戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 すいません、最後のほうに追加したいところがあったので投稿し直します。

 9/15 一部改訂。



1-12

 鎧の少女が勢いよく鎖を叩きつけてくるが、緑羅はそれをガントレットで弾くと地面を蹴って距離を詰め、その勢いを乗せて蹴りを繰り出す。

 少女は蹴りを回避すると、そこから続けて鎖を横薙ぎに叩きつけてくる。

 緑羅は即座に屈んで回避し、その体制のまま体を回転させ、尾で薙ぎ払おうとするが、少女はすぐさま距離を取って回避する。

 緑羅は即座にガントレットを顎に切り替えると少女に向けて開かせ、熱線を放つ。周囲にはすでに人間の気配はない。少し前にサイレンが鳴り響いて全員逃げ出し、しかもここは建物のない自然公園らしき場所。存分に暴れることができる。

 少女は即座に回避して鎖を繰り出すが、緑羅はその鎖に顎を向けると、ガギン!と咥え込む。

 マズい、と少女が顔を引きつらせると同時に緑羅は勢いよく引っ張るが少女は即座に足をに力を入れて踏ん張って抗う。

 緑羅は小さく目を細めると、左手も使って鎖をつかみ、勢いよく少女を引き寄せようとする。少女は何とか抗おうと力を籠めるがじりじりと体は緑羅の元へと引き寄せられていく。

 

 「っ!だったら!」

 

 瞬間、少女は勢いよく地面を蹴って前方に飛び出す。緑羅の引っ張られる力も加算され、まさしく弾丸のごときスピードで少女は緑羅の元にたどり着き、拳を構える。

 顎は鎖を咥え込み、更に左手も未だに鎖をつかんでいるのだ。鎖を放すよりも、回避しようとするよりもこちらの攻撃のほうが早く当たる。

 そう少女が確信していると、緑羅は軽く息を吸いながら頭をそらし、

 次の瞬間、少女の拳が緑羅の腹を捉える。拳ははっきりと腹部にめり込むが緑羅の体は揺らがない。少女が驚愕に目を見開くと同時に緑羅の頭突きが少女の後頭部に叩きこまれ、鈍い音と共に少女は地面に叩きつけられる。

 

 「がっ!?」

 

 予想外の攻撃だったからかまともに喰らい、地面に叩きつけられた衝撃で少女は息を詰まらせる。

 緑羅は即座に少女の腹に蹴りをねじ込み、吹き飛ばす。

 少女は数回地面に叩きつけられバウンドするが、どうにか立ち上がると緑羅を忌々しげに睨みつける。

 緑羅は小さく唸り声を上げながら体を揺すり、その視線を受け止め、

 

 「………しっかし……なんだろうな………」

 「あ?なんだいきなり……」

 「いや………こうやってしっかりと相対して、やり合って思ったんだけど………弱いね、君」

 「……は?」

 

 少女は一瞬ぽかん、と口を半開きにしするが、次の瞬間、

 

 「どういう意味だてめぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

  NIRVANA GEDON

 

 叫ぶと同時に少女の鎖の先端にエネルギー球が形成され、それを勢いよく緑羅目掛けて投げ飛ばすが、緑羅はそれに対し、無造作にガントレットを叩きつけあっさりと弾き飛ばす。

 それを見て少女は愕然とした様子で目を見開き、畳みかけるように緑羅はため息を吐きながら口を開く。

 

 「やっぱりね……弱いよ。これなら響のほうがまだ強いかもしれない……それにこの感じは………」

 「この野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 少女は勢いよく鎖を連続でふるってくるが、緑羅は一本はガントレットで弾き返し、もう一本は自分の口を開けるとそのまま食らいつき、少女が何か行動を起こす前に勢い良く体を回転させ勢いよく振り回す。そして十分に勢いが乗ったところで口を放し、少女を明後日の方向に投げ飛ばす。

