まってしまっているがどうしたのだろう。

 もしかして、全員に一回勝ったくらいで何を言ってんだコイツとか思われたり? なるほど、確かにそれは一理ある。

 白式とヘイムダルの相性が最悪だから試合にすらならない。なんて言い訳してないで、プロポーズするなら私に勝ってからしろと。ナツさんや、そういうことでよろしいんでしょうか。

 

「そ、そんなの、とっくの昔にあげてる、から……」

「それはわかってるけど、もっと正式にっていうかなんというか。なんかほら、付き合い長いだけになぁなぁなところとかあるじゃない? うん、だから今の言い方もよくなかったね。 え゛~……ゴホン!」

「あ、あの! ハル、私――――」

「これから先、僕に待ち受けるすべて。楽しいこと嬉しいこと、辛いこと苦しいこと。すべてを、織斑 一夏さん、あなたと分かち合いたいです。だからどうか、あなたの人生を僕にください。六十年七十年も、一瞬で過ぎてしまうくらいに感じるほどに、あなたを幸せにする権利を、僕にください」

「っ~……!? ハ、ルの……ハルの……! ハルの、馬鹿ぁ!」

 

 僕は誤魔化しを微塵も含まない、正真正銘のプロポーズの言葉をナツへと送った。

 この先の未来に言うことがなくなってしまうことが懸念されるも、ここのところ本当にナツと結婚したくて仕方ないんだよ。

 そんな想いもあってか、我ながらいきなりだったにしても、かなり綺麗にまとまったと感心してしまう。

 どうやら僕の手ごたえは本物みたいで、ナツはひとめでわかるくらいに相貌へ涙を溜め、勢いよくこちらへ飛びついてきた。

 そして耳元で響くのは嗚咽、どころか泣き喚くと表現したほうがふさわしいかのような大声。

 僕はすかさず片方の手でナツの頭を撫で、もう片方の手で優しく背を叩いた。壊れものを扱うかのように、丁寧な手つきを心掛ける。

 後はナツが落ち着くまでひたすらそれを繰り返すのみ。きっと、今は何を言っても逆効果になってしまうだろうから。

 いつしかナツの泣き声の音量は収まり、乱れて不自然だった呼吸も自然に戻り始めた。そして、徐々に感じたことを口に出してくれる。

 

「全然っ、そんな感じじゃなかったのに……。どうしていきなり、そんな……!」

「うん、ごめんよ。……正直なとこはさ、不安の裏返しっていうのもあると思うんだ。ナツにこんな大事なことを、真剣に伝えないで後悔だけはしたくない」

「ハル……」

「だからプロポーズした。例えいきなりでも、ナツを困らせてしまっても。僕は、ナツの人生が欲しくて欲しくてたまらないんだから」

 

 僕の言葉を遮ろうとしていたから、ナツを困らせているということはわかっていたんだ。

 今ナツが流している涙だってそう。大半は感激からくるものだったとしても、混乱させてしまっているのも間違いではないはず。

 そうなってしまう結果が見えていたって実行したとするなら、僕の自己満足が先行した結果なんだろう。

 でもこの先何が待ち受けるかはわからない。だから後悔だけはしたくなかった。まぁ、これで全てが払拭されたなんてことはまずありえないんだが。

 ナツの人生をくださいと言った以上、共に天寿を全うしきってやる。逝くときは、ナツと共に繁栄させた親類一同に見守られながら、それはもうポックリとだ。

 そのために越えなければならない壁ができたから、このプロポーズはそれを越すための覚悟を決めるためにあるもの。とでも思ってもらえたらいいのかも。

 

「さっき答えは貰ったも同然だけど、できれば、できればでいいんだ。ナツのちゃんとした、心からの回答を聞かせてくれないかな」

「……私の人生はハルと一緒に、ハルのために。あなたを支えたい、あなたに尽くしたい。だから、そのために、その……ために……! どうか私を、一生あなたの傍に居させてください!」

「あぁ、願ったりかなったりだよ。こちらこそ、一生隣に居てください」

 

