滅茶苦茶間隔あけてしまいました…すみません!
新年度になり、私生活のほうが大分忙しくなってしまいパソコンにすら触っておりませんでした…
と、言う訳で、第六話…どうぞ。
働いたら負けである。
これはとある街頭インタビューで取材されたニートが放った言葉だ。
この言葉は正しく正論であると俺は思う。
何故?愚問だな。労働というのは自我が無くなるものだ。
そして、企業研修でそれが無くなるのは当たり前と思い込ませる。
アメリカの有名ドラマ「メンタリスト」の主人公であるパトリック・ジェーンは企業研修の事を洗脳と言った位だ。
それほど労働とは人道に反するもので、やっている奴らなんて殆どが洗脳された被害者だろう。
しかし、しかしだ。そんな持論を持つ俺なのだが何故か今、働いている。
事の発端は全て、策士野乃はなの所為である。
あいつがいきなり「ホームセンターに行こう!」なんてアホな事を抜かしたのをきっかけに、俺たちはホームセンターへとやってきた。
そして、驚いた事にそのホームセンターの店長は野乃の父だったのだ。
そこまでは良い。
だが、そこからが問題だ。俺達が話していると、野乃父は近くの花屋が気になったのかそちらへ向かって行った。気になった理由は明白だ。店員が一人しか居なかったのだ。
理由を聞いてみると、どうやら他の店員が全員風邪で病欠しているそうだ。
そして、困っている人を放っておけないと言う野乃の性分のせいで、俺達は強制的に労働をする事になったのだった。
ていうか中学生が労働しちゃダメだろ。おい。
「はぁ…」
日ごろのストレスや疲労とこの労働が重なって、自然と口から溜息が出てしまう。
やっぱり働くって辛い。こんなの毎日してるとか大人って凄すぎ…いや、それを当たり前だと思ってしまうのか。
「溜息吐いてると幸せが逃げるよ?」
いきなり俺の隣に来てそう言うのは野乃はなだった。
いや、そもそも誰の所為で溜息吐かなけりゃならんのかねぇ…
「知ってるか、野乃。溜息ってのは自律神経のバランスを整えたり、血行を促進する効果があるんだぞ」
「へぇ…」
「だからまぁ、なんだ。溜息ってのは身体に良い事なんだよ」
そうやって俺は自分さえも言いくるめる。
いや、だってもう溜息とか僅かなものでもストレス発散してかないと世の中に潰されるでしょ?胃潰瘍とかになるのはごめんだし。
すると、野乃は通りかかった薬師寺を見つめる。
「なんかあのさあやの姿…どこかで見た事ある…」
そしてそう呟くと、盛大に転んだ。もうお前マジでリトさんじゃねぇか…
「はな!?」
「大丈夫!?」
「おいおい…」
野乃が転んだ事に二人とも驚き、こちらへと駆けよってくる。
マジで大丈夫かよ…過労はやめとけ。
そして最悪な事に、このタイミングで客が入ってきた。
「床が濡れてるってどういう事!?滑ったら危ないじゃないの!」
御尤もだ。非の打ちどころの無い正論である。
しかし、世の中ってのは本当に理不尽だ。野乃が事故で濡らした床を故意と思い怒る客。当人でも無いのに謝罪する店長。はぁ、間違いだらけだ。偶然に偶然が重なったとはいえ、不幸になる人間が多すぎる。だが、それが世の中。理不尽?そんなもの当たり前なのだ。そして同時に、労働と言うのもまたそのストレスを抱えるものなのだ。
「こんな花屋じゃ、花も可哀想ね!」
客はそう言い残すと、花屋を後にした。
ま、文句は言えないわな。どう考えてもこっちの不手際だし。世の中そういうもんだし。
「ごめんなさいマリさん…。床を拭いたの私なのに……」
野乃は恐らく自身の罪悪感からか、客が店を去っていった後、すぐに店長に謝罪した。
すると、野乃に謝られた店長は叱るのではなく、優しい声音でまるで諭すように返したのだった。
「いいのよ。怒られるのも大事な経験」
おいおい…ここに女神がいるぞ…。どんだけ優しいんだよ。俺だったら嫌味タラタラで文句言うわ。こんな人が上司の職場で働きてぇ…
