オリ主スレッド   作:水代

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艦これスレッドに推薦とかつかないかなあ、とか思ったりする今日このごろ。

これを読んでいる提督の皆さん、3-2突破できたよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。

そして今日、戦艦レシピで資源全部溶かして、鋼材が残り113とかになった。
くまのん狙ったけど一回も出なかったぜ…………orz
まあ衣笠さん出たんだが。


火野江火火

 まるで人形のようだ、とは過去の私を知る誰もが口にした言葉だ。

 生まれたその瞬間から自意識を持ち、なのに感情を持ち合わせてはいなかった。

 淡々と呼吸するだけの赤子。そんな私を両親が不気味がったのも仕方なかったのかもしれない。

 児童養護施設と言う場所に両親から見捨てられた私と言う赤子がやってきたのも自然の摂理であり。

 そこでもまた感情を持ち合わせてないそんな人間未満の化物が排斥されるのは仕方のないことだったのかもしれない。俗に言ういじめ、と言うやつだ。

 前世と言うものを持ち、人並以上に人格が成熟していた私はそれを特に苦とはしなかった。

 自分のたちの精一杯の攻撃、けれどそれに対して何の反応も示さない自身に、他が自身を恐れるのもまた自然の成り行きである。

 結局…………その時の私は体に心が引っ張られていたのだ。

 感情が無かったのではない、ただ忘れていただけで。

 成熟した心が、けれど未熟な体に引きずられて心と体が上手く合わず、結果的にズレが起きていた。

 そのズレが軋轢の原因であり、両親が自身を捨てた原因であり、自身の歪みであった。

 

 彼女たちに出会ったのはそんな、自身の歪みに気づかず、無感情に漫然とした日々を過ごしていた…………人生で最悪で最低だったそんな頃だった。

 

「なんだお前」

 猛暑続くある夏の昼下がり。

 施設の玄関に置かれた椅子に座り、その暑さに汗を流しながらも無表情に外の景色を見ていた私。

 その目の前に現れたのは一人の女性。白い軍服のようなものに身を包んだ自身に負けず劣らず無愛想な二十代半ばほどの髪の長い女性。

 後から知ったことではあるが、陸軍のカーキ色とはまた違ったその白い軍服は、海軍のものらしい。

 施設の玄関で向き合う私と女性。長い沈黙の後女性が呟いた言葉がそれだった。

「………………ここの人」

 ぽつりと返す自身の言葉に、けれど女性は自分から聞いたくせに興味も無さそうにふーん、とおざなりに返事をする。

「…………………………」

「…………………………」

 じっ、と互いに無言で睨みあう…………否、見詰め合っている…………否、否、それでは両方のようである。

 見つめているのは女性だけで、私はただ相手を自分の瞳に映しているだけだ。目の前の横柄な女性に対し、私は何の感情も抱いていなかった。

 

「何やってるんですか、提督」

 

 そうして刻々と過ぎていく時間を打ち破ったのは、女性の背後から聞こえた声だった。

 声に反応して女性が振り返ると、女性が動いたことで、その後ろにいた声の主が見える。

 カラフルな少女、それが自身の印象。

 女性の艶やかな黒髪とは違い、腰まで届く乳白色の長い髪に黒いリボン。一昔前の水兵のような学校で使うものとはまた違った印象の改造されたセーラー服にほとんど腰だけしか隠していないような極めて短い丈のスカートと白と赤の縞々のニーソックス。あまり隠れていない下着については触れないにしても、なんともまあ際どい。だからと言ってそれがどうした、と言うわけでもないのだが。

 

「島風、もう来たのか」

「提督が遅いんですよ、まだ用事を済ませてなかったんですかぁ?」

 提督、と言うのはどうやら女性のことらしい。となると、着ているのも本物の軍服なのかもしれない。

「ああ、ちょっとばかり面白いものを見つけてな」

 そう言ってこちらを見てくる女性。その言動から察するに、面白いもの、と言うのは自身のことらしい。

「提督、この子に何したんですかぁ?」

 どうやら私の無感情を女性のせいだと思ったらしい、少女がじとー、とした目で女性を見る。

「違うぞ、私じゃない。元からこうだったんだ」

 少しうろたえたように女性が弁解すると、疑わし気に女性を見ていた少女がこちらを見て。

「無愛想な子ですねー」

 直球な感想を口にした。

 

