――――――――――――日向 晴人及び織斑 一夏 接敵数分前
「だーっ! ほんっと腹立つ!」
IS学園を有する土地を囲むようにして、かなりの広空域に陣を形成。更に上から見ると六角形の頂点に位置するように、各専用機持ち六名が配備されていた。
するとわざわざ回線をオンにした状態で、鈴音は苛立っていることを端的に示す台詞を吐いた。実を言うならこれで既に数度目。
初めのうちは悪い癖だと無視を決め込んでいた他の五人だったが、いい加減に煩わしくなってしまったのかセシリアが反応を示した。
「先ほどからいい加減にしてくださいませ。それでいったい何度目ですの?」
「だってそうでしょ! なーんで襲われるのがわかってて、来るかもわかんない増援の警戒なんてしなきゃなんないわけ!?」
鈴音はどこかドライな部分があるものの、一度信頼を築いた相手に対しては全力を持って力になろうとする傾向がある。
そんないわゆる友達想いな鈴音にとって、晴人と一夏というのは何を投げうってでも力になりたい相手だった。
そのレベルに達する二人が襲われるということはほぼ確実。だというのに、黙って見ていなければならないこの状況が歯がゆくてしかたないのだ。
「鈴、説明されたとおりだよ。黙っていたのは迎撃の情報が漏れるのを防ぐため。それに今日は一般のお客さんもたくさん来てるんだから、僕らが駆り出されるのは当たり前」
「これだけの戦力を割くのも致し方なし、か。確かに、もし現れたなら通すわけにはいかんな」
「もしね、もし!」
だが晴人と一夏を助けたいと思い、歯がゆさを感じているのは鈴音を除く五人も同じことだった。
それだけに、理由がわかっていてまだ喚くのかと、シャルロットは珍しく低めの声色で鈴音を宥めにかかる。
いや、遠回しだがわかったから黙っていてほしい。というのがヒシヒシと伝わってくるかのようだ。
もちろん晴人や一夏も大事だが、不当に巻き込まれる可能性が大いにある一般人のことを考えなければならない。
箒は難しい話だと溜息を吐くも、きっとあの二人ならば無関係の人間が巻き込まれるのを最も嫌うだろう。という思考に切り替え、違う意味で二人のために戦おうと決意を新たにした。
が、もしもの話の領域を出ないために、あくまで鈴音が突っかかってくる。このまま売り言葉に買い言葉の応酬が始まってしまう。
と思いきや、あらゆる物事を完全に無視して警戒に当たっていたラウラが、思わず背筋が伸びてしまう勢いである報告を述べた。
「っ……! 来たぞ、十時の方角! 敵影一機、コアは未登録だ!」
(本当に来た……!? どこかで情報が漏れた……っていうのはあり得ない……。それは更識である私が一番よくわかってる……。だから……解せない……!)
