戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 GODZILLA -決戦機動増殖都市- 公開までついに1週間をきりましたが、皆様準備はOKですか?自分は前売り券も買って準備はOKですぜ。

 ではどうぞ!


1-3

 「………ない……」

 

 住宅街の一角の民家の敷地の中を人間に戻った緑羅は顔を青くしながらごそごそと探っている。周囲にはまだ人影はない。恐らくだが、まだ全員がノイズ用に作られたシェルターの中にいるのだろう。こういう時には好都合なのだが、今の緑羅にはそんなこと考えている暇はなかった。

 

 「ない……ない……ない……!」

 

 慌てて先ほどまで探っていた場所とは別の場所も探り始めるが、当然いうべきかそこには何もない。

 

 「嘘……嘘だろ……?冗談だろ!?」

 

 それでも諦めきれずに更に別の場所も手当たり次第に物をひっくり返して探し回るが、やっぱりどこにも何もない。

 これはもうあれだ。ここに隠したはずの荷物が二つとも忽然と消えたこの状況。これは間違いなく……

 

 「………荷物盗まれたーーーーーーーー!!!」

 

 緑羅は頭を抱えた状態で夜空に大きく響くほどの絶叫を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノイズとの激戦があった工場地帯には今、大勢の人間が集まり、ノイズとの戦闘の後始末をしていた。

 その様子を響は座り込みながら見ていた。助けた女の子は今は軍人らしき人から飲み物を受け取り、何かを話している。

 

 「あの……」

 「はい?」

 

 後ろから声をかけられ、響が振り返るとそこには一人の女性が手に紙コップを持って立っていた。

 

 「あったかいもの、どうぞ」

 「あ、あったかいもの、どうも」

 

 響はそれと受け取ると一口口にし、それからはあ、とほっとしたようにため息をつく。

 そのまま響は紙コップを見つめていたが、不意に目を瞬かせると、

 

 「緑羅君のあの口……飲み物飲みにくそうだったなぁ……」

 

 等と場違いなことを口にする。それと同時に響の体が光ると、その装いが元の学生服に戻る。

 

 「へ?わ、うわわ!?」

 

 すると響はいきなりバランスを崩し、そのまま紙コップを地面に落として自分は後ろに向かって倒れこむ。

 だが、その体を後ろの人物が倒れないように支える。

 

 「あ、すみません……」

 

 響はすぐに振り返ってお礼を言うが、すぐに硬直してしまう。なぜならそこにいたのは翼だったからだ。風鳴翼の大ファンである響は完全に動きが止まるもすぐに慌てながら離れる。

 

 「あ、ありがとうございます!翼さん!」

 

 響はぺこりと頭を下げるが、翼は特に反応を示さず、背を向けてその場を去ろうとするが、

 

 「あの……私翼さんに助けられるの……2回目でして!」

 「2回目?」

 

 響の言葉に怪訝そうな表情を浮かべながら振り返る。響はえへへ、と照れたように笑みを浮かべながら2本指を立てている。

 

 「ママー!」

 

 その声に響が顔を向けると、そこには助けた女の子が母親らしき人物と抱き合っているのが見える。どうやら無事に合流できたようだ。

 母親は嬉しそうに女の子の頭を撫でているが、そこに制服を着た女性が近づいてくると、

 

 「それでは、この同意書に目を通した後、サインをして頂けますでしょうか?」

 

 制服の女性は、懐に持っていたタブレットを女の子の母親に差し出しならそう言い、母親と女の子はきょとん、と目を丸くしていた。

 

 「本件は、国家特別機密事項に該当する為、情報漏洩の防止という観点から、あなたの言動、及び言動の発信には、今後一部の制限が加えられることになります。特に外国政府への通謀が確認されますと、政治観点で起訴され、場合によっては──」

 

 それを見ていた響はなんとなくだが不穏な気配と言うのだろうか、なんだか面倒なことを起こりそうな予感がして顔を引きつらせる。

 

 「え、えっと……それじゃあ、私もこの辺で……」

 

 そういった次の瞬間、響の周囲は黒服サングラスの怖そうなお兄さんたちに一瞬で囲まれてしまった。そんな響きの正面には翼が腕を組んで立っている。

 

 「貴女をこのまま帰すわけにはいきません」

 「ええ!?なんでですか!?」

 

 突然の事に響は思わず声を上げるが、翼はそれを無視して口を開く。

 

 「特異災害対策機動部二課まで、同行して頂きます」

 

 ガチャン!