 

 

「そっか…………あの時の」

「覚えてたんですね、提督」

 鎮守府に戻ってから島風がやってきた経緯を聞く。

 そうして目の前にいる島風が過去に出会ったことのある島風だとようやく気づく。

「あはは…………島風に提督って呼ばれると、何か不思議な気分」

「私も、あの時の無愛想な子を提督と呼ぶのは不思議な気分ですよ」

 港の隅で二人並んで海を見つめる。こうして陸地に足をつけているとほっとする。先ほどまで危機的な状況だったせいもあって一際だ。

「そっか……………………この鎮守府に来たのは」

「そ、あの人の()()だったから。まさか迎えに行っただけなのに、いきなりあんなことになってるとは思わなかったけど」

 苦笑いする。苦笑いで誤魔化す。まさかサイコロ振ったせいであんなことになりました、とは言えない。

 海のその向こうを見つめてため息を吐く。そして、あの人が被っていたのと同じ白い帽子を脱ぐと、あの人の着ていたのと同じ白い軍服の胸に当てて目を瞑る。

 数秒の黙祷。その間、島風は黙ってそれを見つめていた。

「……………………あの人もいつも出撃から帰って来るとこうやって海を見てた」

 ふと、と島風が口を開く。その表情はどこか寂しそうであり、けれど苦笑しているようでもあった。

「この海には幾千もの艦隊が眠っているって…………自分たちが戦っているのもそうした哀れな艦隊たちに過ぎないって…………だから出撃で敵を沈めたら、帰ってきてから死者を鎮めるんだって、そう言ってた」

 私には良く分からないけど…………と、言葉を挟み。

「それはあの人なりのルールだったんだと思ってる………………そう言った部分は提督に良く似てる気がしますよぉ。自分の艦隊を家族みたいに扱うところも」

 

 

 

「お前、私の家族になれ」

 少女と共に施設の中に入っていった女性。

 三十分ほどしてから玄関から出てきた女性が私を見据えて口を開いた第一声がそれだった。

「…………………………………………」

 たっぷり十秒、思考し、それでも意味が分からず首を捻る。

「だから、私が、お前を、引き取る…………そう言ってるんだ」

「………………………………何故?」

 意味が分からない。私は自身が人に好かれるような存在でないことを認識している。

 否、むしろ積極的に排斥されるような存在であると自覚している。

 だというのに、どうしてこの女性は自分などと言う存在を引き取ろうとするのか、自らの元に招きよせるような、そんな真似をするのかが分からない。

「私がお前を気に入ったからだ…………それ以上の理由がいるか?」

「………………………………変な人」

 珍しく…………本当に珍しく、否、今生に生まれて初めて、私は感情と言うものを抱いた。

 それがなんと呼ぶものだったのかは分からなかったが。

 

 くすり、と苦笑いが零れた。

 

 そして。

 

 そんな私の様子を心底驚いた、と言うような表情で眼をまん丸にした女性だったが、すぐに笑い出す。

「あははははははは、なんだ、感情の死んだような目をして、ちゃんと笑えるじゃないか」

 心底愉快だ、まるでそう言わんばかりに笑い。

 

「火野江花火だ、あんたの母親になる女の名だ、覚えておきな、あんたは?」

 

火火(ほのか)

 

 生まれて初めて他人に名を言った気がする。

 けれどそんなことは極めてどうでも良かった。

 

 まるで嵐のような豪快な女性だった。

 

 無鉄砲にあちらこちらと向かい、行く先々で何もかも薙ぎ倒していくような。

 

 けれど、だからこそ…………。

 

 私もまた、振り回されたのだろう。

 

 無感情でいられなくなるくらいに、自分のペースを乱してしまった…………否、乱せてしまった。

 

 切欠と言うなら、それが切欠だった。

 

 ああ、本当に………………懐かしい。

 

 

 

