戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 遅くなりましたが投稿しますね。

 そういえば、ゴジラ、星を食うもの公開まであと二か月とちょいですが、いまだ情報がないですね……PVとか決戦起動増殖都市と同じで一か月切ってから出るんですかね……

 ではどうぞ!


1-11

 海。そこはすべての生物の故郷といえる場所だが、そこに住むことができるのは一部の生物のみ。当然人間もそれに含まれている。

 その海の中を一匹の魚が猛スピードで泳いでいる。その速度は速く、同じ土俵で勝負すれば到底人間なんかでは追いつけない速度だ。

 だが、緑羅はすさまじい勢いで水を蹴って加速して魚に追いつくと、手を伸ばし、魚を鷲掴みにする。

 そして手の中で逃げようともがく魚の頭にそのまま食らいつき、食いちぎる。

 ごりごりと鱗や骨ごと咀嚼して飲み込み、更にそのまま残りもかみ砕き、飲み込んでいく。

 口回りを舌で舐めとって小さく息をつくと海中で視線を鋭くして腕を組む。

 つい先日遭遇した二課という組織に所属していると思しき女性。こう言っては何だが、あの女性は明らかに異常だった。自分の熱線を防いだあの障壁。直撃ではないだろうがあの威力の熱線の余波を防ぐなんてかなりのものだ。そしてあの状況下で浮かべていたあの笑み。それらだけでも危険と判断するには十分だが、決め手となったのは自分の勘だった。

 あの女性と初めて会った際に異様な違和感を感じたのだ。なんと表現すればいいのか分からない。だが、それでも緑羅の勘は警鐘を鳴らした。あの女は異常だと。

 あんなものを味方に引き入れるなんてはっきり言って危険すぎる。だが、自分がそう言ったところで信じるかどうか分からないし、決め手もない。それに下手な動きをしてあの女を警戒させては……最悪の事態というのも考えられる。一応警告はしておいたが、それがどこまで生きるか……

 

 (最悪、俺が殺る必要があるか……それまでは響達に異常がないか頻繁に確認する必要があるな……)

 

 そう決めると緑羅は再び今日の食事を確保するために泳ぎだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デュランダル護送任務から数日が経過したころ、響はリディアン音楽院のグラウンドで未来と一緒にランニングをしていた。デュランダルが暴走した一件のせいで護送任務は中止、デュランダルは再び二課のほうで保管することになっていた。

 

 (……暴走したデュランダルの力。怖いのはあの力とあの壊すっていう衝動に飲み込まれたことじゃない。何の躊躇もためらいもなく、あの子に振り下ろそうとしたこと……もしも緑羅君が止めてくれなかったら……)

 

 きっと自分はデュランダルを容赦なく振り下ろしていただろう。

 今でも思い出すことができる。何も見えない、何も聞こえない闇の中、ただただ頭の中に全てを壊そうとするどす黒い感情が渦巻き、それに飲み込まれそうになった時、不意に手が少し冷たい温もりに包まれた。

 それと同時に優しい声が聞こえてくきて、青い炎が周囲の闇を照らし、自分の中のどす黒いものを焼き払っていく感覚を覚えた。

 了子の話によると、緑羅が自分を押さえつけてくれたらしいが……

 そこまで思い出して響は顔を赤くする。その時緑羅は自分を抱きしめたらしく……

 

 (う~~~、なんだろう……緑羅君が助けてくれたのはすごく嬉しいんだけど……なんだかすごく恥ずかしいよぉ……)

 

 響は顔を赤くしたままうぅ、と小さく唸るとそれを振り払うように頬を叩き、走る速度を上げ、前を走っていた未来を追い抜いていく。

 

 「あ、響。ちょっと……あれ?響ーー?」

 

 追い抜かれた未来が声をかけるが響は聞こえていないのかそのままさらに加速して未来を置いて行ってしまう。

 未来は慌てて加速して響に追いつくと響の手をつかむ。

 

 「ちょっと響!」

 「ふぇ!?」

 

 すると響はびくり、と肩を震わせて慌てた様子で振り返る。

 

