ぼくとわたしのガールズ&パンツァー   作:酔いどれリンクズ

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※ここの逸見エリカは性格が大分丸くなっています
大体、秋秋コンビのせい


4話・彼女が見つけたもの

※前回のお話

 

大洗女子学園にやって来た『逸見エリカ』の半年間

そして再び巡り会う『彼女』と「彼女」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あー・・・とりあえず授業もあるし、ここじゃなくて別のところでやってもらっていいかな?」

 

 

普段から飄々とした態度の角谷杏が、逸見エリカの並々ならぬ気迫に若干圧されながらも言葉を紡いだ。

 

 

「そうね・・・夕方はあいつらと用事があるから・・・あとで教室行くから待ってなさいッ!!夜、あんたの家に行くからッ!!」

 

「ふぇッ!?家に来るのッ!?」

 

「今言ったでしょッ!私も夕方は用事があるのよ、家なら逃げることできないでしょッ!!何でここにいるか、話してもらうからッ!!」

 

 

エリカはみほに、そう伝えて生徒会室をあとにして行った。

嵐のような一瞬の出来事だった。

 

 

「・・・とりあえず、教室戻ろっか。」

 

「そ、そうですね・・・戻りながらどうするか考えましょう。」

 

「ふぇぇ・・・何でここにエリカさんがいるの・・・?」

 

 

先程、戦車道をやるという決意を固めて、しっかりした様子の彼女は何処に行ったのか?

生徒会室に入ってきたときよりも、どんよりとした雰囲気を醸し出す西住みほだった。

 

 

 

 

西住みほ達が退出した生徒会室の面々は、とても微妙な空気が流れていた。

 

 

「だ、大丈夫でしょうか?逸見と西住のあの雰囲気・・・西住が完全に飲まれてましたが・・・?」

 

「えっと・・・同じ高校で戦車道やってたから相応に面識もあるだろうし、多少の軋轢はあるだろうと、想像していましたけど・・・?」

 

「ん~、大丈夫じゃない?上から大分押さえてた感じだけど、西住ちゃんの話を聞こうとする意思は持ってるし、悪いようにはならないから大丈夫だよ?ねぇ?『秋葉ちゃん?』」

 

 

角谷杏以外の二人『河嶋桃』『小山柚』は彼女が向いた目線の先、生徒会室の隅にあるソファから足がダラっと出ており、第三者が居たことに初めて気が付き、驚いた表情を見せた。

 

 

「なッ!?四季波ッ!?お前、いつの間にッ!!」

 

「御二人が生徒会室に来る前からいましたよ?放送室に行ってる間ですかね、会長と一緒にほしいも食べてましたよ?2切れ残ってますけど、いります?」

 

「要らんッ!!」

 

「えー・・・美味しいのに・・・」

 

 

ソファから手を出してほしいもをヒラヒラと見せる。

 

 

 

「えーと秋葉ちゃん、はしたないからちゃんと出てこよう?それと、会長が大丈夫って言ってたけど、どういうこと?」

 

 

小山に言われ、ソファから体を覗かせる。

長くストレートに伸ばされた青い髪、キリッとしているはずだが今は眠そうにした目、綺麗にまとめられた顔立ち、女性にしては比較的高い身長でスレンダーな体型の2年生『四季波秋葉』がそこにいた。

河嶋に要らないと言われたほしいもをモグモグ食べながら、小山に聞かれた事を気だるそうに答えた。

 

 

「エリカ、あいつは厳しい物言いが前に出やすいですけど、仲間思いなんですよ。『ここ』に来た理由の1つがそれ。西住の未来の為に来たのに何で?って気持ちが先行してるんです。それはあとで僕の方で抑えますから・・・感情じゃなくて冷静に彼女と話が出来れば問題はないはずです。まあ、最悪は二人の間を僕が取り持ちますよ。二人に対してなら切り札ありますし。」

 

「・・・まあ、お前がそういうなら・・・」

 

「逸見さんへの対応はできるとして・・・四季波さんは西住さんと面識があるの?」

 

「『僕』はありません。」

 

「あー、そういうことね。なら心配する必要がないか。」

 

「そういうことです。」

 

 

自身が持っていたほしいもが無くなったため、ふらーっと杏が持っていたほしいもを貰いモグモグと食べながら、二人で納得しだした。

二人の態度に納得がいかない河嶋は、イライラしながら四季波に声をあげる。

 

 

「お前になければ誰にあるんだッ!!言えッ!!」

 

「・・・『四季波春華』。僕の兄ですよ。」

 

 

 

 

授業がすべて終わりHRが過ぎた瞬間、私『逸見エリカ』は脱兎の如く駆け出した。

秋山が何か言っていたが耳には入らなかった。

目的地は2年A組・・・あの子『西住みほ』がいる教室だった。

 