「豪快な人だった……………………誰に聞いたって同じ答えしか返ってこない」

「知らない人から見ればそれも仕方ないと思ってる」

 そう、仕方ないのだ。誰よりも奔放に、自由に生きていた人だからこそ、他人に自身の弱さを見せなかった。

 私が知ってるのも偶然でしかないし、きっと島風もそうだろう。

「感謝してる、私を今の私にしてくれたこと。あのままあそこにいても、私は一生今の私にはなれなかっただろうから」

 けど。

「恨んでもいる…………私を今の私にしてしまったこと。あのままそこにいれば、私は昔の私のままでいられたのに」

 こんな、苦しい思い、する必要も無かったのに。

「ううん、違うか、本当に恨んでいるのは、私を変えてしまったくせに、無責任に一人でいなくなってしまったこと」

 大好きだったからこそ、愛していたからこそ。

「こんなにも苦しい。こんなにも寂しい。思い出すだけで涙が出そうになる。思い出すだけで私も一緒に死にたくなる」

 だというのに、どうして私はまだ生きているのか。どうしてまだここにいるのか、どうして彼女を後を追って提督などになったのか。

 

「『生きて、私の見たものを見ろ。きっとそれは、何よりも大切なものに変わるから』」

 

 島風がぽつりと口にした言葉に頷く。

「勝手だよね…………無理矢理連れてきて、無理矢理押し付けて、無理矢理全部引っ掻き回して言って、無責任に何もかも投げ捨てて死んじゃった」

 帽子を被り直し、懐に手を入れまさぐる。そして懐から取り出したソレ…………白い帽子を島風の頭に被せる。

「…………っ?! これ」

「あの人の形見………………無理言ってもらってたんだ。本当は服も欲しかったんだけど、残ってなかったって」

 一緒に沈んだみたい。そう告げると、島風が顔を俯かせ、両手でそっと被せられた帽子を抑える。

「それ、上げる………………私が持ってるより、きっと良いと思うから」

 呟き、振り返って歩き出す。かつん、かつん、とコンクリートを叩く音だけが辺りに響く。

 

「…………………………こんな終わり方で、本当に幸せだったのかな?」

 

 島風の呟いた一言に、ぴたり、と足を止める。

 それから、苦笑しつつ振り返り。

 

「うん…………きっと、満足してると思うよ。あの人だし」

 

 そう言い残し、今度こそその場を去る。

 

 後に残されたのは島風一人だった。

 

 被せられた帽子を大事そうに胸に抱き、俯いて呟く。

 

「バカ……………………バカ提督」

 

 呟きは風と共に海へと消えて行った。

 

 

 

 執務室に戻る、と同時に声をかけられる。

「提督、戻ったのか」

「ああ…………長門さん。いたんだ」

 執務室に机の前で長門が立っていた。机の上に置かれた書類を見るに、どうやら何か持ってきたらしい。

「さきほど送られてきた書類でな。届けに来ていた」

「そっか…………わざわざありがとう。今日は出撃したばかりで疲れてるでしょ? ゆっくり休んでね」

「ああ…………そうさせてもらおう。だが、提督もほどほどにな」

 そう言って返すと、ふっと笑って長門が部屋を出て行く。

「やれやれ…………気を使われちゃったな」

 どうもさきほどまでの空気を引きずっているらしい。駆逐艦の娘たちに気づかれる前に気分を変えないと。

「スレッドでも覗いてこようかな?」

 軽く気分でも切り替えようとスレッドを開こうとして…………コンコン、と控えめなノック音がした。

「どうぞ?」

 入室を促すとやってきたのは電だった。

「失礼するのです。司令官さん、動力部のメンテナンスが終わったので報告しますね」

「あ、もう終わったんだ、どうだったの?」

「不幸中の幸いというべきか、完全交換までは至っていないので一週間もあればまた元通りだそうです」

「そっか…………それなら良かった」

 用件はされだけなのか、電が黙る。けれど部屋を出て行こうとしない電に私は首を傾げる。

「電ちゃん?」

 そう声をかけると、意を決したように電が尋ねてくる。

「あ、あの…………司令官さん、大丈夫、ですか?」

「…………………………えっと」

 質問の意図が一瞬分からずぽかん、とするがすぐにさきほどの長門と同様なのだと気づく。

「………………うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとね」

 私の答えにどこか安堵したかのように電が息を吐き。

「なら…………いいですけど。失礼しました」

 そう言って部屋を出て行った。

「…………………………………………」

 長門さんだけでなく、電にまで心配されてしまった、とは…………今の自分はそれほどまで酷いのだろうか?