 「いきなり加速してどうしたの?なんか考え事しながら走ってたみたいだけど……」

 「え、あ、えっと……その……な、何でもないよ……」

 

 なんとなくだが、緑羅の事を考えながら走っていたというのに恥ずかしさを感じ、響は小さく笑みを浮かべながらそう誤魔化す。

 ん~~?と未来は怪しむように目をすがめて響の顔を覗き込み、響は思わずというように顔をそらしてしまう。

 しばしの間未来は響を見つめていたのだが、小さくため息をつくと静かに顔を引く。

 

 「今日はもう走り込みは終わり。お風呂に行こう?」

 「うん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ~~~極楽極楽……」

 「ふふ、そのままじゃとろけちゃうよ?」

 「今はそれもいいかなぁって思っちゃう……」

 

 走り込みを終えた二人は今、自分たちの部屋のお風呂に浸かっている。響は浴槽のへりにもたれかかって文字通り溶けており、未来は苦笑を浮かべながらそれを見ている。

 響はそのまま溶けた状態で口を開く。

 

 「未来」

 「なに?」

 「今日は付き合わせちゃってごめんね、日曜日なのに」

 「ううん。大丈夫だよ。私も中学時代を思い出して楽しかったし」

 

 未来は中学生の時陸上部に所属していたのだ。今でこそもうやっていないが、その足は健在だ。

 

 「そっかぁ……さすが元陸上部」

 「誰かさんと違ってペース配分は考えているからね」

 「うぐ……それは言わないでよ……」

 「ごめんごめん」

 

 響が不貞腐れたように未来を睨むが、未来はくすくすとほほ笑んでいるだけだ。

 

 「それにしても……さっきは何を考えていたの?」

 「え?い、いや……大したことじゃないよ……」

 

 そう言いながら響はふい、と未来から顔をそらす。その顔はお湯とは別の理由で赤みを帯びている。

 

 「ん~~?なんか怪しい……何を考えてたの?正直に言いなさい!」

 「い、いや!だからなんでもないって!別に緑羅君の事なんてこれっぽっちも……」

 「緑羅君?」

 

 あ゛、と少女らしからぬ声を漏らしながら響は固まり、未来はじ~~と響を見つめると、響は顔を赤くしながら目をぐるぐると回しはじめ、

 

 「こ、これ以上いたらのぼせちゃうね!私先に出るね!」

 

 慌てた様子で立ち上がり、急いで湯舟が立ち去ろうとするがその肩を未来がつかみ上げ、動きを止めさせる。

 

 「み、未来さん……?」

 「響……何を考えてたのか詳しく話しなさい!」

 「ちょ、ちょっとま、未来、ひゃ!?ま、まって!そ、そこは……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「えっと……402号室だから……ここだよね」

 

 リディアン音楽院に併設された病院の中で、響は手に果物が入ったかごを持ちながらとある病室の前に立っていた。

 未来からの尋問を回避したのは昨日の事。響は未来からのくすぐりという名の拷問をどうにか耐え抜いて秘密を守り抜いたのだが、その代わりにお好み焼き屋のふらわーで奢るということでどうにか許してもらえた。

 そして今日、響は緒川から翼のお見舞いに行ってほしいと頼まれた。本当なら緒川が行くはずだったのだが本人が手を離せないらしく、響に白羽の矢が立ったのだ。

 響自身、それは全然かまわないのだが、彼女にとって誤算だったのはそのタイミングで未来がふらわーの件を持ち出した事だ。

 断るなら断るで理由を話すべきなのだが、内容が内容だけに話すこともできず、結局いつもと同じように誤魔化して離れるしかなかった。

 ちゃんと埋め合わせしないとなぁ、と考えてから響はパンと頬を叩いて意識を切り替えると、

 

 「失礼します!」

 

 そう言い、響は扉を開けて病室内に入る。

 

 「翼さ……」

 

 そこまで言って響は病室内を見渡して凍り付き、それと同時に手に持っていた見舞いの品を取り落としてしまう。

 

 「ま、まさか……そんな……」

 「何をしているの?」

 