俺のそんな下らない感想はさて置き、溜息を吐いて落胆する野乃に薬師寺と輝木はそっと微笑んだのだった。
x x x
そしてそこからは特に問題もなく、楽しい楽しい労働は続いたのだった。
ねぇねぇぼくもうはたらきたくないおうちかえりたい。
しかし、コイツらはどうやら帰りたいなど微塵も思っていないようで、心の底から楽しそうに働いている。
うげぇ…。なんでこんな楽しそうなんだよコイツら……
すると、唐突に野乃が呟く。
「はぐたんとハリー、もう帰っちゃったかな…?」
多分独り言で呟いた事であろうが、俺は一応反応しておく。
「いや、まだどっかに居るんじゃねーのか?まさか迷子とかになってたりして」
俺は冗談半分でそう返した。だが、どうやらそれは冗談ではすまされなかったようだ。
俺達の目の前を通った親子、その子供の方が押しているカートの中に、はぐたんがいたのだ。
そして、その後にはぐたんが声を発したため、野乃達も気がついてこちらに来る。
「今の、はぐたんの声!?」
「あそこから!?」
ようやく皆が事態に気付き、すぐに追いかけようとするが、丁度通りかかった大勢の通行人達のせいで見失ってしまう。
そしてその後、皆がホームセンター中を駆けて探すが、一向に見当たらない。
「居た!?」
「ううん」
「居ねぇ…」
「どこに行っちゃったんだろう…」
俺達が互いに情報を伝え合っていると、店内放送が入った。
「迷子のお知らせをいたします。野乃はな様、御連れ様がお待ちです。迷子センターまでお越しください」
皆、はぐたんだと思いすぐに迷子センターへと向かう。
しかし、恐らくは違うだろう。はぐたんはまだ喋れない。そして、野乃の事を知っていて尚且つ言語を発する事が出来る人間といえば…
どうやら俺の予想は当たっていたようで、迷子センターの扉を開けると、そこには幼い子に慰められながら号泣しているハリーが居た。
あいつマジで大人かよ…どうやったら大人がホームセンターで迷子になるんだよ。
寧ろ教えてほしいくらいだわ。
「迷子ってあんた…」
「何で貴方?」
「泣いてるし…」
「馬鹿じゃねぇの」
ボロクソである。可哀想にハリー…。しかし、今回はどう考えてもハリーが悪い。いくらここのホームセンターが広いとはいえ、迷子センターはふざけ過ぎだ。
「だってだって!はぐたん探し回ってたらここめっちゃ広いやんかー!ややこしいやんか…うぅ~」
お前マジで何歳だよ…これが冗談とかならアレだけどガチ泣きだしなぁ…
俺が心の中でハリーの精神年齢の低さに嘆いていると、輝木が先程俺が考えていた事を口から漏らす。
「はぐたん、喋れないのにはなの名前放送されるから変だなぁとは思ったけど…」
全く、その通りだ。しかしその前に今は号泣して泣き叫んでいるハリーを黙らせるのが先であろう。
「ほら、泣くんじゃねぇよ。みっともねぇぞ」
「うぅ~…」
そしてすぐにハリーを立たせ、俺達は迷子センターを後にした。
「次に行くとしたら…?」
そう皆に問うのは薬師寺。そして、俺がその問いに素早く答える。
「取り敢えず託児コーナーに行ってみるか」
俺の答えに皆が賛成し、無言で頷く。んで、駆ける事2分。俺達はやっと託児コーナーに着いたのだった。
「おった!」
声を荒げて叫ぶのはハリー。そして、あいつの見る先には、ターザンロープに乗ったはぐたんが居た。
だが、時すでに遅し。はぐたんはターザンロープから飛び降りるとトランポリンに着地し、反動でまた宙を舞い偶々通りかかった男性のリュックの中へとダイブ。
そしてすぐにその男性の元へと駆けよるが、その男性はエレベーターに乗ってしまった。
俺達も乗ろうとするが、あと少しと言う所で扉が閉まってしまう。
そして、エレベーターの表示を見ればそれは下の階行きであった。
「降りるよ!」
輝木のその声をきっかけに、俺達はエスカレーターへとまた駆ける。