ラウラの報告を受け、専用機持ち一同は一斉に十時の方角へ向き直りながら、ハイパーセンサーを用いて敵増援を捉えた。
そして敵機を迎え撃つべくラウラが集合をかけた位置へ向かう最中、簪は自身が更識の一員であるからこそ覚える違和感に顔をしかめる。
更識内部にスパイが居ることはありえない。情報統制を守れないマヌケなんて居ない。学園でだって、自身らも徹底して迎撃の用意がある情報は守り切った。
にも関わらず、現にこうして援護へと向かってやってきてしまっている。それだけに、これではまるで未来予知でもされたとか、オカルトティックな方向へもっていかなければ逆に納得がいかない。
「奴め、正々堂々と真正面からとは」
「しかもご丁寧に単騎でね!」
「実力の裏返し……」
「簪の言うとおりだろうな。みな、心してかかるぞ!」
何も箒だって裏をかいてくれることを期待しての発言ではないが、あまりの堂々っぷりに、悪の組織とはいったいなんていう考えが過ってしまう。
鈴に至ってはその余裕とも取れる行いが癪に障るのか、注釈を入れつつ歯をむき出しにしながらハイパーセンサーに映る敵機を睨みつけた。
だが余裕とすら感じる単騎での正面突破こそ、敵増援の実力に裏付けされた自信の表れである。
これが罠でない限りは、間違いなく簪の読み通り。自分たちに対しては裏をかく必要すらない。という評価を与えられているのだ。
正直なところ、鈴音ほどまでとはいかないながら、全員がそれなりに苛立ちというものを覚えていた。
だがラウラの軍人然とした号令が、場を引き締め心を冷静にさせる。
心してかかれという指示のもと、全員は主兵装を展開しいつでも迎え撃てるよう構えの体勢に入った。
「…………」
(随分と変わったISですわね。第三世代機。それも専用機であることは間違いなさそうですが……)
(全身真っ黒……っていうか、塗装されてない? まるで鉄そのものだ)
(各所に排熱機関らしき構造を確認。……肩甲骨付近の非固定機構も気になるところだが)
口頭で会話できる範囲までたどり着くと、敵増援は足を止め何をするでもなく宙へと佇んだ。
それを契機に、ヨーロッパ出身の専用機持ち三名各々は分析を開始。少々風変りに思える専用機と思わしきISの細部までを眺めた。
そのISは全身黒。それもただ黒いのではなく、一切の塗装がされていない、なんとも味気のない黒鉄色とでも表現すべき風体だった。
それにディテールも西洋の鎧を思わせるどころか、割とストレートに鎧風のデザインになっている。これで胴体にも装甲があったなら、第一世代機と勘違いされてもおかしくはない。
そしてラウラが注目したのは装甲各所に見受けられる排熱機関。背中というよりは、肩甲骨あたりに浮く何かの骨組みのような形状をしたスラスター? であろう特殊な機構。
やはりどれをとっても異質に見えるが、全員ヘイムダルという超ド級異質ISを見慣れているために疑問は大きくなさそうだ。
そんな変わったISを駆る操縦者について、全員が共通して感じ取ったことがひとつ。年齢は自分たちと大して変わらなさそうだということ。
バイザーで顔を覆い隠しているため印象は薄れるものの、体つきからして恐らくはアジア系。長い黒髪からしてもそう予測ができそうだ。
しかし手足はスラっと伸びていて、まるでお人形のよう。きっとこういう場で出会わなければ、テロリストの一味なんて思いもしないはず。
「指揮官ないしリーダー格はどいつだ」
「…………。一応は私が勤めているが」
「名を聞こう」
「礼儀知らずめ。人に名前を尋ねるのなら、まず自分から名乗るのだな」
「そいつは失敬。私の名はスルト。
敵増援が口を開いたかと思えば、投げかけてきた質問は代表者が誰かを尋ねるものだった。
思わず六人は顔を見合せたのち、ラウラが少しばかり前へ出る。もちろん、他のメンバーは主兵装を向けたままだ。
今度は名を尋ねられ、それに対してラウラはあくまで強気な姿勢でまずはお前からだと返す。
人によっては怒らせかねない態度だろうが、敵増援はあまり気にした様子を見せない。そして返されたラウラの問いに対し、敵増援は自らをスルトと名乗った。