 緑羅はブルりと体を震わせると少女の元に走っていく。

 少し走ると森の中の開けた場所にたどり着き、緑羅は鎧の少女を探すが、

 

 「ひっ!?」

 

 突如として挙がった聞き覚えのある悲鳴に顔を向けると、怯えた様子の未来と、そのそばには彼女を守るように立つ響がいた。

 

 「二人とも!?なんで……「もらった!」ちっ!」

 

 気を取られた瞬間鎧の少女が鎖を叩きつけてきたことに気づき、緑羅は即座に弾き返すが、ん?と目を細める。

 少女の立ち位置が変化しているのだ。しかもその位置は少なくとも未来には攻撃が当たらないような位置だ。

 んん?と目を細めていると、再び少女が鎖を叩きつけようとしてくる。

 緑羅は即座に防御し、反撃のために構えるが、周囲に歌が響き渡り、少女が鎖を振るうと同時に緑羅の前にシンフォギアを纏った響が滑り込み、鎖をはじく。

 そのまま響は緑羅のほうに振り返り、

 

 「緑羅君、未来をお願い!」

 「は?え、いや、ちょ……!」

 

 緑羅が声をかけるも響は止まらず、そのまま森の奥に引っ込んだ少女を追って行ってしまう。

 緑羅はううむ、と小さく唸り声を漏らしながらガントレットで顎を掻くとため息を吐く。

 何だか分からないが先ほどの響の声色。明らかに今までと違っていた。それにあの少女よりも響のほうが強いのはほぼ間違いない。ならば一応ここは任せよう。

 そう考えると緑羅はゆっくりと未来のもとに向かって歩いていく。未来は去って行った響の背中を悲痛な面持ちで見つめていたが、足音に気づくと急いで振り返るが、緑羅を見たとたんひっ、と怯えたように声を漏らす。その目には明らかな怯えと驚愕、そして動揺に彩られている。

 これが普通だよなぁ、とどうでもいいことを考えながら緑羅は目の前でその姿を人間に戻す。

 

 「あ……え………?」

 「まあ、そうなるよね。むしろそれが普通だよね」

 「りょ、緑羅………君………なの………?」

 「おう、その通りだよ」

 

 困惑したように問いかけられ、緑羅は小さく頷く。

 

 「ど、どういう事なの……さっきの姿は何……?それに響が……」

 「そっちも話してなかったのかよ………」

 

 緑羅は呆れたようにため息を吐いて空を見上げると、少ししてから口を開く。

 

 「悪いけど、あの力の事とかそういうのは俺も詳しくは知らない。説明はほぼ不可能だよ。説明なら響か……その響が世話になっている組織に聞くんだね。時期に来るだろうし」

 「そんな……何それ……どういう事なの……どうして……」

 「それは彼女が戦っていることに対して?そこは答えられる………彼女が自分で選んだんだよ。リスクを知ったうえでね」

 

 緑羅の言葉に未来は言葉を失い、緑羅ははあ、と小さくため息を吐く。

 

 「まあ、今はあの戦いが収まるのを待とう。それが終われば知りたいことも………知りたくないことも知ることができるよ」

 

 残酷だろうが、それが本人のため、と緑羅は戦闘が起こっている場所に視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木々の間を抜けながら響は少しでも少女を未来と緑羅から引き離そうと走り続ける。

 対し少女のほうも緑羅よりも響のほうを優先したのか響のほうを追いかけている。

 そして森の中の開けた場所にたどり着くと響は立ち止まって振り返る。それと同時に少女も森の中から飛び出し、鎖を響目掛けて叩きつけてくる。響はすぐに鎖を拳で弾いて防ぐ。

 

 「筋肉バカがやってくれる!」

 「筋肉バカなんて名前じゃない!私の名前は立花響!歳は15歳、誕生日は9月13日の乙女座で血液型はO型!身長157cmで体重はもっと仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで好きなものはごはん&ごはん!後、彼氏いない歴は………」

 