いや、もうマジで疲れた。きっと運動部並みに走ったよ俺達…
そんなことはさておき、やっとエスカレーターへ着いたため慌てて乗る。
「はぐたんどこ…?って、居た!」
声を荒げて言ったのは野乃であった。しかし、なんとはぐたんとその男が乗っているエスカレーターは俺達がたった今まで居たフロアへと上がっていくものであった。恐らく、一階下に来すぎちまったとかそんなマヌケな理由であろう。
俺達はダメ元で上行きのエスカレーターへ乗る。そして降りると、そこにははぐたんを抱えた野乃父が居た。助かった。もう流石に走りたくないしね…
「よかった~」
野乃が安堵し、息と一緒にその言葉を漏らす。
いや、もう良かったってレベルじゃねぇよ。野乃父が英雄に見えるまである。
「赤ちゃんを連れてくるからには、しっかりと責任感を持たなきゃね」
野乃父から、ハリーへの「父親」の先輩としての言葉だ。
「パパありがとう…」
野乃が礼を言うが、野乃父の返事は、野乃父の携帯の着信によって妨げられたのだった。
「バイトの面接?三時からにしようか。ああ、んじゃ」
そう言って電はを切るがすぐに新たな着信が入る。
「はいっ、あっ、本社から。分かった。折り返し電話するから。うん」
うわー、忙しそう。やっぱ店長とかって色んな事やらないといけないだろうしなぁ…結構苦労人なんだろうな、野乃父ってのは。
「パパのお仕事って大変だね」
「うん?まぁね。けど、毎日毎日一つ一つの仕事を一生懸命やる事が御客様みんな、家族の未来の幸せをつくる。パパ、そう思ってるんだ」
「未来の幸せ…」
「みんなや、家族の…」
「それって、パパの幸せでもあるからね。つまり、最高ってこと!」
何故、野乃があんな性格なのかを今少し理解した気がする。
あんな父親と母親が居れば、野乃の様な素直で明るくてまっすぐな人間が育つのも納得できるであろう。勿論、親だけではない。野乃自身がその親の教育方針に遺憾を持たないで生きてきた…と言う事も重要であろう。なんて素晴らしいのだろうか、野乃一家というのは。恐らく、日本であそこまできちんとした家庭は片手で数えられる程度だろうな。
俺がそんな事を思っていると、外から聞きたくない声が突如聞こえた。
「おい、今のって…」
「うん、多分」
十中八九、オシマイダーだ。
野乃達はすぐにホームセンターの外へとダッシュで向かう。俺は戦場と戦況を把握すべく、野乃達にイヤホンを渡して屋上へと向かう。するとやはり、外にはオシマイダーが居た。
そして、見た事の無い女性も。
つーかあのファッションなんだよ…バブル全盛期かよ、ソアラの助手席にでも乗ってそうな見た目だぞ…
「ちょっとストッピ!一瞬良い?」
すると、そのバブルBBAは野乃達に制止をかける。
マジでなんだよ…
「あんた、誰?」
一瞬、屋上に居る俺かと思ってしまうが、どうやらそうではない。その言葉は輝木に向けられたものであった。
「プリキュアだって」
輝木は少し怒り気味にそう言った。いや、うん。それが当たり前だよね。いきなり「あんた誰?」って言われたら「ふざけんな」ってなるのはもう反射並みに当たり前だよね。
「そう言ったでしょ!」
輝木だけでなく、野乃も怒り気味にそう言った。
すると、BBAは物凄く驚いてリアクションを取りながら驚愕の声を上げる。
「ええ~!?何でプリキュアまた増えてんの!?」
「貴女こそ誰なの?」
今度は薬師寺がBBAに質問を返す。あれ、質問に質問で返すなって誰かが言ってたような…ま、今はそんな事はどうでもいいか。
薬師寺のその問いに、BBAは胸を張って自信ありげに答えたのだった。
「パップル様よ。知らないの?」
「知らない」
野乃達は即答した。
いや、マジでどなたですか?あ、アレか。自分の事を皆が知っていて尚且つ自分の悪口言ってると勘違いしちゃうあの病気か。統合失調症ってやつですね、分かります。俺の下らん脳内コントはさておき、野乃らの答えが余程不服であったのか、パップルとやらは目を見開く激昂したのだった。