私は名乗ったのだから次はお前だ。そんなスルトに、ラウラはどこか様子を伺うようにフルネームを教えてやる。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ。所属はIS学園及び、ドイツ軍IS部隊シュヴァルツェア・ハーゼ。階級は少佐だ」
「ではボーデヴィッヒ少佐。貴官にひとつ提案がある」
「内容次第だ。話せ」
「大人しく撤退命令を下せ。私の目的に貴官らとの交戦は含まれていない」
スルトの言い放った提案とやらは、要するに戦うだけ無駄であるという趣旨のもので、これもまた自信に裏打ちされた実力によるものだった。
これには大多数の専用機持ちがカチンと頭に苛立ちが過るが、それでいて幾人かは冷静に力関係というものを正しく読み取れていた。
こちらは専用機持ち六人。それでいてスルトの堂々とした態度がハッタリでないとするのなら、勝てる気でいるというのなら、勝機が薄い可能性が高い。
それでもだ。素直に言われたとおり、スルトを晴人たちの前に通すわけにはいかない。自分たちの無事と引き換えてとするならなおのこと。
「我々の答えは、聞かずともわかっているのではないか?」
「アタシの親友二人も狙ってる時点で、避けて通させてたまるもんかっての!」
「同じく。二人の安寧を脅かす気ならば、名誉会長として貴様を斬る」
「今度は僕が二人を助ける番だ。だから悪いけど、戦ってもらうよ」
「まずテロリストを見過ごす道理もありませんわ」
「…………以下同文……」
ここにいる全員は、何のためらいもなく晴人と一夏のために命をも賭けられる。なぜ? 理由は単純明快。もし立場が逆だったとして、晴人も一夏も自分たちのために命を懸けてくれるから。
ここにいる全員は、そんな頭がおかしい域に達するお人好しな二人のことが大好きなのだ。
大好きだから守りたい。戦う理由はそのくらいで十分。むしろスルトのおかげで、モチベーションは数割増しで向上したように感じられる。
そんなやる気を垣間見させた一同を前にして、スルトは少し困ったように後ろ頭を掻いた。
困っている理由はいかほどだろう。労力の無駄と感じているのか、言い方が悪かったかと反省しているのか、争いは避けられないと痛感しているのか、はたまた……。
いずれにせよ交戦は必至ということには納得したのか、手元に身の丈を軽く超えるほどの大きさを誇る大剣を展開した。
ただ、それを剣と呼ぶにはいささか適当でない。なぜならそれはスルトの纏っているISと同じく、どこからどう見たって剣の形をした鉄塊に過ぎないから。
一応刃に当たる部分は細く仕上がっているが、研ぎ澄まされた白刃は見受けられない。これでは大剣の利点である叩き斬るという効果が発生しないどころか、ただの鈍器と何ら変わりない代物であろう。
スルトがどういう意図があるのかまったく読めない獲物を軽く振り回すと、次の瞬間――――生温い温風のようなものが一迅過ぎ去っていった。
「そこまで言うのなら仕方ない。アイツの友人であるならなるべく傷つけたくはないが――――」
「……ねぇ、僕の気のせいだとは思うんだけど、なんか熱くない?」
「いや、この感じは確かに……。……まさか、奴のISが鉄そのものなのは!?」
「
ISを装備している限り、生命維持機能等の関係で、高低かかわらず極度な温度は感じることはできないはず。
だがシャルロットが気のせいにおしておきたかった熱さは、この場に居る全員が間違いなく感じ取っていた。
それこそ今にも汗が噴き出て止まらなくなりそうな温度に対し、ラウラはスルトのISが黒鉄そのものであったことと関連づけ、この異様とも取れる温度上昇の元凶を察した。
だがもう遅い。
北欧神話においてスルトが、ラグナロクの際に振るった剣とされるレーヴァティン。
そんな神話の登場人物であるスルトのコードネームを冠した少女が再度剣を振るった瞬間――――機体のあらゆる箇所が展開し、そこから業火が噴出した。
「熱っ……!? あっつ! ちょっと、洒落になんない熱さなんだけど!」