 そこで不意に響の口が止まり、少女はいぶかしげに目を細める。唐突に自己紹介を始めたのも変だがいきなりそれが途絶えたと思ったら顔を真っ赤にしてプルプルと震えだしたのだ。

 

 「と、とりあえず年齢と一緒!」

 「いきなり何を言ってやがんだお前は!?」

 

 ついに我慢しきれずツッコみながら少女は鎖を振るう。響は素早くそれを回避してさっきとは違う真剣な表情で口を開く。

 

 「私たちはノイズと違って言葉が通じるから、話し合いたいんだ!」

 「この期に及んで何を悠長に!」

 

 少女は続けて連続で鎖を振るうが、響はその攻撃全てを回避、もしくは弾き返していく。

 

 (こいつ、前の時よりも動きがよくなってやがる!?急がねぇと……!)

 

 すぐ近くにビーストがいるのだ。もしも割り込まれでもすればこちらが危うい。早急に決着をつける必要がある。

 だがそんな事響に関係なく彼女は言葉を続ける。

 

 「話をしよう!私たち人間は言葉が……」

 「っ………うるせぇ!!!」

 

 響の言葉を遮るように少女は叫び声をあげ、響は思わず口を閉じてしまう。その隙に少女は捲し立てるように叫ぶ。

 

 「分かり合えるものかよ、人間が!そんな風にできているものか!気に入らねぇ、気に入らねぇ、気に入らねぇ、気に入らねぇ!分かっちゃいねえことをぺらぺらと口にするお前が!アタシの事を弱いといったビーストが!」

 

 荒い息を吐く少女を響はあっけにとられたように見つめるしかできなかった。その姿はまるで泣き叫んでいるかのようで……

 

 「お前を引きずって来いって言われたが……もうそんなことはどうでもいい……お前も、ビーストもこの手で叩き潰す!今度こそお前のすべてを踏みにじってやる!」

 「来る……!」

 

 その気迫を見て、響は気合を入れて構えを取る。

 

 NIRVANA GEDON

 

 少女は鎖の先端にエネルギー球を生み出し、それを響目掛けて投擲する。響はすぐに手をクロスさせてエネルギー球を受け止める。それをどうにか弾こうとするが、

 

 「持ってけダブルだぁ!」

 

 少女は再びエネルギー球を生み出すとそれを投げつけてくる。それは響が弾こうとしていたエネルギー球に直撃し、次の瞬間、轟音と共に爆発を起こす。

 

 「はぁ……はぁ……お前なんかがいるから……私はまた……」

 

 少女は荒い息を吐きながら目の前の土煙を見ていたが、それが晴れると同時に目を見開く。

 響はいまだ健在であり、更にはその両手にはオレンジの光が集まっていた。

 

 「この短期間にアームドギアまで手にしようってのか!?」

 

 しかし、集められた光はそのまま暴発してしまい、響はのけぞる。

 

 (こんなんじゃダメ……翼さんや緑羅君みたいにギアのエネルギーの固定ができない………いや、違う!エネルギーはある!だったらそれを直接ぶつければ……!)

 

 響の右手に改めて光が集まるが、今度は暴発せず、逆に右手の籠手のパーツに集まっていき、その中のパイルが引き絞られる。

 

 「させるかよ!」

 

 少女が鎖を2本同時に響目掛けて繰り出すが、響は左手で2本同時につかみ上げ、握りつぶす。

 

 「なっ!?」

 

 少女が目を見開いた瞬間、響は鎖を思いっきり引っ張り、自分のほうに引き寄せる。

 それと同時に響は思い浮かべるのは地面を踏み砕きながら繰り出される緑羅の重量級の一撃。

 それをイメージしながら響は拳を握り、それと同時に腰のパーツから炎が噴き出し、その勢いに押され響は飛び出す。

 

 (最速で!最短で!真っ直ぐに!一直線に!胸の響きを、この想いを伝える!)

