俺には夢も希望もないというのに   作:COOPER

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こんにちは。COOPERです。
今回は番外編となります。全くプリキュアの要素が無いのでご注意を。あと、特に目立ったトラブルも起きません。希無の休日をただ描いただけです。
それでは、どうぞ。


番外編
番外編 土山希無の何もない休日


朝八時。今日はいつもより早く目が覚めた。特に眠たい訳でもないので、俺は布団からすぐに出て、一階へと降りる。

「おはよう」

俺の母親である土山朋美は、俺が視界に入るとそう言った。

そして俺も挨拶を返す。

「おはよう」

「珍しく早いのね」

母親は少し笑いながら言ってくる。まぁ、普段の俺は最低十二時までは寝ているからな。そう言われるのが普通だろう。

「昨日早く寝たから」

俺は簡潔に理由を言い、顔を洗うために洗面所へと行く。歯を磨き、顔を洗ってまた茶の間へと戻る。

すると、そこには起きてきた父親がいた。

「おっ!おはよう希無」

親父はリビングのソファーに座りながら、振り返ってそう言う。

「おう、おはよう」

俺も適当に済ます。

「そう言えばな、希無。例のあれが手に入ったぞ」

親父は変にニヤニヤしながら言った。んだよ…気持ち悪ぃぞ………ん?あれ?あれってなんだよ……ん?あれか!?

「おい、もしかして“あれ”の事か!?」

すると、やっぱりそうだったようで、親父は興奮しながら語りかけてくる。

「ああ!ついに手に入ったぞ!!くぅ!!苦労したぜ!近所の古本屋全部回ったからなぁ!」

親父の言う“あれ”とは、俺と親父が大好きな作家のひとりである、「佐々木丸美」さんが書いた一冊の本だった。

「で、どこにあるんだ?」

俺は今の一番の疑問をぶつける。

「ここだよ」

親父はテーブルの引き出しから一冊の本を取り出すと、それをテーブルの上に置いたのだった。

「うおお!マジか…しかも結構状態いいじゃねぇか…」

「俺もここまで状態が良いのが見つかるとはな…!!」

親父も驚愕しながら答える。

早速読みたかったのだが、母さんが横槍を入れる。

「はーい、盛り上がる前に朝ご飯食べてね」

「うーす」

「分かったよー」

俺と親父は返事をすると、本を放置して飯を食うための別のテーブルに行き、椅子に座る。

今日は休日なので、中々に豪華な朝食だ。いや、あくまで俺の中でだよ?

「前から気になっていたけど、何で母さんってこんなに料理できるんだ?」

うん。超気になってたまである。本当に分からない。アレ?そう言えば俺母さんが何の職についてたか知らなくね?

「ああ、昔はコックやってたからね」

……は?いやいや、初耳だぞおい。コックねぇ…うーん…なんて反応すりゃあいいのか分かんねぇなぁ………

「その時にね?よく食べに来たのがお父さんなの」

やべぇ、変なスイッチ押しちまった。

母さんは身体をクネクネさせながら惚気を始めてしまったのだった。

「あの頃のお父さんはねぇ?モテモテで職場でも人気だったらしいのよ?」

へぇ……。ま、親父は顔が整っている方だし、性格もこれと言って変な所もないし当然と言えば当然なのだろう。

「昔の話だろ?今じゃあただの老いぼれだよ」

親父は笑いながら言った。老いぼれって…あんたまだ四十だろうが。

そんな下らない会話をしながら食事を進める。

「もう、また謙遜しちゃって…」

母さんはニヤっとしながら言う。

はぁ、こうなった母さんは本当に面倒くさい事この上ない。昔に一度直接聞いた事があるが、驚いた事にその時は四時間強程話を聞かされた。あんた親父の事好き過ぎだろ…。いや、好きじゃないと結婚しないだろうけどさぁ…

まぁ、そんなこんなで飯を食い終わった。

いやさ?しょうがないじゃん?特に何もなかったんだからさ。

で、今は本を読もうか…と思ったのだが、残念ながら親父が自分の書斎へ持っていったようで、仕方なく俺はテレビを見ていた。

「昨日の夕方頃、高校生が信号を無視した乗用車に撥ねられて亡くなりました。死亡した高校生の名は、京都府に住む葉風智之さん。なお、犯人は今も」

アナウンサーが言いかけている途中でテレビを切った。またこのニュースかよ……。高校生か…可哀想に。そんな歳で死ぬとは。死後はきっと幸せになるのだろう。俺には分からんけど。