 

 そんな言葉と共に鳴り響いた鈍い音にはえ?と響が自分の手に視線を向けると、そこには明らかに頑丈そうな重工な手錠ががっちりとはめられていた。

 

 「すいませんね。あなたの身柄を拘束させてもらいます」

 「ええ!?」

 

 いつの間にかそばにいた栗色の優男の言葉にと自分の手の現状に響は再び悲鳴を上げるが、そのままあれよあれよと言う間に黒い車の後部座席に乗せられると、脇を黒服に固められる。

 そしてそのまま車はどこかへと走り去っていく。

 

 「え、えええええええええええええ!?何これ緑羅く~~~~ん!!」

 

 状況を全くの見込めない響は思わず緑羅の名前を呼ぶが、それは虚しく夜空の向こうに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ん?今響の声が聞こえたような……気のせいか………いや、そんな事よりも………これからどうしよう……」

 

 町の一角に存在する廃墟の中で、緑羅は途方に暮れていた。何せ隠しておいた自分の荷物が全部盗まれてしまったのだ。大事件である。

 盗まれたのは着替えが入ったバッグに生活資金が入ったバッグ。更に言えばそのバッグの中には地図や電車の路線図、コンパスに携帯式コンロにフライパン、その他もろもろの生活品がまとめて入っていたのだ。つまり今の自分は完全に身一つで放り出されたような状況なのだ。

 否、完全に身一つと言うわけではない。もしもの時のためにと防水性の財布は常に携帯しているので、少なくとも無一文ではない。だが、それにしたって財布の中身はせいぜい数万円程度で行動は一気に狭められてしまう。そしてもう一つ看過できないのが、

 

 「バッグにプレゼント入れっぱなしにしてたのは失敗だったぁ……」

 

 そう、あのバッグの中には響と未来の入学祝のためのプレゼントが入っていたのだ。出会ってすぐに渡せるように入れっぱなしにしていたのだが、それももう誰とも知れない盗人の元に。

 

 「はあ………それにしてもどうしよう。生活品は無い、金はあるけど無駄遣いはできない……さっさと出ていく……いや、でもなぁ……目的は達してないし……だけど、ここがあいつらの拠点近くである可能性がある以上、うだうだしているとかなりまずい事態に……」

 

 ぐむむむ、と緑羅は唸り声をあげながら考え込み、しばらくすると、はあ、とため息を吐きながら小さく頷く。

 

 「こうなったらしょうがない。明日響と未来のところ行って入学祝いだけでも言って、さっさと退散しよう。響には色々聞かれるだろうけど、無視するしかないか」

 

 恐らくだが、響はあの組織に捕まってしまう。と言うか捕まっているだろう。ある程度の情報の流出は避けられないが、響が持っている程度の情報なら問題はない。このまま下手に自分の事は教えず、彼女と距離を置いた方がお互いのためだろう。

 寂しくはあるが、仕方がない。割り切ろう。

 緑羅はよし、と小さく頷くと、その場にゴロンと横になると、そのまま目を閉じる。

 少しすると、規則正しい寝息が廃墟の中に響き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑羅が眠り始めたころ、響は黒服と翼に連れられて連れてこられたのは、

 

 「あの……なんでリディアンに?しかもここ、職員室とかがある中央棟ですよ?」

 

 響も通っている私立リディアン音楽院だった。どうしてこんなところに来なくてはならないのだろうか、響は不安げに問いかけるが、誰もそれに答えず、響はただ連れられて歩いていくしかない。

 そのまましばらく歩いていくと、中央棟の端っこの方に設えられた機械にたどり着き、優男がそれに手にした端末をかざすとしゅん、と扉が開く。

 そこにあったのはエレベーターになっている。響と翼と男たちはそのままエレベーターに乗り込むと、優男がまたエレベーターの一角に自分の端末をかざすと、エレベーターの扉が閉まりロックされる。更にエレベーターの一角から取っ手のようなものが出てくる。

 

 「さあ、危ないから掴まってください」

 「え?あ、あの……危ないって何が……!?」

 

 響があたふたとしているのを後目に優男は響に取っ手を握らせ。翼もいつの間にか取っ手を握っている。

 その瞬間、エレベーターがありえない速度で急降下を開始する。

 

 「ええええええええええええええええええええええええ!?」

 

 もはや降下と言うよりも落下と言った方がいいスピードでエレベーターはぐんぐん落下していく。そのスピードに響は最初こそ悲鳴を上げていたが、少しすると慣れたのか悲鳴をやめ、きょろきょろと周囲を見渡す。

 そうしていると、不意に翼と目が合い、響は思わずあはは、と愛想笑いを浮かべる。

 

 「愛想は無用よ……これから向かう先に微笑みなんて必要ないんだから」

 

 そう切り捨てられ、響はそのまま固まってしまい、再び周囲に視線を向ける事にする。

 すると、不意に周囲の形式が一変する。機械的な景色からどこかの遺跡のようで、周囲には壁画のようなものが無数に描かれている

 その中をエレベーターは降下していき、遂に止まると、エレベーターの扉が開く。その瞬間、響いてきた音はクラッカーの破裂音だった。

 

 「ようこそ!人類守護の砦、特異災害対策機動部二課へ!」

 

 そう言って笑顔を浮かべているのは赤いシャツを着た勇ましい雰囲気の男性だ。頭に乗せたシルクハットがちょっとシュールである。

 更に中には黒服のお兄さんたちや白い服を着た人たちが笑顔で拍手をしており、更に中にはでっかい垂れ幕やらテーブルに乗せられた料理やら、何というか誕生日会とかそういう乗りの様な気がする。

 唖然としている響の後ろで翼は疲れたように目頭を押さえ、黒服さんたちは苦笑いを浮かべていた。

 

 「さあさあ、笑って笑って!」

 