 

 そして少女の眼前にたどり着くと同時に勢いよく踏み込む。足は地面を砕きながら体を固定し、それと同時に響は拳を引き絞る。すると籠手からも炎が噴き出すが、響はそれを押さえつけ、飛び出した勢い、炎の推力、引き絞られる筋肉、すべての力を限界までため込み、開放する。

 勢いよく放たれた拳は少女の腹部を捉えると同時に籠手内部のパイルが打ち込まれる。

 瞬間、周囲にすさまじい轟音が轟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 公園内部に轟いた轟音に緑羅は小さく眉を持ち上げ、未来ははっとしたように顔を上げ、表情をこわばらせる。

 

 「響……!」

 

 思わず飛び出そうするが、その肩を緑羅がつかんで止める。

 

 「緑羅君、放して!」

 「いいや。それはできないね。それに、響なら大丈夫だから」

 「……どうしてそんな事分かるの……」

 「どうしてと言われても………まあ、気配だね。響の気配は健在だから」

 

 より正確に言えばあのシンフォギアの気配なのだが、まあ、似たようなものだろう。

 

 「それ以前に……君が行って何になるの?」

 

 その言葉に未来は体を強張らせてしまう。

 

 「何の力もない、戦うことも、守ることもできないのにあそこに行ってどうする?あの鎧の少女に人質にされるのがオチだ。そんなことになったら響はもう終わり。俺だって容易に動くことができなくなる。完全に足手まといだよ」

 「っ………」

 「ここでじっとしているのが一番響のためだ。何もせず、変なことしないほうがね」

 

 淡々と告げられた言葉に未来は涙を浮かべ、思わず緑羅を睨み上げるが、

 

 「まあ………気持ちは分からないでもないよ………」

 

 そう呟く緑羅は小さく目を細める。思い出すのはあの父の偽物。否、クローンとも呼べるもの。

 あの時、まだ戦う力も持っていなかった自分を父は守ろうとし、結果として敗れた。あの時に自分は呪った。自分の無力さを。自分のせいで父が負けたことが悔しかった。父が苦しむのが嫌だった。だから未来の気持ちも分からないでもない。だが、分かるからこそ、行かせるわけにいかないのだ。それがもたらすものを知っているから。

 緑羅が目を細めながら空を見ていると、不意に周囲に爆音が轟く。顔を上げれば盛大に土煙が昇っている。

 それを見ていた緑羅だが、不意に小さく声を漏らしながら眉を寄せる。周囲に先ほどまでとは違う力が満ちたのだ。あの鎧とも、響のシンフォギアとも違う力だ。

 

 「新手………?いや、違う……これは………」

 

 新しい敵ならば緑羅が気づかないはずはない。おそらくだがこれは……あの少女の新しい力。

 緑羅は舌打ちをすると即座に変異し、それを見た未来は小さく肩を震わせ、恐る恐る話しかけてくる。

 

 「りょ、緑羅………君………?」

 「未来。今すぐ車の陰に隠れろ。どうやら戦況が傾いてきたらしい。加勢に行ってくる」

 「ま、待って……!」

 

 未来の制止も聞かず、緑羅はその場から飛び出し、煙の元へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 幾度目かの跳躍で現場にたどり着いた緑羅は獣のような体制で着地し、それに気づいた響が驚いたように顔を向けてくる。

 

 「緑羅君!?なんで……」

 「響、目をそらさない」

 

 そう言った緑羅が煙の奥を睨んだ瞬間、土煙が吹き飛ばされ、その奥に彼女はいた。

 これまでと違い赤い色を基調とした装甲。頭には赤い響のより重厚なヘッドセットをつけ、髪は4つにまとめられている。両腕には赤い装甲、全身は胸元が開いた響の似た感じの黒と銀のボディスーツを着ており、腰回りにも鋭角的な赤い装甲が見受けられる。

 こちらを睨みつけてくる少女を前に緑羅は小さく体をゆすりながら威嚇するかのように軽く咆哮を上げる。




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