 相変わらず震えた声のままで申し訳なさが過るも、ナツは僕の要求に応えてプロポーズに対する返答をしてくれた。紡がれた言葉は若干恐れ多くもあるが。

 だってナツは要するに、尽くしたいから傍においてください。という理由で僕のプロポーズを受け入れてくれているんだぞ。

 本当に僕は果報者だ。前世というものが存在するのなら、僕はいったいどれだけの徳を積んだのだろう。我ながら、だけど。

 でもそれこそだよな。こんな運命だと思える巡りあわせ、もはや何度人生をやり直しても出会える気がまったくしない。

 そう、運命。僕らは出会うべくして出会い、結ばれるべくして結ばれた。そして、これからも永久にあり続ける。

 そう考えるとなんだか力が湧いてくる。ナツとこうなることが、僕の生まれた意味のように感じられるから。

 ……ならばまっとうしてみせよう。僕の生まれた意味を貫き通してみせよう。僕の存在意義を、僕の世界を、僕のナツを守るんだ。

 

「……ありがとう」

「ふふっ、なんか大雑把。何に対してなの?」

「全部ひっくるめてだよ。今はありがとうしか出てこない」

「……そっか、そうだね。じゃあ私からも、ありがとう」

 

 思わず口をついたのは、これ以上ないシンプルな言葉だった。しかも主語がないせいか、ナツは冗談めかしながらも大雑把だと評す。

 だけど逆だ、主語なんかいちいちつけていたらきりがない。そのくらいありとあらゆることに対してのありがとう、なつもりだから。

 僕の言いたいことをなんとなく感じ取ってくれたのか、ナツもなんだか感慨深そうな声色でありがとうとひとこと。

 ナツの感謝に重ねて感謝をしそうになったが、それでは恐らく無限ループに陥るのでグッと我慢。ここは僕らのテーマ、分け合うことに乗っ取って、ただ幸せを噛みしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 襲撃が起こる可能性を考えれば待ちに待ったというほどでもないけど、学園祭は大半の生徒にとってはつつがなく開催された。

 我らが一年一組の出し物は、平たく言うならメイド喫茶というやつ。主に専用機持ちの面子が、接客等を行うことになっている。

 専用機持ちということは、箒ちゃんのような特殊な例を除けば代表候補生であり、その代表候補生の選考には外見も大いに基準になるとかなんとか。

 ならば必然的にナツたちが筆頭になるわけだが、ぶっちゃけこの学園の顔面偏差値っていい意味でおかしいからなぁ。

 おおげさでなく、一人一人が他所の学校ならマドンナ的な扱いをされてもおかしくないって思う。まぁ、ナツというものがある以上、あまり口にするわけにはいかないんだけど。

 そうそう、そんなことよりナツだよナツ。メイド喫茶ということで、メイド服に身を包んでいるナツを確とこの目に焼き付けておかなくては。

 あんまり興味はなかったけど、愛しい人が着るとやっぱりいいものだ。特にシックかつフリフリな感じがナツによくマッチしてるし、なによりロング丈なのが大変によろしい。

 

「うん、眼福」

「そう? ハルが喜んでくれるならなんでもいいけど、やっぱりちょっと恥ずかしくもあるんだよね」

「恥ずかしがる必要なんてないよ。むしろお金を払わせてくれって感じ」

「なんか変な方向に行っちゃうからそれは却下で。というか、言ってくれればいつでも着てあげるのに」

 

 両手でカギカッコをつくるようにして、その中心にナツを収めて率直な感想を述べた。

 反応を期待していたわけではないんだが、ナツの耳にはしっかり届いたらしく、身に纏っているメイド服のあちこちをつまみながら照れをみせる。

 自分で言っておいてフォローになっていないが、いわゆる振り込めない詐欺というやつが発動しているのではないだろうか。

 こんな姿のナツをタダで見られるなんてとても幸運だよ。本人は大げさなんて言いたそうだけど、さては相変わらず自分の容姿に関して過小評価しているな?

 メイド服姿のナツの写真がSNSなんかにアップされでもすれば、多分だけど世の男性諸君が大騒ぎを始めること間違いなし。

 そんな中、僕が頼めばいつでも着てくれるんだそうですよ。う~ん、ナツ本人がそう言ってくれると、やっぱり勝った感が凄いな。何にとは言わないけど。

 

「おい」

「おわっ!? ラ、ラウラ姉さん、いきなりは危ないじゃないか」

「仲睦まじいことは構わんのだがな、そろそろ本番なのだから自重してくれ」

「二人が奔放にしてると、箒が機能しなくなっちゃうからねー」

 

 ナツとの会話を重ねていると、膝裏を軽く足蹴にされた。要するに膝カックンと言うやつであり、油断もあってか割と大きく体勢を崩してしまう。

 だが流石に転倒してしまうほどではなく、すぐさま元の体勢に戻って後ろへと振り返る。するとそこには、少し呆れた様子のラウラちゃんが僕を見つめていた。

 優しく抗議を入れるや否や、ぐうの音も出ない返しをされて言葉に詰まる。すぐに謝ろうとしたが、こちらに目もくれず作業を行うシャルルの言葉につい視線が箒ちゃんのほうへ。