ちょうどHRが終わったのだろう。

何人かの生徒が教室から出てくるのが見えた。

私の様子に皆が驚いた表情を見せるが気にしない。

目的地の教室に入り、見渡すと彼女はいた。

 

・・・何で死んだ魚のような表情してるのよ・・・

 

みほの机の前に行き、机をバンッ、と叩くとビクッとして目に光が戻ってきた。

目は私を映し出し、小さな声で「エリカさん・・・」と聞こえた。

 

 

「あんたの家の住所を教えなさい。あと、これ、今の私の連絡先。7時前には行けると思うけど、用意ができたら連絡しなさい。いいわね?」

 

「いきなり来て、それは横暴じゃないですか?」

 

「そうだよッ!みぽりん困ってるよッ!」

 

 

・・・『五十鈴華』と『武部沙織』だったか?

いつも大体、2人で行動しているのを見ている。

よく食べる方とお喋りな方か。

今はどうでもいい。

 

 

「外野は黙ってなさい・・・みほ、あんたが何で『ここ』にいるか、ある程度は予想がついてる。けどッ!私はあんたの口から理由が聞きたい。私にはそれを聞く権利がある・・・本当なら今、ここですべてを話してもらうつもりだったけどね。あんた『にも』時間が必要だろうから・・・そうね、今日はこれだけ聞かせて貰いましょうか。」

 

 

何でここ『大洗女子学園』を選んで来たのか

 

何で黒森峰から『逃げてきたか』

 

隊長・・・西住まほはどうしたのか

 

西住家と何があったか

 

 

色々聞きたいことはあった。

けれど、今のこの子にそれを聞くのは雰囲気的に難しいだろう。

だったら、聞くのはこれか

 

 

「『ここ』であなたの戦車道を見つけるのかしら?」

 

 

この時、この言葉を聞いた彼女の顔を生涯忘れる事はないだろう。

 

ハッと私を見る表情

困惑した、泣きそうな表情

だけど、その瞳に宿る、確かな決意がみえる力強さ

 

私が追い続けた背中が見る世界は、どのように変わるのかしらね。

 

 

 

 

みほと話を終え、『秋秋コンビ』が待っているであろう秋葉の自宅に向かおうと思った先、学校の校門前にあいつはいた。

 

 

「・・・珍しいじゃない。いつもなら真っ先にいなくなるあんたが校門にいるなんて。」

 

「優花里が言ってたからね。『逸見どのが人を殺せそうな鬼の形相で教室を出ていった』って。今の顔を見る限り、そんな感じじゃなそうでつまらない。」

 

「用意があったから急いだだけよ。で?その本人はどうしたのよ?」

 

「先に家に行ってる。今日はエンジン調整だけだから、優花里の方がその辺詳しいから任せてる。」

 

「そっ。じゃあ、とっとと行くわよ。秋山にさっきの発言について問い詰めないといけないし。」

 

 

そう言って、秋葉の横を通り過ぎる。

 

 

「・・・用事は済んだのか?」

 

「これからよ。まあ、収穫はあったし、急ぎはしないわ。」

 

「そう・・・うまくいくといいな。」

 

「・・・あんたの『私は何でもお見通しだよ』ってところ、嫌いよ。」

 

「そうか・・・僕もエリカの事は嫌いだから気が合うね。」

 

「・・・前言撤回。あんた自身が嫌い。ほっんとうに嫌い。」

 

 

クスクス笑いながら私の後ろを歩いてついてくる四季波秋葉。

本当にこいつ嫌い。

 

そんなことを思いながら、潮風漂う道を、夕日を浴びながら歩いていく。




「ハァーイ、ハル、手紙が届いてる・・・あれ?部屋がスッキリしてるわね。もう出ていっちゃうの?」
「『もう』じゃなく『ようやく』だよ。卒業して1ヶ月。何で未だに『ここ』に住んでいるんだい、私は?」
「あはは・・・ゴメンね~。戦車壊れちゃうとどうしても頼っちゃうんだよねー。やっぱりS級ライセンス持ちが整備すると違うんだよー。A級とB級の差はあんまりないけど、S級はやっぱり格が違うわ。」
「当たり前でしょ。世界的に通用するライセンスなんだから、一緒にされると泣くよ?」
「だよねー。じゃあ、いよいよ帰るんだ。」
「そうだね。『専属』になってるし、いい加減顔出さないと何言われるかわかったもんじゃないし。」
「もうちょっと居てほしいんだけどなぁ。はいこれ、手紙。」
「手紙ありがとう・・・正式な手続きと正当な対価があれば、また来るよ・・・これ、断れないやつじゃん・・・また帰れないよ・・・」
「どうしたの?」
「戦車整備士会からの正式要請・・・聖グロリアーナ女学院戦車会からの依頼。」
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