俺がそんな下らない事を考えていると、インターホンが鳴った。

ん?もしかして佐川かな?そういやこないだゲーム買ったっけか。おっと、訛った訛った。

俺は特に出ない理由も無いので、玄関へと向かう。

「はいー?」

そう言いながら扉の前へと向かうと、物凄く聞き覚えのある、佐川の宅配員にしては若すぎる女性の声が聞こえた。

「あの…回覧板を…」

「分かりました」

そう言い扉を開ける。

するとそこには、野乃はなが立っていた。そういやお隣さんだっけ。

「えぇ!?希無君!?」

野乃は口に手を当て、驚きながら言う。

いや、お前知ってたんじゃねぇのかよ…

「ああ。俺は土山希無だが?」

「何で居るの!?」

ええ…それってお前がこの家に居るのはおかしいってことですかそうですか。

「いや、ここ俺の家だし…」

そう答えると、野乃はプンスカと怒った。

なんでお前はそうリアクションがいつも大袈裟なんだよ…あれか?あれなのか?リアクション芸人とやらを目指しているのか?熱湯風呂に入ったり、カニに鼻を抓ませたりするのか?

「なんで隣だって言わなかったの!?」

と、言われても困ってしまう。

特に嘘を吐く理由も無いので、俺は思っている事を率直に言う。

「特に言う理由も機会も無かったし……」

うん。いや、だってさ?自分から「俺お前の家の隣に住んでるんだぜ!?」って言ったら、「何コイツ何でいきなりそんな事言い始めるのマジキモ過ぎ」って思われるのは目に見えてるし、「どこに住んでるの?」と聞かれて「お前の家の隣」と答えたら、やっぱり「は?何カッコつけてんのキモ過ぎ」と言われるだろう。

はぁ、お前らキモいキモい言い過ぎなんだよ…。俺にだって人権くらいはあるんだよ?

「希無ー?どうしたのー?」

うわ、最悪のタイミングだな。あんまり母親をクラスメイトに会わせたくなかったんだよなぁ…

「あら、誰この子?」

母さんは少しニヤニヤしながら、そして手を顎に当てながら言った。

まるで品定めでもするかの様だった。

「こんにちは!私!希無君のクラスメイトで隣に住んでいる野乃はなって言います!!」

「元気がいいのね。羨ましいわ」

母さん…。声から少し妬みが出てますよ……

「では!これで!」

すると、野乃はすぐに玄関を出て行ってしまった。

それにしても、あいつ本当に元気だなぁ…。しかもコミュ力高いし……

そして俺達はまたリビングへと戻る。

「そういや最近、高校生が車に轢かれたってニュースがやけに流れてるよな。なんでそんな多いの?」

「なんかね、死体が無いみたいなの」

……死体が無い?いやいや待て待て。どういうことだ?轢かれた死体が無いのに何故誰が殺されたのか特定できた?きっと目撃者が居たとかまぁ、そんな感じだろうけど。

「ふーん…」

一応興味なさげに返しておく。ていうか興味ありげに返しちゃだめな類の事件だよね。

世の中何もしなくても回るんだからその内国家権力が犯人を捕まえてくれるだろう。

「あ、希無ー!」

「なんだ?」

母さんは俺の名を呼ぶと、財布を出した。

あっ…(察し)