 愕然とした表情でつぶやく響の後ろから声を掛けられ、肩に手を置かれる。

 その声に響はバっ!と振り返るとそこには右手に点滴をつけ、点滴台を持った翼が首をかしげていた。

 

 「つ、翼さん!無事ですか!?大丈夫なんですか!?」

 「……入院患者に無事を聞くってどういう事?」

 「だってこれ!」

 

 翼は呆れたように言うが、響は素早く病室の中を指さす。それを見て翼の表情が固まる。

 そこはもはや病室と呼ぶことすら不可能な惨状が広がっていた。ベッドのシーツはめくれ上がり、床には無数のごみや雑誌、脱ぎっぱなし放りっぱなしの衣類にひっくり返ったカップに中の飲み物、花瓶にさしてある花は見るも無残に枯れ果てている。

 

 「私、翼さんが誘拐されちゃったんじゃないかと思って!二課の人たちがどこかの国の人たちが陰謀を巡らしてって言ってたし、緑羅君も危ないみたいなこと言ってたから……翼さん?」

 

 響は慌てたように捲し立てるが、不意に翼が顔を赤くして俯いてることに気づき、響は小さく目を瞬かせる。

 

 「えっと………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それにしても意外でした……翼さんが片付けが苦手だなんて……」

 

 そう言いながら響は病室の中のごみを捨て、衣類を片付けていく。それが恥ずかしいのか翼は顔を赤くしており、響が顔を向ければさっと顔をそらす。

 

 「私は、その……こういうところに気が回らなくて……」

 「意外です。翼さんってなんでも完璧にこなすイメージがありましたから……」

 「フッ、真実は違うわ。私は戦う事しか知らないのよ」

 

 そう言いながら翼は苦笑を浮かべている。

 

 「すまないわね。いつもは緒川さんがやってくれるんだけど……」

 「そうなんですか……ってえ!?緒川さんにですか!?男の人にですか!?」

 「え?」

 

 驚きの声を上げた響を翼は何を言ってるんだと言うように首をかしげるが、少しして自分の言った言葉の意味を理解したのかまた顔を赤くする。

 

 「た、確かに考えてみればいろいろ問題あるかもしれないけど……それでも散らかしっぱなしにするのはいけないから……」

 「そ、そうですか……」

 

 響は軽く汗を流しながら頷くしかなく、それが気まずくなったのか翼は小さく咳払いをして話題を切り替える。

 

 「そ、それより、報告書は読ませてもらってるわ。私が抜けた穴をよく埋めてくれているというのも」

 「い、いえ!そんなことはないです!二課のみんなに助けられっぱなしですし、緑羅君にも迷惑をかけて……」

 

 そこまで言って響はしまった、と口を押える。いまだ翼と緑羅の間には確執があるのだ。そんな状態で緑羅のことを口にするのは……

 だが、翼の反応は違った。翼は緑羅の名前を聞くと同時に考え込むようにその名前を呟き、目を一回閉じると、

 

 「………ねえ、幾らか聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」

 

 そう言いながら真剣な表情で響を見据える。

 

 「え、は、はい……」

 「まずは……あなたが戦う理由は何?」

 「戦う……理由ですか……」 

 「ええ。ノイズとの戦いは遊びではない。それは今日まで戦い抜いてきたあなたなら分かるはず」

 

 そう問われ、響は一瞬考えこむように頬を掻きながら声を漏らす。

 

 「……緑羅君にも言われました。君は君だ。誰かの代わりになることはできない。君だけの戦う理由で戦えって……」

 「………」

 「それで自分なりに考えてみたんですけど………思いついたのは趣味が人助けってことぐらいで……」

 「それだけ?」

 「はい、それぐらいしか思い浮かびませんでした。ひどくちっぽけかもしれませんが………きっかけは、あの2年前の事件かもしれません」

 

 その言葉に翼はわずかに反応し、響は静かに視線を窓の外の空に向ける。

 