「距離を置いてこの熱さだぞ!? 熱源になっているはずのアイツは、どうして平気そうなんだ!?」
「
スルトのISが塗装が施されていない理由。それはこのとおり、まず塗る意味がなにひとつとして存在しないからだ。
塗ったところで、噴き出る炎のおかげですぐさま剥がれてしまうという、それだけの話である。
装甲は自らが放つ炎で赤く染まり、ついには赤を通り越して白い部分も見受けられる。本当に排熱機関は機能しているのだろうか。
それはスルトが構えている大剣――――レーヴァティンも同様で、まさに灼熱と呼ぶにふさわしい様相を呈していた。
そしてなにより、例の肩甲骨付近にある非固定機構から噴き出る炎は特徴的で、風に揺らぐそれはまるでマントでも纏っているかのよう。
そんな炎の化身にでもなったかのようなスルトは、傍からみるとどこか神々しさが感じられるが、悪魔のような恐ろしさも併せ持っているかのよう。
「どうした、来ないのか? それならばこちらから――――」
「先手必勝……!」
「……悪いが私に実弾兵器は効かんぞ。ハアアアアッ!」
炎の放つ熱波に動揺していると、スルトは今すぐにでも斬ってやろうと言わんばかりに接近を試みた。
だが簪は、既にスフィア・キーボードに必要な演算処理を入力し終えており、山嵐から容赦なく数十発のミサイルを射出させた。
台詞を強引に中断されたこともあってか、スルトは何か言いたそうにしながらも、アドバイスとも取れる言葉をぼやいた。
そしてその場で一回転しながらレーヴァティンを豪快に振り回すと、スルトを中心にするようにして、炎の波が全方位へと広がる。
かなりの広範囲にまき散らされた炎の波はミサイルを一気に呑み込み、その炎が火薬へと引火して一斉に爆発。
そこらが爆炎に包まれるが、スルトに到達することは間違いなくないだろう。なるほど、確かにこれは言葉どおりに実弾兵器が有効とは言えない。
「攻撃範囲が尋常じゃない……!」
「お前たち、いつまでも熱さに動揺している場合では――――」
「よくわかっているのは結構なことだが、人の心配をしているようでは指揮官失格だぞ。少佐殿」
「ラウラ!」
恐らくスルトに専用機持ちを直接攻撃する意図はなかったろうが、広がった炎の波の余熱ともとれる業火が人体に影響を及ぼす。
あまりにも未体験ゆえに動揺が大きい仲間たちを、ラウラが鼓舞しよう声を上げかけたその時だった。猛スピードで煙幕を突き破り、スルトがラウラへと迫っていく。
みれば、先ほどまではためくマントのような形状だった背中の炎が、翼のような形状に変化し確実にスルトの機動力を押し上げている。
皮肉なことに周囲への気遣いが仇となり、一瞬の隙を突かれてしまった。ラウラはそのままISスーツの襟首を掴まれ、グングンと仲間たちから離されていく。
「ぐああああっ! せ、接近しているだけでISがダメージを受けるなどと!?」
「残念だがそれだけではないぞ。安心しろ、一発で気絶までもっていってやる」
「排熱機関が閉じた……? まさか!? クソっ、このままでは――――」
それなりに距離を置いても熱を感じたと言うのに、掴まれたともなれば文字どおり身を焼かれるかのような痛みが襲う。
それにダメージを受けていることを、シュヴァルツェア・レーゲンは顕著に表していた。ハイパーセンサーに表示されたシールドエネルギーが、見る見るうちに減少していくではないか。
恐らくこのまま掴んでいるだけでも戦闘不能までもっていけるのだろうが、スルトは呟いていたとおりに甚振る気はまったくない。
だからこそせめてもの情けだ。スルトがそう宣言した直後、全身に確認された排熱機関のうち、ラウラを掴んでいる右腕のものがすべて閉じた。
肝心要であろう機関を自ら閉じたとなれば、考えられる理由はひとつ。瞬時にそれを察したラウラだが、残念なことに掴まれた時点で定められた運命――――
「爆ぜろ」
排熱機関を閉じたことにより、燃えるスルトの腕は冷却の手段を完全に失った。そしていつしか蓄積されていった熱は逃げ場を失い、ドカンと大きな音をたてながら盛大に爆発。
煙が晴れてみれば、ダランと力なく四肢を寝気出したままスルトに掴まれたままのラウラの姿が。