「お使い行ってきて」

ほらやっぱり。

えぇ…やだよぉ…面倒くさいなぁ……

「はぁ、分かったよ」

「んじゃよろしくー。あ、余ったお金で本やらなんやら買っていいから」

「うーす」

俺は手を振りながら返事をし、家を出る。

はぁ、もうさ。俺の平穏な休日は何処へ消し飛んでったのか。

しかし、俺の平穏かつ平和なお使いを妨げる原因を見つけてしまった。

野乃はなと薬師寺さあやだ。

うげぇ……マジかよ……行く道変えよ。

「はぁ……」

溜息ばっかり出る。幸せが逃げるとかなんとか言う奴もいるが、俺にはもう幸せなんて無いから何もでないまである。

更に言えば、医学的に溜息ってのは精神を落ち着かせる為の重要な行為らしい。

よし、脇道を通ろう。

と、思ったのだが、電線の工事だか何やらで通れなくなっていた。

うわ、ほらね?やっぱり俺に幸せとか幸運とかねぇんだよ。

仕方ないので、普通に歩く。するとやはりだ。

「あれ?希無君?」

「………………」

無視しよう。

………と、思ったのだがそうは問屋がおろさなかった。

「希無君、こんにちは」

特に害がない薬師寺が挨拶してきたのだった。

卑怯だぞ!畜生……

「こ、こんにちは…」

俺はいつもの蚊の鳴くような声で返した。

「で、なんでこんなとこにいんの!?」

そう聞いてきたのは野乃だった。

いやいや、なんて言えばいいのだか。そのまま言うしかないか。

「親のお使い…」

「偉いね」

今度は薬師寺が言った。

いや、全然偉くないと思うんだが……て言うかこの年でそれ位当たり前じゃね?

「まぁ、いやいやだけどな。反抗するとどうなるかってのは分かってるし」

うん。母さんに逆らったら地獄なんか生温く見えるまである。

やっぱり最強生物母ちゃんには敵いっこないって訳ですよ。

「んじゃ、俺もう行くけど」

「え、どこいくの?」

「…すぐそこのスーパー」

すると、だ。

「そうなの!?私たちも丁度行くところだったの!!」

「そうなのか。じゃ」

俺はすぐに身体の向きを変え、スーパーへと歩き出す。

しかし、

「いやいやいや、なんでそうなるの!?一緒に行こうよ!?」

俺の腕を掴んでそう言う奴が居た。

いやでもお前そんな事言ってないよね?

「いや、別に一緒に行くまでもねぇだろ。マジですぐそこだぞ?」

「別に良いじゃん!一緒に行こう…?」

俺は知っている。こうなった野乃は絶対に動かない。こっちが折れるか、止むを得ずそれが出来なくなる状況になるしかない。

「…はぁ、分かったよ」

こうして俺はこいつらと一緒にお使いに行くハメになった

どうしてこうなった……。

そして歩き始める。

「そう言えばさ、希無君って小学校の頃はどんな感じだったの?」

「へ!?」

思わず変な声を出してしまった。

我ながら恥ずかしい…。いや、仕方ないじゃん?不意打ちって卑怯だと僕思います!!!!

「え?小学校同じじゃないの?」

「ああ」

何を隠そう、俺は中一の時にこの街へと引っ越してきたのだ。

いや、いじめが原因ではないんだよ?偶々良い土地が見つかったって親父が言って引っ越してきただけだし。

ま、今はそんなことはどうでもいい。薬師寺の問いに答えねば。

「うーん…まぁ特に何も」

いやさ、いきなり「いじめられてた」なんて言ってみろ。絶対面倒くさい事になるし、何よりこいつらだ。絶対絡んでくる。

「ふーん…」

そんなこんな会話していると、もうスーパーに着いてしまっていた。

ほら、目茶苦茶近いじゃねぇか。

んで、これまた何もなく買い物を済ませる。

「んじゃ、俺済ませる事あるから」

俺はそう言い残し二人と別れ、近所の本屋へと足を運ぶ。何かっていうと、まぁお察しだろうがラノベだ。

えーっと、えーっと…「GA文庫」の欄は……。おっ!あった。

俺は「中古でも恋がしたい!」と言うラノベを購入し、店を出る。

さぁ、いつの間にか夕方になっていたし、さっさと帰ろう。

俺は足早に、家へと向かったのだった。

これはそんな何も無い日の事。それが俺、土山希無の休日だ。

そう、野乃や薬師寺と俺は違う。何の力も持たないただの人間なのだ。

土山希無は野乃はなの様な前向きな考え、ポジティブさは無い。

土山希無は薬師寺さあやの様な冷静な判断力、アビリティーも無い。

だが、俺には捻くれた思考、ペシミスティックさは有る。

今はそれで十分だ。まぁ、それしかないのだが。

兎に角、それだけでいいのだ。全てを兼ね備えた完璧人間なんてのは居ない。

そんな者は贋作であろう。

だからこそ、言い訳にしか聞こえないが…俺はそれでいいんだ。




本当に何もなくてすみません!!
どうしてもやりたかったものでして…

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