 「2年前、私を救うために奏さんが命を燃やして、緑羅君と初めて会ったあのライブ。その時、奏さんだけじゃない。大勢の人が死んで、生き残った人たちもつらい目にあった。本当ならそんな事にならなかったはずなのに……本当なら私も死んでいたかもしれないけど、二人に助けられて、今こうして生きて笑っている。だから今度は私の番だと思ったんです……今度は私が……誰かを助けて、その人に笑ってほしいって。それが自分で見つけた私が戦う理由です……」

 

 そこまで聞いて翼は一回目を伏せると小さく息を吐く。そしてすっと顔を上げ、

 

 「………もう一つ、聞かせてもらっていいかしら」

 「はい」

 「………あの時、五条緑羅は………奏を助けたかったのかしら……」

 

 響は一瞬息をのむが、

 

 「はい。きっと」

 

 即座に断言していた。

 

 「緒川さんが言ってました。緑羅君は奏さんを見捨てたくって見捨てたんじゃない。あの時、戦えなかったのは何か理由があったからだって。だけど緑羅君はそれを理由にしたくないって。どんなことがあろうと奏さんを見殺しにしたのは変わらない。だから言い訳なんてする資格なんてないと思ってる。だから何も言わないんだろうって」

 「っ……」

 「緑羅君はずっと、奏さんの死を背負っているんだと思います。だってあの時言ってました。これ以上、この歌で誰かを死なせるかって……翼さん。今度緑羅君と出会ったら、話しましょう。どんなに時間がないといって逃げようとしてもしつこく食らいついて、見つけましょう。あの日の真実を。私も知りたいから。緑羅君が本当はどうしたかったのか……緑羅君が……一人で背負っているものを、少しでも肩代わりしてあげたいから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりとした歩調で緑羅は町の中を静かに歩きながら周囲を見渡し、呆れたように息を吐く。

 ほんの数日前に比較的近場の工業地帯が炎に飲み込まれたというのに周囲の雑踏は気にしたそぶりもなくのんびりと過ごしている。

 改めて思うが、のんきというか間抜けというべきか……

 緑羅は呆れたようにため息を吐きながら思考を巡らせる。

 ここ最近の事を考えてみても自分は後手に回り気味である。まあ、ノイズが現れたらそれを倒しているのだから当然だが。

 この事態をどうにかするにはやはりというべきか、あの鎧の少女をどうにかするべきだ。出来るならば捕らえ、情報を吐かせ、あの杖を破壊する。そうすればその後ろにいるであろう存在に対し大きく有利になる。

 それができないならば………一思いに殺す以外にないだろう。そうすれば相手の手札を一つ潰せる。

 どっちにしても、次彼女が現れた時が勝負、そう考えたところで緑羅は足を止め、首を巡らせて視線を動かす。

 

 「………噂をすれば影ってやつか……」

 

 そうつぶやくと、緑羅は路地裏へと足を向け、そのまま置くまで進み、周囲に人がいないの確認すると、勢いよく跳躍して壁を蹴りながらビルを登っていき、屋上にたどり着くと即座に変化して勢いよく飛び出す。

 そのまま屋上を突き進んでいくと、視界の先に鎧の少女をとらえる。それと同時にあちらもこちらを補足したようで加速して突っ込んでくる。緑羅も同様に加速して距離を詰める。

 

 「今度は逃がさねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 「それはこっちのセリフだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 互い雄たけびを上げながら鎖とガントレットを激突させ、周囲に轟音がとどろく。




 感想、評価、どんどんお願いします。

 あと、感想にて返信後の緑羅の姿を想像できないという意見があったのでもうちょっと詳しく書いておきます。

 まず基本的な体系は人間で体制はちょっと猫背になっています。服の類はなく、全身をゴジラの皮膚で覆っていますが一部には同じ色合いの鎧のような部位があり、腰回りにはロングコートの裾のようなものが直接生えています。両足、左手の形状はゴジラのものであり、右手は人間の形状で鎧で覆われ、ガントレットを装備しています。背中からは背びれが生え、尾骶骨付近から尾が生えています。顔は形状は人間のものです。ですが右目付近は人間で以外は皮膚がゴジラになり、口元は両端とも耳元まで裂け、歯はすべて牙になっています。鼻は形は人間です。髪はざんばらで、脇までの長さです。

 こんな感じでしょうか。
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