 唖然とした響の元に眼鏡をした白衣の女性がスマホを持って近づいてくると、そのまま肩を組み、

 

 「とりあえずお近づきに一枚」

 「ちょ、ちょっと!?待って待って、待ってください!」

 

 写真を撮られようとしていることに気付き、響は慌てて女性から距離を取る。

 

 「なんで手錠を付けた状態で写真を撮られないといけないんですか!そんなの絶対に嫌なんですけど!?というか、どうやって私の名前を!?」

 

 そういう響の視線は垂れ幕に注がれている。そこには熱烈歓迎立花響様と書かれている。自分は名乗った覚えもないのである。

 

 「我々二課の前身は対戦時代に設立された特務機関でね。調査などお手の物さ。まあ、それでも調査が行き届かない存在はいるが」

 

 そういったのは赤いシャツの勇ましい男性だった。

 それと同時に白衣の女性が何かを持ってくるが、それを見て響はぎょっと目をむく。

 

 「それ私のバッグじゃないですか!何が調査はお手の物ですか!」

 

 響は慌てて女性からバッグを取り返す。

 

 「はあ……緒川さん……お願いします」

 「はい……」

 

 翼の言葉に優男、緒川は苦笑を浮かべると、ひとまず響の手錠を外す。

 

 「あ、ありがとうございます。ずっと手錠を付けていて手首の感覚が……」

 「いえ、こちらこそすいませんでした」

 「では、改めて自己紹介しよう。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている」

 

 そう自己紹介したのは赤いシャツを着た男。

 

 「そして私はできる女こと、櫻井了子よ。よろしくね」

 

 そう言ったのは白衣に眼鏡をした女性だった。

 

 「はあ、どうも……」

 「君をここに呼んだのは他でもない。君に聞きたいことがあるのと、協力を要請したい事があるんだ」

 「協力に聞きたい事……?」

 

 響は疑問を感じて首を傾げるが、次の瞬間、先ほど自分に起きたこと、そして異形に変貌した友人の事が脳裏をよぎる。

 

 「私にも教えてほしいことがあります。私が身に着けたのは何だったんですか?それに……緑羅君の事、何か知ってるんですか?」

 「緑羅君……もしかして君と一緒にいた彼の名前かい?」

 「え?あ、はい。彼の名前は五条緑羅ですが……」

 

 緑羅の事じゃないのかな?と響が首を傾げると、その前に了子が歩いてくる。

 

 「その質問に答える前に、二つばかりお願いがあるの。一つは今日の事は誰にも言わないという事。そしてもう一つは……」

 

 ポン、と響の肩を叩いて笑みを浮かべると、

 

 「とりあえず脱ぎましょうか」

 「…………へ?ええええええええええええええええ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ただいま……」

 

 あの後、マジで服を剥かれ、更にいろいろと検査をして、更に更に詳しい話は検査後にと言うことになってしまい、解放された頃にはすでに響は疲労困憊になっていた。そのまま響はふらふらとした足取りでリディアン音楽院の自分が使っている寮の一室にたどり着く。

 

 「あ、おかえり、響」

 

 そんな響を出迎えたのはルームメイトでもある未来だ。

 

 「大丈夫だった?近場でノイズが現れたって言ってたけど……」

 「ああ、それならもう大丈夫だよ……」

 

 そう言いながら響はリビングあたりに座り込む。

 それを見て、未来は小さく顔を歪めるとそのまま響の元に向かい、後ろから抱きしめる。

 

 「大丈夫って……心配したんだよ?ノイズが現れたのにシェルターの中に見当たらなくて、おまけに電話もメールも繋がらなくて……」

 「それは………」

 

 響は思わず今日あったことを口にしたい衝動に駆られる。こんなにも心配してくれる親友に隠し事をすることに罪悪感が湧いてきたのだ。だが、脳裏に了子のお願いがよぎり、響はそれを口にすることをためらうが、次の瞬間、

 

 「………ごめん。鞄落としちゃって………それを緑羅君が届けてくれてさ、そのあとつい話し込んじゃったんだ」

 「え?緑羅君が来てるの?」

 

 響の言葉に未来は驚いたように声を上げる。

 誰にも話していけないと言われていたが、友達の事ぐらいならいいよね、と響は内心言い訳をしながら頷く。もちろん、その姿が異形に変わっていることは伏せて。

 

 「うん。偶然出会ったんだ。元気そうだったよ。いつまでここにいるかは言ってなかったけど、すぐに出ていくってことはないんじゃないかな」

 「そうなんだ……近くに来てるなら一言言ってくれればよかったのに……」

 「まあ、確かにね」

 

 それに関しては響も同感だった。

 

 「そうしてくれたら歓迎会とかいろいろやったのにね」

 「流石にそれはやり過ぎじゃないかな……でも、うん。そういうのは無くても、どこかでお茶ぐらいはしたかったな。一年以上会ってないから、色々と話を聞きたかったし」

 「だよね……また会えたら未来も会いたがってたって言っておくよ」

 「ありがとう……私の方でも探してみようかな」

 

 未来の言葉に響はうん、と嬉しそうに頷く。




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