シュヴァルツェア・レーゲンを纏ったままであるため、命はあると思って間違いなさそうだが、それもこれも全ては後にかかっているだろう。
それはなぜか。スルトがパッと手を離したからだ。
あまり傷つけるつもりはないと言いはしたものの、流石に敵として優しく降ろしてやる義理もない。といったところだろうか。
「まず一人」
「ラウ……ラ……? ラウラアアアアっ!」
「シャルロットさん、落ち着いてくださいませ! ここでラウラさんを助けに入っては、彼女の思う壺ですわ!」
「格好の的……。悔しいけど……耐えて……!」
「くっ……! みんなお願い。彼女を倒すために力を貸して!」
「当たり前でしょーが! ってか、端からそのつもりだっての!」
空中で手を離せば、重力に従い地に落ちていくことなど自明の理。
幸いにもISそのものが機能していることに重ね、ラウラが落ちた先は学園各所に点在する雑木林。
木がクッションの役割を果たし、気休め程度ではあるがダメージを軽減してくれたことだろう。
あまりにもあっけなくラウラが脱落したせいか、それまで呆然と立ち尽くしていたシャルロットは、その光景を目の当たりにしてようやく我に返った。
普段から親交が深いために取り乱しかたも半端ではなく、スルトの存在も忘れて落ちていくラウラの救助へと向かおうとする。
それを止めたのはまだ冷静でいられる周囲の仲間たち。確かにスルトであれば、ラウラを追いかけた隙を逃さず狙うことだろう。
晴人と一夏、そしてラウラのためにも易々と倒れるわけにはいかない。シャルロットは歯噛みしながら自分にそう言い聞かせ、己を止めてくれた仲間に力を乞う。
鈴を始めとした多くの仲間たちが気合のこもった眼差しをスルトに向ける中、どうにも箒は胸中に違和感のようなものが渦巻き始めた。
「スルトと言ったな。お前、どこかで私と合ったことがないか?」
「アンタも? 実はアタシも、なんか既視感みたいなのがあるのよね……。ねぇ、そこんとこどうなのよ!」
「…………。さて、少なくとも私は初見だが」
箒は眉間に皺を寄せつつ、記憶の海からスルトの姿を探り当てる。が、目の前の少女とに該当する人物の存在は、断言していいほどにまったくない。
にも関わらず、箒はスルトに見覚えや既視感。そして敵である以上口が裂けても言えなかったが、なんなら親近感すら覚えているまである。
どうやら鈴音も箒と似たような感覚を抱いているようで、ストレートに直接本人へと訴えかけた。
仮に会ったことがあるにしても、スルトがテロ組織に所属している限り、真相が本人の口から明かされることはないだろう。
嘘か真か、スルト本人はやはり事実を否定。しかし、簪はスルトが一瞬だけだが沈黙したのを見逃さなかった。
もっとも、その仕草は逆に簪を混乱させてしまうわけだが。
(戦闘直前に言ってた
現段階では推察の域を出ない想像だが、いくつかスルトの言葉の端々。そして箒と鈴音の証言を繋ぎ合わせると、あるひとつの可能性が浮上する。
だからこそ解せない。簪の推察が真実だったとして、晴人と一夏及びその周辺人物を過去から洗って、やはりスルトに該当するであろう人物は存在しなかったからだ。
一時期はわだかまりがあったものの、簪は更識の諜報力やら、そのあたりのことは心底から信頼している。
なのに該当なし。その矛盾する事実が、簪の中にあるスルトへの疑念をどんどん大きくさせるのだ。
「私が何者かなど、どうでもいいことだろう。私とお前たちは互いに憎み合う敵同士。それだけのことだ!」
箒と鈴音の質問を受けて構えを解いていたスルトだったが、ごもっともな台詞を述べながらレーヴァティンを振り回した。
これを契機に灼熱が周囲一帯を襲い始める。
ラウラという強者の脱落で烏合の衆になりかけた専用機持ちたちだったが、仲間のためにも勝利をという想いが働き始め、もはや熱に対しても微塵の動揺もない。
しかし、残された五人は単純なる実力差というものを嫌というほど思い知らされることになる。
簪が楯無へ救援要請を出したのは、戦闘再開からすぐのことだった……。