 そんなことを思い、顔でも洗おうか、と思いつく。

 執務室を出てすぐ近くのト洗面所に入ると洗面台の蛇口を捻り、手のひらいっぱいにすくった水で顔を洗う。

 頬を冷やす水の冷たさに、どこか冷静になる自分がいるのを感じる。

「……………………大丈夫、だよね?」

 鏡に映る自身に自問し…………。

「本当に大丈夫かい? 司令官」

 答えは別の場所から返って来た。驚いて振り返ると入り口に響がいた。

「いつもの司令官らしくも無い、まるで人形みたいだよ?」

 心配そうな声がそう言う響の言葉に、私ははっとなる。

 まるで人形みたい…………昔の私がよく言われていた言葉である。

「…………大丈夫。明日には元に戻るから、うん…………大丈夫だから」

 その言葉は響に言ったのか、それとも自身に言い聞かせたのか。

 それをどう取ったのか分からないが響は、そう、とだけ呟き洗面所を出て行く。

 なんとも言えない気分になってしまった私は、けれど鏡を見てなるほど、と思う。

 先ほどは気づかなかったが、今鏡に映っている自分の表情は確かに人形そのもの…………能面のようだった。

 

 ぎしり、と執務室の椅子が軋む。

 さすがに今日は色々ありすぎて、どうにも心の整理ができない。

 何より、さきほどからぴくりとも変わらないこの表情は…………結局自分は、過去から全く変わっていないのではないか、そう思ってしまうくらいに無表情だった。

「…………そんなはずはない」

 口に出してみても、どこか空々しい。変われた、と思っていたのは自分だけなのではないか?

 実は過去の自分と大して変わっていないのではないか?

 ふと、そんな不安が胸をつく。

 ぎり、と歯を食いしばる。

「そんなはず…………ない」

 もう一度言葉にしてみてから、また椅子にもたれかかる。

 ぎしり、軋んだ音が鳴る。

 

 と、その時。

 

 こんこんこん、と三度元気の良いノック。

「どうぞ?」

 そう声にすると、扉が開く。

「やっほー! 司令官、元気無いって聞いたけど大丈夫?」

 入室と同時に元気良くそう声を挙げたのは雷だった。

 

 唐突、といえば唐突で。

 あまりにも直球。

 

「本当に疲れたような表情してるわね、ほら、もっと胸張って、自信のある顔で行きましょうよ、なんたって司令官はちゃんと約束守ったんだから」

 

 だからこそ、届く。

 

「約束?」

「全員で帰る…………そう言ったでしょ? ちゃんとみんな帰って来たわ、だから司令官。そんな顔しないで、笑いましょ? 笑って笑って、今日のことなんて笑い飛ばしましょうよ! そうしたら今日のことだって明日にはただの笑い話になるわ!」

 

 目を丸くする。

 

「司令官がそんな顔してたんじゃ、私たちだって笑えないわよ、だから、ね? 笑顔、笑顔!」

 

 そして…………自然と苦笑する。

 

「っぷ…………あはは…………あははははは」

 

 苦笑が、笑みに変わる。

 

「そうそう、もっと笑って、笑い飛ばして、明日からまた頑張りましょう」

 

 ああ、そうだね…………そう答える。

 

 頑張ろう。

 

「「一緒にね」」

 

『生きて、私の見たものを見ろ。きっとそれは、何よりも大切なものに変わるから』

 

 母さん…………私の大切なもの、見つけたよ。

 




火野江火火と書いて火野江(ひのえ)火火(ほのか)と読む。
自分で思いついてて西尾先生みたいだと思った。

シリアスなぜかましちゃん書くのがこれほど難しいと思わなかった…………。

正直、説明足らずで何のことか分からない部分もあるかもしれないけど、独り語りってそういうものだから、仕方ない。これ以上は読者のほうで想像してみてください。


裏設定だが、ぜかましちゃんはお母さん提督の最初の艦娘だったりする。
今回やってきたぜかましちゃんはつまり、最初からレベル70くらいの強いぜかましちゃんだったりする。タービン+缶で回避&速度上昇が付いてます。


つまり今回の話の総評は雷ちゃんマジヒロインってことなんだよ!!!



何か疑問点あれば感想でどうぞ。思いつく限りで答えます。
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