「おのれプリキュア!ぶっ飛びな!!」
パップルが逆ギレしながらそう言うと、パップルの後ろに居たオシマイダーがすぐにパンチを放ってきた。そしてなんと、パップルは屋上に居た俺の隣までジャンプしてきたのだった。アンタ人間かよ…
野乃達は上へとジャンプして躱し、ジャンプした勢いのままオシマイダーのデコへとグーパンを決める。
「ったく、ホワイト以外にどんどんミライクリスタルが増えてんじゃないの?チャラリートのヤツ、ほうれんそうがなってない」
「報告、連絡、相談か?」
俺がパップルの言葉を遮る。
「その通りよ、仕事で一番大事な事でしょ!?」
「仕事ですって!?」
どうやら野乃も気がついたようだ。こいつらは恐らく世界を壊す事を生業としているのだ。
いや、マジでもっとマシな就職先なかったのかよ。
「そうよ、ミライクリスタルホワイトを手に入れる事、明るい未来を消す事。それが私らクライアス社のお・し・ご・と!」
ガチで下衆じゃねぇか…てか可哀想になってくるわ。確かに俺も世界は嫌いだけど、「よし、世界から明るい未来消しちゃお」とはならねぇよ…。おばさん、厨二病拗らせ過ぎだぜ…
「アホか」
「ん?」
俺の一言に、パップルが噛み付いてきた。しめた、それを狙ってたんだよ。
「世界から明るい未来を消すってなんだよ。あれか?リトルバスターズ!の逆版みたいなもんか?」
「はぁ?何意味分かんない事言ってんのよ」
流石に辛辣だぜ…おばさん。いや、まぁ確かにいきなりリトバスの話を中年女性にしても知ってる訳ないか。
「ま、取り敢えずいい大人が何やってんだよってことだよ」
そして、俺らが話している間にも戦闘は続く。
だが、飛び込んできた光景は最悪なものであった。野乃達がジャンプをしてとび蹴りをかまそうとしているのだが、問題はその先だ。
野乃達のキックがあたるであろう場所には、ヤツの手があったのだ。
「なっ、待て!そのままだと…!」
しかし、もう飛んでしまっているためにどうする事も出来ない。そのまま食虫植物の餌食となってしまったのだった。
「何コレ…ベタベタする…」
「食虫植物よ!このままだと溶かされちゃう!」
拙いな…絶対あの植物服だけ溶かすとかそういう奴だぞ…
いや、待て…。恐らくだが三人の力を合わせればあんなものは開く。
「いいか、お前らの力を一気に、同じタイミングで発揮するんだ!そうすりゃああんなもの簡単にブチ開けれる!」
「分かった!」
野乃が俺の指示に答え、三人が一気に力んで奴の手をこじ開ける。そして、立ち上がれるほど開くと、今度は腕で持ち上げ、無事に脱出したのだった。
そして、オシマイダーはすぐに右手で攻撃してこようとするが、それを薬師寺が防ぐ。
「今よ!エトワール!」
次に輝木の攻撃だ。勿論心配ご無用。攻撃は奴全体に当たり、弱っているところを今度は野乃が攻撃する。恐らくこれが、トドメになるであろう。
「フレフレ!ハート・フォー・ユー!!!」
あの技、そんな名前だったのか。
兎に角、攻撃は無事に成功。オシマイダーはいつもの気持ち悪い声を上げ、昇天していったのだった。
「くーっ!三人じゃなきゃ倒せたのにー!」
オシマイダーが昇天すると、パップルはそう文句を言ったのであった。
いや、完璧にあんたのとこの情報収集が甘ぇからだろうが。
「無駄だ。人数も把握できないようじゃあいくらやっても勝てねぇよ」
「ぐぬぬ…」
どうやら俺の言葉が心に刺さったようで、パップルは何も言い返せない。いやいや、ガチでアホかよ。人数も把握できない様な奴が倒せる方法なんて考えれる訳ねぇだろ。
「ヘーイ!タクシー!」
すると、パップルはいきなりタクシーを呼んだ。
いや、あんた何やってんの…?こんな屋上にタクシーなんぞ来る訳ねぇだろ…と、思ったのだが、どうやら間違っていたのは俺のようだった。