 ……うん、教室の隅にて膝を抱えながら身悶えしているな。よし、いつも通り――――ということにしておけないよね、ラウラちゃんの言うとおりそろそろ開店なんだし。

 

「そんなことより、晴人さんも準備はよろしいんですの?」

「そんなことよりってセシリアさん……。まぁ、僕の方はいつでもいけるよ。そんなに手間がかかるようなことでもないしね」

 

 なんだか様子がおかしくなった箒ちゃんの扱いが雑になってきたよね。

 セシリアさんが僕に準備と声をかけてきたのは、このメイド喫茶における僕の役割についてだ。

 燕尾服でも着て接客してはどうかと言う提案が出た、というか出かけたんだけど、ナツが無言のプレッシャーを放ったせいで却下に。

 別にそこまでしなくたって、元から需要はあんまりなさそうだけどなぁ。ってぼやいたら、ナツ曰くそういう可能性は1%でも潰しにかかるとかなんとか。

 でもせっかく世界で唯一の男性IS操縦者なのに、ずっと裏方なのはもったいないという意見も。そこで生かされたのが僕の特技、ズバリ絵である。

 接客用のテーブル等が設けてあるスペースの端には、似顔絵描きますという看板が掲げられた特別仕様の一席が。

 つまりそういうこと。希望者はそこに座ってもらって、僕が短い時間でディフォルメした似顔絵を描くっていうちょっとした催しものだ。

 いやしかし大変だった。そもそも僕の画風とは違い過ぎて練習が必須だったし、なるべく待たせないよう早く描くのも意識しないとならない。

 これまでスキルが下地として存在したおかげでなんとか形になったけど、やっぱり時間が一番の敵だったせいで焦ったものだ。

 

「そもそもお客さんが来るか未知数、なんて思ってたら許さないから。ハルの絵の価値は私が保証します」

「大丈夫だって、もうそんなネガティブな考えは浮かばないよ」

 

 僕がかなり余裕がある態度なせいか、どうせそうお客さんも来ない、なんて考えていると取られたみたい。

 ナツはムッとしながら僕に詰め寄るが、そんなこと微塵も思ってやいないからご安心を。というか、僕がそうあれるのもキミのおかげだというのに。

 というか、もしそんな考えだったら規格が挙がった時点で全力否定してたろう。そんなの無理無理! とかなんとか言って。

 まぁだからって緊張してないかって聞かれたら、それはまた別の話になってしまうんだけど。

 とにかく、何事も経験だ。僕にとっては、絵を見てくれる人の生のリアクションが見られるいい機会とでもしておこう。

 

「みんな、準備の方どうかな!?」

「こっちはひととおり――――ほら箒、そろそろ戻ってこようね」

「……はっ!? で、出番か。う、うむ、こっ、心の準備も、ばっ、万端だぞ」

「ほらほら、そんなに緊張しないの。凛々しく堂々とっていうのが箒でしょ?」

「一夏さんの言うとおりですわ。せっかくの美人がもったいない」

「まぁ、見てのとおりと思ってくれて構わんぞ」

「オッケー! ならスタンバイよろしくぅ! あっ、もちろん日向くんも」

「うん、了解。っていっても、僕は席に着くだけだけど」

 

 相川さんが仮設置されたバックヤードに顔を見せたかと思えば、僕らの状況を確認しにきたのかシンプルな問いかけを投げかけてきた。

 それに対して僕らは三者三葉――――人数的に十人十色? な反応を示す。が、少し箒ちゃんが心配なところだな。

 なんだかんだ本番に強いとこあるし、そう心配することでもないかな。逆に僕は人の心配できるくらいには余裕があるみたい。

 ん、むしろ気合が入ってきたまであるぞ。よしよし、絶対にお客さんに満足して帰ってもらうぞ! 僕の培ってきたスキル、見せつける時だ!

 

 

 

 

 




地味に学園祭の出し物における晴人の扱いに困ったという。
軽く触れましたが、フツメンの執事接客とか需要ないですし、かといって裏方で手伝いは主人公としてどうなの?
という経緯を経て特技を前面に推していく方針で固まりました。
他所様のように息を吸うようにイケメンであるなら、こういう時に困らないんだろうなぁと思いました。
おかげで一夏ちゃんの嫉妬ムーブも書きづらいよまったく!
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