いきなりタクシーが現れたのだ。いやいや、なんだよそりゃ。あのタクシーはデロリアンかダニエルのタクシーかよ。
そして、パップルはそれに乗るとこの場を去ったのだった。
んで、俺達はすぐにホムセンの中へと戻り、花屋での労働(強制)に戻ったのであった。
はぁ…やっぱり働くのか…もうお家帰りたい…
俺がそんな下らない事をまた考えていると、先程店長の花屋の事をボロクソ言った客がまた来たのであった。思わず野乃達の顔色が曇るが、どうやらクレームではないようだ。
「色々回ったけど、ここの花が一番綺麗で元気だったわ」
「ありがとうございます!」
先程あんなに文句を言われたのもあるのだろうが、店長の返事もちょっと嬉しそうだ。
いや、きっとこの客ではなくとも、自分の店を褒められれば誰もが嬉しがるであろう。もしかしたら労働というものの理念というのは、そういう客からの感謝なのかもしれない。
「はな~」
俺達が安堵していると、いきなり野乃を呼ぶ声が聞こえたのであった。
振り返ってみると、そこには野乃母が居たのであった。恐らく、野乃父が連絡を入れたのであろう。
「ママ!」
野乃は突然の母親の登場に驚きを隠せない。
「はな達が来てるって、パパから聞いたの。どうだった?お仕事体験は」
「うん…凄く大変だった…。だけど!みんなの笑顔、最高だった!」
どうやら野乃は、野乃父が言った労働の嬉しさについてを理解したようだ。でなければこんな回答はしないであろう。
「そう」
野乃母は目を少し細め、微笑みながら答えた。
そして、野乃は話を続ける。
「みんなを笑顔にできるお仕事、もっと色々やってみたい!」
素晴らしい事だ。勤労は今の社会ではとても重要であろう。俺みたいなアホが多いからね。
「じゃあ連載してみよっかな?」
おいおい…自分の娘の記事を連載するのかよ…。絶対クレーム来そうだぞ。ワイルドスピードの監督みたいに。しかし、どうやら野乃だけではなく、俺達も含まれているのだった。
「はな達のお仕事体験ルポ。タウン誌にね」
勘弁してくれ…なに、これからも取材っていう名目で俺働かされんの?えぇ…絶対過労で死ぬやつじゃんやらなくていいよ…
俺達がそれぞれに考えていると、唐突に店長が薬師寺を呼んだ。
「さあやちゃん、これ、お願い」
そう言われ、薬師寺は返事をして店長の所へと駆けよる。
ふう、後はもう少し働いて帰宅だな。はぁ、今日も疲れた疲れた。
「あら?」
薬師寺が花を貰うと、野乃母がいきなり何かに気付く。
「どうしたの?」
いきなりの事に、野乃は問う。そして、野乃母は何が気がかりなのかを語る。
「貴女…ひょっとして…さあやちゃんじゃないの?野菜少女の」
や、野菜少女?なんじゃそりゃあ…。待って、野菜少女ってよくよく考えたら怖くね?だって少女だけど野菜なんだぜ?怖くね?
「野菜少女…?言われてみれば、覚えてる」
輝木が答えを言ってくれると思ったのだが、残念ながらそうではなかったようだ。
そして、この場で唯一状況を理解出来ていない俺は皆に質問をする。
「ストップ、その野菜少女ってのはなんだ…?」
「え、知らないの…?」
俺の問いに、野乃は思いっきり目を見開いて驚く。
いや、そんなに有名なのかよ、それって。
「普通に知らん。頼む、教えてくれ」
「えーっとね、簡単に言えばCMだよ!」
「へぇ…CMねCM…って、じゃあ薬師寺って芸能人じゃねぇか!」
おいおい、こんなに身近に有名人が二人も居るじゃねぇか!輝木もスケートで有名人だし、薬師寺に至っては芸能人で、ここに居る俺以外の人間が全員知っているレベルだ。
あの学校ってもしかしたら他にも有名人が…?
ま、そんな事はどうでもいい。今は取り敢えずどういうことなのか、何故薬師寺がこの事実を隠していたのかを聞かねぇとな。
誤字脱字等ございましたら、ご報告お願い致します。